不可解な体験、謎な話〜enigma〜 Part21

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小学5年生の夏、集団旅行に行った帰りのこと。

貸しきりの電車の中、友人と缶ジュースを飲みながら雑談をしていた。
私はスポーツ飲料を飲み干し、その缶を窓辺に置いて、
網棚の上から荷物を下ろした。その間十秒足らず。
ふと缶を見ると、プルタブが完全に閉じている。
誰か別の子のもので、手がついていないのではと思って缶を振ったが、
缶は軽く、中からは少しだけ残った水分の音がぴちゃぴちゃと聞こえるだけだった。
あまりに不思議なので、友人たちや引率の大学生に見せた。
誰も謎を解明できなかった。

結局その缶は持って帰って、親にも見せた。やはり謎だった。
何年か取っておいた。
中学生になり、そろそろ捨てようと思って、最後にプルタブを開けてみようと思った。
プシッと軽快な音がして缶は開いた。中はやはり空だった。
どういう力が作用して、飲み干した缶のふたが閉まったんだろう。