稲川淳二みたいな口調のスレですよ 第6夜

このエントリーをはてなブックマークに追加
699本当にあった怖い名無し
この話はね、あたしがちょうど中学生くらいの時でしたよ。
当時のあたしは、放課後は所属していた部活にも殆ど顔も出さずに、小学校からのなじみの
友人と自転車を飛ばしまして、一山越えた隣町の川へ魚釣りに行っちゃうような釣り好きの子供でした。
仮にAとでもしておきましょうか。
その友人Aも相当なつりキチでしてねぇ
暇さえあれば竿と仕掛けを持って数十キロはなれた川や、沼なんかへも平気で出かけちゃう。
自転車でもってね、こう、つ〜っといっちゃうんだ。
そんなある日の出来事でしたよAがね、こんなことを言うんです。
「あのさ淳二、俺ねぇ、また良いポイント見つけたんだよ」。
「たださ、一人じゃちょっと行き難くてさ、今度の日曜にでも一緒にいかねぇか?」。
てな具合でしてね。
まぁ、あたしも嫌いじゃないもんだからってんで、おうぅ、いいよ〜、いこうやいこうや
なんて安受け合いしちゃって。
そもそもそれが間違いだったんですよねぇ、ええ。
700本当にあった怖い名無し:04/08/04 22:58 ID:gKtbvSwx
あたしもねぇ、ちょっと気にかかってたんだ。
Aが言った「一人じゃ行き難い」って言葉がね。
でも当日になっちゃえば行く先のことで頭がいっぱいで
そんなこと全然考えなくなっちゃうんだなぁ。
子供でしたしねぇ、楽しいほうが優先でしたよ。
道のりは結構遠くて、自宅から20Kmくらいはあるかなぁ、山ん中でしてね
沼なんだ、ふか〜い緑色をした水の綺麗な沼でしたよ。
あたしもねぇ、初めてそんな場所があることを知ったもんだから
へぇ〜、こんなとこもあるもんだなぁ〜、気づかないもんだなぁ
なんて感嘆してましてねぇ。
水面を見やりながらしばらくボーっとしてましたよ。
するとね、魚が跳ねるんだ、こう、体を弧の字にくねらせて
ぴょーーんって。
20CMはあるかなぁ、恐らくフナだと思うんですがね。
もうそれを見た途端、あたし、すぐ荷物を解き始めて仕掛け作りに
入りましたよ。
もう獲物を釣り上げる事しか頭に無い、釣ってやるぞ〜って
そればっかりだった。
701本当にあった怖い名無し:04/08/04 23:02 ID:gKtbvSwx
まぁ、実際釣り始めればなんてことは無い、いつもと同じ
餌だけ持っていかれて全然釣れないんだなぁ。
暇になってきたんで、暇つぶしの相手を探すべく
沼の周りをね、うろうろしてみたんだ。
とっことっことっことっこ歩いていると、ふっ・・と、古ぼけた看板が目に入った。
ペンキも剥がれ気味で、文字も殆ど読めないような板でできた看板ですよ、
打ち付けてある杭も腐りかけててね、傾いちゃって。
で、何だろう、そう思って、顔を近づけて文字を読んでみた。
そしたらね、読める部分だけですが、こんなことが書いてあった。

