古今東西の恐怖文学について語らいましょう。
著者・出版社を併記していただきたいと思います。
短編は、収録元もよろしくよろしくお願いします。
ぼっけえきょうてえってなんだい。
この手のスレのスレタイに一つの作品名入れちゃうってのはどうだろう?
「ぼっけえきょうてえ」ってのは「とてもこわい」という意味の岡山弁(?)だが、
誰だって岩井志麻子の作品を思い浮かべてしまうだろう。
そういやこんなスレ、ありそうでないわな。
スレ立て主の意に沿うかわからんが、漏れはクトゥルーものが
好きだな。
5 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 16:47
朝にもどっかのスレで書いたけど、ぼっけぇきょうてぇは
マジでぼっけぇきょうてぇ。
読んでない方は是非。日本ミステリー小説(だっけ?)で大賞
を受賞した作品だった気が。
短いんだけど、まぁよ〜できた話ですわ。
6 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 16:48
岩井志麻子『ぼっけぇ きょうてぇ』角川ホラー文庫
確か角川ホラー大賞受賞じゃなかったか?
7 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 16:51
スティーブン・キングもの。
王道だけど、ミザリーが初めて読んだ作品なせいか、その後
他のS・キング作品を読んでもミザリーに勝るものがない。感じがする。
>>6 そうそう☆それでつ。その後の受賞作品は読んでないんだけど、
どうなんだろう・・?
9 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 16:54
>>7 キングの長編は少し肩がこるけど、扶桑社ミステリーの
短編シリーズは素直に面白いと思う。
長編だったら「呪われた町」集英社文庫かな。
岩井志麻子…角川ホラーだけだったら「楽園」と「岡山女」
が読めるな。
11 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 16:57
俺は遠藤久美子を思い出したが
競艇とavivaみたいなCMしか出てないし
ちょっともったいない気もするが、まぁそれも因縁だな
え?
16 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 17:05
鈴木光司の一連の「リング」シリーズは、
一発目の「リング」は単純なトリックながら怖いと思ったが、
二作目「らせん」三作目「ループ」と進むごとに
面白くなくなっていったな。話がでかくなりすぎると途端に面白く
なくならないか?
17 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 17:08
「黒い家」
実際にあった保険金殺人(和歌山の毒入りカレー事件かな)
に類似しているが、こちらの方が先だったとかなんとか・・。
>>17 映画化されたっぺ?
映画版の最後のほうで主人公がキチオバに取っ組み合いの
最中むりやりチチもまされるシーンがあるんだが、
そこで一瞬映るチチが明らかに別人(オバ役は大竹しのぶ)
の、しかも美巨乳だったのに激しくワロタという記憶がある…
19 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 17:22
「乳しゃぶれぇ〜〜〜〜!!」
とか言うんじゃなかったっけ・・。つけパイだって大竹しのぶが
某番組で言ってた。本人微乳なので、結構楽しかったらしいよ。
20 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 17:25
>>19 つかパイだったの〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜_?
大竹しのぶ、顔や体に見合わず乳だけでけえなあと
思ったよ。
おばさんだからたれてて服を着てると大きいのが
わからないだけかとおもった。
21 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 17:25
>>19 ほおおおおお〜あれはつけパイだったのか。
漏れはまたどっかのヌードモデルを使ったのかと思ってた。
また笑えるのが、主人公がキチオバの屋敷探索してて、
ゴトッて音にびびってそっちみたら電源が入ったバイブが
ウィィィィ〜ン…ってのた打ち回ってるシーンもあったな。
22 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 17:26
>>19 ぱくぱく乳に食い付いて
「へたくそおお〜〜!」と
払われてる主人公が面白かった
23 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 17:28
原作にはあんな性描写は全くなかったのに、
なんで映画版はああなっちゃったんだろう…?
24 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 17:28
ぱくぱく食いつく!?
>>23 ほんとよね。
大竹しのぶの壊れっぷりに完敗です。
「黒い家」は作品としては凡作だったが、カレー事件と
ドンピシャだったから盛り上がったんだな。
しかし実際マスミタソに「乳しゃぶれ〜」と強制された日には…
27 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 17:33
頭持ってむりやり乳喰わされるのよ。
それでもって、ヘタクソぉ〜〜!!・・ってねぇ?
28 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 17:35
>>26 実際旦那は足切られないまでも、毒盛られてたしね。
乳しゃぶり・・強制されかねん・・。
S・キングは原作が作りこまれてるから映画化すると
足元にもおよばない駄作になるな(「キャリー」くらいか?)。
先日も「ドリームキャッチャー」を観たが、
ラスト30分はハァ?だったな。
30 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 17:40
結構こわかたYO(゚д゚)マズー
でもおばはんがありえないことを平気でするのでリアリティーにはかけたPO
31 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 17:40
S・キング自身が監督するよりはマシ
32 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 17:44
ドリームキャッチャーはひどかった。
普段は原作読んでから見るんだけど、今回は読まないで行ったせいも
あったのかも。
>>29の言う通り。ラストは「はぁ?」でした。
あれはランゴリアーズちゃんにそっくりでつ。(見た目)
33 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 17:46
>>S・キング自身が監督するよりはマシ
でもシャイニングにいたってはS・キューブリック監督のやつより
原作に近くて私は好きだったよ。
あれでお父さんがジャック・ニコルソンだったらよかったのにぃ〜。
あ、ついでにお母さんと子供も。
34 :
霜 ◆DZerSCSImo :03/07/28 17:48
岡山女あげ
35 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 17:54
吉備津の釜だもんな、岡山女。
やっぱりあれか、嫉妬で男を取り殺すくらいは
朝飯前なんだろう。
おお、偶然今日「岡山女」買ってきたよ。
今から読み始めるけど、やっぱ文体がいいな。ねとっとした感じ。
先の「ぼっけえ、きょおてえ」では「あまぞわい」と「密告函」がよかったな。
37 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 18:15
>>33 キューブリックバージョンは妻の絶叫顔にニコルソンが
完全に食われてたもんな。
メジャー作家もいいが部数伸びなくともいい味出してる
マイナー作家も出していこうや。
39 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 18:32
H・P・ラヴクラフト「インスマスを覆う影」
神話作品は数あれど、これが最強だよな?
40 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 18:34
41 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 18:34
霜 ◆DZerSCSImo 死ね
42 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/28 18:35
ハッキリ言ってアメリカなどの多民族国家では黒人の方がアジア人よりもずっと立場は上だよ。
貧弱で弱弱しく、アグレッシブさに欠け、醜いアジア人は黒人のストレス解消のいい的。
黒人は有名スポーツ選手、ミュージシャンを多数輩出してるし、アジア人はかなり彼らに見下されている。
(黒人は白人には頭があがらないため日系料理天などの日本人店員相手に威張り散らしてストレス解消する。
また、日本女はすぐヤラせてくれる肉便器としてとおっている。
「○ドルでどうだ?(俺を買え)」と逆売春を持ちかける黒人男性も多い。)
彼らの見ていないところでこそこそ陰口しか叩けない日本人は滑稽。
44 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/29 14:39
ラヴクラフト作品では「猟犬」。
これ最強
45 :
あなたのうしろに名無しさんが・・:03/07/29 17:21
自分的にイヤだったのは
角川ホラー文庫
小池真理子の
”墓地を見下ろす家”
栗本薫
”家”
両方とも幽霊物件系の話なんだけど
ラストに救いが全く無い。怖い。
これから引越をする人には読んで欲しいかも(藁
おぉ、いい感じのスレはけーん!!
>>45 「墓地を見下ろす家」は恐ろしかったですね。。
随所に見られる演出でクライマックスに向けてじわじわと・・・
「黒い家」は犯人が家の中にいる時の緊張感や臨場感が素晴らしかった、と個人的に思います。
「ぼっけえきょうてえ」は正に人間の狂気が剥き出しに・・・
(@'ω'@'ω'@)倍数体です
けっこう可愛いね・・・↑
怖い話にいいけど夏バテしないようにウナギ食え
∈(゚◎゚)∋ウナー
ちなみに京極夏彦の嗤う伊右衛門が好き、って怖くないか…
すごい偶然!
今日買ってきました>嗤う伊右衛門
>>51 読んでみてくださいな、一押しです。
好みわかれますがw
土用のウナギもおすすめ!
∈(゚◎゚)∋ウナー
53 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/29 23:33
京極夏彦って未読だけど、正直どうなの?
「怪奇小説の真髄は短編にある!」とかたくなに信じる漏れとしては
あの分量に萎えてしまうのでつが…
>>44 「猟犬」?「魔犬」じゃなくて?
「ティンダロスの猟犬」ならF・B・ロングの神話作品だが…
ラヴ作品なら「ダニッチの怪」これでしょ。
>>53 短編しか読まないのなら難しいけど、
巷説百物語とか中篇?程度のが何本か入ってるのがあるんで
それ読んでみて、いいかなって思えたら長いのにも少し手を出してみてくださいな。
描き方とか文章の流れにも好き嫌いあると思うんで。
∈(゚◎゚)∋ウナー
あと、乱歩とかも好きです。
聞いてないですねw
>>55 乱歩だったら何が好き?
探偵物も結構グロだけどやっぱ犯人がちゃんといるわけで…
乱歩ってホラー書いてないのかな?
何故、オカ板なのに平山夢明氏の作品が入ってないのだ!?
SINKER 沈むもの/徳間ノベルズ
メルキオールの惨劇/ハルキホラー文庫
海外作家の影響受けまくりな文体はあれだが、「恐い」を通り越して「嫌だ」になる国内作家はそういないと思うぞ。
あとは「長い腕/川崎草志(出版社失念)」もなかなか。
>>∈(゚◎゚)∋ウナー ◆Una/nwhk12さん
スーパーにウナギ見に行ったのですが、干からびていていかにもまずそうなウナギしか無かったので買うのやめました。
まだ食べてませんです。食べたい〜
嗤う伊右衛門は明日か明後日には読み終わりそう。。
>>53 伏線のはりかたや物語のまとめかたがうまい(というか複雑なのであら探ししようにもできない
昭和文化や宗教に関するウンチクはそれだけでもなかなか楽しめますよー。。
実際密教を取り扱った本では事件と同じくらい密教の解説がおもしろかったです。。
読んだ後になんとなく自分が頭良くなった気分にしてくれる作家かな〜?
>>57 平山夢明か…
朝松健編「秘神界現代編」創元推理文庫収録の「或る彼岸の接近」
と井上雅彦編「異形シリーズ 獣人」光文社文庫収録の「けだもの」
しか読んだことないけど、両者とも無理矢理日本を舞台にした感じ(?)
があったと感じた。やっぱ海外作家の影響なのか…
>>56 乱歩はホラーも書いてますよー
一時期角川ホラーの完全コンプリート目指してたけどキリが無いしバカバカしくなってやめた・・・
61 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 00:03
もまいら日影丈吉を忘れていませんか?
日本の怪奇小説の草分けですよ?
62 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 00:04
なかなかスレ需要があるもんだな
63 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 00:09
漏れの好きなラヴクラフト作品ベスト3
1.「狂気山脈」
2.「インスマスを覆う影」
3.「闇に囁くもの」「闇をさまようもの」
あと、ダーレス以降の作家の旧神VS旧支配者ものも評判は悪いが俺は
好きだね。
64 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 00:15
綾辻行人の『殺人鬼』は、とにかくグロイ。
斧持った大男が人を殺し廻る古典的なストーリーだが、
殺し方がエグいのなんの。しばらくはモツ焼きが食えなくなる。
特に「看護婦に消火器」が・・・
>>64 随所に綾辻らしい仕掛けが・・・w
日影丈吉で思い出したけど、この前古本屋へ行ったら坂口安吾全集が2700円という信じられない値段で売っていたので買っちゃったよー
スプラッターものは優雅じゃないね…と言いつつ友成純一が好き
だったりする。育ちが福岡だから脳内に舞台がリアルに描けるW
67 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 00:38
南條竹則「恐怖の黄金時代」集英社新書は勉強になるぞ。
怪奇マニアは必読。
68 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 00:42
>>67 ああ、あれつまらん。
じかに作品読めばよし。
>65
む、ちくま文庫版全集か?
恐怖の黄金時代がでたので・・・
M・R・ジェイムズ。そんなに怖い話はないのだがとにかくムードがスキだ。
そしてオールタイムベスト短編はジェイコブズの「猿の手」。
「あやし/宮部みゆき・角川書店」
じんわりくる怖さ。
つーか宮部の時代物、短編は基本的にじんわり怖い。
長編はふつーなんだけどなー。
ラブクラフト…
1「冷気」
2「アウトサイダー」
3「戸口にあらわれたもの」
かな。
全集と銘打ちながら7巻目が出ない創元推理文庫版「全集」……
6巻の初版発行、1989年だよ・・・
角川スニーカー文庫なんだけどさ
小林めぐみの「五日目の月」っていうのに出てくる
幼稚園児の霊が怖いんだよー。
買うのにちょっと勇気いるかもね。ごめん。
京極はホラーでもなんでもない。単なる薀蓄本。
京極堂シリーズも巻が進むにつれますますバカミス色が濃くなっていくし。
あれもこれもと入れたがる気持ちは分からなくもないけど、もう少し整理して
から書いてくれと毎回あの厚さを読む度に思う。
本筋とまったく関係ない話という訳でなく、逆に全部の話を繋げてくるから
よけいウンザリするんだよなあ。
.../ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
(>>73ってきもいね
。o ○\__________/
∧ ∧ ∧ ∧ /そう思ってるなら ̄\
( ,,) ( ,,) 。o○( 自分が読まなきゃ
./ | / | \ いいだけなのに
(___/,(___/ \_______/
/ /
75 :
あなたのうしろに名無しさんが・・:03/07/30 01:44
日影丈吉でオススメってなんですか?
最新のオススメ本をみなさんが挙げてくださってるので
近代で。
私が好きなのは岡本綺堂の青蛙堂鬼談とかかな〜?
光文社時代小説文庫の
”影を踏まれた女”
に入ってます。
あと、田中貢太郎のも私はスキデス。
>>73に付け加えると、京極のは小説ですらない。
わらう伊右衛門見ればわかる。
どうでもいい合いの手で会話を引き伸ばして枚数かせぎ。
しかもその江戸弁もインチキで研究のあともない。
>75
田中貢太郎さんの河出文庫に入ってる「日本の怪談」1か2で、
旅に出た若い僧の、お守りとしてもらった紐が夜な夜な巻き付いてくる話が
凄く怖くて印象に残っています。
あのラスト……
79 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 02:13
蘭郁二郎おすすめ。乱歩が好きだったというだけあって、素晴らしい。
橘外男はオチが弱い気がするが、情景描写が上手い。怪談話がおすすめ。
80 :
あなたのうしろに名無しさんが・・:03/07/30 02:38
田中貢太郎を知ってる人がいて嬉しい!
私は箱根のお話2編がスキです。
隻眼寺〜っていうやつ。
旅に出た若い僧の紐って
中に髪の毛入ってたってやつでしたっけ?
81 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 02:42
小林泰三のグロ描写は嫌いだけど好き。
82 :
あなたのうしろに名無しさんが・・:03/07/30 02:45
ホラーじゃないけど?
乙一のやつが生理的嫌悪感でいっぱいになって
読後カナーリ鬱になったよ。
なんか、中学生だか高校生くらいの姉と小学校低学年位の弟が
ある日いきなり拉致されて日々、殺される順番を待つっていう
話・・・タイトル失念。
83 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 02:49
SEVEN ROOMSな。
あれ、乙一の中では一番の傑作だと思ってる。
夢野久作が良い。
『ドグラ・マグラ』も良いけど、短編集にも秀作が多い。
『少女地獄』が好き!
まあ、未読の方は一度呼んでおくべし!
一番手に入りやすいのは、角川ホラー文庫の『あやかしの鼓』かなぁ。
(これには『少女地獄』は、はいっていませんが)
夢野久作なら死後の恋がいいなぁ。
ドウデモ良いけど、夢野久作読むとカタカナ使いたくナリマスネ。
86 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 02:55
夢野久作なら「いなか、の、じけん」が一番好きかも。
87 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 03:11
中井英夫とか好きだなあ。
幽霊とかが出てくる怖さじゃないけど。
「幻想博物館」とかが好きです。
>>84 あたくしも死後の恋と瓶詰の地獄がトテモ好きでたまらないのです。
かれこれ10年以上も前になりますが教養文庫の傑作選を揃えてハアハアしたものです。
夢野だったら自分も「いなか、の、じけん」かな。。
ドグラマグラは最初読むのを途中で断念してしまた・・・
90 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 11:56
じゃぱん がばめん ふぉるもさ ううろんち わんかぷ てんせんす かみんかみん
91 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 12:21
ドグラマグラって全部読み終わると気が狂うって本でしょ?
実際全部読んだ人、どうなの??
92 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 12:33
>>91 別に狂ってはいないとは思うが、他人が自分を見る目が変わったような気がしますた。
>91
ヨンでしばらく文体と擬音がノコる。
その点だけでいうと、宇野鴻一郎センセも一緒といえば一緒…なんです。
94 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 12:36
ドグラマグラってどう?おもしろいですか?
95 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 12:37
>>92,93
有り難う・・。気は狂わないみたいですね。
では、いざ。チャレンジ・・。(((( ;゚Д゚)))
96 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 12:41
スチャラカ ポクポク
チャカラカ ポクポク
しかし「キチガイ外道祭文」だかを書き上げた夢野センセの根性には
脱帽します。
>95
がんばれー。けっこー気合いが要りまずぞー。
98 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 13:00
夢野久作だったら活劇ものもおもろいぞ(オカルトじゃないけど)。
「暗黒公使」「氷の涯」「超人鬚野博士」「白髪小僧」…
「ドグラ・マグラ」を読むんだったら「猟奇歌」も併せて読まれたし。
すべて「夢野久作全集」ちくま文庫に収録。
ドグラ〜で思い出したけど、「ドグマ=マ・グロ(?)」って読んだ
香具師いる?どうだった?
100 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 13:06
よしもとばななの”ハードボイルド/ハードラック”
基本なんだけど、ちょっとゾワっとくる。
やた☆思いがけず100げと〜☆
103 :
ちゃかぽこ:03/07/30 13:18
妾は夢野作品は「少女地獄」が一番好きですの。
104 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 13:21
「人間腸詰」のほうがいいわ
>102
恥ずかしいのは藻前…ですぞ。
全集に入っている奇人豪傑伝みたいなの(タイトル忘れた)の一挿話で、
尻から出てきたサナダムシをちぎりつつ会見に望んだ活動家…っていうのが
イヤンな感じに残ってます。たぶん、笑うトコなんだろうけど…
>>102 いや・・100取った後に気づいたので・・。
101も100なの。ま、どーでもいいんだけどね。
ちょっと嬉しくてね。てへへ。
夢野久作は、知人を家に招き入れ、その挨拶の最中に
「今日は、良い日で、あは、は、は、―」と笑ったかと思うと急に倒れて亡くなった。
死因は脳溢血らしいが、死に方も恐怖小説のようで凄い。
108 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 15:27
夢野久作の『氷の涯』は
この話は大正二十何年になってから公表してくれ。
などという書き出しで始まる。実際は大正は十五年で終わっているから、
大正二十何年はあり得ないのだが、夢野の作品であるだけ、微妙な雰囲気だ。
109 :
あなたのうしろに名無しさんが・・:03/07/30 15:34
氷の涯
ってどういう内容なんですか?
ちょこっとだけでも詳細キボン!
こんな雨の日は読書日和だね〜!
110 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 15:37
氷の涯は、大正時代の日本軍シベリア出兵とスパイの話。
111 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 18:41
乱歩なら「芋虫」が最恐。俺的に。
先日読んだ岩井志麻子の「岡山女」に
「死霊よりも怖いのは生霊 それをも凌ぐのは生きた人間」
とあったが、乱歩の「芋虫」はまさにそれを思い知らされる。
ぼっけえきょうてえ。
>99
壁に叩きつけました。
114 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 20:49
ラヴクラフトやブラックウッド、マッケンなんかを初めて日本に
紹介したのも乱歩だったよな…
やはり平井呈一の業績ははずせないでしょう。
117 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 22:11
「真夜中の檻」、「エイプリールフール」ガイシュツ?
118 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 22:17
岡本綺堂がいい。上品に怖い。
119 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 22:27
ちくま文学の森「恐ろしい話」がおすすめ。図書館にあるはず。
収録作品
1 「出エジプト記」より
2 詩人のナプキン アポリネール
3 バッソンピエール元帥の回想記から ホフマンスタール
4 蠅 ピランデルロ
5 爪 アイリッシュ
6 信号手 ディケンズ
7 「お前が犯人だ」 ポー
8 盗賊の花むこ グリム
9 ロカルノの女乞食 クライスト
10 緑の物怪 ネルヴァル
11 竈の中の顔 田中貢太郎
12 剣を鍛える話 魯迅
13 断頭台の秘密 ヴィリエ・ド・リラダン
14 剃刀 志賀直哉
15 三浦右衛門の最後 菊池寛
16 利根の渡 岡本綺堂
17 死後の恋 夢野久作
18 網膜脈視症 木々高太郎
19 罪のあがない サキ
20 ひも モーパッサン
21 マウントドレイゴ卿の死 モーム
22 ごくつぶし ミルボー
23 貧家の子女がその両親並びに祖国にとっての重荷となることを防止し、かつ社会に対して有用ならしめんとする方法についての私案 スウィフト
24 ひかりごけ 武田泰淳
>99
「ドグラ・マグラ」じゃなかったっけ。
どっか大学の教授がこの本についての講義をやったって
話を聞いたことがあるよ。
ファンキーな教授だ・・・・
科学者よ、恥を知れ!
ビッグバン宇宙論は完全に間違いだった!
科学の原則を無視した、デタラメのインチキ理論だったのだ。
そして、そのビッグバン宇宙論の世界的な浸透は
アメリカ、ユダヤ・キリスト教勢力による世界支配のための思想的な戦略なのだ!
また、ビッグバン宇宙論の思想によって戦争が起こり、
貧富の差がひらき、終末的な絶望感が世界に蔓延しているのだ。
ビッグバン宇宙論は世界の平和を揺るがす、悪の元凶となっているのだ。
ビッグバン宇宙論とは、
「宇宙は『無』からビッグバン(大爆発)によって誕生した」という理論である。
この理論は、ユダヤ・キリスト教の創造神話(神が天地を創造した)そのものである。
ビッグバン宇宙論の実態は、科学理論ではなく宗教思想なのである。
『無』は科学的に証明できるものではなく、
そして、『無からの誕生』も科学では証明できるものではないのだ。
ビッグバン宇宙論が科学の正統であるという思想を、世界中の人々に
浸透させる戦略が成功したことにより、ユダヤ・キリスト教勢力の
世界における優位性が確立されていったのだ。(20世紀に)
そして、その思想的支配の最大の例が、アメリカやイギリスによる
イラク戦争なのだ。
ビッグバン宇宙論の浸透により、世界中に終末思想(世界の終わり)が蔓延してしまっている。
そのことにより、自己中心的、せつな的、短絡的な考え方が社会に広がっている。
科学的に間違っているビッグバン宇宙論から脱却しなければならない。
そして、宇宙は無限だということを理解しなければならない。
人間は本当の宇宙観、世界観を構築し、
新しい時代に進んでいかなければならないのだ。
ビッグバン宇宙論が世界を支配している限り、平和な世界にはならないのだ。
そのことを科学者は重く受けとめるべきである。
新時代へ行こう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
122 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 22:33
>>120 ドグ・マグはミステリとして高い地位を得ているし、講義してもおかしくない
123 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 22:34
ドキュメンタリー系が好きな人は吉村昭はどうでしょう?
「羆嵐」「破獄」「総員起コシ」などがおすすめ。
新田次郎の「八甲田山死の彷徨」もドキュメント好きにはおすすめ。
私には血しぶきたっぷりの描写よりも、こういうやつの方が怖い。
ただいま角川の乱歩と『ドグラ・マグラ』を並行して読んでます。
乱歩の『芋虫』はなんか無気味な中にも愛情が語られていてかなり好きです。
あとは読んで無いけど、夢久の『人間腸詰』が気になる
乱歩の『人間椅子』はもっと恐いのを想像していたからかなり肩透かし
まぁおもしかったが。
125 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 22:37
推理小説のイメージが強いけど、森村誠一なんていかが?
「人体溶解」(角川ホラー)に入ってる、「青の魔性」
「枕に足音が聞こえる」(角川ホラー)に入ってる、「獣の償い」
は凄く怖い。
>>56 亀ですが、乱歩もホラー書いてますよ。
はずれたーっ、ていうかんじのくだらないのも好きだけど
地獄風景や鏡地獄、盲獣、芋虫とかが好きかな。
盲獣は高校の授業中に呼んでたなー、そういえば。
夢野久作もいいですよね。
ドグラマグラはあとひくかんじ。
∈(゚◎゚)∋ウナー
127 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 22:41
乱歩の中期傑作のひとつ「押絵と旅する男」お勧め。
…そこまで怖くはないけど
>120
夢野の「ドグラ・マグラ」ではなく
「ドグラ・マ・グロ」です。確か作者は「黄泉がえり」を書いた方です。
上記は夢野のオマージュとして書かれたものですが
良く言って、クトゥルー物に近いです。
129 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 22:56
古典のゴーストハンター物が読みたいのですが、
カーナッキ、ジョン=サイレンス、ヘッセリウス…
他にお勧めはありますか?
130 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 22:58
私も乱歩の短編はかなり好き。
一時期本気で、鏡の球体の中って
どうなってるんだろー??と思った。
>129
「帰りたまえ!」
132 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 23:05
>>127 恐怖っていうより、すごく幻想的な小説だよね。
有り得ない情景が、まるで現実のように目に浮かぶ(作者によって想像させられる)っていう、
文章の上手さに感動した。
>132
うん。そうだね。
しかし古典で幽霊探偵物となると…他には思いつかないなあ…
135 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 23:13
>129
ゴーストではないけど、クトゥルーハンターのシュリズベリィ博士
物や同じくマイケル・リー物はどうかな?
前者はオーガスト・ダーレス「永劫の探究」青心社
後者はヘンリイ・カットナー「セイレムの怪異」「暗黒の接吻」。
リーだったら朝松健のオマージュ作品、「聖ジェームズ病院」が
かなり好き。
136 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 23:55
>>135 マニアック〜!「聖ジェームズ病院」は漏れも好きだったなぁ。
「秘神界 歴史編」は秀作が多かったけど、「現代編」はやっぱり
元ネタが容易にわかっちゃうような安普請のが多かったかな。
でも平山夢名「或る彼岸の接近」友成純一「インサイドアウト」
小林泰三「C市」は良かった。友野詳「暗闇に一直線」もゲーム作家
らしいテンポの運びに好感が持てた。
137 :
あなたのうしろに名無しさんが・・:03/07/31 00:36
朝松健の一休宗純のシリーズが何気によかったよ。
日本人作家のクトゥルーモノでオススメって何かありませんか?
読書の夏といきたいので。
138 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 00:38
『邪神たちの2・26』なんてどうよ
桐生操の「血の伯爵夫人エリザベート・バートリ」
16世紀に実在した若い女性を300人以上殺した殺人鬼。
最近では「エリザベス・バソリー」の日本語表記が多いようでつ。
140 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 01:02
>>137 日本人作家のクトゥルーだったら、入手しやすさで言うと、
朝松健「邪神帝国」ハヤカワ文庫(ナチとクトゥルーを関連させた連作集)
井上雅彦「くらら」角川ホラー文庫(荒廃した漁村!と謎のサーカス団)
菊池秀行他「クトゥルー怪異録」学研M文庫(日本人初作品「銀の弾丸」収録)
菊池秀行「妖神グルメ」ソノラマ文庫NEXT(クトゥルーVS天才料理人)
梅原克文「二重螺旋の悪魔」角川ホラー文庫(クトゥルーVSハイテク)
こんなとこかな?
141 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 01:03
>>139 バートリなら島田荘司「アトポス」もいいね。
でも桐生操の本は間違いが多いらしいですよー
夢野久作と言えば、漏れが厨1の頃、図書室で見つけた「いなか、の、じけん」
がなぜかやたら気に入って、その夏にあった学年キャンプの面白い話大会みたい
なので「魚の小骨がのどに詰まった医者の話(うろ覚え)」を皆の前でしたら、
もちろん全員ポカーンだったw。国語と社会の先生だけが褒めてくれた記憶が
あるな…
144 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 01:21
145 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 01:22
>>144 しかもポーの「ヴァルドマアル氏の死の真相」のまんまパクリだし。
146 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 01:24
>>138>>140 あと誰かが青心社でアッシュールバニパルの焔の続編を書いてた気が。
でも日本人作家のは全部駄作と思うなぁ。
147 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 01:27
夢野のドグラ・マグラって、いろんな意味で
頭痛くなりません?
148 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 01:28
フレイザーの金枝篇は、確か実在する本で唯一SANチェックが必要だったはずだが
なんかミス板に来ちゃったみたい・・・・
まだクライブ・バーカーは出てないよね?
異形の者と血飛沫なら彼、でしょう。
150 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 01:32
皆川博子とか好きなんだけど、どうよ?
幻想的な作品が多いと思うんだ。
「骨笛」とか「ジャムの真昼」とかが
私的には好きかな。
暗黒、という意味でオススメ「蜂工場」イアン・バンクス
152 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 01:33
クトゥルーものの秀作は二つに分かれるね。
神話アイテムを組み合わせてマニア心をくすぐる作品と
まったく使ってのないのに神話を思わせる雰囲気を持ってるもの。
日本人の秀作は前者に多いかな。後者はかなり力量がいる。
後者で秀作なのは日本人じゃないけどP・ウィルスン「荒地」
(創元推理文庫「ラヴクラフトの遺産」収録)。あれはうなった。
153 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 01:41
モーパッサンとか意外と怖い短編書くよね。
タイトル忘れたけど夜手が歩いてくるやつとか。
内田百聞の短編集。
年に1回、時には2回以上読み返すほど好き。
155 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 01:49
百ケンいいね!
「冥土」とか「サラサーテの盤」とか好きだよ。
夏・・・・夏といえば螢?螢と云えば「螢の墓」?
いえいえ、野坂作品は『骨餓身峠死人葛』でキマリでしょう。
157 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 01:51
>>152 オレは断固として、日本人作家のはくすぐられもしない派。
なんか、外国人が日本人を勘違いしてイメージしてたり(例:チョンマゲ)
ハリウッド映画で誇張された日本人が出てくるような感じで、
クトゥルー神話を勘違いor誇張しているような感じというか・・・。
別に栗本薫とかじゃなく、まじめに書いたやつでも。
158 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 01:52
158
うん、そう。
ラヴクラフトなら「ピックマンのモデル」と「ランドルフ・カーターの陳述」、
「故アーサー・ジャーミンの家系に関する事実」が好き。
どれも最後の1行でぞっとする。
161 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 01:55
怖い小説に未だかつて出会ったことがない
絶対に怖がれるの何か無い?
162 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 01:57
>>160 アーサージャーミーンはいいな。ピックマンは、あの有名な挿絵で台無し。なんだよあのライオン君w
なんだか週末よりも年齢層が低めなのは気のせいですか
164 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 01:59
情景をちゃんと想像しながら読むなら、「チャールズウォードの奇怪な事件」と、「狂気の山脈」だよなやっぱ
吉村達也の「ついてくる」は視覚的な怖さもあって最初は良かった・・・けど後半がイマイチなんだよなぁ・・・
166 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 02:11
小松左京の「くだんのはは」が怖い
オカ板ではガイシュツですね。
>162
禿胴(w
ラヴクラフト本人が描いた絵の方が下手だけど雰囲気があった
>164
「狂気の山脈にて」はいいね。テケレリ
「エーリッヒ・ツァンの音楽」とか「宇宙からの色」とかもキチガイじみてていいな。
>>128 以前読みましたよ、「ドグマ・マ・グロ」
マルチサイト形式の伝奇物って感じでした。
政府の秘密機関やら異次元生物やら、やたらSFチック。
さらっと読めて丁度深夜映画一本見た感じに近いです。
「ドグラ・マグラ」とは全く別物ですので注意。
ただ、読んでいたのが午前二時過ぎの公園のベンチだったのが…
オカルトよりも夜空を天井にして生活している方々に接近されてコワカッタ
>>140 「玩具修理者」も一応クトゥルフ物…といって良いだろうか?
旧支配者のお歴々にお伺いを立ててましたから。
いや、普通に震えが来ましたよ、あれは。
そういえば山本弘の「ラプラスの魔」もクトゥルフでしたねぇ…
あれだったら最近再編されたから手に入り易いかと。
ただし、クトゥルフチックな雰囲気は薄いのでご注意。
他にも「ハシュタール」というクトゥルフ物をライトノベル売り場で見掛けましたが…
>>165 吉村達也は「文通」が怖かったかも。
話の内容より、ページをめくったら手書きの文面になってたのが
やけに生々しくて気味が悪かった。
筒井康隆は出てないよね?
「鍵」「母子像」「問題外科」などは結構怖いと思う。
他にもあるかな、多分。
母子像は静かな後を引く怖さがたまらんねー。好きだな。
ツツイが出てきたので星新一。
有名作だが「おーいでてこーい」はかなりゾッとする作だと思う。
172 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 11:31
>>157 かたくなだねぇw。でもわからなくはない。
日本人作家のクトゥルー作品はモンスターが矮小化されてて、普通に
人間が戦える術を持ってるからハッピーエンドが多いもんね。
これはダーレス以降の作家にも責任はあると思うけど、あの救いようの
ない雰囲気が真のクトゥルーだということであれば、HPL以外ありえないな。
>>168 小林泰三はいろんな作品に神話的要素を詰め込んでるね。
「玩具修理者」はS・キングの「おばあちゃん」に通じるものを感じた。
筒井の「定年食」コワヒ。
175 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 13:59
>>140 小林泰三はそのほとんどにクトゥルーが出てくる。
一番怖いのは「本」(角川ホラー、「人獣細工」収録)かな。
176 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 16:35
瀬川ことびは?
結構笑えるからすきです、「一二月のゾンビ」なんか切なくていい。
井上雅彦氏編の「異形コレクション」シリーズ。
アンソロ好きにはたまらない。
>>1-176君達は友達も作らずに本ばかり読んでる割に何故ここまで文章力が無いのだね?
君達の文章は総じて、幼い子供同士の会話や小学生の作文などを連想させる。
自分の思った事や知識のみを羅列し悦に浸るだけでは、読み手には何も伝わらないのだよ。
>>178君は友達も作らずに本も読まない上に何故ここまで文章力が無いのだね?
君の文章は総じて、幼い子供同士の会話や小学生の作文などを連想させる。
自分の覚えたばかりの言葉や知識のみを羅列し悦に浸るだけでは、読み手には何も伝わらないのだよ。
181 :
あなたの後ろに名無しさんが・・・:03/07/31 18:09
>>177 私も井上雄彦さんの異形コレクション大好きです。
私的にはトロピカル、帰還、屍者の行進
この3つは良かった。
酒の夜語り は、イマイチだったような・・・
オヤジノウミ/田中啓文 グロ
ホラーに入るかどうか分からないけど、筒井康隆の
「霊長類、南へ」はかなり描写が生々しくて怖い。
「嗤う伊右衛門」読み終わりました!
ラスト数行が良かったです・・・
あいかわらず絡んだ本でしたね〜
>>169 吉村さんは良作と駄作が半々くらいな気が・・・後味の悪さは抜群ですがw
筒井さん、母校から全集?のような物を貰いました。
地球がずっと落下してた・・・ってやつが個人的には好きです。。
>>181 同好の士がいて嬉しい限り。
「侵略!」「悪魔の発明」「宇宙生物ゾーン」が好きです、SF好きなので。
最新巻の「夏のグランドホテル」もいい感じですよ。
186 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 20:35
真贋確かめるべく「ドクマ・マ=グロ」、買いました。
ついでに「芋虫」も読みたくなったので「江戸川乱歩傑作選」も。
「ドグマ〜」から読んでますが、電車で酔いました…
187 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 20:59
筒井康隆で怖いといえば「死に方」「霊長類 南へ」「乗越駅の刑罰」かな?
「カンチョレ族の繁栄」も微妙に後味が悪い。
188 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 21:01
筒井康隆は「熊ノ木本線」は?すんごい気味悪くない?
189 :
181あなたの後ろに名無しさんが・・・:03/07/31 21:03
>>177 おぉ〜!最新刊が出てるんですね!知らなかった。
”夏のグランドホテル”
さっそくツタヤってきます。
”グランドホテル”はなんだっけ、ニク=ジュペギでしたっけ?(w
あの料理の話が私的にはおぞぞ〜でした。
異形シリーズはなかなか佳作があるので見逃せないですよね。
ここで愛好の士の多いクトゥル-をモチーフにした話もあったり。
先に描きこまれてる田中啓文氏の”オヤジのウミ”も
もしかしてクトゥルー系なのかな。私は面白かったですけど
勉強不足なので間違ってたらごめんなさい。
190 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 21:10
>>153 「手」かな。モーパッサン自身が実際に発狂して精神病院で死んだだけあって、
不気味な作品が多いね。「髪の毛」とか「誰が知ろう」とか。
福武文庫からモーパッサン怪奇傑作集が出てたけど廃刊かな。
ちなみに私はこれを古本で手に入れたのだが、本に強い香水のにおいがしみついてて
不気味であった。
191 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 22:22
>>188 世にも奇妙な物語で観た事あるけど、
釈然としないオチだったなあ
193 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 22:26
>>190 モーパッサンってドッペルゲンゲル見て発狂したってね。
臨終の言葉が「闇だ!おお…闇だ!!」ってのがコワヒ。
194 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 22:26
>188
どんな内容?
