稲川淳二みたいな口調のスレですよ　第6夜

あんまり怖い話でもないんですけど。
親戚の家は兼業農家でおじさんはサラリーマン、おばさんとばあちゃんは
畑仕事とかを暇つぶし程度にやってる家でした。
山口のすごい田舎で周りはほんと家と畑しかないんです。
僕はその頃広島の市内に住んでたんですけど、喘息持ちだったんで、
空気のきれいな場所ってことで夏休みとかはそこにお世話になってました。
広島の家は周りに自然が少なかったから、山口での自然いっぱいの生活は
ほんと楽しかったのを覚えてます。
毎日昼になったらいとこの兄弟と外に遊びに行ってたのですが、その時に
おばさんが「かかしのとこには絶対に行っちゃいけんよ。」と毎回言ってました。
この『かかし』ってのは畑の中にある鳥よけのかかしのことなんですが
割とそこらじゅうにあるもんで大してめずらしくもなかったから、おばさん
に言われるまでもなく近づくことはありませんでした。

で、ある日いつものようにいとこ兄弟と遊んでたら、ふと白いかかしが目に
入りました。「こんなのもあるんだな〜」くらいに思ってしばらく眺めてた
んですけど、よくよく見るとなんか変なんです。普段目にするかかしは顔が
書いてあったり服を着せてたりするんですけど、その白いやつはなんて言うか
布団のシーツを人の形に切っただけみたいな感じで。
地面に突き立ててる様子もないのにちゃんと立った感じになってるし。
で、しばらく見てるとそれが風でなびくようにゆらゆら動くんです。
移動はしないんですけど、その場でゆらゆらと。なんか表現しにくいんですけど
マトリクスの主人公が弾をよける時のような動き？を薄っぺらい白いかかしが
ずーっとやってるんです。
で、どうしても気になって見に行こうと畑に入って近づいた時に、いとこの
兄ちゃんが「近づくなって言われただろ！！」ってすごい怒鳴りながら
こっちに走ってきて僕を半分抱きかかえる感じで畑の外に連れ出しました。
その時は何がなんだかわからなかったんだけど、ただ大好きないとこの兄ちゃん
に怒鳴られたのがすごいショックで僕は大泣きしてました。

その後いとこ（弟の方）が呼んできたおばさんに連れられて家に戻って
僕はしばらく仏壇のある部屋で約束を破った説教となんか体についた埃を
はらうような感じのことを何度もされました。あと手のひらに墨で何か
書いてくれたのも覚えてます。で、しばらく手を開くなとか窓を見るなとか言われて。
いとこの兄ちゃんは俺とは別の部屋に連れて行かれてたようです。
その晩、親が山口に迎えに来ました。俺は約束を破ったからもう泊まっちゃ
だめなんだなって思ってました。
帰る時おばさんやいとこ（弟）が玄関で見送ってくれたんだけど、兄ちゃんの
姿はそこにはありませんでした。嫌われたんだと思ってすごい悲しくなって
ふと廊下の奥に目をやったら電気もついてないとこで兄ちゃんがぼーっと立ってる
のが見えました。兄ちゃんはこっちを見てるんだけど、俺のさらに奥、つまり外
の方を見てるような感じで、たまに「フーッ」と妙に大きな呼吸音だけが聞こえました。

実家に帰り、夏休みが明ける頃、親戚は父親の方の会社都合とかで急にブラジルに
転勤しました。で、4年後にまた日本に戻ってくると言うことで空港まで親と迎えに
行きました。
いとこの兄ちゃんとは、白いカカシの時以来会ってなかったんですが
久々に会った兄ちゃんは以前と変わらず楽しい人でした。
で、これは最近になってわかったんですけど兄ちゃんは白いかかし前後の記憶が完全に
抜け落ちてるんです。怖くはないんだけど妙な話だな〜、と思ってここに書かせて
もらいました。

以上です。
ここに書くような内容じゃないかもしれないし、
オチも無くダラダラと長い駄文をすいませんでした。