この付XXXXの地のXXXXで、XXX死事XXXたは、行XXXXX等XXX
XXX小屋XXX来XX通り道XXXXXXX 神XXXXXXX徳XXまかXX禁ず。

あたしこれを読んだとき、Aが言っていた「一人では行き難い」って言葉
思い出しましてね、背中がぞくぅ〜ってなりましたよ。
駆け足で、Aの元へ戻って、さっきの看板のことAに話しましたよ
で、「一人で行き難い」って言うのは、何だか得体の知れない気持ち悪さ
ってんですか?そんなのがあったからか?って聞いてみました。
そしたらAはもっと凄い物があるって、さっきの看板のあるほうへ
歩いてゆくんです。
702本当にあった怖い名無し:04/08/04 23:11 ID:gKtbvSwx
Aはどんどん看板のほうへ近付いてく。
あたしは何だか気持ち悪くなっちゃいましてねぇ。
本当は行くのやだったんですけどね、付いて来いってAが言ってるんで、仕方なく
付いて行きました。
看板の前を通り過ぎて、40Mくらいかな、歩いたところで、Aが足を止めたんです。
で、沼のほうを指差して言うんです。
ほら、あれ。
Aの差した指の先には、何とも異様な光景がありました。
葦だかススキだかわからない結構な背丈の草が生えている茂みの中
丁度少し開けている場所がありましてね、その少し先のほうの
沼の淵から、お地蔵さんが、沼の中の方まで横一列に並んでるんですよ。
淵から離れるにつれて深くなるのに、沼の中心くらいに向かって何十体という
お地蔵さんがずぅ〜〜〜〜〜〜っと。
それ見た途端、あたし、うぅわぁ!と思いましてね。
だっておかしいですよ、お地蔵さんは、陸の上に6体やそこらで並んで
祭られるのが普通じゃないですか?でも目の前のお地蔵さんは、沼の中に
しかも中心の深いところに向かって並んでる。
何十体も、その先の方は深くてよく見えないのだけど、光の加減によってはシルエットが
うっすら見えるんです、深い緑の水の中に。
もう、頭の中パニックですよ。
こりゃいけない!ここにいちゃいけないっ!
頭ん中でその言葉を繰り返してくりかえして。
おいA!駄目だよ、こんなとこで釣りなんてしちゃいけない、帰ろうっ、かえろうっ!て。
703本当にあった怖い名無し:04/08/04 23:39 ID:gKtbvSwx
二人して、竿が仕掛けてある場所まで駆け足で戻ったんですが。
そしたら、あたしとAの竿に魚がかかってる。
取り合えず竿を取り上げてみたんですが、かなり大物のようでしてねぇ
竿が折れんばかりにしなって、ラインも殆ど限界状態みたいだった。。
それでもそこにいること自体が恐ろしくてたまらなかったあたしは
鋏でラインを切り、竿をたたんで帰り支度を急いだんです。
しかし、Aは獲物が相当に惜しいらしくて、何時までも格闘していましてねぇ。
あたしは怒鳴り気味でAに、仕掛けを切るように促したんですが
あたしの話なんてちっとも聞いちゃいない様子で。
で、頭にきちゃってあたしAの肩をつかんで思い切り振り向かせたんです。
その途端ラインが切れて獲物は逃げていったんですがね、
でも、なぜか、振り向いたA、半泣きなんですよ。
Aは何を言うでもなく、ものすごい勢いで帰り支度を始めて、二人で逃げるように
その場を後にしたんです。
あたしの家に帰って、未だ涙目のAを家に入れ、コーヒーを飲ませて
落ち着かせると、やっとAが口を開いてくれて・・・
A曰く、竿を持って格闘していた時、とんでもない物が掛かっていることに気づいたそうですよ。
Aの見たものは、魚ではなく、人間だったと、こう言うんです。
それは子供のようで、2人いて、Aのラインを両手でつかんで引っ張っていたと言うんです。
で、Aはと言うと、それを見た途端動けなくなって、金縛りって言うんですか、
あたしの声も全然聞こえなかったっていってましたねぇ。
あたしに肩を引っ張られる直前に、その子供達が、Aに向かって「にぃっ」って笑いながら
ラインを手繰り寄せて、ものすごい速度で沼から上がってこようとしていた
そんなことも言ってましよ、ええ。
Aはそれっきり、釣りをやめましたよ。
それ以降も、あたしとAはちょくちょく遊んでいたんですが、あの時の話は
あれ以来一度も口にしたことは無かったですねぇ。
あの沼で過去に何があったのか、あの看板やあのお地蔵様は一体何を意味するのか
今更調べる気はありませんがね、ええ。

こんなことってあるんですねぇ。
704本当にあった怖い名無し:04/08/04 23:43 ID:gKtbvSwx
いやいやいやぁ、ほんとはね、あたしこのネタは山にまつわる怖い話スレにでも書き込もうかなぁ〜
なんて思ってたんですが、あたしも淳ちゃん嫌いじゃないもんだから、ついこっちに書かせてもらっちゃったんだなぁ。
ただねぇ、淳ちゃんの語り口調に気を使ったりして、うまく文章がまとまらなかったんですよ、はい。
すみませんねぇ、長々と書いちゃって。

本当に怖かったんですよ、ええ。