既出だったらスマソ
都内の有名ホテルが立ち並ぶ街のある一角は
かなり昔からタクシーの運ちゃんなどには煙たがられていたと言う。
あるタクシーの運ちゃんの話。
その一角は大きな飲み屋街も抱えていたので、深夜そこで帰る酔っ払いを乗せることが多かった。
その夜も大分酔っていると見える中年男性を乗せた。
その中年の客はうなだれていて、行き先をはっきり言わない。
「その道を真直ぐ行ってくれ」「そこを右だ」それでも客の言う通り進むと、
乗せた場所に戻ってしまう。戻った事を伝え、一体何処へ行きたいのか?聞いても、
やはり「そこを真直ぐ行け」だの言って戻ってしまう。
延々あるホテルの一角をぐるぐる廻っているだけだった。
いい加減酔っぱらい過ぎて、収拾つかなくなっているものとみた運ちゃんは、
料金は要らないからタクシーから降りるように言って下りてもらった。
客を下ろした後しばらくゆっくり車を流していると、
サイドミラーに何か変なものが迫ってくるのが見える。
今少し前に下ろした客が人間とは思えぬ形相で四つん這いになって追っかけてきたのだ。
それから数年後、そのぐるぐる廻った一角の大きなホテルが大火災を起した。