195 :
ダヌル・ウェブスター:03/07/31 22:35
モーパッサンには「オルラ」という気味悪い短編があるね。
田中啓文は気色悪いけどパワーがあるな。
「オヤジノウミ」はなんだか切なかった……
井上夢人の「メドゥサ、鏡をごらん」も、恐いけど切ない。
>189
出てますよ、前回のグランドホテルの別館という設定です。
是非ご覧あれ。
「新鮮なニグ・ジュギペ・グァのソテー。キウイソース掛け」は強烈でした、
個人的には好きな話で読み返してしまいました。
井上氏の「チェックアウト」も洒落がきいていていいですね。
クトゥルー系でもラヴクラフトやロバート・ブロック達が文通で作り上げた物と
後にダーレスが編纂したものではスケールが違う気がします。ラヴクラフト一派の
方が広がりを感じますね。小林泰三氏は原点に近い気がします。
かんじょれ熊の木
なんじょれ猪木
ブッケブッタラカヤッケヤッタラカ
ぼっけぼっぼっぼっぼっぼっ
196>>
「メドゥサ、鏡をごらん」読んだ!!
切ないですよね〜。
しかしまったく恐くはなかったな。
どちらかと言うと、世にも奇妙な物語的テイストですね。
和風のオドロオドロしたホラーが好きなんですが、
おまいらそんな私にオススメの本はありますですか?
200 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/01 00:34
筒井康隆の「定年食」はイイ!
201 :
181あなたの後ろに名無しさんが・・・:03/08/01 02:09
>>199 ”ぼっけえきょうてえ”
は、もう読みなさったかね?
「ドグマ・マ=グロ」読了しました。
う〜ん…何と表現していいか…分かりにくい例えですが、
「小説版 最終絶叫計画」とでも言いましょうか?
まあ様々な怪奇小説の張り合わせ(夢野久作+ラヴクラフトがメイン)。
「ドグラマグラ」+「異次元の色彩」+「死体蘇生者ハーバートウェスト」
+「帝都物語(!)」+「AKIRA(!!)」=「ドグマ〜」という感じですか?
「共産党宣言」からのパクリがあったのには笑いました(w。
>>197 ブロック好きですか?
ブロックといえば一連のエジプト物がいいですね。
特にナイアルラトホテップシリーズが。
ただ「アーカム計画」は読まないほうが良いかと思います。
ブロックのクトゥルー物のこれが集大成かと思うと悲しくなりますから。
ブロックはクトゥルフモノじゃない方がいいなあ。
>203
好きですよ、ブロック。クトゥルーものも直系だけあっていいですが
それ以外の短編も好きですね。「切り裂きジャックはあなたの友」とか。
「アーカム計画」は既に読んでしまいました(w
クトゥルーものの集大成といいうよりは、映画の原作的なエンターテイメント物
として読みましたのでそれほどがっかりはしませんでした。映像を喚起させる
リズミカルな文体はブロックならではですね。
(^^)
208 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/02 13:55
ラヴクラフトの直系は、ブロックじゃないと思うな。
ブロックもどちらかというと日本人作家に近いような、エンターテイメント臭を漂わせすぎてる。
むしろ、コナン作者のロバート・E・ハワード やヒューペルボレアもののC・A・スミスの方が作風的には正統な気が。
209 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/02 14:14
ラヴクラフト論議するとそういうスレになるからやめよう
怖い本が、どう怖いか、どのくらい怖いかの話をしよう
ケッチャムの隣の家の少女。
マジでキモ怖切ない。
この人がオールナイトロングを評価していると知って「ああ、成程。」と思った。
あと、筒井の母子像。
小さい頃、妹が砂嵐ノイズのテレビ画面に入ってアフリカにワープする妄想を抱いていた俺にはあの世界観がぴったりハマって怖かった。
おまけにアクアリウムの夜。
昔ながらのホラーといった感じだがマジで怖い。
213 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/02 19:49
『アクアリウムの夜』は救いがなくて素敵だったな。
しかし、
>妹が砂嵐ノイズのテレビ画面に入ってアフリカにワープする妄想
とは・・・。
久生十蘭の「湖畔」とか...向田邦子の「かわうそ」とか...。
湖畔はなんか悲しいくて好きなー。
215 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/02 22:10
test
216 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/02 22:24
最恐に恐い本を決めてください
217 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/02 22:28
新潮文庫「江戸川乱歩傑作選」、「鏡地獄」まで読み終わりました。
後は件の「芋虫」を残すのみ…
今年は古典ホラーにはまって創元推理の「怪奇小説傑作集1」を
続けて購入。
218 :
ダヌル・ウェブスター:03/08/02 22:29
「たのしいムーミン一家」 トーベ・ヤンソン
>>216 うーん、「怖い本」を選ぶのがこのスレの主題ではないような気が
するのですが…単純に怖がりたければ超短編の「〜怖い話集」みたいの
を読めばいいわけだし。ここに挙がってる作品群を見ると、
やっぱちょいと違う感じのスレかなあと…
気が向いたら荒らしますよ。
読書傾向が低レベルにすぎるんで。
221 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/02 22:37
>>219 いや、それはわかるんですが、挙がりすぎててとても全部は読めない。
そこで、「これなら絶対恐い!」と自信を持って薦めてもらえるのを教えて欲しいなという気持ちで言っただけです。
つまり、「オレもあれ恐かったけど既出だし、次点だけどこっち挙げとこ」みたいな感じで
挙げられてる本もあるだろうので。
222 :
ダヌル・ウェブスター:03/08/02 22:40
>気が向いたら荒らしますよ。
>読書傾向が低レベルにすぎるんで。
じゃ、高レベルの読書傾向とやらを、オマエが示せばいい。(嘲笑)
ダヌルってまだいたのか・・・
225 :
ダヌル・ウェブスター:03/08/02 22:45
>おまえさ、いい年していちいちアホな反応するなよ。
>おまえのスレはここにあるからさ。
いや、ここで知恵遅れのオカルト小僧と遊びたいんだよ。(笑)
227 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/02 22:55
椎名誠の「ゆうれい寺」
めちゃくちゃ怖くて掲載さsれてた雑誌捨てた。
単行本化されてますか?
228 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/02 22:58
ぼっけぇ競艇
229 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/02 23:12
「黒い家」や「Dブリッジテープ」は、”恐い”というより純粋に面白いエンターテイメントだったけど、
「ぼっけぇきょうてぇ」は、”恐い”の?
230 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/02 23:21
>>229 ラストの姉と妹の関係が怖いぞ。
金田一と言い、この作品と言い、岡山は怖い。
こらえてつかあさい!
231 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/02 23:35
「ぼっけぇきょうてぇ」は
漏れ的には怖いというより哀しかったな。
筒井康隆なら「走る取的」がコワヒ。
オレ「ぼっけぇきょうてぇ」、ラストだけ立ち読みしちゃったよ。
結局メール欄がオチなの?
233 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/03 00:33
このスレレベルが低いよね・・・。幼稚って言うか・・。
怖い、だったら「ぼっけえ…」より「あまぞわい」が怖かった。
もうタイトルがすでに怖げ(笑
皆さんの恐怖の琴線がそれぞれ違うので、
皆様なりの分類と、キーワードを書き付けていただけると
より参考になると思うのですが、いかがでしょうか。
237 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/03 01:46
238 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/03 01:54
オレの琴線は「虫」なんだが、なんか無いですか?
「ジャクソンヴィルの闇」は、いい感じでゴキブリだったんですが、途中から違う方向性に行っちゃって・・・
239 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/03 02:03
角川ホラーから「虫」って出てた様な。
どんな話か忘れたけど。
>238
いい感じでゴキブリ……どんなんだっ!(大笑)
とりあえずオレは近づかない方がいいってことはたいへんよく伝わりました。
241 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/03 02:57
俺は怖いとかよりも最も印象に残っているのはラブクラフトの作品。
その中でも「エーリッヒ・ツァンの音楽」と「ナイアルラトホテップ」が秀逸。
独特の乾き腐った風景と幻想的な美しさが俺に全く新しい世界を開いてくれた。
242 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/03 03:10
ウィリアム・カッツが好きだ。
猟奇殺人から幻想ホラーまで手広く扱っててマジでおすすめ。
恐怖の誕生パーティーはぜひ読んで欲すい。
243 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/03 03:11
244 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/03 07:38
江戸川乱歩「芋虫」読みました!
描写は確かにグロいですが、内容は非常に切ないものですね。
特に最後の古井戸周辺での出来事の描写が頭に残っています。
そこだけ読むとゼリア・ビショップ「イグの呪い」を彷彿とさせますが…
「傑作選」の中だったら「鏡地獄」の方がより怪奇小説的かも。
球形の×××の中に入ると…どうなるんだろう…?
古典作品ならポーの「黒猫」「アッシャー家の崩壊」
天才作家の書いた怪奇小説の完成品、て感じ。
246 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/03 12:47
「狂気の山脈」好きとしては、ポーの「ナンタケット生まれのアーサー・ゴードン・ピムの物語」にも
興味があるんだけど、面白いのかなぁ?
247 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/03 12:58
ポーでは作品名わすれちゃったけど
嵐の中で巨大な船に助けられる話が一番だった
この人天才だと思った瞬間
248 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/03 14:11
ラヴクラフトは、『銀の鍵の門を越えて』『時間からの影』とかが好きだなあ
ちくまの蘭郁二郎集は乱歩っぽくていいよ。
なんか狂人を書くのがもの凄く上手いと思う。
ただ後半は海野十三みたいになるが。
このまえ古本屋で角川文庫の「ひとりで夜読むな」買ってみた。
新青年のアンソロジーなんだけど、おもろいかなぁ?
買ったのにまだ読んでないの?
読んで感想教えれ!>250
保守
カキコ少ないので
>>154 >>155 と同じく内田百閨iひゃっけん)
初期の「冥土」「件(くだん)」とかもいいし、
「とほぼえ」とか「サラサーテの盤」の頃も好き。
因みに百閧焉Aこのスレのタイトルに使われてる
岩井志麻子も岡山人。
254 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/05 10:21
アーサー・マッケン「パンの大神」でしょう。
ラスト部分が性急で惜しい気がするが、プロットの繋がりが秀逸。
恐怖文学のエッセンスが詰まってるので一読をお薦め。
>253
「とおぼえ」いいですね。
幽霊らしい幽霊が出てくるのは実はけっこう珍しいかも、ですが
その描写が怖い・・・。
びょうびょう。
>254
パンの大神、何回かトライしてるんですが、あの延々続くカタカナ部分が未だに
読めない・・・・・・ツラい・・・・
>>255 >延々続くカタカナ部分
そんな箇所あったかしら?私が読んだ平井翁のヴァージョンではなかった
ですな。カタカナといえば『怪奇クラブ』創元推理文庫の挿話のひとつ、
「黒い石印」のなかに、まあ読むのがせんないカタカナ混じりの箇所が
ありましたね。もっとも平井翁のああいう文体が好みなのだけれども。
>>244 いや、「芋虫」の怖さはグロではなくて、あの男の心情を想像すると……とか
講釈垂れたところで感じ方は人それぞれだしやめとこう。
楽しめたようで何よりです。「鏡地獄」も面白いですよね。
どっかに球形の×××の中に入ったときに見える光景をCGで再現してたサイトがあったな。
>>245 「アッシャー家の崩壊」 は怖い!
ストーリーがどうとか、描写がどうとかじゃなくて、雰囲気が怖い!!
自分はこうゆーのが好きです。モロに幽霊とか出てきちゃうと萎える。
>>250 「ひとりで夜読むな」はねぇ、タイトル忘れたけど、YESとNOが逆の姉さんの話しが怖い。
読めばあぁこれかってわかると思う。心霊の怖さではなく、生きた人間の怖さね。
「異形の白昼」っていう色んな作家の恐怖小説を集めた短編集が怖かった。
>>258 わぁ!すごっ!これだよこれ、私が見たかったの。
乱歩マニアとかの誰かが、本当に球体鏡作ってくれないかな〜。
>>259 場末の遊園地とかにも「鏡の部屋」みたいなのがあるにはあるみたい
だけど、球形じゃなくて多面体(しかも大振り)だもんなあ…
小さい自分がたくさん映ってるのは確かに圧巻だけど…
保守
もうネタ切れ?
265 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/10 03:19
山田風太郎
「蝋人」「人間華」
耽美というか・・・
岡本綺堂って時代小説のイメージしかなかったんだけど、
怪奇小説も書いてるんだね。本屋で学研M文庫の「岡本綺堂奇談集(?)」
なる分厚いのを見かけたので…
267 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/10 12:56
クライブ・バーカーとか出てこないね〜?
268 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/10 22:29
古本屋で「幽霊狩人カーナッキ」の角川ホラー版を見つけたので
確保しといた。久しぶりに読んでみようと思う。
しかし、昔の角川ホラーは海外作家にも意欲的で旧作新作いろいろ
あったのに今じゃことごとく絶版だもんな〜…
国内の似たような話ばっかり書く作家がもてはやされるばっかりで
残念。古典ホラーははやんないのかねぇ…ブチブチ
269 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/10 22:35
文学じゃないけど、挿絵ということで、
青心社の「ヴァージル・フィンレイ幻想画集」復刻しませんかねえ?
オークションでも見ないし…
ボケキョといえば、
女郎さんがアレの事を「オカイチョウ」と言ってるのが
えらく印象に残っている
271 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/10 23:16
小林泰三の「家に棲むもの」読了age
この人の小説はグロいですね。
都井睦男の本でもオカイチョウって出てくるけど、岡山方言でオマンコ、
オメコ、ボボの事でしょう。 自慰のことはゲンコツと言うらしい。
創元推理の「恐怖の愉しみ」読んでます。
まだ途中だけど、ウェイクフィールドとベンスンのがなかなかこわいい。
274 :
あなたの後ろに名無しさんが・・・:03/08/13 20:22
灯台鬼は期待してたほど面白くなかったな〜。残念。
蛞蝓綺譚というのも????って感じでした。
”な、蛞蝓はワープするッッ!?”みたいな?
このスレとずれるかもしれないんだけど
この前tsutayaでなんとなく買った超怖い話A
とかいうやつを昨晩読んでたんだけど
なんとなくお盆だしとか臆病風に吹かれて
途中でやめちゃった自分はチキンです・・・(恥
>>267 バーカーいいね、スプラッタから超常現象までこなしてるね。
「血の本」は処女作とはとても思えない。
あぼーん
277 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/15 18:30
「The Ring もっと怖い4つの話」に入ってた「ON AIR」ってのが
怖かった。特に、貞子が夜道を延々と追っかけて来て、振り切ったと思って
朝、マンションの窓を開けると… ギャ----
>>277 (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
>>271 グロイか? 確かにおじいちゃんの絵はグロかったけど。
人獣細工の「本」ってのは読んでおけ…やばいから
>>267 クライブバーカーは今も本出してるの?
なんか一時期勢いあった頃は、映画監督までやったみたいだけど
最近は本屋にも並んでないような気が...
282 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/16 20:31
>>280 映画版の「リング2」の製作前に、一般から募集した脚本を
4編集めた本だよ。中では「ON AIR」が飛び抜けて面白かった。
クライブ・パーカーとクライブ・バーカー、
どっちもオカルト映画史に名を残してるけど、紛らわしいったら
ありゃせんな。「血の本」シリーズは興味あるけど、あの表紙が…
悪趣味というか…きょわい。
>>283 クライブ・パーカーとクライブ・バーカー
もしかして、血の本の「バーカー」で、映画監督は別人の「パーカー」ってこと?
保守
保守
287 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/23 12:42
小野不由美「屍鬼」は上巻は色々な意味で最高だったんだが、下巻になったとたん陳腐な3流小説になってしまった
リチャード・マシスンの作品
「地獄の家」映画「ヘルハウス」の原作。
あと「地球最後の男」これも映画化されてます。
「激突」もこの人だけど映画化された作品は全て原作のほうが遥かに怖い。
あと友成純一
この人のデビュー作「陵辱の魔界」からの初期の作品はエログロまみれ。
読んでてゾクゾクしたのはガイシュツの「墓地を見おろす家」かなあ。
あのマンションとそっくりな構造の社宅が家の近所にあってリアルで怖かった(;´Д`)
290 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/24 18:38
>>289 「墓地を見おろす家」は、階段が無くエレベーターでしかいけない地下室なのに、
それを使った展開がなく拍子抜けだった。
291 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/24 21:06
評論家を気取って申し訳ないが、
「墓地を見おろす家」は最初に伏線になるっぽいネタを散りばめて
いながら、後半それを使いきれてないところが惜しい。あんまり
推敲しなかったのかしらん?と思う。
長編ホラーは読んでて疲れる作品が多いけど(それだけ難しいジャンル)、
キングの「呪われた町」は良かったと思う。
292 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/24 21:24
わたしも墓地を見下ろす家がこわかったです。
なんてゆうかなあ。安っぽいマンションに住んだ時、欠陥けっこう
あったりして、なんとなく住むのが不安だったりする、その延長の
ホラー話って気がしてリアリティありました。
あと無人になった団地とかちらっと出てきて、あれも怖いんだよね。
古い団地って。
キング私は「ペットセメタリー」の不気味さが好きです。蘇えって
くるまでが。でも一番怖かったのは「霧」(霧の中だっけ?)
怖くて途中で読めませんでした。で、ラスト読んで、後味の悪さに
びっくり。
オレが言いたかったのも
>>291みたいなことです。
「伏線から予想される典型的な展開をわざとはずしたんだよ」という見方もあるかも知れませんが、
怖さというのは結構王道的なところにあると思うので。
「来るか来るか・・・」と思ってたらやっぱりキター!っていうのが”恐怖”であって、
来ると思ってないところで来るのは”びっくり”になるからね
294 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/24 21:33
グロは嫌い。
昔友達に「これ、読んでみ、絶対気持ち悪いから」
と「トパーズ」を渡された。読んだあと他の友達に
「読んでみ、気持ちわるいから」と渡した。
ショックが大きくて他人と共用したかった。村上龍のあほ。
295 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/24 22:30
>>292 「霧」で大丈夫かと。確認いたしましたよ。扶桑社の「骸骨乗組員」収録
のやつですね。私的にはラヴクラフト的キング作品の真骨頂であると思います。
「呪われた村ジェルサレムズロット」「キャンパスの悪夢」等々、
ラヴクラフトの影響を受けた作品も多いですね、キングは。
296 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/24 22:34
>>294 グロなら友成純一の右に出る香具師はいない。
左なら、綾辻行人の「殺人鬼」かな。既出だが。
グロいというか気持ち悪い描写なら田中啓文。
ニグ・ジュギペ・グァのソテーはうまそうだが。
>>296 「殺人鬼2」だっけ?
母親が自分の娘を食わされるところ読んで、
好物だった肉団子甘酢あんかけが、しばらく食えなくなりますた。(´・ω・`)
299 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/25 14:15
>>269 そーゆーこと書いて金儲けしてる奴は死んだら地獄に落ちるだろうな
地獄があればいいと思うことあるよ。
>>297 禿同。他にも「カキ食う客」などは読後感が最悪。
この小説読んでから何々が食えない、なんて嘘っぱちだと思ってたけど
まさか自分もそうなるとは、、、と非常にショックを受けた作品です。
301 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/25 23:25
食べ物ネタは卑怯だよな。日常生活にダイレクトに繋がって
食べ物に対する恐怖感というより、嫌悪感みたいなものが染み付いてしまう。
「ゾッ」ではなく「オエッ」の感覚。
302 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/25 23:39
板東真砂子の「死国」 「桃色浄土」もいいと思ったけど。
朝松健は「妖臣蔵」の三部作が好きだな。ラストは思わず泣けた。
坂東真砂子は映画版「死国」を観てから、なんとなく
読む気が起こらないが恐怖文学として面白いの?
いや原作と映画の乖離なんて日常茶飯事だからさ、
どうかなと。
304 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/25 23:52
映画は糞、よかったのはテーマ曲ぐらい。
原作はいいよ。
305 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/26 00:22
貴志祐介「天使の囀り」が結構怖かったです。
海外ものですと
ガストン・ルルーの恐怖夜話(創元推理文庫)
「金の斧」「胸像達の晩餐」
怪奇小説傑作集1 W・F・ハーヴィー 「炎天」
怪奇小説傑作集3 チャールズ・ディケンズ 「信号手」
(共に創元推理文庫)
.....等が私は気にいってます。
306 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/26 00:41
篠田節子「絹の変容」読まれた方います?
昔養蚕地だった東京郊外(八王子あたり?)が舞台で
途絶えた幻の「虹の絹」の復活に賭ける男女の物語。
といえば、女性向の(宮尾登美子なんかが書きそうな)
お話みたいなんだけど、とんでもないバイオハザードものですた。
とくにアトピー持ちの人は読んじゃいかん。
あー思い出すたびにお肌カイカイになるう〜
307 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/26 00:45
おまえらそんなに怖がりたいのかよ(w?
オカ板なりに幻想文学の話とかできねーのか
その手には乗らん
難しい話はごめんだよ
311 :
あなたの後ろに名無しさんが・・・:03/08/27 01:20
マンガで申し訳無いんですが
とっても怖いのがあるので・・・。
たしか、若竹ナナミだか加門ナナミが
ダヴィンチの対談であまりに怖くて人にあげちゃったと
言ってる本で
TONO&うぐいすみつるの よからぬ話
知ってる人います?
グロくもなく淡々としてるのにすっごい怖いです。
お口直しに読んでみてはいかがでしょうか?
312 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/27 01:41
ほんとうにあったのろいのびでおばーじょん4
半分も本物が収録されているシリーズ最恐傑作。
本物ほど、ハッキリうつる
313 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/28 15:55
パンダのキーチェーン欲しかった ・゚・(ノД`)・゚・
ローカルのTVによく出てる岩井志麻子、怖いでつよ。
315 :
あなたの後ろに名無しさんが・・・:03/08/28 22:23
ローカルってどこよ?
岡山県????
317 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/29 21:51
>>307 ヤッパリ夏は涼しくなりたいじゃん。
今年は冷夏だけどさぁ。
保守
ぅおらぁっ保守っっ!
320 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/06 10:51
こらえてつかあさい!
321 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/06 14:31
オイこそが 321げとー
イギリス古典怪奇小説だったら、
アーサー・キラ=クーチ「一対の手」がおすすめ。
恐怖小説の合間の清涼剤としてどうぞ。心温まる幽霊譚です。
怖いのは既出だけどディケンズ「信号手」、
M・R・ジェイムズ「笛吹かば現れん」「13号室」、
H・R・ウェイクフィールド「赤い館」でしょうか。
323 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/09 18:11
岩井志麻子、本日『踊るさんま御殿』に登場!
やっぱりやばかったな
325 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/11 01:36
>311
Amazonで調べたけど漫画ですか?
>>325 漫画です。
朝日ソノラマから2巻まで出てるよ。
327 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/11 18:18
>>323 見たよ〜なんか本人が幽霊みたいだったよね。
328 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/12 03:30
「おかあちゃんは、死んだと思って!」
329 :
あなたの後ろに名無しさんが・・・:03/09/15 22:52
他にはなにかお勧め本ないのか〜っっ?!
出来れば お勧め 和風ホラー キボン。
赤江ばく『カツオノエボシ獄』『殺し蜜狂い蜜』『刺青の海で夏』
ばくの字が変換できない スマソ
331 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/16 12:32
>311
よからぬ話 持ってますよ。
あの本ってたとえて言うと、知り合いがチラシの裏に落書きし
ながら自分の体験を語ってくれたような身近な感じがするます。
淡々としてる話が怖い。
>>330 赤江瀑。瀑布の瀑。
『野ざらし百鬼行』とかもいいよ。『悪魔好き』とか。
ホラーというか不思議な感覚になる
ゆめこ縮緬が好きだ。
334 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/17 14:00
岩井じゃなくてキモイにした方がよい
335 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/17 14:10
岩井って、ほんの一時期、岡山桃子って改名してたらしいんだが。
それとも昔のペンネームなの?
知ってる人がいたら、教えてやってくだされ。
変わったところで
河野多恵子『幼児狩り』。
幼少の男の子が異常に好きな、子供を持たない女性が主人公。
「裸の男の子が父親に折檻されて
炎天下の熱々のトタン屋根の上に背中を押し付けられる。ジュッ!」
という妄想をする主人公の女性・・・
この作家は、精神的に倒錯している人を
しっとり無気味に描くのがうまい。
337 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/17 22:31
>>335 俺の記憶だと「ぼっけえ…」で角川ホラーの賞を受賞した時は
「岡山桃子」を名乗ってたんじゃなかったっけ?
おそらくあまりに安直な筆名だったから恥ずかしくなって
岩井志麻子に変えたんじゃないのか?推測だけど。
>>337 応募時には岡山桃子だったのか。
貴殿の記憶を信じる。
推測もリアル。ありがとう。
そっかー、あんなすごい小説書ける人でも、馬鹿なトコあるんだな。
岩井志麻子。こっちの推測では、岩下志麻からヒントを得ている。
339 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/18 05:10
何故か綾辻さんの「殺人鬼T・U」があるうちの看護学校。
誰のリクエストだろう…
>>339 何と言うか、特に2の病院内大殺戮大会を考えると、看護学校という
シチュエーションがハマリ過ぎ。
341 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/23 03:31
>>338 >そっかー、あんなすごい小説書ける人でも、馬鹿なトコあるんだな。
さんま御殿に出てるときは、基地外じみたオバサンだたーよ。
さんま御殿、観れなかった。残念。
早川書房 リチャード・マティスン『13のショック』に収録の『レミング』
小学生の時、書店で立ち読みし、衝撃を受けました。
さらに大きい衝撃は7年後、ハヤカワ文庫『闇の展覧会』の『霧』(キング)で受けることに。
>>342 「霧」はキングの短編でも最高傑作と言っていいかも?
大石圭の冷めた作風が(・∀・)イイ!!
昭和50~53年初版の仁賀克雄「幻想と怪奇1~3」ハヤカワ文庫
の美品をブックオフで何と一冊100円で入手!
オークションだと一冊1500円は下らない…
マニアックですまんがなんかすごいいい一日だった!
>>345 え、そうなの!
そばの本棚に三冊ともあるよ。なんかうれしい。
保守
349 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/01 16:24
まんげきょう
わたしにもきかせて〜
>>338 遅レスだけど、たしか父親かなんかが岩下志麻の
ファンだったとか何とか言ってたと思う‥。
>>351 ありがとー!
やっぱり岩下志麻からパクったのね。
よかったな新参者、おまいの仮説が当たってて。
今日は会社でいいことあったんで、浮かれてるよ〜ん。
「真夜中の檻」を読み返して、平井呈一の偉大さに改めて感服したよ。
354 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/08 15:42
>>353 創元推理文庫で「夢の丘」が復刊してたから読んでるんだけど、
あれだね、愛を感じるよ。
355 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/10 00:00
ageましょうageましょう
むちゃくちゃ遅レスなうえに恐怖小説話ではないが
228のネタの画像を見たことある。ワラタ
357 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/10 20:38
岩井志麻子・・・(元?)旦那が電波だとはいってたが
新聞で自分の写真を見て、この人は自分と結婚する人だと
脳内に響いたそうで、いきなり留守中に上がりこんでオムライス作ってたと・・・。
彼女いわく「怖いでしょ? どうでもいいけど、それ食べちゃったんですよね、わたし。
絶対ちんちんとか触った手で作ってるんですよ、あれ」
・・・・・・・食べた、あんたも怖いがな。
とにかく下品なこといえばいいと思ってるよね。
359 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/10 23:29
岩井は売れて上京する際、デムパゆんゆん旦那と離婚したらしい。
子供も旦那にポイしちゃってるってよ。
でも、その電波元旦那も再婚したんじゃなかったっけ?
361 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/12 00:24
そして電波が量産されていく…ぼっけえ、きょうてぇ〜
362 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/12 03:55
208 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/09/11 19:40
岩井志麻子・・・見ましたよ。
爆笑しますた。
列を並ぶとかならず私の前にうっと惜しい奴が並んでいて邪魔をする。
巨大組織が私の邪魔をしてるんじゃないかという気分に・・・とか
離婚してお子さんと離れ離れなんですね。
こんなとんでもないお母ちゃんとは一緒にさせられないとかで
会わせてもらえないとか・・・
さんまちゃん達が気を利かせて、お子さんもTV見てますよと言ったら、
カメラを見て真顔で
「おかあちゃんは死んだと思ってください」
・・・・・。
出演者卒倒。お子さん、かわいそ過ぎ・・・。泣けてきました別の意味で。
209 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/09/11 22:48
(((( ;゚Д゚))) ぼっけぇ、きょうてえ
210 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/09/12 00:14
見ました。私も別の意味で泣けてきましたが、
業の深そうなお顔立ちをされてましたねぇ。
俺の中ではホフマンが神だ…あんまりメジャーじゃないみたいだな
364 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/12 17:05
>>363 テオドール・ホフマン?「砂男」しか読んだことないや。スマソ
365 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/12 23:19
ブラックウッド「炎魔」でしょう。ラスト数ページの情景を思い
浮かべると…終わり方もいい。
366 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/13 13:04
367 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/13 13:27
雨宮町子の短編集タイトル忘れた
文体がじわじわ。
初期の坂東眞砂子、皆川博子の歴史物ではない短編集とか。
あとたまに高橋克彦
とにかく短編集に怖い話が多いです。
ぼっけえ保守
ネタ待ち保守
370 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :03/10/20 23:17
最近少し寂しいので、私の「怖いBest10」でも書いておきますね。
現代物はあまり読まないので、偏っていますが…
1 H.R.ウェイクフィールド「赤い館」
2 M.R.ジェイムズ「消えた心臓」
3 R.エイクマン「鳴りひびく鐘の町」
4 W.W.ジェイコブズ「猿の手」
5 M.シンクレア「天国」
6 W.F.ハーヴィー「炎天」
7 R.ヒチェンズ「魅入られたギルディア教授」
8 H.P.ラヴクラフト「忌まれた家」
9 A.マッケン「パンの大神」
10 E.ボウエン「魔性の夫」
古典怪奇小説ばかりですが…
今日はじめてこのスレみつけた・・・・
自分は、怖い話というと民話系、古典をよく読みました。
中国の古典とか、高田衛「江戸怪談集」とかです。
それ以外ならラブクラフトの「冷房を怖がる男」
ブラッドベリ「壁の中のアフリカ」
ポー「落し穴と振り子」
岡本綺堂の「すいか」「鎧櫃の血」「蟹」
悪阻レスですみませんが
>>75.78.80
四国出身なので、田中貢太郎さん。素朴な文体が
こわさをうすめるかと思いつつ、かえって身近な怖さを
感じさせますね。
外出ですが「竈の中の顔」「7人みさきの話」とか好きでした。
キングを読んだことがないというやつなので、ハァー?と思っても
スルーしてください。
372 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/21 00:25
あげた方がいいかもしれないね。
>>371 ラヴクラフト「冷気」とポオ「陥穽と振り子」のことでしょうか?
訳者によってタイトルが違うので、もしかすると違う作品かも
しれませんが…古典がお好きならヴィクトリアン正調怪談もお勧め
できます。ぜひご覧になってみてください。
あ、あと「泣ける怪談」も書いておきますね。
1 A.キラ=クーチ「一対の手」
2 R.キプリング「彼等」
3 H.ジェイムズ「ねじの回転」
4 A.M.バレイジ「遊び相手」
5 M.オリファント「開いたドア」(「廃墟の霊魂」)
6 A.ブラックウッド「迷いの谷」
7 J.S.レ・ファニュ「妖精にさらわれた子供」
書いてみたら子供が出てくる作品ばかりになってしまいました…
375 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/21 00:38
ageましょうageましょう
そうです。
自分が読んだ時のままのタイトルにしました。
10代の頃、がつがつと読んだんですけどねー
外出のアポリネールの「詩人たちのナプキン」も
なんて綺麗なイメージなんだろーと思ったものですが、
それから20年、ノンフィクション(特に犯罪実話)
にはまって、そればかり読んでます・・・・
佐木隆三さんとか・・・・・・
忘却のかなたを捜せば、かえってたくさん出てくるカモ。
小学生向けの本に「冷房を怖がる男」(恐れる男だったかも)で出てまして、
自分的にはこれですりこまれちゃっています。
マリヤット「人狼」
作者忘れたー「命半ばに」
外出「ロカルノの女こじき」
サキ「開いた窓」
ビアスでしたっけ?「商売熱心な幽霊」
>>376 これは先達、御見それいたしました。
Dr.ムニョスという医者が不老不死の実験をアパートの一室でやっている
作品ですかね?>「冷房を怖がる男」
マリヤットが載ってるとは恐るべき小学生向け本ですね。
あと、「命半ばに」はビアスだったと思います。
「商売熱心な幽霊」…オサリヴァン「マダム・ジャンの商売」でしょうか?
>>371 ポーの「落とし穴と振り子」はシュヴァンクマイエルの映像化で見たのだが
かなりガクブルだったよ。スレ違いスマソ
379 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/21 11:29
1人でなしの恋(乱歩)
2昆虫図(久生十欄)
3何でもない(久作)
4ネンゴネンゴ(香山茂)
5乗り越し駅の刑罰(筒井康隆)
所謂、オカルトは出てこないけど、怖い小説ばかりです。
特に、「何でもない」は嘘言癖の嘘に主人公の一家がふりまわされるだけの
話なんですが、怖くて悲しいです。
380 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/21 15:53
モーパッサンの作品(特に短編)。
タイトル関係なしに。
なんだか全ての作品が怖い。
あとなぜかニーチェ。どうもねー、、、。
乱歩とかは面白いね。
筒井康隆に関しては「七瀬再び」以外よいかと。
誰が書いたか忘れちゃったけど、「チャット」だったかな?
立ち読みで済ませてしまったけど、後味悪かったような。
チャットの世界が小説に書かれてるヤツ。
牧野 修の「おもひで女」。自分の思い出の中を現在に向かって迫ってくる女ってのが個人的にはかなりキました。
382 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :03/10/21 17:29
>>381 それは変化球ですね!思い出の中の女が…個人的には
勘弁して欲しいテーマですね…
異形コレクションで牧野修のファンになったんですが、
他にも角川ホラー「ファントム・ケーブル」収録の
「怪物癖」、廣済堂文庫「リアルヘブンへようこそ」
なんかも精神的に来る話で好きですね。
384 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/21 20:33
漫画なのでスレ違いかもしれないけど、
望月峯太郎の「座敷女」
>>384 あれは怖かったね〜。
終わり方に不満があるけど、とにかく怖かった……。
消防の時より、だんだん退化していってるような気がします・・・
1に出版社等併記して欲しいとかいているにもかかわらず、
「あー怪奇小説のスレだー。」
と、なにも考えずに書きこんどりました。
すみません・・・・・
家の倉庫を捜したら出てきました。
講談社青い鳥文庫の「怪談ほか」。
「商売熱心な幽霊」じゃなくて、
ビアス「店をまもる幽霊」でした!すみません!
外出のディケンズ「信号手」が、「魔のトンネル」の題で
白木茂さんの訳で掲載されています。
ジェイコブズの「さるの手」も。
マリヤットやラブクラフトが載っているものは学校の図書館にあったもので
やはり講談社の「怪談2」だったと思います。
辰巳四郎さんの挿絵が迫力でした。
あることを防ぐ為に、冷房を切ってはいけない男の話。
「落し穴と振り子」映画化のスチールはチラッとみたことがあります。
387 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/21 21:09
ビアスと言えば「犬油」。これ最恐。
388 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/21 21:28
江戸川乱歩「暗黒星」「目羅博士」「鏡地獄」 横溝正史「犬神家の一族」「獄門島」「幽霊男」 アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」 エラリー・クイーン「エジプト十字架の秘密」
「そして誰もいなくなった」は厨房の頃読んですげえ怖かったのを覚えてる。
具体的にどのへんが怖かったのか自分でもわからんが。
390 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/21 22:59
「あの真珠色の朝を」
子供心に怖かった。
小松左京だったかな。
391 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :03/10/21 23:14
>>388 「鏡地獄」!私も大好きです。このスレの途中に球面形の鏡の
内部シミュレーションへのリンクがあったと思いますが、
あんな中に入ったら…やっぱおかしくなっちゃいますよね…
「目羅博士」がお好きであればエルクマン=シャトリアン「見えない
眼」、エーヴェルス「蜘蛛」と読み比べてみてください。
乱歩が元ネタにしたそうです。
ガイシュツ?
岡本綺堂…と思う。「刺青」
怖かったよ…てゆーかひどいぞ!
あと筒井康隆の「走る取的」
相撲取りが怖くなりました。
>379人でなしの恋といえば昔 創元推理(中井英夫追悼号だっけ)で
江戸川乱歩作品に関するアンケートやってて、その中の人でなしの恋に対する感想が
「なんてひどいことするんだ!」一行で笑った。ほんとそう
てゆーか微妙にスレちがいスマソ
牧野いいねぇ〜。
ドロシーも面白いよ。
アレはホラーというより、ダークファンタジーか?
394 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/25 22:43
ageましょうかねぇ
395 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/25 22:46
たまーに浮遊霊のようにあがってくるなこのスレ。
地味で好きだけど。
ageるのはやっぱり
新たな血が欲しくなったからでしょうかねぇ ふぉっふぉっ
397 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/25 23:35
「そして誰もいなくなった」は私も怖かった記憶が・・・
そういう私は岡山女。
その時「ぼっけぇ きょおてぇ」って言ったかは定かではない。
398 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/25 23:53
ああ!何故ケッチャムの話題が出ないんだ!ねえ、210さん。
隣の家の少女、オフシーズン、どちらも歴史に残る最低で、気分の悪い反吐が
出る作品ばかりで最高なのに!
吐き気をもよおすような話がよみたければジャック・ケッチャムを読め!
あと、未読なんだけど、国枝史郎という作家の神州なんとか城とかいう本読んだ
事あるかたいます?かなりやばいらしいんだけど、どんなのだろう?
