>>253 例えば↓こんな?
友達の弟の大学のサークル仲間が出会い系にハマった。
まあ、Y君としよう。
その出会い系は写真付きの女の子のメッセージが入るものだった。
添付されている写真は、ポーズを取ったものから、
ちょっと肌を露出したものまで様々だった。
その中の一つにY君は興味をひかれた。
nao*と名乗ったその子は、上京したてで友達が少ないので
友達&恋人募集中という内容だった。
唇からシャツの胸もとまでの写真が添付されてあった。
全貌こそわからないが、ふっくらしてグロス濡れたように見える唇。
薄い茶色の髪が少し開けたシャツの胸元にかかっている。
胸は柔らかくボリュームもありそうで、淡いピンク色のブラジャーが少し覗いている。
長めの白い首にほくろが一つあるのも印象的だった。
255 :
254:04/05/08 19:15 ID:1K5QgTGD
その年、上京してきたY君は自分と似たようなその子の環境と
写真に興味をそそられ、メールを送った。
すぐにnao*から返信が届いた。nao*は有名デパートに勤めていて、
Y君と同郷だった。
遊ぶところが沢山あって楽しいけれど、とても淋しくなる事もある。
とnao*は少し悩んでいるようだったが、Y君もその気持ちはよく分かった。
二人は淋しくならないように、毎日メールしていた。
Y君はとっても会いたがったが、nao*はブスでふられたらイヤだといって
顔の分かる写真は送ってこない。いつも体の一部とかそんな写真だった。
クリスマスイヴに会おうとnao*は提案してきた。
クリスマスイヴは数ヶ月先だったが、Y君はそれもロマンチックな気がして応じた。
ある日、サークルのコンパでY君は女の子と知り合った。
明るくて積極的で、何より顔がY君好みだった。
すぐに二人は付き合うようになると、Y君はnao*の毎日のメールも怠るようになった。
「この頃メールくれないね」nao*のメールが彼女がいる時に入った。
彼女が怒り出して喧嘩になり、Y君はnao*がとても疎ましくなった。
不機嫌なメールをnao*に送ってしまった。少し後悔していると、
nao*も「毎日メールくれるっていったじゃん」とメールで責めてきた。
本名も顔も知らない子に彼女面されて気分が悪くなったY君は、
それからnao*にメールを送るのを止めた。
nao*からは謝罪や文句が多かったが、どのメールも「淋しい」という言葉だけは
書き込まれていた。
そして11月も終わり頃、「クリスマスには会えるよね?」というメールが入った。
クリスマスイヴは初めて出来た彼女と約束した。当然Y君は無視していた。
256 :
255:04/05/08 19:18 ID:1K5QgTGD
クリスマスイヴ、ちょっと高めで小洒落たレストランに行って、美味しいものを彼女と食べ、
イヴに彼女と見たら忘れられなくなりそうなラブストーリーの映画を見ていると、
マナーモードにしていた携帯が何度もメールの着信を報せた。Y君は携帯の電源を切った。
二人でケーキや酒を買って家に帰ると、彼女がまだ興奮したまま映画の話をしだした。
その途中、彼女が少し暗い顔をして
「けどイヴにああいう映画を一人で見る女の子もいるんだね。」と言った。
Y君は映画と彼女に夢中で全然覚えていなかった。「そんな子いたんだ?」
彼女「え?覚えていないの?Y君の隣に座っていた子だよ?」
Y君は何だか嫌な予感がした。
Y「どんな子?」彼女「薄い茶色の髪で肩ぐらいの長さの子。シャツを少し大袈裟に開いていて・・」
Y「首にほくろがあった?」彼女「なんだ覚えているんじゃない?そんなとこだけ目がいくんだ?」
Y君はぞっとした。nao*には自分の故郷の話はしたけど、住所も顔も教えていない。
彼女がトイレに入ったすきに携帯でメールを見てみた。
nao*からのメールにさっき行った映画館が写っている。その中には小さく自分達まで写っていた。
その後も映画館を出た後のY君と彼女の後姿、ケーキ屋へ入る二人。そこでメールは終わっている。
257 :
256:04/05/08 19:19 ID:1K5QgTGD
少し不気味だが、とりあえず彼女に見られる前にメールを確認できた。その時携帯が震えた。
が、メールじゃなく友達からの電話だった。友達は合コンのメンバーが足りないと言ってきた。
Y君は彼女と一緒だと少し自慢気に意地悪そうに言った。
友達は「ちぇっ、だからメールも返信してこなかったんだな?」
今さっきメールを確認したばかりだ。Y「メール?来てね―よ。お前いつ送ったんだよ?」
友達「30分前には送ってるって!イヴだもんな遅れてんのかも。けどまぁいいや、じゃお幸せに」
Y君は彼女もお構いなしに、もう一度メールを調べた。nao*が5件・・・1件ずつ開いてみる。
駅からの商店街に入る二人、さっき酒と明日の朝食を買ったコンビニ、住宅街へ進む二人の後姿、
Y君のマンション・・・時間は?数分前だ!どのメールにも本文はない。
最後のメール。
本文:もうすぐだね
添付写真はY君の部屋のドアだった。
ドンドンドンドン!ドンドンドンドン!ドンドンドンドン!ドンドンドンドン!
