と。惨劇を映し出す画面が、親父さんの入っていったアトラクションの入り口周辺に切り
替わった。ここはまだ、廃棄物どもが押し寄せている様子はない。周囲の関心は、いまや完全
に画面に集中している。
…まだ間に合うかも知れない。親父さんは生きているかも…
そう思った瞬間、俺は警備員の腕を振り払い、ドアに向かって駆け出していた。
チャッ。
即座に構えられた拳銃。狙いも正確、きっちりこちらの眉間を狙ってきやがる。
…ただの警備員でないのは判っていたが、こいつら、プロだな。ということは…
ぱん、ぱん、ぱん、ぱん。
銃声? いや、波中だ。奴はゆっくりと両手を打ち合わせながら、こくこくと頷いていた。
「いや、見事、見事…」
波中の合図で警備員たちが銃を下ろす。と同時にドアが開き、親父さんが入って来た。
無論、血一滴どころか、チリひとつついていない、いつもの恰幅のいい背広姿、で。
「どうです、波中さん。言った通りでしょう」
親父さんは、呆然としている俺の肩をポン、と叩いて、波中の隣にどっしりと腰を下ろし、
珍しく、選挙用ではなく本物の笑顔でそう言った。
「いや、まいった。しかし、それでこそ次期大臣の器、ですな」
「いやいや、そこはまだ、どうですかな…」