399 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :03/10/26 00:07
>>398 「隣の家の少女」、読みましたが…何というか「吐き気」のする
内容ですよね。私にとっては恐怖文学というより、ショッカー小説
の趣でした。かなり前のスタジオヴォイスのホラー特集号で
ケッチャムのインタヴューを読みましたが、「隣の〜」はモデルに
なった事件があったそうですね。犯人の顔も載っていました。
それから国枝史郎は「神州纐纈城(しんしゅうこうけつじょう)」
ですか?何やら三島由紀夫も賞賛したという伝説的小説らしいです
が…
角川ホラー文庫の現代ホラー傑作選第1集「それぞれの夜」と第3集「十の物語」が
面白かった。
その中の河野多恵子の「雪」が印象に残ってる。
結末が異様に不気味だった。
あと萩原朔太郎の詩も怖いな〜
402 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/26 00:34
399
しんしゅうこうけつじょうと読むのですね。纐纈が読めなかった・・・。
手元にある、3年前にでたミリオン出版のホラー特集本によると、
デビルマンとか、バイオレンスジャックとか、北斗の拳とか、その手の
漫画の元ネタがすべてあるそうです。
ケッチャムの小説は、ほとんど元になった事件がありますよ。
実際の事件と小説とを合わせて読むと、恐さ倍増です。
アスペクト刊 「憑き者」収録 山田正紀「バーバー」
しばらく床屋で目ぇ瞑るのが怖くなった…
剃刀で頭ジョリジョリ… ((((;゜д゜)))
404 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :03/10/26 18:12
F.P.ウィルスン「マンハッタンの戦慄(上・下)」が復刊していたので、
買ってきました。ナイトワールドシリーズは「マン〜」が出ないおかげで
「ザ・キープ」で止まっていたので、これから一気にシリーズ揃えたい
と思います…
村上春樹の「踊るこびと」という短編読んでて、その話も結構怖かったんですが
読み終わってテレビつけたらブラウン管の中でこびとが踊っていて
それには本当にゾッとさせられた。
ツインピークスの何話かだったみたいなのですが。
ああ、踊って犯人を示唆するシーンですね。
>>406 そうなんですか。結局怖くて直ぐ消してしまったので
どんなシーンか知りませんでした.
409 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/29 15:31
「神州纐纈城」か。一たん入り込むと引き返す事が出来ないんだよね。
小品だけど、スタンリー・エリン「特別料理」
ブラッドベリの「十月はたそがれの国」
直接的な恐怖じゃないけど、これも推薦。
「神州纐纈城」、アマゾンでコレクターアイテム1000円で出てましたよ!
レビューが掲載されていたので、転載いたします。なかなか面白そう。
武田信玄の寵臣土屋庄三郎は夜桜見物の折りに老人から深紅の布を売りつけられる。
これぞ纐纈布!古く中国で人血で染められたとされる妖しの布だ。
この布が発する妖気に操られ、庄三郎がさまよう富士山麓には、奇面の城主が
君臨する纐纈城や神秘的な宗教団が隠れ棲み、近づく者をあやかしの世界に誘い込む。
怪異と妖美のロマンを秀麗な筆致で構築し、三島由紀夫をも感嘆させた伝奇文学の金字塔。
411 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/29 20:09
死なない蛸 萩原朔太郎
或る水族館の水槽で、ひさしい間、飢えた蛸が飼はれていた。
地下の薄暗い岩の陰で、青ざめたハリ天井の光線が、いつも悲しげにただよっていた。
だれも人々は、その薄暗い水槽を忘れていた。
もう久しい以前に、蛸は死んだと思われていた。そして腐った海水だけが、
埃つぽい日ざしの中で、いつも硝子窓の槽にたまっていた。
けれども動物は死ななかった。蛸は岩影にかくれて居たのだ。
そして彼が目を覚ました時、不幸な、忘れられた槽の中で、幾日も幾日も、
おそろしい飢餓を忍ばねばならなかった。どこにも餌食がなく、食物が全く尽きてしまった時
彼は自分の足をもいで食つた。まづその一本を。
それから、最後に、それがすつかりおしまひになつた時、今度は胴を裏がへして、
内臓の一部を食ひはじめた。少しづつ他の一部から一部へと。順々に。
かくして蛸は、彼の身体全体を食ひつくしてしまった。外皮から、脳髄から、胃袋から。
どこもかしこも、すべて残る隈なく。完全に。
或る朝、ふと番人がそこに来た時、水槽の中は空つぽになつていた。
曇つた埃つぽい硝子の中で、藍色の透き通った潮水と、なよなよした海草とが動いていた。
そしてどこの岩の隅々にも、もはや生物の姿は見えなかった。
蛸は実際に、すっかり消滅してしまったのである。
けれども蛸は死ななかった。
彼が消えてしまった後ですらも、尚ほ且つ永遠にそこに生きていた。古ぼけた、
空つぽの、忘れられた水族館の槽の中で。永遠に――――おそらくは、
幾世紀の間を通じて――――或る物すごい欠乏と不満をもつた、人の目に見えない
動物が生きて居た。
絶対に既出だと思う。でも
>>411で思い出した逸品。
スティーブンキングの「生きのびるやつ」
蛸状態の人間。
>>411 これ小学校の国語の教科書で見た気がする…。
414 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/29 21:08
>>411 萩原朔太郎は実に詩的な短文でぞくりとさせますね。
私は「猫町」が好きですが、これも怪奇短編一本分の内容がある。
才能にあふれた作家だと思います。
>>412 かつて人肉スレをご覧になったのでは?
そのときの記憶があなたの脳のなかで……
『生きのびるやつ』は読み返した回数ダントツで、50回くらい。
いまでもほぼそらんじることができるのでした。キモいでしょ?
保守
418 :
新参者 ◆EKNnjDCuA2 :03/11/08 15:21
保守と尻拭い(?)と趣味を兼ねてカキコ。
今まで読んだなかでいちばん不出来なホラー小説だと思うのは、
某最大手出版社から出た『死霊のえじき』のノヴェライズ版。
ところで『ゾンビ』のノヴェライズも昔パシフィカあたりから出たようだけど、読んだ人いる?
ほすぃー。
419 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/08 15:35
雨宮町子 「死霊の跫」
以前に「世にも奇妙な・・」で映像化された作品を
含む5編のホラー短編集。
坂東眞砂子 「蛇鏡」
この頃のは良かった
ホラーは短編ものがおすすめ
>409 ブラッドべリ言葉が美しくて好きですずらよ
とくに「10月〜」はにぇ〜
こんなスレあったんだ♪
短編ホラーで文庫になってるものばかり読んでますが
印象に残ってるのはスレタイの岩井志麻子さんのものです。
「ぼっけえ〜」の最後の「よって件のごとし(違ったらスマソ)」は
一番イヤ〜な気持ちになったなぁ。
すべてに共通してるけど
救いがないというか哀れというか悲惨というか、後味悪くて。
きっと、ちょっと昔の日本、特に閉鎖的な地方では
こんなようなことって結構あったんだろなって思えるところが怖い。
422 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :03/11/08 20:01
「ナイトワールドサークル」やっと読了しました!
第三部の「触手(The Touch)」(なぜかこれだけハヤカワ…)は絶版
のようなので残念ながら抜かしてしまいましたが…
「オーメン」の翻案という指摘もありますが、本当に良くできたシリーズだな
と思いました。ホラー・ハードボイルド・ファンタジー・戦記冒険小説…
あらゆるエンターテインメントの要素が詰まっています。お勧めできます!
不出来な小説…だいたいノヴェライズ物は失敗してますねw私の経験では。
423 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/08 20:05
恐怖館氏はこのスレの住人だったんでつか…
ロアルド・ダールの「あなたに似た人」
私はカーペットで遊ぶ子供の話が怖かった。
あと小説ではなくコラムだけど
渋澤龍彦「東西不思議物語」
なんかね、オカルトトリビアが増えた気分になれるよ。
>424
澁澤ちゅーたら
『黒魔術の手帖』『毒薬の手帖』『秘密結社の手帖』の
手帖3部作もオススメ〜。
「ぼっけえきょうてえ」いまいちだったなぁ。
作品よりも、作者本人がいちばん怖い。
427 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/10 13:37
岩井は最近テレビでてるね。
ほんと顔も狂気じみてるし
発言も怖すぎる。ぼっけえきょうてえの
女が岩井自身じゃねえのか!と思うくらい
怖い
428 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/10 14:19
まあ、ホラーといえば実話ベースに勝るものは無い罠。
かなり昔に映画化された「悪魔の住む家」とかの原本(実話)読むと恐ろすいです。
脳内の思いつきと違ってこちらは本当のことなのであって震え上がります。
429 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/10 14:20
>>429 本のタイトルは映画と同じで「悪魔の住む家」だったかと。
映画は、この実話「悪魔の住む家」を元に作られたものですが、映画化されたものは恐ろしさを再現できていないです。
岩井島粉、岡山のローカル番組に毎日のように出てたよ。
毎日あの毒々しいトークを展開してたw
432 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/10 19:37
最近は全国放送のサンマ御殿で
毒はいてますね。結構おもしろいけどw
ケッチャムの「隣の家の少女」。ガイシュツだと思うけど。
今の日本もあんな親が増えつつあるね。嘆かわしい。
今日久し振りに「ぼっけえ」読んだ。
語り手の遊女が岩井と同じ事(自分は好かれる値打ちがないとか)言ってて妙に怖かった。
岩井は最初、売れないからってんでエロ小説書いてたんだよね。
本当はホラー書きたかったんだけど。
それでエロ小説が人気でたからようやくホラーが書けるようになった、と。
ちなみに二人組みで一時期活動してたが、見事にネタをパクられた!って呆れつつ怒ってた。
爆笑問題の小説家の出る番組で。
436 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/15 17:34
木島日記はどうよ。
怖くはないけども。
>>435 あれ?少女小説じゃなかったっけ?
岡山桃子というPNはそのときのものだったような…
438 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :03/11/15 23:54
どうやら竹内志麻子→(岡山桃子)→岩井志麻子の流れが正しいようで、
>>437さんがご指摘なさっているように、元々はコバルト文庫などで
少女向け小説をお書きになっていたようです。当時の小説は「竹内」名義
のようですね。
>>435さんのおっしゃるのも正しいようで、エログロ小説
も「岩井」名義で出されているようです。一番刺激的だったタイトルは
「おめこ電球」!…すいません。お酒飲んでます…
コバルト文庫ってなつかしいな
姉貴が厨房の頃読んでたっけ。
リボンとかの少女コミックの小説版みたいなやつね。
440 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/17 22:12
ageましょう。
ヤフで岩井志麻子で検索すると
コバルト文庫出てきたりするよねw
表紙の少女マンガチックなイラストと、彼女の
顔を思い浮かべるとすっごいギャップが……
442 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/17 23:36
クーンツの「ファントム」ってクトゥルー
っぽいと思うんだけど・・・違うか。
ところで「屍鬼」って面白いですか?
読んでみたいけどあのボリューム(値段)だと、
地雷だったときに立ち直れなくなりそうで。
442>>1巻我慢すれば読みきれるはず。
かげろう日記は怖かった。作者誰やったかな?
あたくしが怖かったのは・・・
小松左京「まめつま」
半村良「箪笥」
篠田節子「神鳥 イビス」
こんなところ
で、こわいというよりいやな気分になるのは
ケッチャム「オフシーズン」 「隣の家の少女」
ジャクソン「くじ」
エリン「倅の質問」
屍の声(こえ、って違う漢字だったと思う)
作者は忘れましたが、怖かった…
おばあちゃん怖すぎ…
447 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/18 02:54
人魚のろうそく(だったかな) 幼心に怖かった。
448 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/18 08:24
吉村達也はかなり本出してるから、そろえるの大変そう。
角川ホラー文庫でも結構書いてるね。
「文通」が怖かった。
あの字体がちゃんと違ってた。
現在、「天使の囀り」読んでます。「黒い家」書いた人のヤツ。
>>447 小川未明の「赤いろうそくと人魚」ではなく?
>450
それ、恐いっていうより可哀想な話だよね
453 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/21 11:59
上げよう
>>450 あ、それですね
すいませんうろ覚えで・・・
なんか、おじいさんおばあさんが怖かった気がする
何分子供のころなんで。
保守
456 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/26 16:27
くくり姫ってのを読んだ。
終始チンコがアマ勃ち。
ていうか2001年発行の本なのに十一歳の娘が父親にフェラチオしてるってのがいいね。
青環法反対!反対!反対!
ちなみに、内容よりは最後の解説の方がおもしろかったage
457 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/26 20:18
ラブクラフトなら「インスマウスの影」、「ダンウイッチの怪」が怖かった。
坂東真砂子の「狗神」、面白かったよ。最後の「びやう、びゃう」にひえー!!
原作はお勧めします。映画、ひどかったらしいから。
岩井志摩子たんは、中村うさぎさんのお友達だから、
あのキャラでいいと思います。
458 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/27 20:34
>457
「ダンウィっチの怪」って、映画にもなってるヤツですか?
本は読んだことないけど、映画は、もう、全然・・だったので・・・。
459 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/27 20:46
小松左京ファン多くてうれしい
「くだんのはは」「霧が晴れたとき」は秀逸だと思う。
あと坂東真砂子も。
「桃色浄土」、「旅果ての地」はかなり読み応えある。
この人もっと評価高くてもいいと思うよ。。ホラー文庫で作品出しちゃって
市場価値が落ちてしまったとも考えられる。
最近読んでおもしろかったのは篠田節子「聖域」
以上は基本的に土俗的なモンが好きな人にお奨めです。
460 :
457ではありませんが:03/11/27 21:12
>458
ラブクラフトの映画化は他にも沢山ありますが、全部ダメですね。
化け物が出てくるところで、ビジュアルになると安っぽくなってしまうのでしょう。
あと、小説の構造の怖さ(自殺した男の遺書の形式を取っていたり、1人称が多い)、
表現の怖さ(当時としても古くさい言い回し、「必ずしも人間とは言えないもの」といったほのめかし)、
分かり切っているのにぎりぎりまで寸止めする文体といった、
映像化すると失われがちなところが、ラブクラフトの怖さのポイントなのかも知れません。
小松左京の妹が宅間守と結婚していたって本当?
>460
ありがとうございます。
そうですかー!じゃあ、原作読んでみます。
463 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/27 23:34
>>462 創元推理文庫『ラヴクラフト全集』を勧める
>>462 わたしもお勧めします。寝る前に久々に読んでみるかな。
>>462 大瀧啓裕訳版「ラヴクラフト全集5」がスタンダードですが、
大西ただ(伊のつくり部分)明訳版「怪奇小説傑作集3」でも
お楽しみいただけますよ。
466 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :03/11/30 00:02
新刊に面白いのがありましたのでご紹介申し上げます。
ボブ・カラン『アイリッシュ・ヴァンパイア』早川書房
レ・ファニュやブラム・ストーカー、ダンセイニ卿を生んだアイルランドを
舞台に綴られる吸血鬼短編集です。ヴィクトリア正調怪談とまで言うには
筆が若いですが、ジェイムズ「マグナス伯爵」やベンスン「塔の中の部屋」
など恐怖文学の「古き良き」時代を髣髴とさせる作品に仕上げられています。
現代に復活したゴシックの新風を感じていただければと思います。
467 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/03 23:44
昨日古本屋で「岡山女」買ったんだけど、栞の代わりにエコーで撮った胎児の写真が挟んであったんだよね。何か気分悪いんすけど・・・。
ふふふふふふふ・・・・・
469 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/04 02:09
458じゃないけど、ラヴクラフト全集の一巻買ってきた。
んー定価だと高いねぇ。いつも古本屋で100円の本しか買わない自分にとって
600円は破格でした。これから読みますage
470 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/06 19:32
ヴァンパイアスレからですが、ドラキュラ、カーミラの二大作を
の他におさえておいた方がいい吸血鬼小説ってありますかね??
471 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :03/12/06 19:47
>>470 同時代のヴィクトリアン正調怪談の範囲であれば以下がお勧めです。
1.M.R.ジェイムズ「マグナス伯爵」『M.R.ジェイムズ怪談全集』創元
2.F.G.ローリング「セアラの墓」『イギリス怪奇幻想集』現代教養
3.E.F.ベンスン「アムワース夫人」『幻想と怪奇1』早川ポケミス
4.E.F.ベンスン「塔の中の部屋」『Ghost Stories of E.F.Benson』Robinson
あとはポリドリ「吸血鬼」とか誰の筆か忘れましたが「吸血鬼ヴァーニー」
というヴィクトリアン以前の作品もありますが…
472 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/06 19:50
後にも先にも1度だけ体験した話しです。
10歳の夏休みでした。家には「チッチ」と「ポッポ」という2匹の子犬を飼っていました。
ある日「チッチ」が車に惹かれて死んでしまいました。子犬だし、田舎だったこともあり鎖などしていなかったから。
後悔しても元には戻らない。父から「川に捨てて来い!!」といわれ、犬の死骸を段ボール箱に入れ、家から歩いて20分位の所にある大きな川に
1人で捨てに行きました。夏の夕方6時過ぎだったと思います。
川にかかる橋の真ん中あたりに付いたときは大分薄暗くなり、辺りを見回し誰もいない事を確認して橋の上から段ボール箱を投げ捨てました。
段ボールがスーーと落ちてゆきます。「ボッチャン!!」川に落ちたその瞬間いきなり私の後ろから
「死んだんですか」と声がします。びっくりして後ろを振り向くと、青白ーい顔をしたボサボサの髪の女の人が私の顔を覗き込むようにしてもう一度
「死んだんですか」・・・私は恐ろしさのあまり声も出せずその場にしやがみこんでしまいました。
時間にしてどれくらい経ったか、恐る恐る目を開けるともうそこには誰もいません。
田舎の薄暗い電灯が点々とついているだけです。わき目も振らず一目散にその場から逃げ出しました。
その女の人の顔は、いわゆる映画や漫画に出てくる「幽霊」そのものの顔でした。
473 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/06 19:51
スレの序盤であった、「嫌な」読後感ならD-ブリッジテープ最強だなと。個人的には。
474 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/06 19:55
>>473 ホラー文庫の短編賞取ったやつだよね。ほぼ一人称の会話文
で綴られてるんだよな。パンチは今ひとつだったが、実験的で
面白かったよ。
476 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/07 00:17
477 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/07 03:54
ちょっと違うかもしれんけど唯川恵の
短編集「めまい」と「病む月」は人間としての
怖さが出てます。
岩井さんは週1か2くらいで岡山香川のローカル番組、
スーパーJチャンネルに出てますー。
478 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/07 05:03
おっ、まだこいつがでてないみたいね
曽野綾子「長い暗い冬」
とにかくラストの一行でなんかすごくいやあな気分になりますわ
これはちょっと格別に怖い。
479 :
sunney:03/12/07 07:08
山田風太郎の「人間臨終図鑑」 今となっては、当の本人もこの世の人では
なくなってしまったが、まだまだ書いてほしかった。
また、章ごとに添えられてるコメントがオカルティックで好きでした。
480 :
sunney:03/12/07 07:53
あと「恐るべき子供たち」 オスカー.ワイルドでしたっけ?
学生の頃、原作読んだのですが理解不能で映画を観てもイマイチで、
萩尾望都が漫画にしたので読んだのですがサッパリでした。
大人になってから読み返してみたら名作でした。
本って不思議だ。 ただ単にわたしがトロイだけか?(笑
481 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/07 08:56
筒井康隆の驚愕の曠野がイヤーン
482 :
新参者 ◆EKNnjDCuA2 :03/12/07 10:41
イアン・バンクス『蜂工場』(集英社文庫)はどうですか?
二十歳の頃は超駄作に思えたけど、十六年後に読み返したら、すごい傑作だと思いました。
483 :
sunney:03/12/07 11:25
新参者さん 紹介有り難うございます。『蜂工場』まだ読んでません。
早速 本屋に行ってきます。
しかし、年代によって作品の印象がこんなに違って視えるなんて、コレばかりは
身を以て体験しないと伝えようがない。 やはり不思議
484 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/07 12:29
>>483 古本屋にいかにゃ手にはいらんとおもうぞ
その上古本屋でも最近見かけんしなあ
485 :
新参者 ◆EKNnjDCuA2 :03/12/07 12:34
ご心配めさるな。大型書店に行けば、今でも新刊が手に入ります。
つい先日も見かけました。大阪・瓜破の「BOOKLANDくるまや」にて
なにせ欲しい本があれば、
とりあえず近所の書店で発注かけるのが良いかと思われませう。
487 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :03/12/07 19:17
最近また脳髄が恐怖に飢えているようです…
サラ・ウォーターズが評判なので書店に詣でましたが、今ひとつ買う気が
起こりません。あの時代設定は私の好みにストライクなはずですが…
代わりにJ.D.ケルーシュ「不死の怪物」を購って参りました。
荒俣宏が絶賛してましたのできっと面白いはずです…
>>480 「恐るべき子供たち」は、ジャン・コクトーですよ。
>>488ありがとうございます。それでした。(恥
490 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/08 02:27
何度も 何度も読み返して良い作品は多々あるが、逆に読み返したら楽しめない
作品をひとつ ミヒャエル・エンデの「果てしない物語」
映画「ネバーエンディングストーリー」の原作になったアレだが別ものと考えた
方がいい。一冊の本にこんなカラクリを仕込めるとは。
大人も楽しめる 何げに奇妙な恐怖を感じた本であった。
491 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/08 02:44
>>490 映画はエンデのファンであるほど許せない出来だったなぁ。
原作そのままには映画化できないとは思うけどね。
奇妙な恐怖というのも、わかる気がする。
ホラーではないんだろうけど、オススメ。
492 :
新参者 ◆EKNnjDCuA2 :03/12/08 02:54
明日会社の上層部に提出する書類を書いてたら、こんな時間に……
寝る前にこのスレ見てみてよかった。
脳が癒された―。
あ、上層部っつったって、ちっちゃな会社なんで。自慢してるわけじゃないのん。
神経使ったけど癒されたって言いたいだけなのレス。
493 :
sunney:03/12/08 03:52
「果てしない物語」は映画化する前に書店の店長から勧められて読みました。
2日間不眠不休で読んでたら、読み終わった後、脱水症状おこして
救急車に乗って点滴うちに運ばれました。
恐るべし エンデ
494 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :03/12/10 23:38
J.D.ケルーシュ「不死の怪物」(文春文庫)読了しました。
1926年の作品ですので、斬新な恐怖感に飢えた方には適しませんが、
「呪われた一族」「杜を徘徊する不死の怪物」という年代物の雰囲気
たっぷりですので、その筋が好みの方にはたまらない作品だと思います。
ただ、勘の鋭い方は49〜50ページ辺りで核心をついてしまう可能性は
ありますが…
495 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/11 01:06
ここのスレイイ 何か昔読んだ本を思い出しました。
ウィリアム・S・バロウズ(河出書房新社刊)「裸のランチ」は
まだ出てないですよね。
>>490 友人が色盲で・・・なにがおもしろいかわからんと
497 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/12 04:54
色盲ですか それは大変不便でしょうね。
原語版は黒インクの1色刷りでした。
私は日本語版を先に読んでいたのですが、
やはり2色でないと解りづらいかも。
姉飼
ほしゅしゅ
500 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/16 17:11
500Get
501 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/12/17 01:19
姉飼 詳細キボン。
502 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :03/12/17 22:06
お奨めの新刊がありますのでageさせていただきます。
井上雅彦編『アジアン怪綺(ゴシック)』(光文社文庫)
恒例の「異形シリーズ」通算28巻目は、アジア全域余すところなく
取り上げた22編の怪奇譚。出だしの3編しかまだ目を通しておりませんが、
それぞれ上海、韓国、マレーシアを舞台にさながら気分は「亜細亜怪奇旅行」。
読み終えるのがもったいない気がします。
SFホラーでお勧めの作品ないかな?
504 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/17 23:17
姉飼は60頁くらいしかないので短編集を立ち読みしたらいいかもしれません。
気持ち悪いのは確かですが、不条理系というか幻想系というか
なんだかよく分からないままの世界で終わってしまうので
逃げてるような感じもしないではないです。
書ききれてない示されてない部分に恐怖を感じるという読み方もできるかもしれませんが
人それぞれでしょう。
同じく短編でホラー大賞を受賞した「ぼっけえ・・」と比べるなら、個人的意見ですが
ぼっけえを推します。作品の深みや完成度はぼっけえの勝ちのような気がします。
徹底的に嫌悪感に満ちた残酷世界を描くなら友成作品もあるわけで、
うまく仕上げているとは思うのですが、どうでしょうか?
他の作品は読んでないので、そちらからの判断や、全く別の読みなどもあるようでしたら
教えて欲しいとも思います。
>504
501じゃないけどサンクス。
60ペェジしかないのか・・・・(;´Д`)ビミョー
今「ぼっけえ、きょうてえ」読んでるけど・・・・・激しくオモシロ
506 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/18 23:54
さんざん既出だろうけど
今まで一番恐かったのは、京極の魍魎の函(字出ない)だね。
マジで発狂するかと思ったよ。
たっぷり気持ちよく恐がらせてもらえました。
気持ちよいまま狂わされそうでちょっと恐かったけどね。
507 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/19 01:19
古井由吉「栖(すみか)」平凡社。但し、絶版。
>>506 ∧,,,∧ 魍魎の匣もいいけど
ミ´・ω・`ミ < やっぱり姑獲鳥の夏もいいかなって思ってみる。
ヾ(っ_uuっ 上手に狂ってるよね。変な言い方だけど。
509 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/19 14:04
姉飼 読んだ人いる?
タイトルから想像するにエログロなんでしょうかね?
510 :
新参者 ◆EKNnjDCuA2 :03/12/19 14:30
>>503 ロバート・R・マッキャモンの短編集『ブルー・ワールド』(文春文庫)の中の、
『なにかが通りすぎていった』
シュールなSFホラーです。
マッキャモンであと特にお薦めなのは『ミステリー・ウォーク』と『スワン・ソング』。
ともに今は福武の文庫で出てます。
後者はかなりSFホラーしてます。キングの『スタンド』より好きかも。
スタンドは長すぎる。10年以上も翻訳が出るのを待たされ、期待が膨らみすぎたから、よけいに辛い見方をしているのかもしれませんが。
小説より先にLDを買ったため、内容を知っており、それが当然マイナス評価の一因になってもいるでしょうが。
511 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :03/12/19 15:11
福武文庫がベネッセコーポになって出版から手を引いたおかげで、
「海外シリーズ」で出ていた怪奇小説群が手に入りにくくなって
しまいました。まぁ、古本を探して廻る愉しみが増えたという見方
もできますが…
え゛? ぢゃあ福武文庫はもう……
オカ板では板東真砂子は原作の方が評価高いのかな?
映画も過疎村スキーな人には風情があっていいですよ
儀式・祭祀関連は確かにやりすぎ感があったが……
>>512 ええ、福武は消滅。福武文庫は全刊絶版です…
515 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :03/12/19 16:28
マキャモンの「魔女は夜ささやく」。このミスでも上位ランクイン
していましたが上下合計すると軽く5000円超えてしまうのはちょっと…
手が出ない…
516 :
新参者 ◆EKNnjDCuA2 :03/12/19 16:32
うわー、どうも(汗
ベネッセに改称されたのは当時から知ってますが。とにかく文庫はまだあると思い込んでました。
急いでくるまやとブックオフ行ってきます〜。
お詫びに儀式関係の作品挙げときますぅ。
トマス・トライオンではいちばん好きな『悪魔の収穫祭』。
本屋でいいの見かけたら報告しますっ。
>>442 屍鬼
おそレスですが、日本の現代で田舎の村社会が舞台の吸血鬼モノです。
面白いかどうかは主観による処が大きいので、
ネタバレならない程度に概要をかきます。
主人公的な人物は3人ですが、それをとりまく村人ほぼ全員
(十数名?)のエピソードが順ぐりに少しづつ展開します。
それぞれに起きる事柄にかかわるウンチクも多いので、
主人公一人に感情移入して読むタイプだとタルクて飽きるかも。
とにかくキャラが多いのであの厚さになったとおもいます。
途中でやめらなくなり、3-4日ほぼ徹夜で読み終えました。
長いけど、うまく終わらせていて、(突っ込み所はありますが)
読後感はちょっと良い感じのカタルシスでした。
御参考迄。
518 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/20 01:13
>>517 わざわざどうも!既に全巻揃えましたよ。
正月休みで一気に読破する予定です。
ゴールデンレター
このスレを見た人はコピペでもいいので
30分以内に7つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後好きな人から告白され、17日後に
あなたに幸せが訪れるでしょう
520 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/20 09:48
ゴールデンレター
このスレを見た人はコピペでもいいので
30分以内に7つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後好きな人から告白され、17日後に
あなたに幸せが訪れるでしょう
521 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/20 09:49
ゴールデンレター
このスレを見た人はコピペでもいいので
30分以内に7つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後好きな人から告白され、17日後に
あなたに幸せが訪れるでしょう
522 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/20 21:13
おいお前ら、年末年始に何読むか参考にさせてくださいよ?
523 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/20 21:20
ヽ /
ヽ、 /
ヽ、,-、‐、‐- 、 /
/ ヾ.、ヽヽヽ〃-、
/ヽ、,.::'⌒ヽi l l i':. ヽ
lヽ、 i'::::. .:l l l l::::.... ::} ライダー!!
| `l::::::::::::::::l l l ト、:::::;ィ もうすぐ
>>555 !ミ ヽ、;;;;;/l_|」_!_ニ´ j マジでお奨め。
ヾ _,.-‐<ニ二二7_〉/
ヽ 「|\i´ニニニニコ/
` ト、_`ーニ二ニ7
/ ` \
/ __ /´> )
(___|_( /<ヽ/
| / ´
| /\ \
| / ) )
ヒl ( \
\二)
524 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/20 22:25
幽霊が霊の存在の前提を当たり前のようにして
登場したりすると、しらけてしまって恐くなくなって
しまうのですが、こういう人って他にもいますか?
超能力などの超常現象などについてもそうです。
525 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/20 22:31
>524
すまん…意味がよく分からんのだが…例を挙げてくれ。
原因不明の怪事件や、謎めいたネタを主人公が追うが、
結局ラストで霊や、神、悪魔などのしわざで迷宮入りとか
超能力や超常現象がおきて解決ってされるとガカーリなことはある罠。
アキラやオーメンみたいに最初ッからそのつもりで読むのは別ね。
>>526 確かにありますね私の場合「エディプスの恋人」『筒井康隆』著
がまさにそれでした。「家族八景」が良かっただけに(とくに七瀬が生きながらにして
死を体感する時の描写など)「七瀬ふたたび」は七瀬ファンへのサービスだと思えば
納得。しかしエディプス〜のラストは「?」
読者を引っ張って引っ張ってこれかい!てなかんじでした。
PS新参者さん「蜂工場」がまだ手にはいりません。しくしくしく
>>sunney殿
横槍で申し訳ないですが、中古(しかないと思いますが…)でよろしければ
Amazonで\280〜で出てましたよ。
>>恐怖館主人様ありがとうございます!!早速逝ってきます!
あ…まだ普通に新品で売ってるみたいですね…早とちりすいません。
ぼっけえ きょうてえ 読みました。
何というか、「怖く」も「哀しく」も無く、特にラストが陳腐だと感じました。
これだったら、現実にあった「栃木尊属殺人」や「津山30人殺し事件」の方がずっと怖い。
かの江戸川乱歩御大は「現実の犯罪の報を聞いても創作のヒントにはならない。
ただいたましさを感じるのみ。」とおっしゃっています。
確かに現実の事件には理不尽さ、おぞましさを感じるます。しかし、
それは「恐怖」ではなく、あくまで行為に対する理性の「嫌悪」に過ぎないのでは
ないでしょうか?恐怖とは、ラヴクラフトの言質の通り、本能が感じるものです。
>>531さんの魂が凍りつくような作品に出会えることができれば良いですね。
>感じるます って何でしょう。最近日本語が狂ってきました…
534 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/21 23:19
>532
読みようによってはものすごい皮肉に聞こえるんだがw
>>527 『蜂工場』・・・貸してもいいんですけど、安全に連絡しあう方法を実は知らんのです。
メールアドレス、何を血迷ったか、もろに本名なんですよ。
パソコンでメールするつもりなかったから、わけもわからず安易に入力したら、そないなってしまいました。
笑ってやってください。。。
メールアドレスを簡単に変更できるのか未確認のまま、安易にカキコしたこと御許しを。
もし新品を所有したいなら、急ぎお近くの書店にて注文したほうがいいでしょう。
なお先日行った書店では、少し前たしかにあったはずの『蜂工場』が消えてました……
もしかして、すでにAmazonwwでGETしました?
『ローズレッド』買いました。まだ読んでません。
Amazonww←なんだこりゃ?
ぜんぜん気づかなかった。マジミスです・・・
537 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/21 23:28
誠に勝手な贅沢なこと言って申し訳ないが
しっとりと哀しい味わいのある恐怖を描いた小説を読みたいね。
ぼっけえは完全にではないが、それを満たしていたと思います。
少しどこか深沢七郎を思い出したよ。>ぼっけえ
>>536 ワロタ!良い奴だな新参者。
539 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/21 23:38
怪奇文学を語る連中の日本語がおかしいとはオカルトな話よのぉ
540 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :03/12/27 17:46
最近読んだ本のレビューでも。
「東京(口→日)異聞」小野不由美(新潮)
乱歩作品を髣髴とさせる人物と物語展開。ラスト部分は「帝都
物語」の雰囲気。魅力的な登場人物の始末に難有り。そこが残念。
「上海幻夜」藤木稟(徳間ノベルズ)
ジュヴナイル向けのせいか、時代背景に比して登場人物の会話にやたらと
カタカナ語が出てくる。オムニバス仕立てで、何篇かは面白いし、何より
読みやすい。
「肝盗村鬼譚」朝松健(角川ホラー)
「崑央の女王」に続く、ラヴクラフトへのオマージュ作品。クトゥルー神話の
単なる借用に留まらず、筆者の広範な仏教知識と結びつき、良質の作品に仕上
がっている。これが絶版なのは残念。
>540
東亰異聞の漫画なら読んだよー
ラスト(漫画と小説同じかな?)は('A`)だった・・・・
542 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/01/01 20:43
皆様、明けましておめでとうございます。
年末に読んだ本のレビューです。
我孫子武丸・田中啓文・牧野修「三人のゴーストハンター」(集英社)
三人の作家による、一連のセッションノベル。一登場人物一作家なので、
人物の個性がそれぞれ際立っている。マルチエンディングなので、作家
の描き方の個性も楽しめます。
田中啓文「異形家の食卓」(集英社)
以前、このスレッドでも紹介されていました、「食」をテーマにした短編集。
まさにエロ・グロ・ナンセンスのオンパレードといった作品ですが、
友成純一と異なり、読後の胃もたれはありません。田中氏の特徴ある落ちの
付け方の姓せいでしょうか…?
543 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/04 11:15
「ダレカガナカニイル…」 井上夢人
例のオウムテロ以前に書かれていたということで有名な本。
出だしはイイ。しかし、最後まで読むと、これって・・・・。
多重人格ミステリー。 って、謳ってる紹介文などもあるようだけど、
このカラクリの種明かしの部分は、ミステリーとはちょっと言えないのでは?
精神分裂病(統合失調症の旧名)を催眠術かなにかで人為的に発現させて、
人を操って犯罪を犯させる話かと、読む前に勝手に想像してたよ。
余り実現性はないそうだが、それだったら恐いなと思ってたのに。
最後の種明かしは、
「不思議なものは何もないのだよ」(by京極堂)みたいな合理に立脚していて
欲しかった。人それぞれの好みだろうけど。
544 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/04 11:19
ぼっけえのう
546 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/01/08 18:01
常盤朱美・森真沙子他「十の恐怖」(角川ホラー)
「十」という数字にまつわる11編の短編集。版を重ねているので期待した
のですが、既読感がなかったのは3編程度でしょうか。あまりお奨めはでき
ません。
津原泰水「蘆屋家の崩壊」(集英社文庫)
豆腐好きの縁で知り合った風来坊の主人公と怪奇作家「伯爵」が旅先で
出会う怪奇の数々を描いた短編集。若干つづりに難ありの箇所がありますが、
総じて評価できる作品だと思います。同じような体験があったため、
特に「猫背の女」は恐ろしかった…
倉阪鬼一郎「ブラッド」(集英社文庫)
とあるアミューズメントパークを中心に起こる数々の無差別殺傷事件。
魂の抜けたような犯人たちは、みな同じ童謡を口ずさむ…
基本的骨格は以前大ブームを巻き起こした某シリーズ(映画化もされました)
と共通したものを感じましたが、いかんせん死人の数が違います。
しかもこの作品には明確な「主人公」が存在しません。私個人は結末部分は
蛇足かと感じましたが、皆さんはいかがでしょうか?
「ラスト・ヴァンパイア」ホイットリー・ストリーバー(新潮文庫)
夏に出た「薔薇の渇き」(映画「ハンガー」の原作)の続編。
キーパー(吸血鬼種族)のミリアムの物語。彼らにとって人間は家畜に過ぎない。
先に「ラスト〜」を読んで面白いと思ったけど、「薔薇〜」を読んで主人公を
ぬっころしたくなった。
2冊目が出るまでに20年ぐらい間があいてるので1作目と2作目の記述に矛盾が多すぎ。
続けて読むと??って感じになる。特に主人公の両親の事とか。
アン・ライスが好きなら読んでみるといいかもって感じ。
548 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/01/13 19:23
リチャード・マシスン「地獄の家」(ハヤカワ文庫NV)
'71の作品。「不死の存在」の証明を死にゆく大富豪から依頼された超心理学者バレット
博士夫妻と二人の霊媒。実験の場は、かつて同様の調査を行ったメンバーが一人を
除いた全員が悲劇的な末路を辿った通称「地獄の家」。元の持ち主ベラスコは
訪れる人々を堕落させ、淫虐の限りを尽くしたあげく行方不明になったという…
館を訪れた四人を襲う怪奇現象の数々。果たして四人は館の謎を解明できるのか…?
「たたり(山荘綺談)」「シャイニング」と並ぶ、「幽霊屋敷」ものの代表作。
怪奇現象そのものは、「ありきたり」な感を抱かせますが、本作品の勘所はその
「行間」にあるのではないでしょうか。次にご紹介する「たたり」からの流れを
受けて、「たたり」で描かれなかった直接的な怪奇と登場人物の心理描写が絡んで、
非常に不気味な雰囲気を醸し出しています。ラスト部分には少々物足りなさを感じ
ましたが、後の「幽霊屋敷」物に見られる様々なプロットの原型が収まっています。
549 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/01/13 19:36
シャーリイ・ジャクスン「たたり」(創元推理文庫)
'59の作品。物理学者モンタギュー博士の招待で、有名な幽霊屋敷「丘の屋敷」
で夏休みを過ごすことになった、エレーナ達。和気藹々とあいとした雰囲気の
中、内気だったエレーナも次第に屋敷での生活を楽しみ始める。そう、あの悪夢
めいた「真夜中のノック」が始まるまでは…
ドリームワークスの映画「ホーンティング」の原作。映画を先に観てしまい、ありがち
な幽霊屋敷ものと高をくくっていたのですが…すばらしい。驚きました。
ヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転」からの朦朧法の系譜上にある作品として、
見事なまでにページを繰る毎に全体が「ねじれ」ていきます。あからさまに怪異を描くこと
なく、読者を恐怖の坩堝に叩き込む作品。絶品です。ぜひ一読を!