ドアを叩く音が乱暴に鳴り響いた。
258 :
257:04/05/08 19:20 ID:1K5QgTGD
怪訝な顔をしている彼女にY君は全て話し、なりを潜めるようにその夜を越えた。
次の朝、気まずい雰囲気で彼女と向かえ、朝食を食べながらTVを見ていると、
「12月24日深夜に○○デパート屋上より、勤務している◇本なおさんが投身自殺しており、
25日9:30頃出勤してきた従業員によって発見」というニュースが流れた。
彼女も沈黙し、その事にも触れず、食べ終わるとすぐに帰っていった。
ドアを叩いた後に自殺しに職場に行ったのだろうか?
Y君はいつも「淋しい」と言っていたnao*への切ない感情と罪悪感で
どうしていいのか分らなくなりながら、最後のメールを見返そうと携帯を手にとった。
新しいメールがきていた。nao*からだった。時間は25日の夜明け近く。
Y君は人違いだったのかと安心して開いた。
本文は無い。添付を開くと見慣れた壁。Y君の部屋の中だった。
薄暗い部屋で背の高い女が床に敷かれた一つの布団に眠る二人を見下ろしている。
顔は分からないが、首にほくろがあるのは分った。nao*だ。
背筋に冷たいものを感じていた矢先、新着メールの報せが鳴る。
本文:次に淋しくなるのはお前だ
添付メールには彼女の後姿があった。
259 :
258:04/05/08 19:22 ID:1K5QgTGD
なが杉でスマソ
257はいらないかなぁ
>>258 結局自殺した人とは別人だったの?
あと、最後のメールの意味がわからん
読解力なくてスマソ
261 :
258:04/05/09 02:35 ID:LMBu2mkV
>>260 ご意見ありがとう。ん〜見直すと指摘の通り分りにくいやね。という事で改訂。
怪訝な顔をしている彼女にY君は全て話し、なりを潜めるようにその夜を越えた。
次の朝、気まずい雰囲気で彼女と向かえ、朝食を食べながらTVを見ていると、
「12月24日深夜3:00〜4:00頃と思われる時間に、○○デパート屋上より、
勤務している【◇本なお】さんが投身自殺しており、 25日9:30頃出勤してきた
従業員によって発見」
というニュースが流れた。nao*の勤務先だった。その事は彼女にも話している。
彼女も沈黙し、その事に触れず、食べ終わるとすぐに帰っていった。
ドアを叩いた後に自殺しに職場に行ったのだろうか?
Y君はいつも「淋しい」と言っていたnao*への切ない感情と罪悪感で
どうしていいのか分らなくなりながら、nao*とは別人である事を祈っていた。
最後のメールを見返そうと携帯を手にとった。
新しいメールがきていた。nao*からだった。時間は25日の夜明け近く。
Y君は人違いだったのかと安心して開いた。
本文は無い。添付を開くと見慣れた壁。Y君の部屋の中だった。
薄暗い部屋で床に敷かれた一つの布団に眠る二人を見下ろす背の高い女が写っていた。
顔は分からないが、首にほくろがあるのは分った。nao*だ。
隅に写った食べ残しのケーキは、昨日である事を示している。
鍵はちゃんとかけられていた。それは、nao*がドアを何度も叩いた時にも確認している。
勿論、ベランダも閉まっているし、11階建ての5階。上がれる階数ではない。
背筋に冷たいものを感じていた矢先、新着メールの報せが鳴る。
本文:次に淋しくなるのはお前だ
添付メールには、少し前に部屋を出て行った彼女の後姿があった。