(因みに映画とは内容が全く異なります。一緒だったら薦めません…)
551 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/16 22:54
保守。
552 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/16 22:55
ぼっけえ鑑定
553 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/01/17 00:13
ダン・シモンズ「カーリーの歌」(ハヤカワ文庫NV)
'85の作品。8年前に行方不明になった伝説の詩人が生きていた-彼の新作を受け取りに
インドへ向かった主人公ローザック一家は、混沌の支配する狂都カルカッタに降り立つ。
しかし、一向に姿を見せない詩人を捜し求めるうちに、詩人の背後に邪教集団の影が見え隠れ
することに気がついた主人公は否応なしに「カーリーの歌」を巡る陰謀に巻き込まれていく…
シモンズの長編デビュー作にして世界幻想文学大賞受賞作。幻想シーンを除いて怪奇現象は
一切描かれていません。閾値を越えた暴力描写と、狂都にのたうつ異形の者たちの生々しい
描写、誰が敵で誰が味方なのか?そして熱波と狂乱の中崩壊していく家族関係…
実にやるせない、読者を「疲れさせる」作品です。ただ、最後にちょっとした「希望」が残されることで、
後味は悪くない。未知の異文化に潜む闇と、そこに飲み込まれまいともがく主人公の葛藤。
従来のホラー小説とは違った「異形の」物語をお楽しみ下さい。
554 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/01/17 00:14
ジャック・ケッチャム「オフシーズン」(扶桑社ミステリー)
'81の作品。田舎町に引っ越した編集者カーラは、彼女が避暑に訪れたボーイフレンドや友人たちと
浮かれ騒いで楽しい夜を過ごす間に、彼女の家は不気味な「食人族」どもに取り囲まれていた!
享楽的で世間ずれした「都会族」と、「狩り」に狂い騒ぐ食人族の血みどろの死闘が始まる。積み重なる
死体死体死体…いや、食べカス?生き残りをかけたバトルロイヤルはさらなる惨劇に向かって突っ走る!
ケッチャムのデビュー作にして、あまりの過激な描写に幻の作品となっていた問題作。グロテスクの
極みの肉感的描写もさることながら、ラストまで全く「救い」が無く、ギリギリと内臓を締め付けられる
ような読後感。久しぶりにこんな不快な作品に出会いました(もちろん褒め言葉です)。「Off Spring」
という続編があるようですが本邦では未訳。出ても読みたくありません…でも…あぁ…
蛇足ですが、「序文」は絶対最初に読んではいけません。頭に来るくらいネタをばらしてます。
あー自分の日本語のおかしさに参ります。
>>554 なんとか一家の実話をもとに書かれたやつでしたっけ?
この作家の作品って、全然救いがないですねい
>>556 確かに。「隣の家の少女」もそうですが、非常にダークでどんよりした気分
になります。ケッチャム自身は写真で見るとなかなかのナイスガイなのですが…
映画ヘルハウスで生き残った男って、
フライトナイトの三流役者の役で出てたオジサンだったよーな・・・
>>558 ロディ・マクドウォールですね?確かに同じ役をやっていますね。
雨宮町子の「たたり」も悲惨なラストだったなぁ
561 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/01/20 22:15
リチャード・レイモン「殺戮の<野獣館>」(扶桑社ミステリー)
'80年の作品。釈放された元夫の復讐を恐れた主人公親子、そして惨劇の連鎖を終わらせ
ようとする二人の男が、数々の虐殺事件の舞台となった通称「野獣館」のそびえる田舎町
で出会った。解決の努力虚しく増え続ける「野獣」の犠牲者、そして出会う者全てを血祭り
にあげながら猛追する鬼畜のごとき元夫!際限なくふるわれる暴力と飛び散る血飛沫の
果てに生き残るのは誰か!?衝撃の、まさに衝撃のラストまで休みなしのノンストップホラー!
スプラッタパンクの雄、レイモンのデビュー作。エログロ満載の悪趣味系ですが、途中で感覚が
麻痺してラストまでワクワクしながら読めてしまう。ラストは「あれ?途中で読み違えたかな??」
とページを繰り直すほどの衝撃度です。ケッチャムとは仲が良かったらしく、インタビューでもその
親密さが推し量られますが、残念なことにレイモンは2001年に54歳でお亡くなりになられたそうです。
バーカーが拓いたホラーの新境地を拡げていく有力な作家として期待されていただけに、その死は
残念でなりません。合掌。
562 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/01/20 22:16
ディーン・R・クーンツ「ファントム(上・下)」(ハヤカワ文庫NV)
'83の作品。山間の町スノーフィールドの住民500人が一夜にして消滅した!偶然町を離れていた
ペイジ姉妹とその通報に駆けつけた郡の保安官たちは、無人のホテルの一室で「太古からの敵」
と殴り書きされた鏡を発見する。捜査をあざ笑うかのように一人一人犠牲者は増え、軍の化学戦
対応部隊も驚異の前には無力だった。「太古からの敵」とは何か?人類はその無限とも思える力
の前に屈するのか?名手クーンツが放つ、一大エンターテイメント・ホラー!
面白い。掛け値なしに面白い。私は途中でページを繰る手を止めることができずに、徹夜してしま
いました。ラヴクラフト的な「超絶的存在」と歴史上の謎の「消失」事件をからませる魅力的な
ストーリー、そして見事に描かれた逃げ場のない登場人物たちのつのりゆく恐怖感。ぜひご一読
いただきたい逸品。2000年にベン・アフレック主演で映画化されたらしいですが、私は観ていません。
どーせ…やめときましょう。原作主義者の独り言です。
>>561-562 どっちも読みましたが
恐怖館タンとは趣味が合うのかなぁw
「殺戮の・・」はラスト読んで妙に(;´Д`) ハァハァ しましたが・・・
クーンツが出るとマキャモンも来そうですが、
個人的にはマシスンが好きです。
短編だけど「激突」や吸血鬼ものの「地球最後の男」なんか(・∀・)イイ!!
>>563 「タン」など付けられるとむず痒くなってしまいますね…
「殺戮の…」は続編も邦訳されているようですので読んでみたい。
あと、実はマキャモンはまだ読んだことないんですよね。
英国正調怪談やラヴクラフトの方に偏っていたので、モダンホラーは
キングくらいしか…それで今濫読している最中です。今読んでるのを含めて
3冊控えてますから、その後にマキャモンいってみようかと思っています。
とりあえず「スティンガー」か「スワンソング」辺りから。
565 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/22 04:28
そういえば、サカキバラは社会に出てきてるんだっけ?
作家になりたいみたいなこと言ってたけど、保護観察下で
何か書いてるんだろうか。
みなさんはサカキバラの書いた懲役13年とか恐い感じがしましたか?
それからあれ以外の文章は犯行声明以外は殆どないのですか。
マシスン、大好き!
キングも昔(1986年2月頃)のインタビューで、
「いまやっていることを教えてくれたのは、あのリチャード・マシスンだよ」と答えていますよね。
現実世界のリアルさをホラーに持ち込んだ先駆者なのでは? まししゅん。
あ、そうそう。『13のショック』は絶対外せない。読んで〜!!!!!
ジェイムス・ハーバートの『霧』、どうしても古本が入手できません。これ面白いですか?
自分は伝奇ホラーが好きなもんで、坂東眞砂子の作品は結構おもしろかった。
「死国」「狗神」「蛇鏡」「蟲」と、短編集の「葛橋」を読了済み。
身が凍るほどの怖さはないけれど、土俗的な雰囲気が何とも言えない薄気味悪さを醸し出しているよ。
自分の中では、「蛇鏡」が一番良かったかな。
皮肉にも、唯一角川ホラー文庫から出版されている「蟲」はイマイチだった。
それにしても、時折出てくる擬音語がいい味出しているねこの人。
「ぶぅぅうん」とか「ひゅううううっ」とか。あと「びゃぅうう、びゃううぅっ」とかも。
>>565 ご期待に沿えるかどうかわかりませんが、『「少年A」この子を生んで…』
という彼の父母の手記が文春文庫から出ていますよ。
>>536 新参者さんお久しぶりです。ハーバートは私も読んでみたい作品のひとつ
です。他にも「鼠」なんか良い作品らしいですね。因みに私が今一番読み
たいのはマイケル・スレイドの『グール』ですね。こちらも絶版ですが…
新参者さんもどんどんレビューお願いします。参考にさせていただきたいので。
569 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/01/22 13:26
レイ・ガ―トン「ライヴ・ガールズ」(文春文庫)
’87の作品。同棲相手に逃げられヤケになったデイビィーが足を踏み入れた
のは、ニューヨークの場末の風俗<ライヴ・ガールズ>。思わぬ至高の体験を
したデイビィーは、体調の変化に気づきながらも通いつめてしまう。その頃
ニューヨークでは残酷な殺人事件が相次ぎ、加害者と思しき人物たちは皆、
<ライヴ・ガールズ>の常連客だった。至高の体験の裏に潜む罠にからめ捕
られていく犠牲者たち。次第に変容していくデイビィーになす術はあるのか?
都会の影に巣食う闇と、人間の欲望の交錯を描いたエロティック・ホラー。
「カルト的人気小説」との解説に惹かれて読んでみたのはいいのですが…
「風俗」という斬新な舞台設定に吸血鬼を絡めた着想、それから「悩める
吸血鬼」というヒューマニスティック後半の展開は評価できます。
が、いささか安直な設定と物語展開。ラストに向かう盛り上がりも今ひとつ。
それから、これは訳文の問題ですが、恐怖シーンに「そこーに、窓があーる」
とか「なーかに、いーれーて」とかお間抜けなセリフが入っていて萎えます。
好きモノのマニアが読んでおけばいいだろうと思われる作品。お奨めはできません…
恐怖館主人さん、どうもです。こんな奴でいいんですか?
それではカキコさせていただきませう。
ですが、小説に関して書く前に。んーと。
>>565 あとは新潮文庫から出ている『「少年A」14歳の肖像』『地獄の季節』(どちらも高山文彦著)あたりかと。
前書にはA少年の作文が載ってますね、卒業文集の。
『文藝春秋』1998年3月号には供述調書とされるものが掲載されております。
内容はかなりキツイです。心して読んだほうがいいです。
高橋克彦の『私の骨』って本が程よく怖かったな
572 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/01/23 19:32
ジョン・ソール「暗い森の少女」(ハヤカワ文庫NV)
‘77の作品。ジャック・コンジャーには二人の娘がいた。妹思いの聡明な長女、エリザベスと、1年前のある
事件以来、重症の精神分裂病を患った次女セーラ。セーラの病気の原因をつくってしまったことで、妻ロー
ズとも険悪な状態の中、近所の子供たちが行方不明になるという事件が相次ぎ、セーラの病状も悪化して
いく。「コンジャー家の呪い」と人々が噂する半世紀以上前の忌まわしい事件。ジャックがその真相を知った
時には、もう呪いの魔手は家族にその爪を延ばし始めていた…
ある評論家はこの作品をある種の「幽霊譚」と読んだようですが、私は極めて巧妙に描かれたサイコ・ホラ
―のように感じました。家族に忍び寄っては引いていく「呪い」の恐怖、なすすべなくじわじわと崩壊し、もう
元には戻れない家族関係。そして暗闇の中で泣き叫ぶ子供たち…決して晴れることのない曇天のような雰
囲気をまとった作品。「救い」もなくラストまで粛々と進行し、その漂う悲壮感は読者を虚しい気分にひたら
せることでしょう。非常によくできた、お奨めできる作品ですが…覚悟はしてくださいね。
>>572 (・∀・)ノ
ジョン・ソールは少女イビリの好きな作家ですよねい
ケッチャムの「隣の家の少女」なんかより陰湿かもとオモタ
574 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/24 22:38
サカキバラ情報色々とありがとうございました。
紹介されたものを少しずつ読んでみようと思います。
ところで、少しスレ違いですが。
>17歳 関東医療で「人の悲しみ」というテーマで作り上げた作品。
痩身の女が頭を抱え、立ち尽くしている。両手で髪をかきむしり、声にならない声を発している。全身で悲しみを表現した粘土による造形―――
それはなんとも言えない見事の像でした。本当に芸術家になれると私たちは思いました。
「すごいよA君。これなら被害者や遺族の人たちに慰謝料が払える。充分償いをしたあとで、社会にもどって生活していけるよ」
教官たちに言われた彼は、こう答えたそうです。
「先生たちは甘い。あれだけのことをやった僕を社会が許すわけがない。僕の作品なんてお金を出して買う人はいませんよ」
――すばらしい新世界 バモイドオキ神の航海―― 高山文彦
なんかは事実なんでしょうかね。懲役13年は引用によるコラージュに過ぎないかもしれませんが、
14歳にしては明らかに達者な文章でしょう。母親像のスケッチもかなり上手かったらしいですし。
文章を一目見ただけで記憶できたらしいし。出所しても生涯監視下に置かれる可能性は高いのですが
サカキバラはこの後の人生で何を行い何を生み出すのでしょうか?
>>573 そうですね。ソールの場合、主人公がミスリードの方に突っ走って
悲劇に向かっているのを、読者はわかっていながら止められない。
普通、誰か他の登場人物が悲劇を止める役割を演じて、読者はほっと
するわけですが、ソールの作品は誰も読者の期待を満たすことなく、
最終的には悲劇の中に取り残し、読者に虚脱感を抱かせる。うまいですよね。
ただ、ソールの作品はだいたい似たり寄ったりの内容とは聞きますが…
「闇のなかの少女」やら
「闇・・」のシリーズ?はみんな似たような内容ですねい。
映画のほうだけど、ダリオ・アルジェントも美少女イビリの好きな(上手い)監督だったなぁ
トマス・トライオン『悪魔の収穫祭(上・下)』(角川ホラー文庫)
ネッドは家族と共に村へ移り住んだ。陽光と土の香り、昔ながらの方法でトウモロコシを育てる農民たち。そこはまさにネッドの考える理想郷だった。
ただ一つ気になるのは、墓地の外にぽつんと建つ墓だった。自殺した若い女のものだというが、村人は多くを語ろうとしない。
次第にネッドの不審の念は強まっていく。
村の歴史を知るにつれ、ネッドは、そこに秘められた魔性に慄然となった。収穫祭の夜、森ではいったい何がおこなわれるのか? 墓地の外に葬られた女の死の秘密とは? 舌を切り取られた男は何を見たのか?
やがて起こるおぞましい事件を機に、ついに村は本性をあらわした。そして訪れた収穫祭の夜――。
土俗とエロスを融合させ、戦慄の猟奇世界を描いた実話的モダンホラーの傑作。
アメリカ本国では1973年刊行。『悪を呼ぶ少年』(角川文庫)に次ぐ第二作目。
私見ですが、クライマックスの祭りは、もしかすると、古き日本の風俗習慣からヒントを得たのかもしれません。
なにせ日本では近年まで、○○のような祭りが行なわれていたり、旅人にわざわざお願いして村に新しい血≠入れてもらったりしていたそうですから。
もちろんそこに死≠ヘなく、あくまでも生≠フための儀式・習慣でありましたが。あまり詳しく書くとネタをばらすことになるので……。
蛇足ですが、トウモロコシと宗教を同時に扱ったホラーで有名なのは、キングの『トウモロコシ畑の子供たち』(扶桑社ミステリー)ですね。
キングがそれを発表したのは1977年。上述トライオンのが1973年。
う、もしかして……。キンちゃんの裏技が出たのでしょうか。。
>>577 坂東真沙子の作風に似た雰囲気だった気がする・・・
キングのは映画化されてシリーズ化もされてたけど、
酷い内容だったなぁ( ´・ω・)
まあキングに限らず、海外ものなんてのは全然怖くないんだけどねw
>>576 扶桑社ミステリーのシリーズですね?結構巻数あるみたいですから、
それなりに売れてはいるんでしょうけどね…
>>577 おお!今日ブックオフで上下巻見つけて買おうかなー…と
迷いましたが、状態の割に高値だったので断念しましたよ…
>>579 恐怖の勘所はそれぞれですのでね。仕方のないことです。
和製ホラーでいい作品がありましたらレビューをお願いします。
581 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/25 22:46
>>579 >>580 逆に海外モノで日本文化で育ったものが
ちゃんと恐がれるものってありますか?
また、そういった文化的限界が生じるのはどうしてなのでしょうか?
>>580 断念したのですか? それはダンネン(残念)ですね。
次回は是非買うべきダンネン。(うわ昔のテレビドラマみたいな変な大阪弁。一応大阪人なのですが…)
>>581 横槍ですが、吸血鬼がまさにそうなんじゃないですか?
かつて日本の怪談は夏、欧米の怪談は冬、というのが基本だったように思いますが、最近はそんなこともない気がします。
文化的限界に関しては、おっしゃる意味がぼくにはわかりませんが、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の諸作品を
なんとなくお薦めしてしまうぼくでありました。(すいません〜)
『怪奇城』菊地秀行(講談社文庫) 初版は昭和63年(講談社ノベルス)。
著者初の短編集。個人的にお薦めしたいのは、同人誌が初出という『眠れぬ夜のつれづれに』。
ごくみじかい作品なので、どう解説したらいいのか……?
男女の腐れ縁・運というものを絡めた切れ味のいいホラー、とでも言っておきましょう。。
ブックオフの100円コーナーにあればゲット!
583 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/01/27 20:13
>>582 当文学館にふさわしい、背筋の凍るような洒落、ありがとうございます…
ロバート・R・マキャモン「狼の時(上・下)」(角川ホラー文庫)
‘89の作品。英国情報部員マイケルは、「人狼」というその類稀なる特性から、スパイとして連合軍の極秘
任務に従事していた。パリの情報員からもたらされた、ナチスの秘密作戦の情報。事によっては大戦の趨
勢を覆してしまうほどの悪魔の計画を阻止すべく、「人狼」マイケルが、パリ、ベルリン、そして凍てつく北欧
の地を舞台にナチスとの死闘を繰り広げる!ホラー、戦争、冒険、スパイ…あらゆるジャンルのエッセンス
を取り入れた、一大アクション・ホラー。
この小説は「恐怖」を求める方には向かないかもしれません。ただ、これほど良くできたアクション・ホラー小
説に、私は未だかつて出会ったことはありません。一連の「007」シリーズや「インディ・ジョーンズ」シリーズ
のように、次から次へと危機に見舞われつつも、それを逃れて敵役に対峙するという、アクション物の王道
を突っ走っています。これと並行して、主人公が「人狼」になるに至った経過を辿ったもう一つの物語も充分
楽しめて、一粒で二度おいしい。絶版ですが、見つけたら迷わず購入されることをお奨めします。
ここはオナニースレかよ(w
>>581 もともと私はミステリファンで、ホラーを読み始めたのもここ一年ぐらいですので、あまり偉そうなことは言えませんが、海外物の怖さは国産物とはなにか異質の怖さですよね。なかなか上手く表現できませんが。
こういった異質の恐怖というものが、
>>581さんの仰るところの文化的限界に根ざす理由は私には解りません。
しいて言えば、異なる文化を背景として日本人が代々怖れてきたものや怖いと感じてきたもの、そういった恐怖心のDNAが我々の中に脈々と受け継がれているからではないでしょうか。
ただ、文化のグローバル化が進む中で、文化的限界という垣根も徐々に低くなってきていて、それとともに、日本人が感じる恐怖も、段々と変容してきているのではないでしょうか。いや、変容というよりは、恐怖を感じるすそ野が広がったというべきかな。
ホラー小説の分野においても、国産物と海外物との異質さの隔たりは、今後次第に無くなっていくような気がします。もちろん、完全に無くなることはないでしょうが。
横レス失礼しました。
ちょっと前までは国産物はホラーかミステリか区別つかんようなのばっかりだったような…。
オカルト系かと思ってわくわくしながら読むと、結局はふつーの殺人事件の話だったとかね。
国産でちゃんとしたホラーが読めるって、いい時代になったと思うよ。
友成純一のエロ・グロ
小池真理子のゾクゾク
坂東真沙子の情念
これらが全部入った小説レヴュキボン
死魔子の「岡山女」ってどうよ?
都築道夫の「十七人目の死神」。マイベストオブ国産ホラーざんす。
>>588 方言きつくない?
今日の昼休みに田中啓文の「牡蠣食う客」読みますた・・・・
読むんじゃなかった_| ̄|○
591 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/28 22:53
日本の吸血鬼ものはギャグ絡みが多いような気がするね。
やっぱりちょっと設定に無理があるのかも。
小野の屍鬼を読んでないからかもしれないが。
厳密に言うと、日本での悪魔の扱いも難しいと思うよ。
キリスト教が浸透してるわけではないので、神の存在が曖昧では
悪魔の存在をどこに置いたらいいのか決定しにくいだろう。
成立しにくい虚構なので、逆に作家の力量が如実に出る面白い素材となるかもしれない。
日本では鬼はなんとかなっても悪魔は馬脚を現わしやすいんじゃないかな。
鬼も余り陰影に富んだ造形はないようだし。
悪の化身については深く追求しない文化なのだろうか。
592 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/28 23:05
田中啓文
なんていうか、読んでて厭な気持ちになるし読後感も
激しく厭〜・・・
私には合わないらしい・・・。
岩井志摩子
『岡山女』なんかはなかなか面白く読めましたよ。
『ぼっけいきょうてい』よりくどくないっていうかあっさりと。
593 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/28 23:08
「墓地を見下ろす家」は怖いには怖いけど、
なんと言うか、詰めが甘い気がした。
どうして、あの家族だけが狙われることになったのか言及されてないし。
地下に降りる方法も普通他にもあるだろ〜と思ったし…。
なんだか田中啓文は不評のようですね。むしろ彼の作品を「面白い」
と感じる私の感覚の方がどうかしているような気もしますが…
それから、怪奇文学の領域で言えば、「輸入」素材をどんなに加工しても
その製品は「純国産」にはならないでしょうね。確かに巧みな加工を施した
作品は多いですが、もとのマテリアルが外国産なので、その「加工品」
感はどうしても否定できないでしょう。「吸血鬼」なんて言われても、わが国
の歴史的コンテキストにはどうもしっくりこないですしね。
しかし、わが国にも誇るべき分野があって、やはりトップは「幽霊物」でしょう。
古典の時代から「幽霊・怨霊」は国民の心にしっかと恐怖の根を張っていますし、
情念の深さ・しつこさはどんなモンスターもかなわない。「リング」や「呪怨」
が外国人を震え上がらせるのも、その本質である「情念」が彼らには新鮮な恐怖
なのでしょう。地獄の鬼よりも、それはリアルな感覚をもたらしますからね。
ただ、その「幽霊物」も海外文学の影響を免れ得なかったのか、
古典における「情念」の意味合い、すなわち登場人物の因果に係る
情念・怨念のフレームが、いつのまにか「偶然に」情念・怨念を
受ける羽目になったという設定に変わったのも事実でしょうが。
こう考えると、アイテム(キャラクターも)ではなく、新たなフレーム
とうまく合体できたという意味で、「幽霊物」が海外怪奇文学とわが国
の固有の怪奇文学との幸せな結婚だったという見方もできますね。
>>586 >国産でちゃんとしたホラーが読めるって、いい時代になったと思うよ。
禿同です。
逆に今は、オカルトチックに(非現実的に?)謎を解決するミステリ作品もありますよ。
てっきり本格物だと思って、犯人を推理しながら読んでいたのに、
最後の最後で「なんじゃこりゃ!」っていう感じ(笑)。
現在のミステリ界は、なんだか停滞しているような感じ。
未だに横溝や清張を越える作家や作品は出ていないし。
それに比べてホラー界は勢いがあるね。射程範囲が広い分、無限の可能性を秘めているような……。
>>592 「岡山女」今度読んでみようと思います。
「ぼっけぇきょうてい」は、結構面白かった。
こういう、おどろおどろしい伝奇小説は、これぞ純国産という感じ。
597 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/29 02:17
ここの住人の方にとって
三津田信三 ってどうですか?
ホラーなのかミステリなのかちょっと微妙な作家さんなんですが
和風ホラー好きな私は面白く読めました。
『作者不詳ーミステリ作家の読む本』と『百蛇堂』と『蛇棺葬』
しか読んでないんですがホラー仕立てのなかにミステリが入ってて
どちらかといえばミステリファンは×かもしれないんですが
私はミステリ苦手なんですがすんなり読めました。
お化けもちゃんと(?)出てきますよ〜(w
598 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/29 04:01
P・ハイスミス
静かに恐い。なんでもない人生のささやかな局面に潜む恐怖。
幽霊などは殆ど登場せず、時に超常の存在が描かれるときは苦い救済であることが多い。
冷たい恐怖なので、クリーチャー好きなどには食い足りないだろうし、
そうでなくても欝気分が増すことが多いだろう。まあ、米国で受けないわけだ。
長編は退屈でもあるので、短編集を薦める。
でもレンデルのほうがずっと面白いやという向きも多いかな。
加門七海
「怪談百物語」これから読みます。
ただいま読書中につき感想はまだ書けませんので、とりあえず
600ゲットのみにさせて頂きます。
ちょっと待てよ! いま600に合わせてせっせとレビューの草稿組み立ててたのに!
シャレならんわぁぁぁぁぁ!
たぶんまだ素人の某社短編集のなかに、結構こわい掌編があったのだけど、
名前忘れた。。
603 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/29 15:27
>>596 ミステリーとホラーの境界線は今も昔も曖昧ですね。
遠くは、乱歩や夢野久作の怪奇幻想小説。
現在だったら、貴志祐介の「黒い家」とか。
「黒い家」は社会派ミステリーとしても十分通じるんじゃないか。
横溝の場合は、戦後作品についていえば、
きちっと、論理的に謎解きがなされており、本格派ミステリーそのもの。
味付けとして、怪奇幻想風味をつけ足しただけ。
そこらあたりが、微妙に曖昧な乱歩作品と異なる点。
日本ミステリー界で、乱歩と横溝が並び称される二大巨頭でありながら、
横溝だけが、日本における本格ミステリーの嚆矢とされるのはそういう意味だと思われる。
田中啓文私も好きですよー。
グロ気持ち悪いけど、圧倒される筆力があります。
「塵泉の王」はグロさよりも精神的な怖さがきてました。
605 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/29 22:29
>>603 それだけが線引きではないけれども
事件や惨劇を引き起こした実体や原因を
超常の存在(幽霊など)に帰するかどうかでの分類も
一応有効かもしれない。
その場合、黒い家はホラー色の強いミステリー、
もしくはサスペンスということになるだろう。
どちらかというと超常萎えなほうなので、この区分けは先に
明言しておいて欲しいと思ってしまうのだ。
平谷美樹さんだったかの「呪海」大好きでした。
「ぼっけぇ・・・」も「岡山女」も良かったです。
二口女的な話が忘れられません。
小林泰三さんだったかの(すまん、年で人名を忘れっぽいのだ)
「玩具修理者」もいいですよ。って、流れを切っちゃってすみません。
>>604 すると、あなたもどこかおかしいのかもしれませんよ…?
私は以下のような分類で考えています。すなわち、物語の発端・経過
結末がnaturalかsuper naturalかで場合わけし、nss、sssの場合が純粋ホラー、
nnn、snn、ssn、nsnの場合がミステリ(ないしはスリラー・サスペンス・準ホラー)、
nnsは空中分解のどっちつかずの駄作、snsは…お目にかかったことはありません。
乱歩が曖昧だというご意見がありましたが、私は乱歩の曖昧さこそがその魅力
であり、非常に実験的かつ挑戦的な試みだと思います。乱歩は本邦の怪奇幻想文学
の嚆矢といえますが、横溝はやはり「怪奇風味のミステリ」に過ぎないと私は
思うのです。
>>603はミステリの側から論じておられるようですが、横溝には
乱歩のような「恐怖の素養」がないことはお認めになるのではないでしょうか。
私は怪奇は「論ずる」ものではなく、読者に「感じさせる」ものだと思いますので。
因みに、私も「サイキック探偵」物はいただけません。はっきり言って
あれは反則ですよね。「お前が犯人だ〜っ…て言ってるよ、霊が。」
とか、「殺人現場が見える〜っ…壁にさわるとね。」といった記述を
見るとゲンナリしてしまうのです。最初から「飛び道具」使うのはなしですよね。
ただ、逆にジョン・サイレンスやカーナッキ、フラックスマン・ローや
ヘッセリウス博士のような「オカルト探偵」物は大好きなんですけどね。
>>607 >横溝はやはり「怪奇風味のミステリ」に過ぎないと私は
>思うのです
だから、乱歩=怪奇幻想、横溝=怪奇幻想風味の本格ミステリーだと、ちゃんと書いていますよ。
ただ、横溝の戦前作品には怪奇幻想色が色濃く出ていて、
それは乱歩の影響を強く受けて書かれたものだろう。
確かに、横溝には乱歩のような「恐怖の素養」は持ち合わせてはいない。
しかし、純粋にミステリー作品の評価では横溝>乱歩だと思うし、
それがミステリーファンの間での、ほぼ固まった評価でもある。
だから、乱歩=怪奇幻想文学の嚆矢、横溝=本格ミステリーの嚆矢という評価でいいと思う。
ちなみに、乱歩が横溝の本格ミステリー作家としての才能に嫉妬していたことは有名な話で、
横溝が「本陣殺人事件」を発表して以降、乱歩は従来から目指していた本格路線を残念して、
怪奇幻想文学一本に絞ってしまったのも事実。
あの人はまぼろし〜だったのでしょ〜か
611 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/30 05:29
>>609 非常に明快な論旨。分野における正確な知識。
当該レスに対する読解力。文章にも乱れがない。
それなのに、
>本格路線を残念して、 とは如何がなものか?
>本格路線を断念して、 であろう。
揚げ足を取りたいのではなく、基本的な文章力が
とてもしっかりしてるのに、間違えて覚えられたためか
なされている誤用がちょっと不気味に感じられてしまったよ。
ちょっとミステリーというか、ちょっとホラーすら感じられたというか。
もしかして某Z武君のような状態の方で音声入力でカキコ
してるのかも・・・・とか色々思ってしまったよ。
ミステリとホラーの境界線ですが、私はごく単純に、謎解きと恐怖のいずれに重きを置いた作品か、が重要なポイントだと考えています。
つまり、トリックを含め、謎解きの面白さを読者に伝えることに主眼を置くか、それとも、読者に怖さを感じさせることに主眼を置くかが、ミステリとホラーの分水嶺ではないかと考えるのです(もちろん、恐怖に主眼をおいた物がホラー)。
「黒い家」の場合、確かに超常的現象は介在しませんが、呈示される謎の不気味さ、謎を追ってゆく過程で主人公に降りかかる災厄のおぞましさなどが力強く生き生きと描写されていて、読者を怖がらせてやろうという作者の思いがひしひしと伝わってきます。
十分ホラーに値する作品だと言えるのではないでしょうか。
ただし、ミステリは論理的かつ現実的な方法で謎の解明がなされるべき、という信念が自分にはあるので、
>>596で挙げたようなミステリは、いくら謎解きに主眼が置かれていても「そら反則だろー」って感じで、自分としてはちょっと許せないのですね。
それから、乱歩と横溝のミステリ作品の評価ですが、短編なら乱歩、長編なら横溝という一般的な印象があるようですが、あくまで自分の好みでいえば、横溝の方が面白く感じます。
もちろん、乱歩がつまらないというわけではありませんよ、念のため。
既出のように、乱歩の場合は怪奇幻想作品にこそ、その本領がより発揮されるのだろうと思うのです。
ただ、海外作品を紹介したり、新人を発掘したり、評論を書いたりと、日本のミステリ界の発展に、乱歩が多大な功績を残したということは否定できないでしょう。
一方、横溝については、猟奇的趣味が強くアングラ的な存在で、あまり一般向きとはいえなかった当時のミステリを、大衆文学のレベルにまで押し上げた人だと、私は評価しています。ミステリが市民権を得るのに横溝が果たした役割は大きいといえます。
>>609 ええ、おっしゃるっ通りで、私も決して横溝を「否定」したい訳ではなく、
乱歩との「比較」を申し上げたつもりです。私が誤解を招くように書きこ
んでいたとすれば、ご寛宥いただければと。どちらも多くの愛好者を抱えて
いて、皆様(私も含めて)の贔屓もありましょうから、このような齟齬
も生じる訳で。まあ、ポオとラヴクラフトのどっちが優れているかを比較
するようなもので、答えのあるようなものではないですからね。
しかし、このような議論が行われるようになったことは非常によろこばしい
ことです。レビューと併せてどんどん話題を提供していただければと思います。
614 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/30 18:26
>>612 ミステリーとホラーの境界はそれが妥当かもしれません。
とりあえずsuper naturalに対しての許容度が低く苦手なので、
個人的にはsuper naturalかどうかを示すマークかなにかが欲しいです。
途中でがっくりとか読むのやめちゃったとかになりがちですから。
615 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/30 18:35
「残念」って、上のほうから引っ張って来た
おおぼけギャグだったのか。道理でオカシイと思ったよ。
616 :
ホモ@サピエンス:04/01/30 19:03
あのさぁ、「密室・殺人」て小説あるじゃん、小林泰三の
あれでさ、探偵の扱いについて5つの答えが考えられ、その内真実は1つ
とかって言ってたけどさ、真実って何?それと5つの答えって?
俺はあの探偵は実在するんだと、あとがき読むまで思ってたからさ
おしえて、親切な人
617 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/30 19:06
暇つぶしに何か買おうかと思ってるんですが
小説初心者向けの怖い小説ってあります?
618 :
ホモ@サピエンス:04/01/30 19:12
>>617 へい、坊主
どんなのが好みか言ってみな
殺しまくる異常者がでてくる奴とか
化け物がでてくる奴とか
620 :
ホモ@サピエンス:04/01/30 19:36
初心者だったら小林泰三の短編「家に棲むもの」なんかいいな
化け物やら異常者がいっぱいでてくるから
綾辻の殺人鬼T、Uなんか(・∀・)イイカモ
>>621タソに同意。
617タソのご希望に副えるかと…
623 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/30 23:37
>>614 naturalもののホラーというと、スプラッターものとか?
SFホラーもダメ?
サイエンスホラーはどう?
純正super naturalの怪奇文学は、マシスン辺りを最後に、キングによって
蹴散らされてしまったと思います。良くも悪くも長編化&エンターテイメント
化してしまい、神・悪魔・幽霊・吸血鬼・狼男・異星人等が有していたメタファー
もキングの登場(作品で言えばItあたり?)とともに消しとんでしまった(短篇で
は根強く残っていますが)。「super natural的なモノ」は一つの要素として
は生き残りましたが、娯楽としては物足りないものになってしまったんですね。
ワイドショー的なネタ(殺人・エログロ・サイコさん・社会不安)や、歴史、軍事、
ファンタジー、アクション、そしてミステリとの融合がなければ「ホラー」が立ち行か
ない状況になってしまった。その挙句、今の分類が微妙な状況を生み出しているのでしょう。
キング「以前」と「以後」でホラーの文脈は大きく変貌したのでしょう。
super naturalこそホラーだ!という時代は、もはや遠い過去の話なのでしょうね…
626 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/31 00:53
>>623 血まみれは苦手です〜。
基本的に最終的に合理的説明のできない怪異は登場しない。
もしも超常の存在が登場したとしても、実在と非在の淡いに
揺らぎながら存在し、後は読者の判断に任せるといったような
微妙なものが好きです。
それから普通の作家のホラーでもなんでもない作品から
その作家の恐怖の源泉を見つけ出したりするのが結構好きです。
結局根っからのホラー好きではないのかもしれません。
>>626 何だか某賞受賞者作品の主人公のようなことをおっしゃいますね。
超常現象が起きなくても恐ろしい作品は多いですよ。
例えばジェイムズ「ねじの回転」やジャクスン「たたり」、ソール「暗い森の少女」
にギルマン「黄色い壁紙」、デ・ラ・メアの作品、オニオンズ「手招く美女」…
628 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/31 02:19
>>626 そんなあたなに三津田信三の『作者不詳』はいかがかと思いますが。
ここではナシっぽいんですが敢えて。
>>626 まず手はじめに、清水義範『黄昏の悪夢』(角川ホラー文庫)などはいかがでしょう。
なにげない日常の中に潜んでいる恐怖を描いた短編集です。
全八編中、二編を除いた六編がいわゆるnaturalもので、他の二編も霊的なものは出てこなかった(はず)。
自分的には、「復讐病棟」と「こわい話」が面白かったかな。
古書店の100円コーナーで探されてみては。
630 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/01/31 20:57
フィリップ・ナットマン「ウェットワーク」(文春文庫)
‘93の作品。不気味な彗星が夜空を席巻する中。作戦活動中に不可解な襲撃を受けたCIA非合法工作員
コルヴィーノ。そして、妻の心配をよそに、新米警官として着任したニック。二人はそれぞれの任地で、突然
蘇った「死者」達が人々を襲う姿に驚愕し、戸惑いながらも事態に立ち向かおうとする。押し寄せる暴力と
蔓延する疫病に崩壊していく合衆国。コルヴィーノ、ニック、そして人類はこの脅威に立ち向かえるのか?
「ファンゴリア」誌の元スタッフがそのセンスを惜しみなく発揮したスプラッタパンク長編。
いわゆる「ゾンビ物」の作品。作者がホラー専門誌の元スタッフだけに、過去の「ゾンビ物」作品のあらゆる
要素がちりばめられ、うまくエディットされた作品だとは思います。しかし、作者のオリジナリティがなく、踏襲
の域を出ず、結果として味気ない凡作に終わっているところが残念です。まあ、正価で購ったのはもったい
なかったかな、という感じです。お奨めはできませんね。
異形コレクションの「屍者の行進」とか、海外もので上下巻のアンソロジーものもあったけど
ゾンビ物の小説って良作少ないよねい。
吸血鬼ものは面白いの多いのになぁ〜
吸血鬼は知恵を使いますからね。
それに裏切り・嫉妬・怒り・・・さまざまな人間味を持ち合わせている場合が多い。
だから読者は吸血鬼に共感しうる。
人間性を備えていないゾンビものだと、どうしても似たような物語になると思います。
狩るか狩られるか。傑作にするには、結局、登場人物の人間ドラマで補わなくてはならず、
ゾンビそのものが読者の共感を得ることは望めない。
ま、人間味を持っているゾンビを描いた小説もありますが.......
そのへんにゾンビ小説の限界があるのではないでしょうか。
マキャモンの「ナイト・ボート」も中途半端だったもんなぁ
ところで、コメディーホラーものってあります?
お勧めあったらおながいします。
フランケンシュタインは「元祖ゾンビ」になるのでしょうか?
>>633 「新井素子」なんかは全て当てはまる様な気がしる。
ゾンビの登場理由が元の「由来」と切り離されて、いささかSFライクになって
いるのが一つの原因でしょう。これは映画の影響が色濃い。
翻って吸血鬼は個体の背景あってこその魅力なわけで、マシスンの「地球最後
の男」辺りを除いて、大体はマイノリティでかつ貴族的な「ドラキュラ」の
イメージが大きいのでしょう。同じ死者でも、人海戦術の雑魚扱いのゾンビとは
えらく扱いが違うものですね。
>>633 ミドルトン「幽霊船」やウィルキンズ=フリーマン「空地」辺りが
かなり笑えましたが…いかんせんセレクトが古い…
>>634 原作はお読みになりましたか?「フランケンシュタインの怪物」はF博士と哲学問答
をするくらいの高度な知性と、洗練された会話術を身につけています。
カーロフのアブノーマルな怪物とは全く異なりますし、それこそゾンビとは
格が違いますよ!
ぎゃはは! やーいやーい紙石鹸ー!
今度原作貸してやるよ。実を言うと、俺も速読術的読み方しかしてないけどF。
ていうか、氏は、知ってて質問したんだろ。そう信汁。
恐怖館主人様ありがとうございます。
原作読みました。
「吸血鬼」者もポリドリからはじまり「ドラキュラ」「ノスフェラトゥ」
(あとはキリがない)のようにドンドン時代とともに形(中身)が変わる
その「元祖的」な1例としてあげさせていただきましたが、やはり別ものと
考えた方が良さそうですね。
>>紙石鹸さん
ポリドリを既読だとは恐れ入りました。平井呈一御大が邦訳なさって
おられるそうですが、なかなか手に入れることができませんで。
「吸血鬼」はゲイのポリドリがバイロンに失恋して、嫌がらせに彼の文体
をそっくり真似て出版したという逸話がありますね。思いがけず大成功
したらしく、文豪ゲーテも「バイロンの新作は傑作だ!」とコロリと騙された
そうです。「ゴシック」が久しぶりに観たくなりました。
大石圭の冷めた作風が好きです
けど、友成さんのエログロのほーがもっと好きです
>>633 コメディーとはちょっと違うけど、以前「このミス」で
キム・ニューマンの「ドラキュラ紀元」シリーズがバカホラーとして紹介されてたよ。
ストーリーは割とまともだけど、登場する人々がね。
キョンシーやエレファント・マンから「太陽がいっぱい」のリプリーまで、
知ってるキャラを探すだけでも別の意味で楽しめる。
642 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/02 21:21
ゾンビものって日本人の場合
気色悪いと思うだけで、余り恐くないんじゃないの?
気色悪いというよりも、滑稽な感じがするね。
ゾンビ→パニックホラーの図式さえ破れれば、本邦を舞台にしても案外いい
作品ができそうですけどね…
文学から外れてしまいますが「ゾンビ」ネタの話。
HMVのフリーペーパーを読んでましたら、ゾンビ映画をフィーチュアした
欄があったのですが、そこで紹介されていた新作和製ゾンビ映画のタイトル
がナント「実録外伝 ゾンビ極道」。しかも内容は直球ヤクザ映画なのに
主人公がなぜかゾンビ。愕然としました。
645 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/03 00:33
>>644 そんな無茶な企画通すのって
三池監督じゃないの?
吸血鬼ものは、活字より映像の方が印象に残ってる
クリストファー・リーとかピーター・カッシングとか
647 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/03 01:43
岸田森だとか。
648 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/02/04 01:45
ピーター・ジェイムズ「ポゼッション」(角川ホラー文庫)
‘88の作品。辣腕女性社長アレックスは、愛する一人息子フェビアンを事故で失い、悲しみに打ちひしがれ
ていた。そんな中、彼女の周囲で次々に不気味な出来事が起こり始める。二階の物音、車のワイパーにた
ばさまれた薔薇、異様な湿気を帯び始めたトイレ、そして忍び寄る冷気…これは死んだ息子からのメッセー
ジなのだろうか?霊能者からの不気味な告知を受け、調査に奔走するアレックス。自分の知らない息子の
異様な側面が次第に明らかになっていく中、彼女を襲う霊現象は、次第に彼女に牙をむき始めた…
英国ニュー・ゴシックの旗手、ジェイムズのホラーデビュー作。「憑依現象(ポゼッション)」という極めて古典
的なテーマながら、微妙にねじれた時間感覚と謎が謎を呼ぶ、先の読めない展開には飽きさせられない。
怪奇現象の緩急とその描写が非常にスマートでこれみよがしでなく、恐怖感を充分に味わうことができ、
アイロニカルなラストも堪能できた。また、女性主人公の心理描写が巧みで、彼女の変遷も実に恐ろしい。
なかなかの秀作だと思います。お奨め。
>>645 監督は「発狂する唇」の佐々木浩久でしたよ。
確かに三池臭がしますね。
>>649 三池監督がやったのは「フルメタル極道」だと思います。
先日、不条理名古屋ホラー?の「牛頭」と「着信アリ」を見ましたが、
器用な監督ですね。前者のぶっとび様と、後者の手堅いつくりとの対比が
同一人物の作品に思えませんでした。
文章の上手いホラー作家って誰かな?
ミステリ系だと、前で挙げられている横溝正史なんかは抜群に上手いよね。
特に和製ホラー作家で、これは上手いっていう人いる?
俺は、ストーリーが良くできていても、文章が下手だと萎えるタイプなもんで。
652 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/04 03:52
菅浩江 桜湯道成寺
文章も描写もこなれてて、しかも情念が尽くされており
よかったです。ぼっけぇのような一人語り体。
女流はもともと上手いのかな、独り語り。
独白劇中劇となるので必然的に緊張感が高まります。
ホラー色は強くないですが、化け物に余りリアリティを感じない向きには
適しているかも。
興味があるようでしたら、短いので読んでみることお勧めします。
>>652 サンクス!
菅浩江ですか。初めて聞く名前ですが、今度書店で探してみます。
>>651 上手いというか、独特の癖がある作家としては
個人的には津原泰水と福澤徹三を推したい。
津原は『妖都』が講談社文庫から出てるし
三月に『ペニス』も文庫化されるらしい。
入手しやすいやつから読んでも損はない。
福澤は『廃屋の幽霊』というのをこないだ読んだけど
気だるい日常に潜む不気味な影の出し方が面白かった。
黒沢清の映画に近いテイスト。
655 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/04 19:29
菅浩江はもともとSFですよ。
SFの有名な賞を連続受賞している。
とりあえず同氏のホラー作品だけ狙って読んだら。
評価されてるだけあってなかなか上手いとは思う。
津原泰水でしたら、以前ここでご紹介した短編集「蘆屋家の崩壊」
(集英社文庫)もお奨めです。よろしかったらどうぞ。
みなさんサンクスです。
菅浩江に津原泰水と福澤徹三ですね。
あした、ブックオフ逝って探してきます。
658 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/02/06 20:56
ピーター・ベンチリー「ビースト」(角川ホラー文庫)
‘91の作品。「それ」は深海を漂っていた。はるかな昔日から人類に恐れられながら、謎のヴェールに覆わ
れていた「それ」はとても、とても飢えていた…「バミューダ・トライアングル」と称された海域で細々と漁を
営む男、恋人を海の事故で失った傷心の軍人、「それ」に愛する子供たちを奪われ、復讐に燃える大富豪、
そして、「それ」の捕獲のためには手段を選ばない野心家の科学者。彼らはそれぞれの理由で「それ」を追
い求め、無謀とも思える戦いに決着を着けようと、命を懸けた。
あの「ジョーズ」の原作者が放つ、海洋パニックホラー。物語のフレームはほとんど「ジョーズ」と一緒で、新
鮮さには欠けるが、非常に細かい描写によって生まれる臨場感に、思わず引き込まれた。ホラーというよ
り、良くできた海洋パニック物といった作品。ベンチリーの邦訳にはあと一つ、「海棲獣」(角川ホラー)とい
う作品があるようですが、こちらの方がよりオカルト色が濃いようです。ホラーとして読むと物足りないかも
しれませんので、その点はご注意を。
スティーヴン・キング『秘密の窓、秘密の庭』(表題『ランゴリアーズ』・文春文庫)
「あんた、おれの小説を盗んだな」で始まるサイコホラー。勘の良い人はおわかりかと思いますが、
全体的に文章の贅肉が削ぎ落とされており、あくまで私見ですが、最近のキング作品では最も良い
出来ではないでしょうか。ただし最近といっても、アメリカでは'90、日本では'96刊行ですが・・・。
物語は合理的な解決をみせるものの、ラストのラストで超自然的な余韻を残します。傑作です。
ベストセラー作家モート・レイニーは、妻と離婚して別荘に一人で住んでいる。
ある日モートは不審な男の訪問を受け、おまえに小説を盗作されたと因縁をつけられる。
もちろんそんな覚えはない。が、否定するも相手は納得しない。
「おれはこの短編をおまえの短編集が発表される1年前に書いた」と断言する。
だが問題の作品は、実は短編集刊行より3年も前にエラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン誌に
掲載されたものだった。モートはこの年月差を指摘して身の潔白を力説する。
すると男は「なら作品が掲載されたEQMM誌を見せろ」と言う。
しかし手元に雑誌はない。別れた妻に譲り渡した家にあるから3日待ってくれと言って、
なんとかその場を切り抜ける。ところがその夜、元妻の家が何者かに放火され、全焼する。
659の訂正です。すみません。
× 「おれはこの短編をおまえの短編集が発表される1年前に書いた」と断言する。
○ その男は「おれはこの短編をおまえの短編集が発表される1年前に書いた」と断言する。
661 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/07 00:28
つーか、誰か和製ホラーのレビューを頼む
申し訳ないが、洋ものは読む気しない
>>661 では、こういうのはどうでしょうか?
貴志祐介『クリムゾンの迷宮』(角川ホラー文庫)
藤木芳彦は、この世のものとは思えない異様な世界で目覚めた。あたかも火星を思わせる深紅色の奇岩の連なりが広がっている。
ここはどこなんだ? そばに置かれた携帯用ゲーム機がメッセージを映し出す。
「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された…」
我々を拉致した目的はなんなのか? 脱出は可能なのか?
だがそれは、血で血を洗うゼロサム・ゲームの始まりだった。
刊行当時、当時ブレイクしていたバトロワとの比較もなされた貴志ホラー長編第四弾。
プロットは比較的ストレートですが、それを補って余りあるアイデアが光っています。
貴志氏の文体は独特の個性があり、本作品も例外ではなく、三人称の小説ながら、
あたかも一人称を思わせるものがあります。好き嫌いは当然あるでしょうが、
ひとつの試みとして評価できるのではないでしょうか。
663 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/07 03:18
誰か和製悪魔の解説をやってくれませんか?
悪魔を和製で作り上げると余り恐くないのですが、
輸入物をどのように捉えているのかよく分かって
面白いと思うんですよ。
「和製悪魔の肖像」などというタイトルで
荒俣か種村季弘風の考察本があったらいいのになァ。
日本には洋物にあるような「悪魔」の概念ってないような気がする。
仏教で言うマーラあたりがそれに近いかとも思うけど。
仏教では地獄も更正の為の場所みたいな感じで、閻魔やら鬼やらも
裁判官とか役人って感じだから邪悪な存在ではないしね。
和製悪魔の解説って、水木しげるの妖怪大辞典みたいなものになりそう。
貴志は必ずと言っていいほど作品中に動物ネタと精神ネタとsex描写を織り交ぜるよね。
いや、好きなんだけど。
>>661 うぉれもそうだったよ。ラヴクラフトもキングもクーンツも途中で挫折していた。
それが去年の六月から何の苦も無く読めるようになった。何故かは知らん。
666 :
新参者 ◆EKNnjDCuA2 :04/02/07 13:48
>>665 「必ずと言っていいほど作品中に動物ネタと精神ネタとsex描写を織り交ぜる」
なるほど。ぼくがなぜ貴志さんのファンなのか、理由の一部がわかったように思いました(笑)。
(よくよく考えば、オカ板で自分が参加するスレも、その手のものが多いんですよね......)
ただ、貴志さんのS描写、せめてあと数行やってもらいたいといつも思うのです。少し淡白かと。
>>666 新参者タンも貴志ファンでしたか。
実は俺もそうです。
「青の炎」だけ読んでませんが。
>>665 別に洋ものが嫌いな訳じゃないんです。
ただ、カタカナの名前とか場所とか物とかが出てくると、
おぼえるのが面倒で、感情移入しにくい・・・・
だから、洋ものは映像(ビデオやドラマ)だけにしています。
668 :
あなたの後ろに名無しさんが…:04/02/07 23:57
貴志の「クリムゾンの迷宮」や「天使の囀」も然り。S描写は彼は淡泊でつよね。
ところでラウ゛クラフトのホンを探してますが何文庫でしょうか?
海外作品は、翻訳家の巧拙にも影響されるしな。
昔は、乱歩や横溝も海外作品を翻訳されていたけど、
このぐらいの凄い人が翻訳してくれれば、
海外作品のグレードもアップするだろうに。
670 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/08 21:32
おい、みんな〜!
エイリアン2見てるか〜?
見てるよな!
東京に行く機会があったので神保町に出張ってきたのですが、
収穫なしでした…残念。
>>665 私は「波」がありますね。和物、洋物どちらかを連続で一気に読んで、
またどちらかを連続で…といった感じです。最近は洋物ばかりですが、
読むほどに、現代和製ホラー作家は海外作家の影響をかなり受けている
なぁと感じます。過去の作品を追うと、モチーフとか話の展開等、
「あれ?これどっかで読んだぞ…」と思うこともしばしばです。
>>668 もしかするともうどこかでお聞き及びかもしれませんが…
ラヴクラフト単体なら、「ラヴクラフト全集1〜6」(創元推理文庫)
でしょう。他作家の作品も含めた入手しやすいアンソロジーとしては、
外国人作家のものであれば、「クトゥルー1〜12」(青心社)、
「ラヴクラフトの遺産」(創元推理文庫)、「ク・リトル・リトル神話集」
(国書刊行会)辺りでしょう。国内作家のものであれば、「秘神界(歴史編・
現代編)」(創元推理文庫)、「クトゥルー怪異録」(学研M文庫)が
代表的でしょう。
>>669 もしもし!平井呈一大先生をお忘れですよ!
洋物のいいところは、巻頭に主要登場人物の紹介が付記してあるので、
途中で「あれ、コイツ誰だっけ…?」と思っても大丈夫なところですかね?
ありがとうございます。明日早速探しに行きます。
674 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/09 08:05
悪魔分析さんくす。
675 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/02/11 01:13
スティーヴン・ローズ「スペクター」(創元推理文庫)
‘86の作品。「バイカー団」は俺たちの青春だった。小さい頃から苦楽を共にしてきた仲間たちとの毎日は、
あの写真を見れば今でも鮮明に思い出せるほどだ…しかし、ある時期を境に、写真から仲間たちの姿が
一人一人、文字通り「消えて」いき、消えた仲間たちはむごたらしい死体となって次々と発見される。まだ生
き残って、仲間の死の真相を追う「バイカー団」の元メンバーたちは、やがて行方不明になったメンバーの
紅一点に行き当たる。襲い来る「スペクター」とは何か?そして謎の鍵を握るクラブオーナーの正体は?
数々の謎を抱えたまま、「バイカー団」が巨悪の陰謀に立ち向かう、ホラー・スペクタクル!
イギリス版「IT」といっても過言ではないほどのそっくりさんぶりです。スプラッタパンクの影響を若干受けて
いることを除けば、細部はともかくほとんど双子といってもいいほどです。しかも面白いことに、「IT」の出版
年も同じく‘86なんですよ。もしかするとキング先生…?(常習犯だけにキングの方を疑ってしまいます…)
ただ、作品に時代性を反映し、ホラーに留まらず秀逸な青春グラフィティとしても読め、そして「ゴージャス」
な内容から、やはり軍配は「IT」に上がるでしょうか?でも私としてはこっちの方が好みだったりしますが。
676 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/11 02:46
書名は失念したが、角川ホラーから出てる短編集に収録されていた
京極夏彦の短編「厭な子供」。
これは本気で厭だった。
氏の強烈な破壊力に触れて、最悪の不快感に足先から頭まで
ずっぽりと漬かりたい人にはお勧め。
例の井上雅彦慣習のアンソロジーシリーズの中にも
バレンタインをテーマにした短編「厭な扉」が収録されていたのが
こっちは怖くも不快感も何もなかったんだけど。
677 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/11 05:22
異形シリーズですね。
面白いので異形情報求めます。
あぁ、厭な子供って京極だったのか…
なんか醜悪な子供が視界の端に入って最後は…ってやつでしょ?
>>662 それって、「情報」「食料」「武器」「?(忘れた)」の4つのうちどれを手にするかって奴じゃなかったっけ?
だんだん仲間がおかしくなっちゃう様な。
この本欲しいんだけど、タイトル忘れちゃって・・・。
>>679 タイトル忘れちゃってって、662に書いてあるじゃん
クリムゾンの迷宮だよ
おかしくなるのは仲間っつーか食料を選んだ奴等だけどな
遅レスで申し訳ないのですが。
634が言っていた「フランケンシュタインの怪物は元祖ゾンビなのでは?」という意見に同意したいと思います。
人間味をもったゾンビが認められている以上、知的な蘇った死者≠ヘゾンビに該当する、と。
人肉を食うばかりがゾンビではありませんし、
蘇る理由も「謎の宇宙線」「謎の病原菌」「呪術」「高度な人的技術」など、さまざまなものがあるわけで。
ハイチ等、現実の歴史背景は別として、文学史においては、まさにあの作品がゾンビ小説第1号であると。
もしかしたら誤りがあるかもしれませんが、ぼくはそう思います。
拙文失礼いたしました。
厭な子供って、世にも奇妙か何かでやってたやつだっけ?
最後が、色んな風にもとれたラストだったっけ。
違ったらスマソ。
>>681 堅苦しい話になりますが、敢えて反論いたしましょう。「フランケンシュタイン」
の副題は、「…或いは現代のプロメテウス」です。プロメテウスはご案内の通り
大神ゼウスに逆らい、人間を創造したギリシャ神話の神の一柱です。
すなわち、「怪物」は、我々人類の似姿であり、死体を「部品」として使って
いるにせよ、主観的には「人類そのもの」に他ならないわけです。
ゾンビと「創造された生命」の概念は相容れないばかりか、「怪物」
が洗練されていくのに対して、ゾンビは記憶の残滓と本能に頼るばかりです。
それと、「知的な蘇った死者はゾンビに該当する」というご指摘も、いささか
広範に過ぎるように感じます。吸血鬼もゾンビの一種でしょうか?
私は人造人間とゾンビは区別すべきであると考えますね。
人造人間は哀愁が、ゾンビは腐臭がただよってるってことですねい
異形シリーズは、怖くない話に逸品が多い気がする。
好きなのは、マンガだけど人魚食った不死身の殺し屋の話。
あと句読点のないやつ。内容全く覚えてないけど、えらい笑った覚えがある
異形にこだわってる人、そんなにこだわるなら自分でレビュー書いたら?
異形はな…
海だか夏ホテルだかがテーマの時、勘違いしたメンヘルリスカ女が
自分のHPに載っけて一人で喜んでるような寒い上に痛い写真の頁があって、
こんなのが載るようじゃもうこのシリーズも終わりだなと思ったよ。
自分はもう買わない。
688 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/02/14 12:18
スティーヴン・ギャラガー「扉のない部屋」(角川ホラー文庫)
‘88の作品。世界規模の製薬会社、リシンガー-ジュヌー社が極秘開発した新型興奮剤EPL。未だ実験
段階にあったEPLを投与されたジムは、その時を境に現実と幻覚の間を彷徨い始め、精神も肉体も、
衰弱の一途を辿る。苦悶するジムはEPLの正体を探り当て、製薬会社への復讐を決意する。排斥され
た創業者一族の思惑とジムの目的が一致し、巨大企業を相手に奮闘するが…悪夢と現実が交錯し、
追い詰められていく主人公が得た「能力」とは…?戦慄のニューロティック・ホラー。
…と書いたのはいいですが、うーん。正直、面白いとはいえない作品ですね。登場人物の内面描写が
甘すぎるのと、サスペンス的傾向がありながら、肝心の「謎解き」がほとんどなされていない(主人公
が、例外的にある「能力」を身に着けた、「必然性」は?物語の核心と絡む、ある「動物」と主人公の精
心的関連は?など)点。当時としては先進的だったであろう難解なコンピュータシステムに関する記述
なども、話の薄さをカヴァーしようとしているようにしか感じない。唯一、視覚効果を重視している点が
評価できるでしょうか。とかく、お奨めはできません…
私は「異形コレクション」はある種のカタログだと考えています。
いい商品もあればそうでないものも当然ありますし…新人も掲載
されますので、そのセンスを確かめるにはもってこいですから。
不良品の長編をつかまされないための予防策ですよ。もちろん、
作品を楽しむことが第一義的ですが。
>>683 熟考の末(CPU?の周波数が低いもので)、恐怖館主人さんのご意見が正解かな、と……。
広義の意味合いで申し上げたのですが、やはりZとFでは大きく次元が異なりますよね。。。
まこと丁寧なご指摘ありがとうございました!
まだ懲りずレビュー等を考えているぼくは、知らずしてさらなる恐怖の闇へ踏み込もうとしているのかもしれませんね…。
>>607 このスレでも何度か挙がっていますが、
小野不由美「屍鬼」はsnsの分類に近いのではないかと思いますよ。
>>690新参者さん
そのようにおっしゃっては、こちらの方こそ頭が下がります。
今後もレビューの方よろしくお願いしますね。
>>691への4番さん
小野不由美は以前「東京異聞」を読んだのですが、今考えると、この作品も
snsのパターンですね。下手をすると作家の筆力のなさが強調されてしまう
だけに難しいパターンだとは思います。
>>692 おお、言われてみればそうですね。
でも「東京異聞」のsnsと「屍鬼」のsnsは私の中では結構印象が違います。
「屍鬼」の場合、最初のsの後、次のnの部分が物凄く緻密かつリアルに展開するので、
最初のsを違和感なく忘れてnnのような錯覚に陥るほどというか(笑)。
しかも、その寒村社会の濃密な描写である中間nの部分も決して退屈なわけではなく、
舞台での日常が非常に現実的に感じられるようになる役を担っていて、
私はその「屍鬼」のsnsのsnまで読み進めた段階で、
「これこそ私の求めていた小説だ!」と震えが走ったものでした。
このままnが続き、一地方の人間群像劇として終わってもらっても全然問題ないとまで感じていたのですが、
後半にsに戻ってからがあまりに少女趣味(そういう出自の作家だから狙ってやっているのでしょうが)
の展開なところにガックリ来て逆にだれてしまいましたが。
真ん中のnの部分では浮つかない描写にも力量を感じただけに、(あくまで”私としては”嗜好が合わず)残念です。
「東京異聞」等、他の小野作品にもそういう趣味は顕れていますね。
でもあちらの場合反対に、真ん中のnはむしろおぼろげなnであったと思います。
評価としては、私の趣味では「屍鬼」上巻100点・下巻20点という感じですが、
あのボリューム頑張ったという意味でも、一読の価値のある作品かなと挙げておきます。
もちろん
>(あくまで”私としては”嗜好が合わず)残念です。
の「嗜好が合わず」というのは私と恐怖館主人さんとではなく、私と小野不由美と、という意味で書いたものです
>>549 遅レスですが、'63年のロバート・ワイズ監督の「たたり」の方は
原作の雰囲気がかなり再現されていてオススメです。
>>693 少女趣味ですか…なるほど。小野不由美は描写や雰囲気には独特の才能を感じ
ますが、いかんせん、意気込みすぎるのか始末に難有りのようですね。
上巻100点、下巻20点はものすごい落差だと思いますが、
大長編ホラーで100%完成された作品なんてほとんど「無理」なんでしょうね。
キングのいくつかの名作ですらも、どうしても途中で中だるみがありますから。
>>695 原作の雰囲気を映像化するのは非常に果敢な試みだと思います。「ホーンティング」
の方は原作をほとんど離れちゃってましたからねぇ(登場人物の数くらいでしょうか?)。
見かけたらチェックしておきましょう。情報ありがとうございます。
697 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/16 21:19
遅レスでスマソだが、
ねじの回転って
超自然じゃないですか。
極力その要素を排していて
しかも古典的名作足りえるという点では同意しますが。
698 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/16 21:19
699 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/16 21:29
外出かもしれんが
澁澤龍彦の
「魚鱗記」
坂口安吾
「夜長姫と耳男」
中勘助
「犬」
>>697 ええと、おそらく私が過去に、「ヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転」からの朦朧法の系譜
上にある作品として、見事なまでにページを繰る毎に全体が「ねじれ」ていきます。あから
さまに怪異を描くことなく、読者を恐怖の坩堝に叩き込む作品。」と書き込んでいるものに
対してのご指摘かと思いますが、もちろんあの作品は超自然の幽霊譚ですが、ことさらに
超自然的存在をアピールせずに読者に超自然的存在を印象付けることができている、
非常に優れた作品という意味で書き込んだのですが…
そういえばキングについてもいくつか挙がっていますが、このスレでは「キャリー」がほとんど挙がっていませんね。
私の読んだ範囲のキング作品(あんまり読んでいませんが)では処女作にして一番面白かったんですが、みなさんの評価はあまり高くないのでしょうか?
映画→小説の順で観るとどっちも良く思える珍しい作品かと
702 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/02/16 23:40
フレッド・M・スチュワート「悪魔のワルツ」(角川ホラー文庫)
‘69の作品。作家のマイルズは、インタビューのために世界的な名ピアニスト、ダンカン・エリーのもとを
訪れる。ダンカンに気に入られ、マイルズと家族ぐるみの交際が始まるが、異常なまでにマイルズの家
庭に踏み込んでくるダンカンとその娘ロクサーヌには、マイルズの妻、ポーラは辟易してしまう。
ポーラが彼らの目的を図れぬまま、ダンカンは急死してしまう。その日を境にマイルズの態度に微妙な
変化が起こり、家族の周りに不気味な男の影が差し始めたことに気が付いたポーラは、一人奮闘するが
…リストの名曲に載せて綴られる怪奇譚。
言ってしまえば典型的な「悪魔との契約」物であり、「魂の交換」物の作品です。ストーリーの骨子には目新
しい点はなく、むしろ陳腐とも言えます。ただ、「永遠に生き続けるピアニスト」という設定や、やけくそになっ
た主人公が最後にとった行動がもたらしたラストは非常に「その後」が気になります。作者がピアニスト志望
だっただけあって、「音階の雰囲気」の表現はさすがというべきでしょう。思わずラックにあった「メフィスト・ワ
ルツ」を聴き込んでしまいました。ただ、残念ながら物語自体はやはり評価できませんね。
>>700 わざわざすいません。
特に文句つけるつもりではなかったのですが、
最後の最後まで幽霊や悪霊とは言い切れない微妙な線で
現実との接点を残すといったような作品かと思ってしまったからです。
それから既に書きましたが名作だとは思いました。
704 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/17 17:55
アルジス・バドリス
闇と夜明けの間
恐いというより哀しい話
705 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/17 18:44
江戸川乱歩の「芋虫」読みました。
怖いというか、思ったよりも切ない話。前のレスであったけど、
終わりの古井戸のあたりの描写がなんともウマイ。
芋虫を読みながら、帝都大戦の中で南果歩が見る悪夢で、少女が寝ている布団を
めくったら昆虫(?)みたいになっていた・・というあれを想像してしまったよ・・
(((( ;゚Д゚)))
706 :
新参者 ◆EKNnjDCuA2 :04/02/18 01:05
S・キングを読み始めてかれこれ19年になります。全作品を何度か再読してきました。
その経験を基に、独断と偏見に満ち満ちているのを承知で、自分なりにリストを作ってみました。
なお、リチャード・バックマン名義やピーター・ストラウブの共著も含みます。
☆☆☆(死ぬ前に一度は読むべきかと) ☆☆(読んで損はない) ☆(読まなくていいかも)
原書の刊行年代順に記すよう心がけましたが、間違ってたらごめんなさい。ノンフィクションは割愛しました。
新潮文庫
☆☆☆『キャリー』『デッド・ゾーン』『スタンド・バイ・ミー』『ゴールデンボーイ』
☆☆『ファイア・スターター』『クージョ』『タリスマン』『グリーン・マイル』
☆☆『アトランティスのこころ』『骨の袋』
☆『クリスティーン』『ローズ・マダー』『デスペレーション』『レギュレイターズ』
☆『ドリーム・キャッチャー』
扶桑社ミステリー
☆☆☆『ハイスクール・パニック』『死のロングウォーク』『深夜勤務』
☆☆☆『トウモロコシ畑の子供たち』『骸骨乗組員』『神々のワード・プロセッサ』『ミルクマン』
☆☆『バトルランナー』『最後の抵抗(旧題「ロードワーク」)』
集英社文庫 ☆☆☆『呪われた町』
文春文庫(カッコ内にHとあるのは、文藝春秋のハードカバーのみ刊行と思われるもの)
☆☆☆『シャイニング』『ペット・セマタリー』『ミザリー』『ランゴリアーズ』
☆☆『スタンド(H)』『痩せゆく男』『IT』『ドロレス・クレイボーン』『ジェラルドのゲーム』
☆☆『ダーク・ハーフ』『いかしたバンドのいる街で(H)』『ヘッド・ダウン(H)』『不眠症(H)』
☆『トミーノッカーズ』『図書館警察』『ニードフル・シングス』
学研M文庫 ☆『人狼の四季(旧題「マーティ」)』
アーティストハウス ☆『ドラゴンの眼』 ?『ライディング・ザ・ブレット(金欠で立ち読みのまま=未読)』
角川文庫 ☆☆『ガンスリンガー』をはじめとする「暗黒の塔」シリーズ
S・キングのほぼ全著作に言及したため、恐怖小説以外のものを含みますが、ご了承ください。
おー『キャリー』評価高いですね。
でも私は『ファイア・スターター』には☆1つもあげられないかなぁ
「炎の少女チャーリー」まで観ちゃったけど(笑)
まあ評価なんて人それぞれですしね
とか言ってなんですが、どなたかコリン・ウィルソンの「賢者の石」「ロイガーの復活」
読んだ方いましたら聞かせてもらえないでしょうか?
ふーん、深夜勤務は☆☆☆かぁ……
ずいぶん以前に古本屋で手に入れたんだけど、全然読んでないや。
今度読んでみよう。
タリスマンは☆☆☆でおながい
懐かしい。キング。かれこれ十数年前、滅茶苦茶好きで
良く読んでいたよ。
今考えると、暗い子だったかも…w(中学生でした)
その頃は同時進行で、クーンツも好きでした。マキャモンも
出てきた頃かな?今は乱歩を再読しています。
所で、ハヤカワからナイトヴィジョンっていうシリーズ物の
短編集が出てたよね?
確か1巻にキングで、2巻にクーンツとマキャモンとかが
入っていた記憶が…
深夜勤務は面白かったよ。
712 :
新参者 ◆EKNnjDCuA2 :04/02/18 04:53
おわっ、いつのまにかいっぱいレスついてる…。(喜!
さすがにキングの血肉を餌にするとよく釣れる。。。す、すいません。(ひぃぃ)
>>への四番さん 『ファイア…』そうですか。ぼくはレインバードとキャップ、好きなんですよ。
『賢者の石』は前に読みましたが・・・もう、かなり中身を忘れてしまいました。嗚呼。
>>寸善尺魔さん 『深夜勤務』に収録されている10編のうち、少なくとも5編は映像化されていますから、
やはりそれなりのレベルにあると思います。ただ、若いうちに読むべきタイプの作品が多いような気が…。
ぼくみたいにオサーンになると、どれもこれもジョークに思えてくるものですから。でも大好きです!
>>710さん ダメです。『タリスマン』は9割がたストラウブが書いてますから。。。。。すいません、う、嘘です。
まあ、あくまでぼく個人の感想ですので。どうかお許しください。
>>711さん 手元の現物で確認しました。『ナイト…』の1巻目にクーンツ、マキャモン、エドワード・ブライアント。
2巻目にキング、ダン・シモンズ、ジョージ・R・R・マーティンですね。
ここに収録されたキング3作品のうち、「リプロイド」をのぞく2編がキングの第3短編集で読めます。
邦訳では2巻ものですが、先述した『いかしたバンド…』のほうです。「リプ…」は読むに値しませんね。
クージョは映画は救いがあったけど
原作は悲惨なオチだったなぁ
原作のほうがリアルだったけど。
>>新参者さん
力の篭ったキング総評価、感服いたしました。
私はまだ若輩ですので全作とまではいきませんが、あえて不満を申し上げれば
『IT』が☆☆なのは納得がいかないw。『ドリームキャッチャー』が☆なの
は納得と言うより、☆を付けるだけまだやさしいかなとも思いますねw。
ともあれ、ご苦労様です。
715 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/18 10:34
ドグラマグラは中学生の時に読んではまったけど、
それと似た語感の「ゴニラバニラ」という妖怪物も
面白かった記憶がある。
著者は児童文学「ぽっぺん先生」シリーズで有名な
舟崎克彦。
初出は角川の野性時代に連載されていたもので本格的
な怪奇小説として楽しめる。
角川さん、文庫で復刊してください。
716 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/18 10:40
ダン・シモンズの「カーリーの歌」もインド・カルカッタを舞台
にした本格的ホラーとしてとても面白い。
インド行ったことある人なら面白さ倍増。
インドの旅に持って行けば現実と小説が錯綜してバッドトリップを
楽しめる(というか昔、初インド旅行に持って行ってそうなった)。
ハヤカワさん文庫復刊してください。
717 :
新参者 ◆EKNnjDCuA2 :04/02/18 16:00
>>恐怖館主人さん
うう。←なんだこの第一声は???
やはり『IT』に着目されましたか。最も恐れていた部分に鉤爪を食い込まされた思いで、こちらこそ感服
というか、びびってしまいました(笑)。たしかに『IT』、三ツ星にしようか大いに迷ったんです。
しかしながら、大長編には辛い評価をする傾向にあるぼくですので。。。ことキングの場合、話が長くなれば
なるほど、文章が平易になりがちだと思うんですが、もう少しなんとかならないか、と。あまりに平易すぎて。
無論、訳文の影響もあるでしょう。漢字が妙に少ないですしね、この作品。「におい」とか。文章に締まりがない
と言えば酷評すぎるかもしれませんが、とにかく、そういう面がぼくには合わなかった。(うわ〜偉そう。やばー)
なんと言いますか……そのう、「もう少し陰気臭い、凝った文章を」読みたかったです。たとえそれが「超訳」でも。
>>新参者さん
そのご指摘もわかるんですよね。キングは一時期、枚数重ねるのが至上命題
かのように「辞書サイズ」本を連発してましたから、どうしても中だるみが
できてしまう。回想シーンとかがやたらと長くて読み手を疲れさせてしまい、
物語の本質がうやむやになってしまうのでしょう。正直、短編の方の「はじけ
っぷり」の方が、読んでて面白いw
>>716 「カーリーの歌」はNVに吸収されましたが、まだ増刷されていると思いますよ。
余談ですが、最近アマゾンで絶版作品の蒐集にいそしんでいるのですが、
ソノラマ文庫海外シリーズの某巻に付いた価格がナント10000円。
状態にかかわらずこのシリーズは3000円は下らないみたいですね。
いつか全シリーズ「大人買い」を敢行したいものですが…
>>706 扶桑社ミステリー評価高いですね。自分も好きです。
ロングウォークも良いですけど短編集のB級っぷりがたまりませんな。
さりげなくクトゥルー神話が入っていたり、“霧”のような秀作もあったり、と。
個人的には某作品に出てくるエース・メリルがMVPなのですが。
>>718 あ、恐怖館主人さんどうもです。
>「カーリーの歌」はNVに吸収されましたが、まだ増刷されていると思いますよ。
アマゾンで著者ダン・シモンズで検索したらリストアップされなかったのでてっきり
絶版になったのかと思ってました。
「カーリーの歌」で検索したらちゃんとありました。
でも著者名ナシで何故か訳者名のみ記載されてる。
そういえば「幻想文学」67号でも「カーリーの歌」が特集されているみたいなので
今日書店に行ってみます。
久しぶりに「カーリーの歌」の魔都カルカッタ窒息するよな暑さと熱さ、汚濁と暴力
不可解宗教の混とん世界に浸ってみたいと思います。
読んだら夜中にトイレで行けなくなるとのキャッチコピーのホラー
中島らも「こどもの一生」を読み終わりました。話にならない凡作でした。
あとがきで著者本人がこの作品を自信たっぷりに自画自賛しているのが非常にショックでした。
同氏の「ガダラの豚」はそこそこ好きだっただけに、この方はヤクで本当にイッちゃったんだなと悲しくなりました。
人体模型・・・は
まァまァだったのだが。第3の目を開ける話がよかった。
723 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/02/21 22:32
ピーター・ストラウブ「ゴースト・ストーリー(上・下)」(ハヤカワ文庫NV)
‘79の作品。チャウダー協会の面々は悪夢に悩まされていた。夜毎交わされる怪談話のせいか、それとも
一年前、不慮の死を遂げたメンバーのことが気になるせいか…悪夢の原因を探るべく、死んだメンバーの
甥を招こうと決めた協会だが、その最中、また一人メンバーが謎の自殺を図る。忍び寄る不気味な影にお
びえ、困惑するメンバーたち。自分たちの経験した怪談と、甥の作家の実体験に登場する人物がシンクロ
したとき、半世紀前にメンバーたちが犯した事件の記憶が蘇り、同時に町は吹雪に孤立した…東西の怪談
を引用、パロディ化し、その中に潜む真実を流麗な筆致で描いた究極のメタ・ホラー。
大傑作です。「呪われた町」へのストラウブ流の返答にして、「IT」に繋がっていく架け橋。多数の登場人
物の会話と視点で編まれ、ともすれば混乱しがちな物語構成ではあるが、ストラウブ一流の筆致により、
それを読者に感じさせないのはさすがと言える。あらゆる世代に読んで欲しい逸品であり、私自身、これ
から5年、10年先、必ず読み返すであろうと確信させられた。ただ、これほどの作品でありながら、現在
絶版状態であるのは非常に遺憾。古書店で探してでも堪能いただきたいと思います。大いにお奨め。
坂東真砂子のホラーイイ!このスレには結構ファンがいるようでよかった。
小松左京はさすが、という感じ。
ホラー書かせても確かに美味いんだけど、ホラーやSFに比重が少ない
オールマイティーな作家(例えば高橋克彦とか)のホラーは
ゾクゾクしたもんを感じない。
高橋の例の
「紅い記憶」(短編集)だっけ? あれなぞは手堅くまとまっていて割りといいと
思いますよ。でも恐さが全然足りないというかもしれませんが。
726 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/02/26 01:09
トム・ホランド「真紅の呪縛」(ハヤカワ文庫NV)
‘95の作品。幻といわれた「バイロン卿の回顧録」を求めてルースヴェン卿の修道院に忍び込んだ
レベッカは、思いがけず、吸血鬼と化して200年の歳月を生き続けたバイロンその人に遭遇する。
自らの血をひくレベッカに、バイロンは古の日々の思い出、そして吸血鬼と化した苦悩を吐露する。
トルコ支配下のギリシャ、退廃の都ロンドン、友人たちと暮らしたスイス、そして吸血鬼の都ヴェネ
ツィア…各地を流浪し、死者の王として全てを手に入れたバイロンが、再び訪れたギリシャの地で
まみえた真実とは…?史実とファンタジーが交錯する壮大な伝奇ホラー。
ブックオフの100円コーナーで見かけて何気なく購った作品でしたが、なかなか読ませる作品で、非
常にお得な気分になりました。アン・ライスのスタイルの踏襲と、ラスト部分の拙速はご愛嬌ですが、
それを差し引いても、ダーク・ファンタジー系ホラーとして充分楽しめる内容。バイロンやポリドリ、
シェリー夫妻等、怪奇文学通ならニヤリとしてしまうような登場人物や舞台設定。また、ライスと異なり
作者の「不死の存在」へのポジティヴな態度にも好感が持てます(ライスはどうもギスギスして苦手)。
続編「渇きの女王」も本作以上にパロディ、引用、剽窃を多用し、マニアを楽しませてくれそうです。
既に確保しておりますが、しばらく寝かせて楽しみに取っておこうと思っています。
727 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/03/02 13:13
ムリエル・グレイ「トリックスター(上・下)」(角川ホラー文庫)
‘94の作品。ネイティヴ・カナディアンのシャーマンの末裔サムは、そのインディアンとしての過去を捨
て、白人の妻、二人の愛する子供と共に平穏な暮らしを送っていた。しかし、町で不可解な殺人事件
が起こり始めてから、彼と家族の運命の歯車が狂い始める。なんらかの儀式を髣髴とさせる凄惨な
死体、事件の前後に記憶を失ってしまうサム。そして町を跳梁する謎の影…警察や住民は次第にサム
に疑念の目を向け始め、サムと家族が窮地に立たされたとき、忘れ去ったはずの「過去の記憶」が
蘇り、迷信でしかなかったネイティヴの悪霊「トリックスター」の存在が現実化する…雪に閉ざされた
極寒の地を舞台に悪霊との死闘を描いた作品。
ネイティヴを主人公に据えたホラー作品は珍しく、物語の粗筋もなかなか面白いのですが、作者が
力みすぎていて上巻ではやたらと場面転換し、時間感覚や登場人物が混乱し、意識がストーリー
に非常に移入しにくい。その反動か、下巻ではディティールがあいまいになり、読み進めるごとにいき
あたりばったりになっていき、話が崩壊の一途を辿っている。65もの断章で構成されているが、本来
この手のストーリーに適合する方法論ではなく、本作の場合、くどさを感じる原因になっている。
インディアンの文化風俗を詳細に描き、端役の人物を整理し、場面転換の位置をずらすなどの
「ゆとり」があれば、感情移入もしやすく、もう少し評価は高くなったかもしれない。
保守しておきましょう。
>>726 「真紅の呪縛」面白かったですか。私も実は100円で買って、積読状態でした。
さっそく読んで見ます。
書評、いつも楽しみにしています。とても参考になります。
730 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/03/10 02:38
チャールズ・L・グラント「ティー・パーティ」(ハヤカワ文庫NV)
‘85の作品。近隣の住人が忌み嫌う町外れの土地に、ひっそりと佇んだまま歳月を重ねる
不気味な石造りの屋敷ウインターレスト。持主不在のこの屋敷に謎の買い手がついた時
から、静かだった町に次々と異常な出来事が起こり始める。季節外れの嵐、起こるはずの
ない地震、幻覚の火事、そして常軌を逸した速度で成長する胎児…戸惑う人々のもとに
ウインターレストからティー・パーティの招待状が届く。半信半疑の住人たちが屋敷に集っ
たとき、呪われた恐怖のパーティがはじまった…「雰囲気派」の名手が編み出す驚愕の
ホーンテッド・ストーリー
バーカーの登場以来、二極分化したホラー界の一翼、ストラウブからの系譜に連なる
「雰囲気派」の看板作家の代表作。多要素のエンターテイメント的な傾向にあったモダ
ンホラーの潮流の中で、ワン・アイディア(しかも大枠は決して新規なものでもない)で
ここまで読ませる作品を書けるのはさすがと言うべきか。怪異本体へのアプローチの
仕方(チラリズム?)がとにかく絶妙で、クライマックスの盛り上がりにも十二分に満足。
のちにクリス・カーターと組んで初期Xファイルのノヴェライズにも参加しているようで、
初期作品のダークな雰囲気と彼の作風がどのようなマッチングを見せているか、機会
があれば読んでみたいところです。
>>729 そうおっしゃっていただけますと、心強いです。
つたないレビューですが、今後ともよろしくお願いします。
さて、早川書房が過去のホラー・幻想文学の名作三点を復刊する
そうです。早いところではもう書店にならんでいるのではないで
しょうか?ダンセイニ卿「ぺガーナの神々」、ホジスン「異次元
を覗く家」、ヒル「黒衣の女」。いずれ劣らぬ名作ぞろい。この
機会にいかがでしょうか?
>>恐怖館主人様
ラブクラフト初心者です。
ブックオフで「ラブクラフトの遺産」「タイタス・クロウの事件簿」を百円コーナーで見つけました。
買って、読んだ方がいいでしょうか。
ラブクラフトは、まだ創元推理の「ラブクラフト全集(1)」しか読んでいません。
私のラブクラフト未読分のネタ割れ等はありませんか?
>>732 「ラヴクラフトの遺産」は、F.P.ウィルスンの「荒地」、G.マスタートン
「シェイクスピア奇譚」等の純粋な名作や、ファンが思わずニヤリとする
ような、G.ウィルスン「ラヴクラフト邸探訪記」といったユーモア溢れる
作品も収録されており、ぜひ一読をお奨めします。
「タイタスクロウ〜」に関しては、作中でラヴクラフト作品に登場する
ある人物の息子が重要な役回りを演じていますが、ネタが割れる程では
ないでしょう。読んでいただいてかまわないと思いますよ。
先に読みやすい周辺作品から攻めてHPL作品に切り込むもよし、その逆
であっても充分楽しめることは請け合いです。ただ、ちらちら登場する
アイテム(地名・魔術書名・人名等)までくまなく楽しみたいということ
であれば、全集を先に読まれた方がより、マニアックな楽しみ方といえる
でしょう。
>>733 素早いご回答、ありがとうございました!!
売り切れるとまずいので、すぐ買いにいきます!!
735 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/03/15 00:07
友成純一「幽霊屋敷」(角川ホラー文庫)
‘95の作品。河童伝説が現代まで息づく熊本県山中の小村、国見村。幽霊屋敷と揶揄
される村はずれの巨大な洋館に謎の一家が越してきてから、村はおろか、周辺の都市
でも謎の誘拐事件が続発し、それに呼応するように河童を見たとの目撃証言が急増す
るようになる。一家の長女の美貌の虜となり、ついには行方不明になった友人を追って、
高校生の正樹たちが不気味な洋館に足を踏み入れた時、一家の当主らが生涯を捧げた
おぞましい「実験」はすでに佳境を迎えていた…クトゥルー神話と日本古来の伝説を融合
させた筆者三年ぶりの書き下ろし長編。
グロテスクな描写で卓越した筆力を持つ友成純一の長編作ということで期待して一気呵成
に読んだのですが、悲しきかな、友成氏の作品の中でもこれはかなり出来の悪い部類に
入ってしまうのではないでしょうか。あまり独創性を感じないプロットと、露骨にクトゥルー神
話のアイテム、HPL作品登場のキャラクター等をちりばめすぎている点、そして持ち味であ
るグロ描写がおとなしすぎる点などから、実に味気ない作品になってしまっている。
氏の神話系作品としては「地の底の哄笑」(学研M文庫「クトゥルー怪異録」収録)が秀逸
だっただけに、非常に残念。
また物語のキーにもなる魔術書「妖蛆の秘密」の作者をフォン・ユンツトと誤表記しており、
神話マニアの落胆を誘うのも悲しい(※正確にはルドヴィク・プリン)。
>>735 (・∀・)ノ
菊地秀行の初期の作品はスプラッター映画に縛られたのが多かった気がしますが、
友成の初期の作品は他を圧倒する怒涛のエログロ攻勢がよかったですねい
737 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/03/15 00:43
てst
738 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/03/16 16:56
白石一郎の短編の「怨霊譚」
怖いをとおりこして凄まじい。
非常に下らないのですが、
田中啓之世界のバ・・・・・・神。
バモイドオキ神。
これは、”彼”もかつて読者であって、
そのヒントになったのでしょうか?
740 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/03/17 23:48
スーザン・ヒル「黒衣の女」(ハヤカワ文庫NV)
‘83の作品。お気に入りの素晴らしい家で、温かい家族に囲まれて過ごすクリスマス。この日
だけはあの思い出に怯えずに過ごしたい。あの館で体験したおぞましい出来事と、その後に
ふりかかった不幸のことを…駆け出しの弁護士として初めて任された仕事は、<うなぎ沼の館>
と呼ばれるうら寂しい屋敷に住んでいたさる未亡人の葬儀への参列と、遺された書類の整理
だった。葬儀の場で出会った不気味な雰囲気をまとった黒衣の女、館の周囲で夜な夜な聞こえ
る子供の叫び声、そして館の子供部屋から聞こえる謎の物音…私にまとわりつく黒衣の女は
何かを訴えているのか?それとも…?純文学畑の作者が新たな境地を拓いた、現代に蘇った
正調怪談風ホラー。
83年に書かれたのが信じられないような、英国正調怪談風の作品。M・ボウエンやC・アスキス
のような、男性作家よりもよほど悲劇的幽霊譚の名手だったヴィクトリアンの女流作家の筆を
思い起こさせます。ただ時代がかっているというだけではなく、古い時代の犠牲者となった女性の
情念、ヒタヒタと寄せては返す怪奇現象の按配、クライマックスからラストにかけて二重に仕掛けら
れた戦慄の山場といった、怪奇小説として、十二分に合格点を出せる内容になっています。
日頃、モダンホラー以降の作品に慣れ親しんでいる方には新鮮でしょうし、正調怪談ファンにも
自信を持ってお奨めできます。早川書房の復刊フェアで新品でもご購入いただけますので、この
機会にぜひどうぞ。
>>736 友成作品の一番評価できる点は、私もそこだと思います。
他を寄せ付けぬというより、普通は付いていけないあの
怒涛のグロ描写。読後感じる一種の陶酔感。まさに読
者を選ぶ作家ではありますが、そこがやはり一番の魅力ですね。
742 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/03/18 04:23
筒井康隆いろいろ出てるけど、
漏れは少年向け小説「緑魔の町」に一票。
百戦錬磨のホラー好きも、初心に戻って(藁
頭を空っぽにしてからよんで下さい。
なんか懐かしい、透き通った「追われる怖さ」を味わえます。
>>742 追われる怖さと言えば、
作品名忘れちゃったけど筒井の短篇で
相撲取りに追いかけられるのもありましたねい
相撲取りに追いかけられるって言うと
京極夏彦のどすこい(仮)を思い出します。
ノベルス版になったら(安)になったけどヽ(´ー`)ノ
>>743 「走る取的」
遠藤徹『姉飼』読了。妄想としては面白いが話に深みがない。
巧くは言えないが、どこか詰めが甘いというか。
むしろ同じアイディアでじっくり長編を書いたら生きる人なのでは
ないかと思う。
「姉飼」は立ち読みしたけど、買う気にはなれなかったなぁ。
なんか、雰囲気はいいんだけど、それ以上の物がない感じがして。
同じ本に入っていた他の短編はどうだった?
そっちのが気になってる。
747 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/03/22 19:55
デイヴィッド・マレル「トーテム」(ハヤカワ文庫NV)
‘79の作品。検死中に突然蘇り人を襲う死者、凶暴化する動物たち。町の住民たちは次々に襲
われ、また一人と彼らの群れに取り込まれていく。8年前にあった大きな事件以来、平穏に過ご
してきた住民たちはパニックを起こし、町は混乱状態に陥る。住民のほとんどが町を捨て逃げ去
ろうとする中、都会の喧騒に疲れ一度は警官を辞めた経験を持つ警察署長のスローターを中心
に町を守ろうとするグループが立ち上がる。狂犬病とは異なる未知のウィルスに脳を侵され、「先
祖帰り」した死者の、狩の始まりをつげる咆哮を合図に、残された住民たちとの死闘の夜の幕が
上がる!映画「ランボー」の原作者、マンハント小説の名手マレルが「呪われた町」にインスパイア
されて書き上げたという、<吸血鬼・人狼>テーマの新機軸!
本職は大学教授というマレルが、キングに触発されて書き上げたというホラー処女長編。111もの
断章で構成され、スピーディーな展開や緊張感の高まりを見事に演出している。凡百のパニック物
と本作が異なるのは、マレル独自の<吸血鬼・人狼>解釈とプリミティヴ信仰のイメージを象徴的に
織り込むことによって、そのオリジナリティが存分に発揮されている点であろう。ラストがいささか
駆け足気味なのと、一部解釈するに足りない伏線があるところが実にもったいないが、それでも
十分鑑賞に堪える作品である。マレルはホラープロパーの作家ではないが、いくつかホラーテーマ
の中短編があるようなので、ぜひ他の作品も追ってみたい。お奨め。
スレタイに沿わず恐縮なのですが、実家の押し入れから珍しい物が出てきましたのでご紹介させていただきます。
『幻想画集 ヴァージル・フィンレイ T・U』 青心社
ヴァージル・フィンレイは、アメリカの幻想怪奇専門誌で活躍した挿絵画家です。
上下2巻からなる本書には、1932年から1969年までの作品、加えて最晩年の作品と思われるものが
収録されております。全集ではありません。商業誌デビュー作をはじめ、厳選された名品が収められているようです。
創元推理文庫『ラヴクラフト全集』の表紙としてお馴染みのPORTRAIT OF H.P.LOVECRAFTや、
あのアーカム・ハウスが刊行したラヴクラフトの作品集THE OUTSIDER AND OTHERS(アウトサイダー及びその他の物語)
の表紙など、有名どころがしっかりセレクトされています。
絵ゆえに作者の言葉こそありませんが、作品そのものが物語性を有し、見る者の心に暗黒の感動を与えてくれます。
挿絵とは元来そういうものですが、なかでも彼の作品には、独特の強烈な力が感じられます。
フィンレイの挿絵がかの『ウィアード・テイルズ』に登場したのは1935年12月号。同誌きっての人気作家だった
ラヴクラフトは翌年9月、フィンレイに書簡を送り、冒頭いきなり「私は熱狂的なフィンレイ・ファンであります」と
記していることからも、当時のフィンレイ登場の興奮がおわかりいただけるのではないでしょうか。
>>748 のわっ!新参者さん久しぶりに現れたかと思えば、超レアな画集を
お持ちですね!私もしばらく探し回ったことがありますが、マニア
向けの為か手放す人がいないようで、現在は市場にほとんど出回っ
ていないようです。それにしても実にうらやましい…
どこいってもラブクラフト全集が見つかりません
すいません。どれくらいの大きさの本ですか?
>>750 図書館の文庫コーナーに結構あった気がする
長い事行ってないから今はどうかしらんが・・・
あぁ!図書館!ありがとう。
私、根暗ヤローなんで本屋で
「〜はどこにありますか?」
とか聞けないんですよ…
文庫コーナー、行ってみます
恐怖館さんと読むものが似通ってる・・・当り前か
ブリジット・オベールの「ジャクソンビルの闇」も読んでたりしてますか?
続編の「闇が噛む」なんかはイマイチでしたねい
だれか、最高にサイコな奴紹介して。鬱はいるような奴。悲劇ものおk。
あと、奇形の出てくる小説で乱歩以外。
たのんます!_| ̄|○
ここの住民なら、こんな無茶な注文にもきっと答えてくれる!・・・かな。
>>754 ケッチャムの作品なら大抵おっけだと思いますねい
奇形ものもあったよーな・・・
>755 ごめそ。それはもう読んだんだ・・・・。(;´Д`)
しかも、何気にクリーンヒット。つい最近読み終わったとこだよ。
あの作者、もしかして、このスレでは有名?
>>753 いつも当館を訪れていただきありがとうございます。
今のところ英米以外の作家はノーマークだったので未読ですね。
フランス人作家なんて「怪奇小説傑作集4」止まりです…
ぜひぜひレビューお願いします!
>>754 私もケッチャムの一連の作品はお奨めです。主に扶桑社ミステリー文庫
で出版されています。レイモンなんかもぶっ飛んでますね。この二人はいい。
サイコだと手近なところでキング「ハイスクールパニック」「クージョ」
「ミザリー」、マキャモン「マイン」。それから私が今読んでいるダン・
グリーンバーグ「ナニー」なんかも隣のサイコさん的なストーリー。
ブロックの本家「サイコ」なんかも映画とは一味違います。
「ジャクソンビルの闇」
ゾンビものです
描写が結構エグイです。ノリがバーカーや友成に近いかも・・・
街の住人が次々と襲ってくるってシチュは多いですが、
キングの「呪われた町」なんかとは違い展開がスピーディーでサクサク読めます。
ただ敢えてキングの作品を意識してる個所もあり、勿体無いとも思いました。
ダン・オバノン監督あたりに映画化して欲しいって思ってしまったw
駄作の多いゾンビものの中で
暇つぶしには充分応えてくれる作品だと思いますよ〜
薄っぺらいレビュースマソ・・・・・
>>754 ちくま文庫の海野十三集などは?「恐しき通夜」「三人の双生児」は、
かなりイッちゃっている話だと思う。奇形もの?らしき短編も収録。
サイコものといっていいものか・・・「聖女の島」(皆川博子)は悲劇的幻想ミステリー。
個人的にお薦めです。
レスありがとうございます!!
どれも面白そう・・・・。
ネットで調べて、好みの奴をぜひゲッチュしたいです。
奇形物、ないないと思ってたけど、まだ知らないのが
結構あるみたいですね。捜し方が足りないか。^_^;
やっぱりここの人達は沢山読んでるだけあるなぁ。
761 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/04/01 17:49
「春にして君を離れ」アガサ クリスティー(ハヤカワ文庫)
ホラーでもミステリーでもないのですが、私にとっては一番怖かった小説です。
主人公の善意が周りの人には悪意になってしまう物語です。
読み終わったあと、自分自身、他人に親切の押し売りをしていないかと不安に
なりました。
762 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/04/01 22:16
ダン・グリーンバーグ「ナニー」(新潮文庫)
‘87の作品。育児と仕事の両立に疲れ、何かと衝突するフィルとジュリーのプレスマン夫妻。
上司のアドヴァイスに従って雇ったナニー(住み込みのベビーシッター)のルーシーは期待
以上に優秀で、育児はおろか、若夫婦の世話までそつなくこなし、プレスマン夫妻を満足させる。
しかし、必要以上に家庭生活に干渉し、高圧的な態度をとるナニーに辟易したフィルが解雇
をちらつかせてから、ナニーの態度は一変する。自らが理想とする家庭像を夫妻に押し付け、
夫妻を支配下に置こうとするナニーの手から逃げ出した一家を追って、もはや「ナニー」という
名の魔物と化したルーシーが邪魔者を屠りながら肉迫する。ナニーの魔力に次第に衰弱して
いく妻子を、果たしてフィルは不死身の「ナニー」から守ることができるのか?
後述する一点を除けば実にユニークかつ非常に恐ろしいホラー小説。出産・育児という、未
経験者にとってはただでさえあらゆることが未知の領域であり、不安と、恐怖すら誘う出来
事を題材にし、それに加えてベテランとして有無を言わせぬ態度をとるだけならまだしも、
もはや狂気に近い信念を持つナニーが登場し、夫妻に投影された読者の不安・恐怖感はま
すますつのってゆく。これであとは不気味なナニーの出生がいささかでもオリジンなものであ
れば名作といっても良かったかもしれない。しかし残念なことに非常に月並みな設定になっ
てしまっており、この点が最初に述べた本作品の瑕疵となってしまっている。ここで読者の興
醒めを誘ってしまう可能性も高く、自信をもって「お奨め」とは言えない作品。
>>761 奇しくも同じような題材の作品になりましたね。
親切な態度の裏側には誰でも少なからず下心があるものですが、
それが過度になるともはやホラーのネタだということですね。
クリスティーやエラリー=クイーンといったミステリの方で名を
なした作家たちも、いくつかホラー風味の作品を残しているよう
ですね。既読の方がいらっしゃったらレビューお願いします。
>762
確か映画にもなってましたよね。原作とは大分違ってたけど。
和田はつ子の「ラブ・ミ−・プリーズー侵蝕ー」(角川ホラー文庫、2002年7月)
読み比べてみて下さい。笑っちゃうから。
出来は「ナニー」の方がずっと上だけどね。
保守
766 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/04/07 19:50 ID:lf209Rnj
レビュー待ちage
レビューというほどじゃないかもしれませんが……。
スティーヴン・キング『スタンド T』(文春文庫)
新刊です。あのバカ重たい「スタンド」がいつでもどこでも読める! というわけで推薦。。
ジョイス・リアドン編『ローズ・レッド エレン・リンバウアーの日記』(ハヤカワ文庫)
かのウィンチェスター館を想起させる広大な屋敷を舞台にした物語。全米で放送されたミニシリーズ『ローズレッド』は、
脚本をキングが手がけている。本書はそのノベライゼーションではなく、関連図書に相当する。地味な幽霊屋敷談が好き
な人にお薦め(つまり派手さがないのです)。
それにしても編者ジョイス・リアドンはうさんくさい。正体はキングではないのか、という噂も。
まあ、すでに作者の正体はバレているようですが。。ある意味、これが本書最大の謎なのかもしれません。
スティーヴン・キング/ピーター・ストラウブ『ブラック・ハウス 上・下』(新潮文庫)
「タリスマン」ファン待望の1冊!(ま、上下2冊ですが)。あのジャック・ソーヤー少年の20年後の姿がここに!
LA市警の敏腕刑事になっているジャック。食人鬼フィッシャーマンによって続発する少年少女誘拐事件。なんとも
面白そうなのでありますが、2月下旬に購入してから、未読の状態が続いています。つい先日、あろうことか、掟破り
のパラパラ読みをしてしまったのですが、うーん、やはり期待できそうです! かぁぁ! 読みたいぃぃ!
未読なのにお薦めしちゃいます。
ジョン・ソール「ミッドナイト・ボイス」(ヴィレッジブックス)
02‘の作品。夫が通り魔に殺害されたため、二人の子供を抱えて生活に窮乏するキャロライン。
ある日出会ったトニーは金持ちで子供好きの紳士、そして住まいは「セントラルパークの大妖館」
と称されるロックウェル。彼と結婚してロックウェルに移り住んだキャロライン一家だが、その日
から子供たちが悪夢に悩まされ心身の変調を訴え、次第に衰弱しはじめていく…親切な隣人た
ち、何不自由ない生活、そして新しい優しい夫。キャロラインが掴んだかにみえた幸せな生活の
すぐそばで蠢く不気味な影の正体は…?キングやクーンツに並ぶ名手ソールが紡ぎ上げた戦慄
のサスペンスホラー!(監督ソダーバーグ、主演J・クルーニーで映画化予定。)
たまには新刊のレビューをと思い手にとってみたのですが、これは失敗でした。いわゆる「吸血鬼」
ものの作品ですが、大分量の割に心理描写が薄っぺらでどうにも登場人物に感情移入できない。
ストーリーにも意外性がまるでなく、肝心の恐怖描写もいまひとつ。
これがかの「暗い森の少女」を上梓したソールの作品とは思えないほどの不出来です。彼の作品
に共通する「子供いじめ」という特徴は生かされているものの、それ自体もやはり「暗い森〜」を
越える程ではない。名作と呼ばれる作品を残した作家は、その後その作品を基準に評価される
わけですから、ソールには気の毒なところではありますが、残念ながら良い評価はできません。
769 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/04/11 20:14 ID:sFFho3ED
マイケル・スレイドの名作「グール」が創元推理文庫により復刊
されていました!ぜひご一読を!
ポーの「アッシャー家の崩壊」がケンケンガクガクだった
>770 昔読んだけど忘れたなァ。どんな内容だっけ?
>>771 兄と妹が・・・・・・・・・
なんだっけ?
>772
妹が死んだと思ったら生き返って、びっくりした兄も死んで屋敷は沼だか湖だかに沈む話ですね(ウソではない)
そんな大雑把な。(w
もう少し詳しく文学的に説明してけろ。
>774
>そんな大雑把な。もう少し詳しく
はーい・・・(´・ω・`)ショボンヌ
語り手は親友ロデリックの招きに応じて旧家アッシャー家を訪れる。
ロデリックの唯一の血縁者、双子の妹マデリンは病気で死にかけていた。
心身ともに不安定なロデリックのため、館に留まる語り手。
やがてマデリンが死に、ロデリックは遺体を安置所に仮埋葬する。
ロデリックの憂愁は深まり、その心は病んで行く。
埋葬から数日後の嵐の夜、妙な物音に起こされた語り手はロデリックの部屋へ向かう。
「あれを見なかったのか・・・僕らは彼女を生きながら埋葬してしまったんだ!」
叫ぶロデリック。その時部屋に屍衣を纏ったマデリンが入ってくる。
マデリンはロデリックに覆いかぶさって息絶え、ロデリックもまた死ぬ。
逃げ出した語り手の目前で館は崩れ、沼に沈む。
復活する死美人、はポーが好んだテーマですね。「リジイア」「ベレニス」とか。
>775 ありがd。そして乙!
久しぶりにポーが読みたくなりました。図書館にでも行くかなぁ。
>776
ポーの作品、いくつかは青空文庫で読めますよ。
アッシャー家も。
黒崎緑の「未熟の獣」
最後の三段オチに驚愕した。
怖すぎる
779 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/04/19 11:53 ID:GH5VjPA3
s
780 :
への4番:04/04/20 01:55 ID:+dO17cd/
>>754 奇形:親指Pの修業時代
鬱入るようなやつ:十七歳、悪の履歴書(ある意味「隣の家の少女」の上位互換)
>>758 続編は最低でした。奇をてらいすぎ・・・
781 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/04/22 20:04 ID:hMWxStko
ロバート・R・マキャモン「アッシャー家の弔鐘(上下)」(扶桑社ミステリー)
‘84の作品。ポオが取り上げた「アッシャー家」は実在した!冴えないホラー作家リックス。彼は世界
的な兵器製造会社を束ねる父ウォーレン危篤の知らせを受け、忌み嫌いながらも郷愁をさそう一族
の故郷、アッシャーランドに帰りつく。先祖が築いた巨大な“ロッジ”、迷い込んだ子供をかどわかすと
いう、怪魔パンプキン・マンが跳梁するという不気味な森、一族の業病アッシャー病に侵され生きなが
腐れ果てていく父親とその遺産の行方を巡っていがみ合う兄妹…一族を嫌悪するあまり、その謎に
包まれた歴史を暴露しようと調査を開始するリックス、弟を怪魔にかどわかされ復讐を誓う超自然の力
を秘めた少年、そしてアッシャー家に人生を踏みにじられた女記者。それぞれが追い求める謎の焦点
が“ロッジ”に絞られた時、悪魔の仕掛けた陥穽が三人を飲み込まんとゆっくりと口を開け始める…
大家マキャモンが仕掛ける、驚愕のホラー・クロニクル!
先般、「アッシャー家の崩壊」が話題となっておりましたので、ストックからセレクトしてみました。さすが
マキャモン、登場人物が実に魅力的で生き生きとしています。心理の機微を巧みに描き、緊張感あふれ
るストーリー展開、そしてポオに捧げられたとあって、随所に散りばめられた彼の作品へのオマージュ。
サービス精神旺盛なマキャモンのテクニックが存分に発揮されています。もちろん、ポオのファンでなく
とも充分楽しめることは請け合いです。ただ…雰囲気に比して、肝心の謎解き部分が若干味気ないもの
になっているのは否めません。それでも、怪奇小説ファンをニヤリとさせるアクセサリーと設定にはうな
らされます。時間とお金に余裕のあるファンはぜひご一読を!
エロ&グロみたいのでなんか教えて!
784 :
への4番:04/04/24 21:44 ID:8zgpYjYZ
785 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/04/27 16:49 ID:2URkuWB5
はじめてオカルト板に来ました
というより小松左京で検索したらたどり着いた
ラヴクラフトといえばゲームブックの「暗黒教団の陰謀」をもってます
表紙がヴァージル・フィンレイで挿絵が山田章博の
あとクロノトリガーのラヴォスも異次元の色彩が元ネタ
SFで怖い小説はドウエル教授の首。作者はベリャーエフ
人間の尊厳とかを冷酷に陵辱する心が怖いです
ロシアや中国など大陸系の人は素で怖い考えの人が多いですね
「文通」 吉村達也(角川ホラー文庫)
心理的なホラーかと思います。
レビューはうまくできないので割愛させてください。
文通の相手からの文字がちゃんとそれぞれ、
ただの写植じゃなくて文体かえてあって凝ってる。
最後は強引なまとめかもしれないけど、結構楽しめた。
長らく絶版だった、キング幻の評論集「死の舞踏」がこの程
バジリコ社から装いも新たに新訳で再版されました!
800ページ近くあるヴォリュームですが、キングワールドの
エッセンスを余す所なく詰め込んだ珠玉のエッセイ集です。
キングファンならずともぜひ一度御覧下さい!
>>786 >>787 今後とも当館をよろしくお願い致します。
新旧問わず、どんどんレビュー&感想してくださいね。
コリン・ウィルソン『宇宙ヴァンパイアー』(新潮文庫)
85年公開の映画「スペースヴァンパイア」の原作、といったほうがわかりやすいのかもしれません。
ですが、本書の中身の濃さは、映画の比ではありません。
宇宙飛行士たちが発見した謎の超巨大宇宙船。それは長さ80キロ近くもある、一万年以上前の傷ついた難破船だった。
内部には、烏賊とも植物ともつかない巨大な異質の生物の群れ。さらには人間としか思えない男女も。
それらはみな死んでいるらしい。宇宙飛行士たちはヨーロッパ合衆国¢蜩摎フの命により、男女の死体≠回収する。
地球に持ち帰られた未知の生命体のうち一体は、妖艶な美女の姿をしていた。
やがて、彼女に心奪われ犯そうとした者が、たちまちのうちに生命を吸い取られるという事態が発生する。
そしてSPACE VAMPIRESは研究所から逃げ出し、殺人を繰り返し始める。
人から人へ乗り移り、巧みに姿を隠しながら……。
SFホラーとしての小道具も品揃え豊富で、さらにはブラム・ストーカーの「ドラキュラ」、性心理学、
錬金術等にまで及ぶ記述はいかにもコリン・ウィルソンらしく多彩で、読者を飽きさせません。
ぼくは94年に小さな古書店で買いました。おそらく現在絶版なんだと思いますが、明言はできません。
もし絶版であるならば、新潮社さんにはぜひ再発刊をお願いしたい。
手元にあるのは当時150円で買ったボロボロの本ですが、大切な1冊です。表紙の女裸体写真も乙。
手塚治虫の作品で似たようなのがあったなぁ。題名憶えてないけど。
知ってる人いない?
792 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/05/05 14:17 ID:+4uH2Kdc
キャシー・コージャ「虚ろな穴」(ハヤカワ文庫NV)
‘91の作品。「ぼく」−詩人気取りのレンタルビデオ店員―と元彼女のナコタがアパートの倉庫でみ
つけた「愉快な穴(ファン・ホール)」。30センチかそこらの小さな穴だが、どうやら底なしのブラック
ホールみたいだ。興味を示したナコタは、瓶詰めの虫やネズミを置いたり、死体安置所からかっぱ
らった人間の手首を釣り糸でたらしてみたりと様々な「実験」を繰り返す。異常な結果に興奮した
彼女は、よせばいいのにビデオカメラで中を撮影しはじめた。映っていたのは何だか気味の悪い、
観るたびに姿を変えるおかしな生き物。映像に憑かれ、とうとう自ら穴の中に飛び込もうとする彼
女を止めようとした「ぼく」は誤って片手をファンホールに突っ込んじまった…片手に開いたミニチュ
アのファンホール。その日から次第に変容していく「ぼく」の体。いったい「ぼく」はどうしちまったんだ?
長編処女作としてB・ストーカー賞、ローカス賞の栄冠に輝いたダークでシュールな新感覚ホラー!
権威ある賞のダブル受賞という鳴り物入りで登場したコージャですが、私にはあまり、いやまったく
理解できない作品でした。ストーリーが理解できないというのではなく、何と言うか「ピカソの作品が
理解できない」という感覚に近いものを抱いてしまいました。世の中感受性が鋭いのか「ピカソ」を
愛でる方も多いようですが、私には向かないようです。それと邦訳の問題なのか特に前半は文章が
稚拙・断片的で読み進めるのに実に苦労しました。読了するまでやたらと時間を要した作品で、し
かも読了後の消化不良に起因するモヤモヤ感を抱いてしまうという、ある意味で「問題作」です。
とことんダークでシュールな本作品。もしかすると「すごい」作品なのかもしれませんが、コージャの
長編が本作品以降邦訳されていないことを鑑みると、なかなか理解は得られなかったようです…
793 :
への4番:04/05/05 14:25 ID:W9wc+Y03
理解できなそうと言えば、クチュクチュバーンって、どんな話なんですかね?
794 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/05/05 15:29 ID:B2Rtj6f3
>>792 あなたがそう言って下さると、心強い。
「虚ろな穴」は、私も読了までにえらく時間がかかり、しかもどこが面白いのかさっぱりわからず、
悩んでいました。
金返せ!
ホラー作家の生の声を......
高橋克彦『ホラー・コネクション』(角川文庫)
ホラー作家七人との対談集。2001年刊。
ゲストは荒俣宏、岩井志麻子、小池真理子、瀬名秀明、都筑道夫、丸尾末広、宮部みゆき(収録順)。
やはり、というか……いちばん物騒な発言をしたのは岩井先生でしょうか。静かに怖い。。。
東雅夫『ホラーを書く!』(ビレッジセンター出版局)
インタビュー集。1999年刊。
登場するのは朝松健、飯田譲治、井上雅彦、小野不由美、菊地秀行、小池真理子、篠田節子、瀬名秀明、皆川博子、森真沙子。
巻末に付いている「日本ホラー小説年表」もありがたい。
友清哲『新人賞の極意』(二見書房)
作家10人のインタビュー集。2002年刊。
ホラー専門書ではありません。登場するホラー作家は貴志祐介、五十嵐貴久の御二方のみです。
いかにして作家になったかという話や、デビュー後の苦労、テクニックの披露など、興味があおりの方はどうぞ。
とくに貴志タン(あわわ)のお話は、涙なくしては読めません。。。
スティーヴン・キング『小説作法』(アーティストハウス)
2001年刊。初版は表紙にキングの顔写真が使われていましたが、最近リニューアルされたようで、顔写真が…。
タイトルどおりの内容から、少年期、青年期の想い出、諸作品の成功談・失敗談に至るまで、いつもの饒舌さで
面白おかしく語ってくれています。さらには、1999年6月に妙なおじさんの車にはねられて危うく死にかけ
た話も。これまた涙なくしては読めません。。。話が痛すぎます。ほんとシャレになりません。
>>793 『ハリガネムシ』の著者だとは知っているのですが……ぼくは未読でして。ハイ.....
ひっ!!(汗&赤面)
795 興味があおり→興味がおあり
は、恥ずかしい........
797 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/05/09 18:37 ID:ar9cGfvl
G・K・ウオリ「箱の女」(ハヤカワ文庫NV)
‘00の作品。人里はなれた森の中、ハンター相手に獲物の解体を請け負っていたエレン。彼女は
偶発事故で愛する夫に箱の中に三日も閉じ込められ、その時から夫と離れて暮らしている。
町の住人との関係をほとんど持たずひっそりと暮らす彼女の友人は「わたし」の一人娘、ウィルマ
だけだ。事故の衝撃から次第に回復しながらビジネスを軌道に乗せたエレン、たった一発の
銃声から全てが一変するまでは新しい環境を楽しんでいたエレン。なぜ彼女は200発もの銃弾を
撃ち込まれなければならなかったのか?四人の婦人警官とエレンの間に何があったのか?
そして親友を殺害され怒りに燃えるウィルマがとった行動とは…?小さな町で交錯する憎しみと
愛情。復讐に燃える静かな女の狂気を描いたサスペンスホラー。
帯の「風間賢二氏熱狂」というコピーや裏書のあらすじがあまりにもサスペンスたっぷりに書か
れていたのでてっきり純正サイコホラーかと思ったのですがとんでもない。確かに復讐に燃える
女の情念、(キング調の)閉鎖的な町に飛び交う「箱の女」を巡る猟奇的な噂などは描かれて
いますが、やはりホラーというよりはサスペンスの領域の作品ですし、原題”An American Out
rage”からも、作者が意識したのは擬似ドキュメンタリーによる「アメリカ的」なるものの暗部を
描くことであり、これを前提に読むのであれば面白い作品といえます。ただ早川書房さん、まぎ
らわしいあらすじとテーマを外れたタイトリングは止めていただきたいものです。勘違いして
「???」となった方もいらっしゃるのでは…?
>797
>偶発事故で愛する夫に箱の中に三日も閉じ込められ
意味がわからん
>>798 ああ、失礼しました。
「夫の不注意が原因で(工具)箱の中に三日も閉じ込められた」
ということです。言葉足らずで申し訳ありません。
800 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/05/12 11:47 ID:s97z+xQO
浅野、成宮、龍平 究極のトリプル主演実現 オムニバス映画「乱歩地獄」
◆「火星の運河」(竹内スグル監督、主演・浅野忠信) 男(浅野)は暗黒の森
を歩きつづけている。やがて現れた沼で、ふと自分の体を見ると、恋人とそっ
くりな雪のように白い女の肉体となっていた。
◆「鏡地獄」(実相寺昭雄監督、主演・成宮寛貴) 昭和24年ごろの鎌倉が舞台。
女たちが次々と変死をする事件が発生。捜査を進める明智(浅野)は、事件の陰
に美青年・透(成宮)の存在があることに気づく。透がかかわった女は必ず、彼
の虜(とりこ)になっていた。
◆「芋虫」(佐藤寿保監督、主演・松田龍平) 屋根裏に潜む平井太郎(松田)は
戦争で両手両足を失い胴体だけになった須永中尉(大森南朋)とその妻(岡元
夕紀子)の生活をのぞいている。愛と残虐性が混在した、その生活の行方は?
◆「蟲」(カネコアツシ監督、主演・浅野忠信) 征木(浅野)は異様なほど内気
な男。親の遺産で、土蔵の薄暗い部屋でひっそりと過ごしていた。あるとき、
少年時代にあこがれた女と再会し、ストーカー行為を続ける。やがて、女を完全
に自分のものにしようと思い立つが…。
芋虫が映画化・・・って(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブルブル
鏡地獄ってそういう話だったっけ??
a
803 :
怖チビ:04/05/12 17:56 ID:Z2oVypUc
田中啓文 「ベルゼブブ」虫が虫が虫があああああ
題名は忘れましたが、鬼が人間の刑事として活躍する話も、スレ違いかもしれませんが、なかなか。
倉坂鬼一郎「屍 船」の、表題と同じ話も、いい感じです。
牧野修 「忌まわしい匣」もなかなか。
>>800 私もニュースで知り、非常に楽しみにしています。
「鏡地獄」は確かに原作とは違う展開のようですね。
>>803 田中啓文といえば、5末か6末にハヤカワ文庫JAから連作短編集
「蹴りたい田中」が発売されます。「茶川」賞作家が宇宙の果てに
旅立つまでを描いた、何やら文学パロディ+クトゥルーのような臭い
がしますが…楽しみです。
805 :
怖チビ:04/05/12 20:00 ID:Sv/dKaOe
>>恐怖館さん
け。「蹴りたい田中」っ?Σ(°゜;)
うわー、楽しみですねえ。情報ありがとう御座います。
綾辻氏は、「フリークス」も良いかと。
「眼球綺譚」の中のゲテモノ食いの話も、結構ぞわっと。
村田基氏の「夢魔の通り道」もおススめ。
短篇集なんですが、淡々とした文が、切なさやグロさを、すんなりと心に染み込ませます。
806 :
怖チビ:04/05/13 08:32 ID:JbYUyFyg
角川ホラー文庫系だと、
☆雁屋 哲 「究極の美味」
さすが、美味しんぼの原作者。食べ物の描写が、とても美味しそうで、
漫画に出てくるメニューなども、ちゃっかり書かれていたりします。
設定や内容は特に突出したものでは無いかもしれませんが、美味に対する執念が、
これでもかとばかりに詰め込まれております。
807 :
熱々親指:04/05/13 11:16 ID:lh0KRYBi
ジョナサン・キャロルは?
「死者の書」
「われらが影の声」
「月の骨」
「炎の眠り」
「空に浮かぶ子供」
「犬博物館の外で」
「沈黙のあと」
「天使の牙から」
“死”と”愛(照” をモチーフにした作品が多い。
ジャンル的にはSFファンタジーかもしれんけど、ホラーやミステリーっぽい部分も結構ある。
小説をまたがって色んなキャラが出てきて、微妙に話が繋がっていったりとか。
キャラも魅力的、熱々親指!
>>807 ジョナサン・キャロルは出す作品という作品が、評論家筋から非常に
評価されていますよね。私はいずれの作品も未読ですが、結構トリッキー
な感じの内容も多いようなのでぜひ読んでみたいですね。
ジョナサン・キャロルの作品はダーク・ファンタジーと言われてるように
ファンタジー色が強いね。語り口も独特。
短編集「パニックの手」と「黒いカクテル」も長編とリンクしてる作品が入ってるね。
「黒いカクテル」のラスト、一体何が…ってすごく気になる。
810 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/05/16 01:46 ID:cOBOIdr/
ジェームズ・ハーバート「ムーン」(ハヤカワ文庫NV)
‘85の作品。リゾート地の女子校で教鞭をとるチャイルズにはその特異な能力のために
抱えた、苦い過去があった。連続殺人鬼の精神に感応し、その現場を「目撃」してしまう
ことで警察に協力し、事件解決に貢献したものの、チャイルズを待ち受けていたのは好
奇の眼差しとマスコミの容赦ない追求だった。家族と離れ密かに暮らすチャイルズ。そ
んな彼が、新たな猟奇殺人の現場を目撃してしまう。…女の腹を切り裂き内臓をすすり…
墓を暴き死んだ子供の心臓をむさぼり…無抵抗の老人の頭を鋸でそぎ落とす…
彼は事件に戦慄するとともに恐ろしい事実に気づく。相手もこちらに気がついている!
自らは望まぬ超能力に悩み続ける男が、愛する家族、恋人、そして生徒たちを毒牙に
かけんと肉薄する狂気の殺人鬼に立ち向かう!英国の大家が解き放つ戦慄のストーリー。
クライヴ・バーカーら英国ナスティ・ホラー作家、米国スプラッタ・パンカーに多大な影響
を与えたハーバート第11作。ストーリー展開はさすがにうまい。プロットの構成が非常
に巧みで、スピーディーかつ緊張感を保ったままラストまで持っていく筆力には脱帽です。
ただ残念な(贅沢かもしれませんが)店が二点。一点目は、多作であるがゆえにネタの
掘り下げが甘く、ディティールへのこだわりがあまり感じられない点。二点目は、ナスティ・
ホラーの大家への期待が大きかったせいか、やや「上品」に仕上がってしまっている点
です。過去の幻の作品「鼠」や「霧」に関して語られる評価を前提とすると、おとなしいか
なという印象ですが、ストーリーとしては充分楽しめます。今後も彼の作品は追っていき
たいと思いますが、これはこれで非常に面白い。お奨めできます。
>>810 記憶違いなら申し訳ないけど、映画化されてませんか?
似たような映画を観たことあるので…
812 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/05/16 03:00 ID:bAtnW3Vi
悲しくて怖くて切ない話なら「ベロ出しチョンマ」と「燈台鬼」が双璧。
813 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/05/17 02:53 ID:2ouyGS4P
>>811 クーンツが似た様な話書いてるよ。そっちは「処刑ハンター」の題で
ビデオ出てる。事故が元で予知能力身につけた登山家が殺人鬼と
対決する話。
>>813 いや、確か高校教師だったと思うんだー。
講義中に犯人を見ちゃうの。
でもクーンツのやつも読んでみよ。
>>813 >>814 まあ、言ってしまえばやや「ありがち」なストーリーではあるんですけどねw
多分、探せばゴロゴロ出てくるはず…ただ、同じパターンでも作家によって
大きく差が出てくるのもまた事実。読み比べてぜひレビューお願いします!
…ってもう夜が明け始めてる…
816 :
814:04/05/18 04:01 ID:p9P/uYSk
クーンツのやつってひょっとしてハイダウェイ?
ずーっと昔に読んだ記憶が‥
817 :
813:04/05/18 16:57 ID:7KnUXTxl
クーンツのは「マンハッタン 魔の北壁」ってヤツだけどね。
粗筋は前述の通りで、なんかノベライゼーション読んでるみたいだったな。
面白いけど、なんか足りない・・ってのが頭から離れない。
818 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/05/18 19:18 ID:MCgVOhuu
ハリー・アダム・ナイト「恐竜クライシス」(創元推理文庫)
‘84の作品。ニワトリ小屋で何かが暴れている。狐か野犬か、めんどくせえが見に行くか…
ショットガン片手に乗り込んだ農夫の前に立ちはだかったのは、何と絶滅したはずの恐竜
だった!封建領主のごとく振舞う大富豪の貴族の私設動物園に秘められた謎を追って、
しがない地方都市の新聞記者デヴィッドとジェニーが目撃したのは古代の怪物どもがひし
めく異常な光景。大富豪の歪んだ野望を阻止すべく奮戦する二人だが、何と恐竜たちが
檻から解き放されてしまう!出会う者・物を全て食いつくし壊しつくしながら、奴らが町に
迫ってくる!「ジュラシック・パーク」の6年先を越した手に汗握るパニックホラー!!
基本的なアイディアは「ジュラシック・パーク」と同じですが、あちらが孤島の閉鎖空間を
描いたのに対しこちらの舞台は地方都市。のんびり暮らす住民が突如現れた恐竜たち
に驚く暇もなく食い尽くされていくさまは、不快感を通り越して小気味よさすら感じます。
人類にとって極めて有害な野望を抱いた大貴族という悪役の存在もソープ・オペラ的な
楽しさがありますし、ラストもこの手のストーリーの定石で、期待を裏切りません。B級ホ
ラーの香りがプンプンするかもしれませんが、グロ描写を散りばめながらも読者を飽きさ
せずにスピーディに展開していくストーリーは、やはり優れた筆力の賜物でしょう。久しぶ
りに文字通りの「徹夜本」に出会えました。お奨め。
ho
ミネット・ウォルターズ
ジョウナサン・ケラーマン
フィリップ・マーゴリン オススメ。
ミネット・ウォルターズ
ジョナサン・ケラーマン
フィリップ・マーゴリン オススメ。
MONSTERSで紹介されてた、
小川勝己の彼岸の奴隷読みますた
ホラーじゃないけどホラーじゃないけど・・・
823 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/05/28 23:17 ID:+Ne8MKX1
スティーヴ・ラスニック・テム「深き霧の底より」(創元ノヴェルズ)
‘87の作品。−「いつ帰ってくるんだね、おまえ」深夜にかかってきた電話の相手は、十年
以上も前に洪水に飲み込まれた父だった…考古学者のリードは、誘われるままこれまで
避けてきた故郷シンプソン・クリークの土を踏む。洪水の原因となった鉱山開発会社は今
だ操業を続け、住民たちは自己欺瞞の中、沈黙を守っていた。しかし安らがぬ死者たちの
怒りは街を覆う深き霧の底から湧き上がろうとしていた。人を襲い続ける熊、不気味な人影
や物音に慄くばかりの住民たち。自らの過去を発掘しようとするリードの背後にも静かに
霧が忍び寄る…止まれぬ怒りに駆られた死者たちの怨念と地霊の怒りが結びついたとき、
空前のカタストロフィが町を襲う。「静かな」ホラーの手練が描く驚愕の結末。
「静かなホラー」の傑作だということで取り寄せてみたのですが、クライマックスまでひたす
ら静かなテンポで進み、最後の最後でグググッと盛り上がるという構成。ただ静かだという
わけではなく、徐々に恐怖感を高め(しかも読者自身が気がつかないほど徐々に)ていき、
クライマックスでそれまで蓄積させた恐怖感を、堰を切ったように解き放つ様子は見事。
ただし、じっくり時間をかけて読み込まないと、そこかしこに埋め込まれた伏線を見落として
しまい、味気ないものになってしまうことには注意が必要でしょう。エンターテイメント性の
高いライトな感覚を楽しむ作品ではありませんが、じっとりとするこれからの季節に合わせ
て、このクセはあるが極上の作品を愉しんでいただければと思います。
今日みたいな暑くて食欲の無い日は
大石圭の「湘南人肉医」がおすすめ
825 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/05/30 20:37 ID:2AbZ8ewD
デヴィッド・セルツァー「オーメン」(河出文庫)
‘76の作品。6月6日6の刻、アメリカ政界の有力者、駐英大使ソーン夫妻がやっと授かった
赤ん坊は黙示録の獣の数字をそなえた反キリストだった!デミアンと名付けられたその赤
ん坊が成長するにつれ、大使夫妻の周囲では、赤ん坊の乳母、その出生の秘密を知る神
父と、デミアンに関係した人物の謎の死が続発する。一方、大使夫妻の取材を続けていた
カメラマン、ジェニングズも関係者の謎の死に奇妙な共通点を発見し、ソーン大使に警告す
る。デミアンの出生の秘密を探るべく、ソーンとジェニングズはローマ、そしてイスラエルへ
飛び、恐るべき悪魔の陰謀を阻止せんと奮闘するが…同年公開の同名映画の脚本家自身
によるノヴェライゼーション。
「ローズマリーの赤ちゃん」「エクソシスト」と並んでホラー・オカルトブームを巻き起こした本
作品。通常のノヴェライズのプロセスは映画→小説ですが、本作品はシナリオ→小説・映画
というように直接的に映画の影響を受けていないという面白い製作過程を持っています。
小説→映画のプロセスを辿った上記2作品に比較するとライトであることは否めませんが、
映画ヴァージョンと比較すると、例えばシーンの設定、登場人物の名前や性格付け、小説
特有の心理機微の表現など、ディティールの差異がいくつも発見でき、非常に面白い。
映画ヴァージョンの完成されたイメージを楽しむもよし(役者陣が素晴らしい。G・ペック、H・
ステファンス、D・ワーナーと性格俳優ぞろいです!)、小説ヴァージョンで独自のイメージを
膨らませるもよし。映画では捨象された詳細な設定の部分も明かされていますので、映画
をご覧になった方でも充分堪能いただけることは請け合いです。
>>825 (゚∀゚)ノ
オーメンはまだ未読ですた。探してみます。
あの時代は悪魔のワルツ(71)とか悪魔のシスター(73)とか悪魔の沼(76)とか
邦題に「悪魔」のつく映画がイパーイ公開されましたねえ
小説があったのかどうかは知りませんが悪魔の追跡(75)が1番怖かった(;´Д`)
>>826 もちろん(というのも変ですが)絶版ですので、ご注意下さいね。
少々調べてみますと、「悪魔の〜」とタイトリングされている作品は
60年代後半から70年代末にかけて集中しているようです。
当時のわが国の配給会社が何でもかんでも「悪魔」と枕詞をつけて、
「ローズマリー〜」「エクソシスト」「オーメン」のヒットの二匹目
のドジョウを狙わんとしたのと、世界的に蔓延した終末思想が
善と悪のアーマゲドンという二分論に結びついてこのような結果になった
のでしょう。
蛇足ですが、悪魔シリーズで一番笑ったタイトルは、60年代に作成された
「悪魔のかつら屋」。どうもスウィーニー・トッド伝説のようなストー
リーのようですが…
828 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/05/31 19:57 ID:wWst0LOo
ショーン・ハトスン「スラッグス」(ハヤカワ文庫NV)
‘82の作品。じめじめと湿る地下室。暗闇の中蠢く、一面のナメクジたち!中には異常なほど
巨大化し、その空腹を抑えきれない連中もいる。泥酔した家主を大集団で血祭りにあげるも
その飽くなき食欲をもてあますナメクジどもは下水管を通って町中に拡散し始める!
衛星検査官のブラディが発見したのはドロドロの粘膜に覆われ、肉をほとんど削ぎ落とされた
異状死体。他の空き家にもヌラヌラした「何か」の通り道をいくつも発見し、ついに巨大化した
黒光りする醜悪なナメクジどもに遭遇する。町中をパニックに叩き込み、食えるものなら何でも
食い尽くすナメクジどもには、既製の毒物も通じない。寄生虫をばら撒きながら町を蹂躙する
ナメクジどもを、果たして止めることはできるのか!?究極のナスティ・ホラー!!
英国オ下劣ホラー界の雄、ハトスン(裏表紙の写真が素敵です)。ストーリー自体は凡百の
動物パニックものと何ら変わりないのですが、今度のモンスターはこれからの季節の敵役、
ナ メ ク ジ さんです。しかも日本にいるようなかわいいサイズのそれではなく、黒光りす
る巨大な奴ら。こいつらが大挙して押し寄せ、目から口から耳から鼻から、そして女性の
×××からズルリと入り込み、体中を食い漁ります。誤ってナメクジの断片や分泌液を口に
しようものなら、体内で寄生虫が大発生し、漏れなく体が中から食い破られたりします。
比較的短い作品なのが残念(おなかいっぱいという向きもあるでしょうが)ですが、容赦ない
グロ描写に感覚が麻痺し、きっと殺人ナメクジの大活躍に心躍らせることでしょう!!
頭を空っぽにして堪能しましょう!!!
829 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/05/31 21:16 ID:ZmOLqtFE
>>828 パトリシア・ハイスミスの短編にもカタツムリの研究に憑りつかれた
男の話があったね。
その男が巨大カタツムリの島で食われていくシーンは気持ち悪かった
830 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/06/01 02:29 ID:OE3n7lza
>>829 パトリシア・ハイスミスの短篇には、巨大カタツムリに食われる話の他に、
無数のカタツムリに窒息死させられる話もあった。
どっちもイヤ〜な死に方だな〜。
死霊のはらわたが流行ると
死霊のえじきやら死霊のしたたりやら
死霊の罠やらトドメに死霊の盆踊り〜
>>829 >>830 ハイスミスはミステリ色の強い作家と思って敬遠していたのですが…
まるでオ下劣ホラー作家じゃないですかw
>>831 わが国も同じようなものですね。貞子(女優霊?)が流行ると怨霊
系はほとんど髪長・顔隠し・白ワンピに四つんばいにモデルチェンジ
しましたからね。それほど元祖が衝撃的だったということでしょうが。
>>832 恐怖館さんは海外小説専門ですか?
題名・作者を失念したんですけど、
ある貧しい一家がお金を稼ぐために娘を工事中?の縦穴に落っことして
救出されるまでの援助金やらなんやらをせしめる話ご存知でしょうか?
穴に落とされた少女は異常な状況下に置かれた結果超能力を得る。
そっから先を読む前にその本無くしちゃったんですよ〜('A`)
もしご存知でしたら題名だけでも教えてもらえませんか?
海外小説だったのは間違いないんですよ・・・
志麻子ねえさんなら「邪悪な花鳥風月」「魔羅節」でしょう。
文章も美しいし最高に面白かったんだけど、エログロすぎて友達に貸せない...
「魔羅節」では男も女も犯す。
犯されるのは、白塗りの男児、男娼、流れ着いた黒人の男、薄汚れた童女、
足のつぶれた娘、子連れの女、盲の処女。
「邪悪な花鳥風月」の「黒い風の虎落笛」なんか腐臭が漂ってきそう...
でも、この悪魔のような男が恐ろしく抜群に色っぽい。
「岡山女」「ぼっけえきょうてえ」より迫力あるとおもったけどな。
その後そんなに迫力ある泥臭いホラーを書いてくれてないんで、がっかり。。。
あと、これ!
http://www.fukkan.com/vote.php3?no=18657 荒俣宏監修、「怪奇幻想の文学 全7巻」!復刊してくれ〜…。
怪奇文学の決定版です。
荒俣先生、いい仕事するなあ。
>>833 う、うーん…何だかお話しの部分はまだまだイントロのようなので、
これとは判断できませんね。残念ながら。(虐待された)少女が超能力
を持つという話ならば、例えばバリ・ウッド「エイミー」「殺したく
ないのに」、ジョン・ファリス「フューリー」、キング「ファイア
スターター」「キャリー」、ディーン・R・クーンツ「12月の扉」
なんかがありますが…
>>834 確か荒俣氏は平井呈一大先生の最後の弟子ではなかったでしょうか。
やはり弟子としては、師匠の業績を越えたいと思うのでしょうかね。
>833
マーティン・シェンク『小さな暗い場所』(扶桑社ミステリー)では?
金に困った夫婦が、井戸に落ちた子供の救出が中継されて義捐金が寄せられた事を思い出して、
息子を井戸に落とそうと計画。しかし、落ちたのは息子ではなく下の娘で…。
って話でした。
837 :
833:04/06/04 04:03 ID:C1VH9ISG
>>836 おおおお!
それです!微妙に記憶違い申し訳無いです。
今日書店逝ってきます。
ありがとうございました。
>>835 解決致しました。
バリ・ウッドの作品は未読でしたので、
今日見つけられたらまとめて買ってみますw
>>836 なるほど。その作品は知りませんでしたね。しかし
井戸に子供を落として金稼ぎとは…荒業ですな。
そういえば、創元推理文庫から近々本邦初訳のヴィクトリアンばかりを
集めた短編集が出るらしいです。今の時代にまことに奇特な事ですな。
さすが天下の東京創元社。これでヴィクトリアンのブームなんか来てく
れると嬉しいですね…まあ…なさそうですが…
ここの皆さんなら新聞広告等で既にご存知かもしれませんが、
新潮文庫からスティーヴン・キングの短編集が発売されました。
『第四解剖室』と『幸運の25セント硬貨』。ともに定価740円です。
この十年の総決算なのだそうです。
新潮社のホームページには「これが最後の短編集かも」とあります。(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
これが最後の短編集かも.......これが最後の....かも.......嗚呼、頭から離れません。。
明日、買いに行こうと思います。
841 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/06/06 01:07 ID:fhIvoR0G
保守
842 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/06/08 18:33 ID:P8qk6gOA
保守
ではちょっとまったりする話を。
恐怖の館でこんな話をするの、間違いかな?
ほのぼの系オカルトは、
川上弘美「夏休み」(短編集「神様」に収録)
アナトール フランス「聖母の軽業師」
怪奇幻想文学って、読んだ後のトリップ感がいいなあと思うんだけど、
れらは読んだあと、なんかいいことありそうなあったかい気持ちになります。
あと、恋愛モノで何かおすすめないですか?
中上紀の「悪霊」、バリの神々にささげる踊りをモチーフとした、現実と
幻想の狭間でうつろう不思議な小説です。
美しくて官能的な作品です。センスよくエロすぎず人にも貸せます(笑)
>>843 まったり系というか、Gentle Ghostの物語は昔からありますのでね、
間違いなんていうことは全くありません。むしろ盛り立てていただ
きたいくらいですよ。私は日本人のホラー作家はあまり詳しくあり
ませんで、できればどんどん紹介してください。
ガイシュツだったらスマソ。
ルース・レンデルの「メイフィールド館の殺人」
なんてこたぁない、メイドが雇い主の一家を殺すんだけど、
普通の殺人事件モノは、事件が起こって、その犯人や犯行理由等を
解明していくってのが一般的じゃん?
これは最初から犯人はメイドだと分かってて、
どうして彼女が殺人を犯すに至ったのかの経緯を描写してる話。
別に特に猟奇的なわけでも幻想的なわけでもないが、
メイドの淡々とした歪んだ価値観が静かに怖かった記憶がある。
846 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/06/20 20:05 ID:OblX3abd
マイケル・スレイド「グール(上・下)」(創元推理文庫)
‘87の作品。ニュー・スコットランド・ヤードが「吸血殺人鬼」と称される連続猟奇殺人犯の
神出鬼没の犯行に振り回されていた折、ロンドンを震撼させる新たな殺人鬼が何と二人
同時に出現した!犠牲者をマンホールから引きずり込む「下水道殺人鬼」に、無差別爆弾
テロをおこなう「爆殺魔ジャック」。ヤードの女警視正ヒラリーが捜査の難航に苦慮する中、
遠く離れたカナダではチャンドラー警部補が麻薬捜査の過程で不可解な殺人事件と、謎
めいた双子の存在に行き当たる。イギリスとカナダの事件は、やがてパンクバンド“グール”
を結節にして、複雑に絡み合った糸が次第にほどけ、驚愕の真相が明らかになる!後に
「髑髏島の惨劇」「暗黒大陸の悪霊」などでスリラー作家として地歩を固めたマイケル・スレ
イドが、ラヴクラフトに捧げたサイコホラーの決定版!!
カナダの弁護士三人組の共同筆名、マイケル・スレイドの第二作。ラヴクラフトに捧げたと
巻頭にあるだけに、随所に神話作品へのオマージュが散りばめられています。しかも、単
なる変則的神話作品に留まらず、秀逸な警察小説、さらにはミステリーとしての要素も閉じ
こまれ、実に贅沢な「読ませる」作品に仕上がっています。本作品はサイコホラーとして認
知されていることが多いですが、読み終わった後に、ラヴクラフトのある作品に通じるメッセ
―ジが込められていることに大きな驚きを覚えることでしょう。その点で、この作品は最終的
に単なるサイコホラーに留まらない、コズミック・ホラーの範疇にあると言えるでしょう。
創元推理文庫の復刊フェアの目玉となった本作品。今ならまだ店頭で入手できるのでは
ないでしょうか。ぜひ一度、読んでいただきたい名作です。(スプラッタ表現がキツイという
前評判でしたがそうでもありません。そちらに弱い方でも安心して…やっぱキツイかな??)
>>822さん
ホラーじゃないけど・・・
オモシロカッタよね。
まともな人間が一人も
出てこないところが好きかも。
848 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/06/22 02:20 ID:XG9vciNk
>848
映画のタイトルと混ざった。
サンクスコ。
北村薫編・新潮文庫「謎のギャラリーこわい話」の短編文頭の【七階】
ある大病院に入院した男の恐怖を描いたもの
その病院は七階建てで一階は末期患者専用
上階に行くに従い軽症患者となる
七階(軽症)に入院した男は、自分はたいした事ないと安心するが
病院側の手違いやら何やらで次第に下階(重病)へ下ろされる
自らの意志に反して状況が悪化してゆくという心理恐怖物
ちなみに作家はカフカの再来と言われるイタリアの「ディーノ・ブッツァーティ」
851 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/07/03 12:21 ID:yvoKYVRV
トマス・トライオン「悪を呼ぶ少年」(角川文庫)
‘71の作品。ホランドとナイルズの双子の兄弟。父親は数年前に事故死し、それ以来、
母親は塞ぎ込み部屋に閉じこもりがち。何事にも冷笑的な態度のホランド、感受性が
強く心優しいナイルズと、双子は対照的な性格だったが、祖母のアダに見守られながら、
田舎の静かな日常を過ごしていた。そんな折、同居するいとこが事故で急死、隣家の
老婦人も腐乱死体で発見され、そこにはいつも双子の影がよぎっていた。日に日に強
くなる不吉な兆候。アダは孫への愛ゆえに見過ごそうとしていた恐るべき真実に慄然と
する…リリカルな文体で語られるあまりにも悲痛で、静かな恐怖を誘うアメリカン・ゴシッ
クの正統派ホラー。
元俳優で少数かつ良質のホラー作品を遺したトライオンの長編第一作。あまりにも悲しい
恐怖譚。胸を打つ感動と、雫のように滴る恐怖が同居した超一級の名作です。このような
大作には多くを語ることこそ無粋というものでしょう。とにかく、どこかで見かけたら手にとっ
てみて下さい。大のお奨めです。ホント、騙されたと思って読んで。
852 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/07/06 02:21 ID:NZlQgsPn
>>851 原作者が脚本を担当した映画版も良かったですよ。
ナイルズとホランドを、実際に双子の少年が演じてました。
>>852 映画も名作の誉れ高いそうですね。残念ながら現在では絶版状態
のようですが。DVDで復刻でもしたら即買いなんですがね…
854 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/07/06 22:59 ID:/gQp94wq
アイラ・レヴィン「ブラジルから来た少年」(ハヤカワ文庫NV)
‘76の作品。ナチハンターのリーベルマンはブラジルから驚くべき情報を受け取った。
大物戦犯のメンゲレ博士が「65歳前後の男性」94人を殺害すべく、暗殺者たちを世界
中に派遣したというのだ!情報提供者は消されてしまい、空をつかむような思いで
謎の連続殺人を追うリーベルマン。「65歳前後」「男性」「公務員ないしは安定した職業」
「年の離れた妻」…被害者たちのこの共通性の意味とは?メンゲレの狙いはどこに
あるのか…?調査を進めるうちにリーベルマンはついにナチス残党の恐るべき陰謀
にいきついた。しかし、既にその背後にはリーベルマンへの憎悪を煮えたぎらせる
メンゲレの魔の手が迫っていた!アウシュヴィッツで「死の天使」と恐れられたメンゲレ
の狂気の夢と、追うものと追われるものの宿命の対決を描いたサスペンス・ホラー!
ナチス陰謀物は私の気に入りのジャンルですが、さらにクローン(ネタばれですが)という
当時としては最新のアイディアを包含し、オカルティックな方向に流れがちな「ナチ物」を
一風変わった、クローン技術が現実のものとなった現代でこそリアリズムを感じる作品に
仕立て上げています。レヴィンのこの先見の明には賞賛を惜しみませんが、いかんせん
メンゲレという邪悪で魅力的な悪役にあんな末路を辿らせるのは実に惜しい。
映画「アイヒマン追跡作戦」ばりの緊張感を持たせて欲しかったですね…本作品はG・
ペックがメンゲレ博士役で映画化されているようです(ペックって結構ホラー作品に出演
していますね)。因みに本物のメンゲレ博士は‘79前後に南米(南アとも)で病気でひっそりと
亡くなったそうです。「ナチ物」の金字塔的本作品。一読の価値アリです。
ジェームズ・ハーバート「ダーク(上・下)」(ハヤカワ文庫NV)
‘80の作品。超心理学者プリシュラクが36人の男女とともに集団自殺を遂げた館、
ビーチウッド。ゴーストハンターのビショップは不動産業者に依頼され、館の不気味
な雰囲気の元凶を探ろうとしていた。そこで彼が見たのは集団自殺の幻影だった!
それから九ヵ月後、館の周辺で夜間、奇妙かつ残忍な殺人事件が続発する。加害
者たちは夜が明けると放心し、自分たちが何をやったのかも理解できない状況だ。
館から放たれる邪悪の根源を探るべく、超心理学者クーレクに再度調査を依頼され
たビショップは、ク−レクの娘と共に死せるプリシュラクの恐るべき野望に立ち向かう。
<闇>の力は今や強大となり、人々を狂気に陥れながらロンドンに迫る!!
英国ナスティホラーの俊英が放つ地獄の黙示録!!
85年の「ムーン」に続きハーバート二作目ですが、初期の作品ほど彼の筆は冴えてい
るようです。もはや伝説的な「霧」と同様、集団の狂気をモチーフにした作品で、霧が
闇に変わっただけじゃんという批判もあろうかと思いますが、激しいまでの暴力・グロ
描写、そして危機また危機のスリリングなストーリー展開は充分楽しめます。作風を
例えてみるならば、「下品な(初期の)クーンツ」といった感じでしょうか?難ありとすれ
ばラストがいささか拙速かつ大胆すぎる点、女性の話し言葉がやたらとギクシャクして
いる点でしょうか。しかし、これらの点を差し置いても、パニックホラー小説としてはA級
と言えるでしょう。お奨めできる作品ですね。
バートン・ルーシェ「人喰い猫」(角川文庫)
‘74の作品。田舎町の屋敷に居を構えたビショップ夫妻。のどかな生活をいたく気に入って
いた夫妻だが、ある日森の中で無残に引き裂かれた愛犬の姿を発見してからその生活に
影が差し始める。小鳥のいない森、夜な夜な響く猫たちの鳴き声、そしてついには猫に噛
まれた近所の住人が急死してしまった!愛犬を引き裂き、食い散らかしたのも…?
「都会からの避暑客の気まぐれで捨てられた猫たちはただちに野生に戻り、肉食を始め、
用心深く、単独行動を取るようになる…」単独行動?じゃあ庭徒党を組んでをうろつき回る
あいつらはいったい?次から次へ森から湧き出してこの屋敷を囲み始めたあいつらはいっ
たい…?凶暴な野良猫たちに包囲されたビショップ夫妻の運命やいかに。
角川「絶版」文庫群の実にマニアックな作品。もしかしたら抄訳なのか?と疑うほどに場面
展開が唐突ですし、これ以上ないくらい薄っぺらな登場人物設定は驚愕物です。さらに
「人喰い猫」と銘打って押し出しているにもかかわらず、実質喰われてしまうのはたった一人で、
邦題の付け方も詐欺まがい(原題は”FERAL(野性味のある・残忍な)”)。全く予想を裏切らない
ラストも肩透かしです。よくこれが商業ベースに乗ったなと逆に感心してしまうような作品です
(まあ、結果絶版なわけですが)ね。ただ、マニアというものは不気味なもので、これほど褒め所
のない作品にもかかわらずどことなく愛してしまうところですね。どこが?というのがまともな
意見でしょうが…まともなホラーファンなら激怒必至の本作品。読まないほうが利口です!?
トマス・トライオンの「悪を呼ぶ少年」良かった!怖い怖い!
で、「悪魔の収穫祭(上)(下)」も買って読みましたよ。私には、こっちの方が、こわ面白かった。
トライオン、いいっ!
どうもありがとうぎざいました!!
858 :
新参者 ◆1BoyUhe6Ns :04/07/24 02:09 ID:JevUD0ai
『ウィアード テールズ 1〜5』 『ウィアード テールズ 別巻』 (国書刊行会)
これもマニア向けですね。私も全部は読みきれていません。なんというか、その・・すぐ飽きるんですね。。
それでも資料価値が高いので、手放しておりませんが。
まぁ別巻のほうは何度か読み返しました。これはウィアードテールズを中心に、いわゆるパルプマガジンの歴史をも
記した本ですね。怪作20選なる梗概も面白い。そうですねぇ・・別巻だけ持っていれば充分かもしれません。
>>856 恐怖館主人さん、さすがですね。その作品、存在すら知りませんでした。いつものことながら脱帽です。
角川書店はいろいろ冒険してくれるのがいいですね。その方面では最強かも。
もしも「絶版ホラー文庫完全復刊フェア」とかやってくれたら、神と呼ばせていただきます。
859 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/07/24 15:48 ID:X1eXZibT
マイクル・F・アンダースン「総統の頭蓋骨」(ハヤカワ文庫NV)
‘87の作品。イギリスの地方都市バトフォース。列車の謎の脱線事故を皮切りに、ピクニック場
での惨殺事件、好人物とみなされていた女性の壮絶な自殺劇、頻発する事故、そして、町のあ
ちこちに現れ始めた黒い軍服姿の男たち…事件の陰に潜む超自然的存在に気が付いた地方
記者ハモンドは友人の霊能者ロイを呼び寄せるが、立ち向かうべき相手は強力でロイの歯も
立たない。ついにハモンドはロンドンでも指折りのオカルティストに助けを請うが…忌み嫌われ
ながらも偉大なパワーを秘める謎の「箱」を巡って、軍服の亡霊たちを向こうに回して、ハモンド
達は町を、そして愛する人を守れるのか…英国の名手が送る新鋭作家の恐怖譚!
まず当時のハヤカワさん(モダンホラーシリーズの担当は風間健二氏ですね!)に物申します。
タイトルでネタばらしたらだめでしょう。原題は”The Unholy”で、「総統の頭蓋骨」は後半も後半
で明かされる「衝撃の事実」じゃないですか。それを表紙で…まあ、もういいです。ここからは
作家への文句です。悪役の魔道士を間抜けに描きすぎです。列車から投げ出された「箱」を
探してうろつきまわっても見つけられない。あきらめていたのが主人公の連絡でしめしめとやっ
てきたのはいいが面がばれて有無を言わさずボコボコにされて監禁。諸手を上げて逃げ出した
はいいが亡霊に襲われてこれまたボコボコに…コミックホラーにしたかったのですか?緊張感
ゼロです。あ、あとハヤカワさんにもう一つ。作家の紹介に「英国のS・キング」と押し出すのは
やめましょうよ。本国でも誰も言ってませんから。だから絶パ…ふう。
>>857 そうですか!読んでいただけましたか!紹介したかいがありました。
これを機に他の怪奇文学にも目を向けてみて下さいね。
>>858 ウィアード全巻所有とは…コレクション量質ともに新参者さんには負けますよ。
絶版文庫全巻復刻…口から泡吹きますよ。嬉しくて。
>>856 ここまで言われると逆に読んでみたくなるなw
でも絶版なのか…。
862 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/07/28 00:17 ID:0o6zkdv6
ageていいっすか^^;
恐かったりのとかグロかったりする映像作品がだいっきらい
(恐いからw。ついでに言うと音だけでももうだめ)なんですが、
ホラーに分類される小説で「あまり恐くもグロくもなくて」
巧い小説ってなんかいいのないっすかねー。
かつてキングの『痩せゆく男』を読んだ時は「巧いなぁ」って思いました。
「巧い」の基準は人それぞれだと思いますが、そこはそれ、紹介者の
個性ってことで。
繰り返しますけど「あまり恐くもグロくもない」やつをよろしくです><
# 自分で言ってて支離滅裂なのは分かってるんですがw
863 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/07/28 02:35 ID:YXEXFCB8
>>862 スーザン・ヒルの「黒衣の女」とかはどうだろー?
閉鎖的な田舎の、霧がたちこめる沼のほとりに建つ幽霊屋敷に引っ越してきた
一家が、いろんな怪奇現象に襲われる話。
グロ度はゼロに近い。ただし、けっこう怖いかも。
昔、ハヤカワ文庫のモダンホラー・セレクションから出て、一度絶版になって
から、表紙をかえて復刊。現在、入手可能かどうかは不明。
>>862 とりあえず、19世紀後半から20世紀前半にかけてのいわゆるヴィクトリアン
正調怪談物の短編集はいかがでしょうか。時代の色香を漂わせる名品がたく
さん見つかりますよ。因みに「黒衣の女」はこの正調怪談の系統にあたりま
す。拙筆
>>740をご参考にどうぞ。
865 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/07/28 21:54 ID:YJKMg9bX
オーガスト・ダーレス他「恐怖通信」(河出文庫)
‘85版。収録作品は以下の通り
A・ダーレス『幽霊』/R・W・トーマス『ブラッドレー家の客』/R・E・ヤング『犠牲の年』
F・アッシャー『ヴェルサイユの幽霊』/M・レングル『愛しのサタデー』
W・バンキアー『おぞましい交配』/M・ラインスター『悪魔の手先』
M・R・ジェイムズ『バラ園』/W・テン『ぼくのママ魔女』/M・M・ハードウィック『ブラック乳母』
P・アンダースン『サラマンダー作戦』/R・ブラッドベリ『十月ゲーム』
収録作品は大体、50〜60年代の「キング以前」のものが多い。翻訳家、中田耕治氏のお弟子
さんたち(全て女性!)が名刺代わりに訳しましたといった趣です。恐怖通信と銘打ったに
しては、ファンタジックな作品(魔女・魔法を題材にした作品)が多いですね。ジェイムズ、ブラ
ッドベリの周知の二作品以外では、ヤング、レングル、テンのものがユーモラスでなかなかの
出来。あとの作品は月並みですかね。翻訳の稚拙さがいくつかの作品で目立ちます。
まあ卒業文集的な作品集ですからその辺りは、ということでしょうか?「買い」ではないですね。
凡百アンソロジーの一つ。
866 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/07/28 21:55 ID:YJKMg9bX
スプレイグ・ディ・キャンプ他「恐怖通信2」(河出文庫)
‘87版。収録作品は以下の通り
S・V・ベネット『猫の王さま』/R・E・ハワード『屋上の邪神』/R・パーカー『手押し車になった少年』
B・マーシャル『鳩の踊り子』/F・ライバー『レントゲン写真』
R・ブロック『キャンディにはキャンディを』/M・A・デフォード『ヘンリー・マーティンデールと大きな犬』
S・D・キャンプ『タンディラの眼』/L・T・ミード『呪われた魂』/W・H・ホズソン『見えない馬』
前作から時代は遡って30〜40年代の作品が中心。またもや中田耕治先生のお弟子さん達の
翻訳集となっております(前作売れたんですかねぇ?)。掲載基準はどこにあるのかと思う程、
前作よりもカオス状態。好き勝手してます。ブロックの作品は参考テキストのせいなのか、
タイトルが間違っています(内容はさすが巨匠というべき出来です)。ハワード、ブロック、
ホズソン(ホジスン)の作以外では、ライバーが出色で、デフォード、キャンプのユーモアたっ
ぷりの作品もおすすめ。ミードが心霊探偵仕立てで次点。残りは凡作です。
867 :
862:04/07/28 23:33 ID:0o6zkdv6
>>863>>864 作品を紹介いただきありがとうございました。
「黒衣の女」は、とりあえずamazon.co.jpでは入手可能であるようなので、
市中の書店や古本屋を回ってみたいと思います。
>>19世紀後半から20世紀前半にかけてのいわゆるヴィクトリアン
>>正調怪談物の短編集はいかがでしょうか。時代の色香を漂わせる名品がたく
>>さん見つかりますよ。
もしご面倒でなければ、書名、出版社名などご教示いただければ幸いです。
話変わって。
このスレで何度か筒井康隆の名前が挙がっていますが、
「母子像(タイトルが変わったんでしたっけ?)」「鍵」「走る取的」
「乗り越し駅の刑罰」あたりはホラーと意識せずスルッと
読んでしまった覚えがあります。
自分が恐がりなのは十分意識しているんですが、
活字ベースのホラーには不感症気味なんだろうかとか思ってみたりして^^;
>>867 絶版になっておらず、一般書店で入手しやすいアンソロジーとしては…
「怪奇小説傑作集1〜3(英米作家編)」「恐怖の愉しみ(上下)」創元推理文庫
「乱歩が選んだベストホラー」ちくま文庫
「淑やかな悪夢」国書刊行会
「ロアルド・ダールの幽霊物語」ハヤカワ文庫
「幻想と怪奇1」ハヤカワ・ポケミス
といったところでしょうか。それからアンソロジーではありませんが、
傑作連作物、アーサー・マッケン「怪奇クラブ」創元推理文庫もぜひ
どうぞ。
869 :
本当にあった怖い名無し:04/07/29 16:40 ID:kgSNklAg
童話「黒犬家具店」
昔、クラスの先生が持ってきてみんなで読んだんだが
ほんとに恐怖でした。内容は覚えてないけど、やたら
残酷だった気がしる。当時、トラウマで椅子に座れなく
なった記憶が。ググっても出て来ないし誰かしらね?
870 :
869:04/07/29 17:09 ID:kgSNklAg
新刊情報です。
「怪奇礼讃」中野善夫他編訳・創元推理文庫
本邦未訳の英国正調怪談を中心に22編を収録。かなり太っ腹で
期待できる一冊。
872 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/07/30 22:07 ID:6NNcCtcn
アガサ・クリスティー「死の猟犬」(ハヤカワ・クリスティー文庫)
‘33の作品。収録作品は以下の通り
『死の猟犬』/『赤信号』/『第四の男』/『ジプシー』/『ランプ』/『ラジオ』/『検察側の証人』
『青い壺の謎』/『アーサー・カーマイクル卿の奇妙な事件』/『翼の呼ぶ声』
『最後の降霊会』/『S・O・S』
ミステリ界の不動の女王、クリスティーの怪奇幻想短篇ばかりを集めた作品集。超自然の
パワーを持つ修道女の悲劇を描いた表題作、古屋敷に越してきた家族に降りかかる霊現象
『ランプ』、霊能者とその婚約者を襲った悲劇の物語『最後の降霊会』など、純粋なスーパー
ナチュラルホラーもあれば、怪奇幻想仕立ての変則ミステリ、丁々発止の法廷サスペンス
『検察側の証人』も収録された実にお得な一冊。もともと18世紀からのゴシック・ロマンスの
系譜を継承し、その超自然性に合理的解釈を加えたミステリと、怪奇幻想文学は兄弟分の
ようなもので(ポオなどはその過渡期の好例でしょう)、巨匠といわれるミステリ作家には、
怪奇幻想作品を遺している場合も多い。ただ、やはりクリスティーはプロパー作家ではない
ので絶賛に値する作品はないものの、標準以上の小品が揃っています。
873 :
867:04/07/30 23:16 ID:K5Q0AgfG
>>868 うひょー、思いの外あるものですねー。
読む速度の問題もありますし、
ぼちぼち探していきたいと思います。
コメントありがとうございました。
874 :
本当にあった怖い名無し:04/07/30 23:29 ID:7PFK0rtb
桐生祐狩『物魂―ものだま―』
少女 少女人形 フェチ
などがぬるく好きな人と人形が怖い人にお勧め。
作中に2ちゃんが出てくるので、寒いのが好きな人にもお勧め。
875 :
本当にあった怖い名無し:04/07/31 03:04 ID:lewA1Ktg
>>872 クリスティーなら「謎のクィン氏」が、オカルト探偵小説としてなかなか
面白かった記憶あり。
どこにでも自由自在に出没する探偵が、どう見てもこの世の人間ではない。
>>875 ハーレ・クィーン氏でしたか?例の恋愛シリーズを髣髴とさせますねw
オカルト探偵といえば真っ先にサイレンス博士やカーナッキが出て来ますが、
かのディクスン・カーの悪魔的探偵アンリ・バンコラン物にもいくつか
怪奇幻想風味の作品があるようですね。そちらもいずれ。
ポケミスでサックス・ローマー「怪人フーマンチュー」が刊行されるようです。
23日にはDVDでクリストファー・リー主演の同タイトルの映画も発売される
模様。怪談の季節で新刊が相次ぐのは喜ばしいことですが、お財布が追いつかない…
877 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/08/04 19:52 ID:WEG1VQYK
ウィリアム・ホープ・ホジスン「夜の声」(創元推理文庫)
‘85編。収録作品は以下の通り。
『夜の声』(1)/『熱帯の恐怖』(2)/『廃船の謎』(3)/『グレイケン号の発見』(4)
『石の船』(5)/『カビの船』(6)/『ウドの島』(7)/『水槽の恐怖』(8)
作家になる前は船員として世界を旅したという異色の経歴を持つホジスンが、その経験と
想像を最高の形で結実させた、海洋奇譚傑作集。映画「マタンゴ」の原作となった(1)のよ
うな大海に潜む奇怪なモンスターを描いた作品をはじめとして、邪悪な原住民の儀式から
の逃亡劇を描いた(7)やカーナッキシリーズの原点である(8)と、ワン・パターンでありな
がらも、全く飽きないのは各話に登場する数々の脅威が不気味で危険で、そしてぞくぞく
するほど魅力的だからです!ラヴクラフトもホジスンのことを絶賛しており、随所に後の彼
の作品に反映されたモチーフが込められ、それを敷衍しつつ読み進めるのもまた楽しい。
船員生活から得たリアリティのある描写も助けて、陳腐な連作集とは一線を画する仕上が
りになっています。「異次元を覗く家」「幽霊狩人カーナッキ」と並んで傑作の誉れ高いこの
作品集。絶版ですが、探してでも読む価値ありです。
878 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/08/11 20:31 ID:JQDvUA5w
ディーン・R・クーンツ「12月の扉(上・下)」(創元ノヴェルズ)
‘85の作品。メラニーが見つかった!−6年前に夫とともに蒸発した幼かった娘が全裸で
路上を徘徊しているところを保護されたというのだ。しかも、娘が監禁されていたとされる
家には人外の力でめちゃめちゃに叩き潰された夫を含む男たちの死体が…やっと愛する
娘と再会を果たした心理学者のローラはしかし、完全に自閉症に陥った娘を相手に途方
に暮れる。夫の家に設けられた不気味な実験装置、娘を執拗に追う謎の組織、そして立ち
向かう者全てを粉砕しながらローラとメラニーに迫る途方もない超自然の「力」…刑事ダン
とボディガードのアールの助けを借りながら逃走する母子に伸びる死の影の正体は?そし
てメラニーが叫んだ「12月の扉」とは?大御所クーンツが放つ驚愕のアクションホラー!!
ホラーにスリリングなアクション性を求めるなら、まず真っ先に名前が挙がるのがクーンツ
でしょう。本作品もその期待に違わぬ仕上がりになっています。結構わかりやすかったり
する展開、正義感の強い刑事の登場といった「クーンツ流」はご愛嬌として、冷酷な少女
虐待というセンセーショナルな押し出し、とにかく息をつかせないストーリー、ハリウッド映画
ばりのラストといった、リーダビリティの高さはさすがというべきでしょう。まあ、「怖い」ホラー
とはいえませんが、エンタテイメント性を重視する向きには十二分に応じています。私が
読んだのは旧創元ノヴェルズのヴァージョン(表紙イラストが象徴的でこちらの方が好き)
ですが、創元推理文庫ヴァージョンで現在も刊行中です。夏休みにいかがですか?
ウンコもれそ
ディケンズ「信号手」意味の分からないのが今風で実に怖い。えらい文豪の癖にやると思った。
>>880 あれは実に傑作ですね。国内の多くのアンソロジーに収録されている
のも頷けます。ディケンズの怪奇幻想短篇は岩波文庫の「ディケンズ
短編集」で読めますので、よろしかったらどうぞ。
882 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/08/15 16:43 ID:JFTE2EhW
アルジャナン・ブラックウッド「ブラックウッド傑作選」(創元推理文庫)
‘78編集。収録作品は以下の通り。
『いにしえの魔術』(1)/『黄金の蠅』(2)/『ウェンディゴ』(3)/『移植』(4)/『邪悪なる祈り』(5)
『囮』(6)/『屋根裏』(7)/『炎の舌』(8)/『犬のキャンプ』(9)
19〜20世紀初頭の怪奇文学三大巨匠の一人、ブラックウッドの代表作を収録。ジョン・
サイレンス物で猫の町に迷い込んだ旅人の体験する恐怖譚(1)。作者の自然観・宗教観
を如実に著した小作品(2)。『柳』とともに作者の傑作の誉れ高い、大自然の強大さと人間
の卑小さの対比際立つ(3)。変則吸血鬼譚(4)。サイレンス博士と悪霊たちの魔術戦(5)。
幽霊屋敷を舞台に描かれる、男女の愛憎と戦慄の結末(6)。死に別れた子供の霊と
両親の心の交流(7)。歯に衣着せない言動で他人を腐すカップルにかけられた呪いとは…
(8)。サイレンス作品の最高峰にして人狼に新たな解釈を与えた傑作(9)。どれも捨てがたい
所ですが、やはり(1)(3)(9)、次点で(4)といった所でしょうか。正調怪談に独自のスピリチュア
リズムを融合させた巨匠珠玉の傑作選。
クーンツは怖くないけど実に面白い。「雷鳴の館」なんか、余りの馬鹿っぷりにズコーッとなった。
個人的ベストは「旦那がバケモノになったので逃げる」だけの「戦慄のシャドウファイア」だ。
884 :
本当にあった怖い名無し:04/08/20 01:56 ID:9FyUY0bw
>>883 「雷鳴の館」のオチには大爆笑した記憶がある。
クーンツってハッピーエンド(?)が多いね。
雷鳴の館って、あらすじ読んでちょっと思い出したけど
結末はすっかり忘れてる。
ちょっと見てみようかしらん。
886 :
本当にあった怖い名無し:04/08/20 12:42 ID:1+65lmAN
トレヴェニアンの新作がようやっと出たのでついでに。
「バスク、真夏の死」(原題:THE SUMMER OF KATYA)角川文庫
一作ごとにスパイ物、警察物、歴史小説、純文学などジャンルを書き分け、
そのどれもが傑作だという謎の覆面作家(実は超インテリらしい)のサイコサスペンス。
老境に達した医師の回想録という格好で始まる物語は、スペインはバスク地方を舞台に展開される
豪奢な洋館に住む謎めいた双子と、若き医師との異様な愛の物語です。
エキゾチックなバスクの祭囃子、むせ返るような夏の熱気、浮かび上がる双子の過去…
夕焼けの中訪れる不気味で美しく、物悲しいラストシーン。
そして終幕で執り行われる、ある意味倫理的だけど冷たく恐ろしい犯罪。
ホラーとは言えないが名作です。
887 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/08/29 11:53 ID:7O3HdF/R
レイ・ラッセル「インキュバス」(ハヤカワ文庫NV)
'76の作品。ニューイングランドを思わせる片田舎ガレンで起った連続強姦殺人事件。
犠牲者の女性達は皆巨大な陽物に陰部を引き裂かれ、大量の精液と血にまみれて事
切れていた。不吉な前兆を感じてガレンにやってきた人類学者トラスクは、この事件
の背後に、伝説の淫獣インキュバスの復活があることを確信し、その打倒に奔走する
も犠牲者は次々と増えていくばかり。地元新聞の女編集長、名士の医師、保安官、そ
して「魔女の末裔」であることを苦にする悩める青年と共にモンスターに真っ向から
挑むトラスクに勝機はあるのか…?元「プレイボーイ」誌の編集幹部らしい、 扇情的
な描写に満ちた、エロティック・ホラー!
「エロ」と「ホラー」、この切っても切れない腐れ縁(または最高のカップル)
が織り成す、スプラッタパンクの前駆的作品。ワンパターンのプロット、すぐ
バレる核心部分、ペラペラの心理描写、意味不明のアイテム(書物)の登場と
いった、小説作法を無視した構成もなんのその、インキュバスがひたすら女性を
襲い、レイプしまくり暴れまくりいう、何ともC級の香ばしさが漂っています。
スカッと読み通せますが、後には何も残らない。そんな作品です。欲を言えば、
どうせやるならとことんエロを追求して欲しかったですかね…前評からすると
肩透かしな一冊。
嗚呼・・・インキュバス、ちょうど読みたかったんですよ。
で、(昔買って本棚にあるはず)と思って探してみたんですが、どこにもない。
最近、再読したくなった本がときどき消えてるんですよね。
手放してないはずなのに。おかしなことです。
888に関して。
5、6年ほど前、親がチリ紙交換に出してしまったのかもしれません。
当時、実家を出るにあたり、不要な(2度と読まないし売り物にもならない)文庫を処分したことがあるんですよ。
私は仕事で毎日深夜に帰ってくるという生活でしたので、なかなかうまいタイミングで
チリ紙交換に出せなかったため、親に「この束とこの束とこの束を」というように頼んでおいたんです。
するとですね、こっちが指定していない束を売り払っていたわけですよ。
引っ越し先に持って行くはずだった本のうち、絶版多数含む大切な文庫200冊ほどが、どこかへ・・・。
ゴミ束はそのまんま部屋に残されていました。
ハヤカワSF文庫のブラットベリ隊は全滅。創元推理文庫の怪奇シリーズ数点、あとジョーズとかも含まれ。。
インキュバスもそのとき手元から離れたのに私はすっかり忘れていたのかも。
結局、これまでになんとか再入手できたのは100冊弱だと思います。
ごちゃごちゃとわけのわからないことを書いてしまいました。お許しください。。
>>889 よほど悔しかったものとお見受けします。そりゃそうだよね。
常識的な他人様から見れば、絶版だろうが邪魔なものは邪魔なだけ
でしょうしね…中には高額な作品もあったことでしょう…お気の毒な話です。
怪奇幻想文学作品の収集が趣味だなんて話すと、ほとんどの方は
「へ、へぇ〜…」というような曖昧な反応をなさいますね。
まあ、自分が好きで迷惑もかけてないわけですから偏見は気
にしませんがね。
892 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/09/01 19:30 ID:1yDxRncX
E・F・ベンスン他「怪奇礼讃」(創元推理文庫)
‘04編。収録作品は以下の通り。
M・ラスキ『塔』(1)/W・H・ホジスン『失われた子供たちの谷』(2)/H・マクダミッド『よそ者』(3)
E・F・ベンスン『足音』(4)/H・R・ウェイクフィールド『ばあやの話』(5)/D・トマス『祖父さんの家で』(6)
M・アームストロング『メアリー・アンセル』(7)/R・マルホランド『「悪魔の館」奇譚』(8)
ダンセイニ『谷間の幽霊』(9)/A・ブラックウッド『囁く者』(10)/J・ホッグ『地獄への旅』(11)
M・ボウエン『二時半ちょうどに』(12)/A・M・バレイジ『今日と明日のはざまで』(13)
A・J・アラン『髪』(14)/E・アリントン『溺れた婦人』(15)/O・オニオンズ『「ジョン・グラドウィンが言うには」
(16)/S・ベアリング=グールド『死は素敵な別れ』(17)/M・E・ブラッドン『昔馴染みの島』(18)
E・ノースコット『オリヴァー・カーマイクル氏』(19)/M・コルモンダリー『死は共にあり』(20)
G・W・ストーニア『ある幽霊の回顧録』(21)/J・D・ベリズフォード『のど切り農場』(22)
久しぶりに出版されたヴィクトリアン正調怪談集。(1)(9)(14)(22)を除いて、全て本邦初訳という
意欲作です。いきなりの(1)に戦慄したかと思えば、良質のコンピレーションアルバムのように
ユーモアあり、恐怖ありまた涙あり感動あり…と、絶妙な緩急で編集された珠玉の名作集。
どれも味わい深く、ひとひねりした作品でよくもここまで集めたなと感動すら覚えます。
「恐怖小説の醍醐味は短篇に在り」と言われますが、それを見事に証明しています。
正調怪談入門者にも、そしてマニアの方々の期待にも充分応える逸品。お奨めです。
(蛇足ですが、(4)はある日本の古典怪談とそっくりです。英訳されたテキストを参考にしたのでしょうか?)
このての名作談義で度々出てくる
ロラン・トポール作「スイスにて」烈しく読みたい!けど無い…創元の短編集には無いし。
あと、早川の異色作家短編集の文庫化はどーなったんだろ。
>>893 以前に早川のブラックユーモア選集に掲載されたっきりですね。
あの選集もとんとお見かけしないのですが…
895 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/09/05 00:46 ID:9oCtlMzj
デイヴィッド・ビショフ「ブロブ」(角川文庫)
‘88の作品。衰退するモーガン・シティ山中に落下した謎の物体。駆けつけたゴミ拾いの老人が
アメーバ状のそれに手を伸ばすと、「そいつ」は腕に絡みつき溶かし始めた!まるで老人を喰らい
尽くそうとするように!老人を味わいつくした「ブロブ」は町に潜入、出会う人・動物見境なく全て
を溶かし、喰らい尽くしながら町そのものを喰らわんばかりに巨大化していく…「ブロブ」を目撃
しながら大人たちに信用されない札付きの不良少年と、ボーイフレンドをブロブに喰らわれた少女。
大人たちを振り切り、ブロブを食い止めようと二人だけでも戦おうとするが…ジュヴナイルの成長、
崩れ行く町、科学者たちの陰謀、そして迫り来るブロブ、スピーディーかつスリリングな展開に
手に汗握ること間違いない、スプラッタホラーの傑作!
ブックオフの100円コーナーで状態が良かったので購ってみたのですが、意外や意外これがものす
ごく面白い。同年の映画のノヴェライズなのですが、ノヴェライズに欠けがちな心理描写・情景描写
にも気をかけ、上手く映画的なヴィジュアル感、スピード感、スリルも備えた実に見事な作品。あまり
知られていない作家ですが、実力ありますね。物語のフレームワークはクーンツの「ファントム」と
似たり寄ったりですが、主要登場人物を思われた人々が容赦なく、しかも効果的に次々と殺され、
「どうせこいつは生き残るんだろう」というある種のお約束を打ち破っており、最後までダレない。
ストーリーの破綻もなく説得的な真相とド派手なラストは評価できますし、人物描写もしっかりしている。
もともと期待値が低かったのでベタ褒め気味になったのかもしれませんが、かなりお値打ちな一作。
>>895 そのビデオ持ってますた。
マックィーン主演作品のリメイクですが
ヒロインの娘がリプリーみたいに逞しく戦ってましたねい
小説版読みたくなりました
897 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/09/06 19:38 ID:Zw5oW9s2
ロバート・L・スティーヴンソン「スティーヴンソン怪奇短編集」(福武文庫)
‘88編集。収録作品は以下の通り。
『死体盗人』(1)/『ねじけジャネット』(2)/『びんの小鬼』(3)/『宿なし女』(4)
『声の島』(5)/『トッド・ラプレイクの話』(6)/『マーカイム』(7)
かの「ジキル博士とハイド氏」の作者であるスティーヴンソンの怪奇幻想風の作品を集めた
日本オリジナル短編集。注目はやはり、H・ジェイムズが「13ページで書かれた傑作」と評
した(2)でしょう。書かれて100年以上経つというのに、並みの「怪談話」そこのけの戦慄を感じ
させる本作は、同時代の怪奇幻想譚の中でも一、二を争う出来栄えです。筆者がこの作品
を妻に聞かせた時、二人とも恐ろしくなって肩身を寄せ合ったといういわく付き。
筆者は晩年サモア島に住んでいたこともあり、(3)(4)(5)はハワイ諸島を舞台にした民話調の
ストーリー。ラヴクラフトやサマセット・モームが賞賛した(1)(7)は、あまり私の琴線に触れま
せんでしたが、(1)は後のラヴクラフト「死体安置所にて」の原型だったのかなと思うと感慨
深いですが。(2)だけを読みたい向きの方は由良君美編「イギリス幻想小説傑作集」(白水U
ブックス)にも収録されています(こちらのほうがお得感あり)。
898 :
本当にあった怖い名無し:04/09/06 21:15 ID:qLCVVsrX
「M・R・ジェイムズ 怪談全集 1」
:M.R.ジェイムズ 紀田順一郎 訳
:創元推理文庫
英国の怪奇小説家、ジェイムズンの短編集。
ゴシックホラーが好きな人には、面白い本だと思います。
16編の話を収録、
奇妙な笛を拾った男が出くわす怪異「笛ふかば現れん」
不気味な銅版画が見せる恐怖を描く「銅版画」
他「十三号室」「人を呪わば」など。
続刊である怪談全集2も出てます。
描写がスッキリしてるので、寝前本として重宝してます。
というわけで、新参者の本紹介でした。
「丘からの眺め」が、J・D・カー「火刑法廷」(これも傑作)のエピグラフに使われてた。
900 :
本当にあった怖い名無し:04/09/07 03:15 ID:TGRDEuHg
今だ!900ゲットォォォォ!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ (´´
∧∧ (´⌒(´
⊂(゚Д゚ )≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
⊆⊂´ ̄ ⊂ソ (´⌒(´⌒;;
 ̄ ̄ ̄ ズザーーーーーッ
901 :
本当にあった怖い名無し:04/09/07 03:56 ID:M2glSgmF
くだらない。1は消えろ
そうか?小野不由美しか出てこない怖い小説スレより為になるが。
903 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/09/07 20:34 ID:BebnSFX2
カービー・マッコリー編「恐怖の心理サスペンス」(ワニ文庫)
‘76編集。収録作品は以下の通り。
M・マーマー『嵐の夜』(1)/P&K・アンダーソン『白い小猫』(2)/B・ラムレイ『不気味な囁き』(3)
R・キャンベル『恐怖の遊園地』(4)/D・エチスン『真夜中のハイウェイ』(5)/R・ブロック『スカラブの呪い』(6)
W・F・ノーラン『死者からの電話』(7)/D・グラッブ『ヒトラーを撃った男』(8)
G・ウイルソン『アーネス博士の遺書』(9)
ホラー翻訳界の大御所、矢野浩三郎氏の編訳による、「闇の展覧会」編集のK・マッコリー
がセレクトした短編集。矢野先生はこの短編集にあまり良い思い出がないそうですが、これがまた
良作ばかり揃っており、隠れた名作集となっています。「怪談話」仕立てで身も心も凍る(1)(5)、
不条理に襲い掛かる恐怖を描いた(3)、憧憬と戦慄が同居した(4)、巨匠得意のエジプト物(6)、
タイトルと不釣合いの流れから、一気に意外な展開を見せる(8)、天才科学者の末路をシニカルに
描いた(9など、どれも捨てがたい。ただ、おかしな段組や興ざめを誘ってしまうイラスト(スカラブ
じゃなくてカブトムシが描いてあったり)が惜しい。雰囲気出てるものもあるのですが…
経緯からすると、ひょっとしたら日本の読者向けに少々改変しているところがあるかもしれません。
しかし捨て置くにはもったいない逸品。
このスレのタイトルになってる『ぼっけえ、きょうてえ』を先日買って読んだ。
表題作と「あまぞわい」が怖さの中に人間の哀しさが満ちていておもしろかった。
ホラー作品って直球の怪物物やスプラッターものより
人間の業や哀しさの中から生まれて来るものが一番良いと思う。
905 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/09/09 19:55 ID:+sl7ziPN
パトリシア・ハイスミス「11の物語」(ハヤカワミステリアスプレス文庫)
‘70編集。収録作品のうち、恐怖小説系統の作品は以下の通り。
『かたつむり観察者』(1)/『すっぽん』(2)/『クレイヴァリング教授の新発見』(3)
『アフトン夫人の優雅な生活』(4)/『ヒロイン』(5)/『からっぽの巣箱』(6)
「不安の詩人」、ハイスミスの短編集。以前このスレッドでも言及された(1)(3)を目的に購って
みました。(1)はグロテスクな結末もさることながら、むしろその細やかな描写・観察眼に感心
しました。ドイルばりのモンスター譚の(3)も、荒唐無稽な設定にもかかわらず真に迫った描写
で陳腐化しておらず、彼女の筆力のすばらしさを感じる作品。サキやジョン・コリアーの作品
を髣髴とさせる(2)、M・R・ジェイムズ作品のような(6)などは、筆者特有の読者の「不安感」
を掻きたてるようないやらしさを感じます。ただインパクトに欠けることは否めず、佳作止まり
の作品がほとんど。むしろ恐怖小説系統以外の収録作のほうが持ち味とストーリーの融合
が見事です。そちらの作品群のほうがお奨めですね。
>604
「ぼっけえ〜」は怖かったけど
ところどころの描写が私の脳内でですが妙に美しかったり…
「よって件のごとし」の少女の記憶が戻るくだりとか
山岸涼子系な感じがしまふ
でも「花鳥風月」はがっかりだったにゃあ
907 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/09/13 21:40:22 ID:9jONqLrz
ラムジー・キャンベル「母親を喰った人形」(ハヤカワ文庫NV)
‘76の作品。不平屋でニヒリストの兄にうんざりしながらも付き合い続けてしまうクレア。
今夜もその兄を送るために、既に闇深い町をポンコツ車で走り抜けていた。突然車の
前に飛び出した男、利かないブレーキ、慌ててハンドルを切って…兄さんの片腕が…
悲劇的な、もしかすると自分のせいかもしれない事故に落ち込むクレアの前に、作家
を名乗るホールが現れ、ある不気味な男、あの夜兄の腕を持ち去った男の行方探しに
協力を求めてきた。同じようにその男の「被害者」となった人々が集まり、男の行方を
追ううちに、その母親が参加していたという奇妙な集会の存在に行き当たり、徐々に
戦慄の真相が明らかに…英国怪奇文壇俊英の屈指の怪作。
うむむ…どう評価してよいものか迷う作品です。誰しも小説を読むときは、誰かしら登場
人物に感情移入して、その感覚を共有するものでしょう。それが本作品の登場人物は皆
どこか歪んでいて、他人に責任を転嫁し、エゴを露呈し、全く不愉快な印象しか与えない。
逆説的に自分自身の歪みを見せつけられているようで居心地が非常に悪くなります。淡
々と物語が進行し真相が明らかになっても、それはあくまでアクセサリーに過ぎない。自
分の代わりの「犠牲者」を見つけ、追い詰め、そして…ある登場人物が最後に流す涙は
果たして悲しみなのか、それともエゴの充足に過ぎないのか…?読後、眉間にシワがよ
ってしまうような怪作。それだけは間違いないでしょう。
908 :
本当にあった怖い名無し:04/09/13 22:03:00 ID:af4RB4qr
ある意味、とても恐い小説 その1
グラハム・マスタートン "TENGU"
日本の神道に伝わる七大悪魔、そのなかでも最凶暴で知られるのがテング。この悪霊にとりつかれた人間はいかなる武器をもはねかえす不死身の狂戦士となる。
さて、ときは昭和19年末、南方戦線。それまで順調に日本軍を撃破してきた米軍は突如として凄まじいばかりの反撃に会い、苦戦を強いられるようになった。
調べてみればなんと日本軍はテング憑きの兵士を製造し、前線に投入しておるではないか。そのテング兵製造工場がヒロシマにあることを知ったトルーマン大統領は、ためらうことなく広島に原爆投下を命じた
・・・それから40年、放射能のため奇形児として生を受けた子供達が秘密結社「ただれた鳩の会」を作り、ふたたびテング兵を製造してアメリカに復讐を遂げんとす!
とまあ、こういう作品。最後まで読んだおれもえらい。
>>908 何と言うか…そんな作品に出会えたあなたが心の底からうらやましいです。
どこから切ってもバカ、どうひいき目に見てもバカという究極のバカホラー
の臭いがします。早速探しましたが原書はすでに絶版の模様。どこか奇特
な出版社が邦訳してくれないでしょうか…
恐怖館主人が100円で買えた
911 :
本当にあった怖い名無し:04/09/14 22:22:15 ID:+NZWZiOx
篠田節子の「神鳥」
バカホラーとか、怖い中にもクスリと笑える要素のある小説があったら、
紹介していただけませんか?
スプラッタ、サイコ、エログロ等のジャンルは問いません。
個人的には、すごく怖くはないけど、小林泰三「獣の記憶」の、
NHK集金人の挿話なんかが笑えた。
洒落にならない事件に見舞われて、主人公は真面目で必死なのに、
どこかユーモアが漂うような話ってありますか?
>>912 ぱっと思い浮かぶところでは、
T ハヤカワ文庫のモダンホラーセレクションからリチャード・マシスン『縮みゆく人間』
U 文春文庫からスティーヴン・キング『ミザリー』
V 集英社文庫からクライヴ・バーカー『血の本』T〜Y
あたりでしょうか。
ユーモアをちりばめつつ恐怖小説に仕上げているのはさすがだと思います。
メジャー作家ばかり挙げたので、どれも既読だったらすいません。。
914 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/09/19 00:20:26 ID:vFbVjfrh
フレドリック・ブラウン他「猫に関する恐怖小説」(徳間文庫)
‘80編。収録作品は以下の通り。
サキ『トバーモリー』(1)/B・リゲット『猫男』(2)/B・ストーカー『猫の復讐』(3)
S・ル・ファニュ『白い猫』(4)/F・ブラウン『猫ぎらい』(5)/H・スレッサー『僕の父は猫』(6)
A・ブラックウッド『古代の魔法』(7)/W・デ・ラ・メア『箒の柄』(8)/B・ペイン『灰色の猫』(9)
H・P・ラヴクラフト『ウルサルの猫』(10)/A・ダーレス『エジプトから来た猫』(11)
C・カートミル『緑の猫』(12)/E・クイーン『七匹の黒猫』(13)/R・ブロック『魔女の猫』(14)
L・パジェット『著者謹呈』(15)
本邦の怪奇幻想文学翻訳の屈指の古参、仁賀克雄氏が集めた「猫」がテーマの15編。
(1)(3)(7)(10)は既読だったのですが、何度読んでも(1)のしゃべる猫トバーモリーの愛らし
さと小憎らしさには頬がほころびます。「恐怖小説」とは言っても、どちらかというとユー
モア短篇も多く、(1)(5)(6)(12)(15)はその傾向が強い。(12)などは知らない者とていない、
あるアニメーションの主人公を彷彿とさせて日本人ならばニヤリとしてしまう。(13)は
巨匠のミニミステリ。(11)はブロックとラヴクラフトをごちゃまぜにしたようなダーレスらしい
小品。(2)(3)(4)(7)(8)(9)(10)(14)あたりが恐怖小説に該当しますが、(7)が素晴らしくて
あとの作品は印象が薄くなってしまいます。あと、私が嫌いなデ・ラ・メアの(8)。やはり
今回も好きになれなかった…ユーモア短篇のほうに秀作が多かったですね。
David Langford "The Thing in the Bedroom"
シャワールームのドア開閉時、その不幸な事故は起きた。とある不注意な男性の
それは本体と分離し、以来、あるじを求めて地縛霊と化しているという。
この怪事件の調査を依頼された心霊探偵が、女装媚態のかぎりを尽くして迷える
それを物質化させんとす!
とまあ、こういうバカ。1984年にとある成人雑誌に掲載され、二三のアンソロ
ジーに入っている模様。全体、カーナッキイのパロ。雑誌から切り抜いて保存して
おいたおれもバカ。
>>915 それ=ナニということでしょうか??かのバカ映画「キラーコンドーム」
を越えるBAKAですね。私は原書は読まないタチなので、原書レビュー
は大変参考になります。
917 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/09/20 22:59:25 ID:6BLqN/XJ
ジョー・R・ランズデール「モンスター・ドライヴイン」(創元SF文庫)
‘88の作品。ドライヴインシアター<オービット>で金曜の夜に上映される、いつもの
B級ホラー映画のオールナイト。いろんな奴らがごちゃまぜに大騒ぎするシアターを、
突然真っ赤な彗星が襲い。「ぼく」ら観客全員は妙ちきりんな異空間に閉じ込められ
てしまった!どんどん減っていく食料と時間の感覚の中で、観客たちは次第に暴徒
と化し、共食いすら始めてしまう。すっかりおかしくなったダチ二人がポップコーンキン
グを名乗る化け物になったり、人喰い宗教が流行ったりとシアター内はてんやわんや。
そんな中、いつもクールなボブと「ぼく」は必死に脱出の機会を窺うが…スプラッタパ
ンクの敏腕作家ランズデールの、スラプスティックホラー!
私は基本的に「B級、C級」と名の付くホラーは大好きなタチなのですが、作品自身が
「俺ってB級だろぉ?ん?ちょっと斜に構えてバカやってるところがB級だろぉぉ??」
といってるような作品は逆説的なスノビズムが鼻に付いて大嫌いなんです。本作品は
遺憾ながらそれに該当します。作品中に「B級」という言葉を散りばめ、わざとらしく
「ありがち」なストーリー展開をしていき、果てはごく「ありがち」なラストで締めくくる。
B級とは作家自身が売り出すのではなく、判断するのは読者です。評価はどうあれ
想像力を働かせることなくこれまでの敷衍だけでお茶を濁しては読者に失礼という
ものでしょう。そこに「B級」のレッテルを貼ったら言い訳になるだろう…とでも思った
のでしょうか?とかく腹立たしい一冊。
918 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/09/28 20:44:35 ID:2rMBIlky
トマス・チャスティン「子供たちの夜」(ハヤカワポケットミステリ)
‘82の作品。リリアは、一人娘のジェニファーを育てながらニューヨークで化粧品会社の
副社長を務めるキャリアウーマン。娘を連れて友人のパーティーの帰り道、セントラル
パークで車が脱輪。リリアが助けを求めに行っている間に、バックシートで眠っていた
はずの娘が消えてしまう。われを忘れて娘を探すリリアの前に広がるのは、公園を覆う
闇。そしてかすかに聞こえてきたのは場違いな子供たちの笑い声…担当刑事のブリー
ンや友人たちの努力むなしく、娘は一向に発見されない。業を煮やしたリリアはホーム
レスに身をやつし、娘を探して深夜の街を彷徨った。そこで見たものは、彼女の知らない
ニューヨークの影の部分だった…警察小説の名手で知られる筆者が大都会の闇とそこ
に生きる群像を描いたスリラー作品。
60年代後半から、「恐るべき子供たち」はホラーにおいて大きく取り扱われてきたテーマ
の一つであるわけですが、本作品もそこに属します。しかし、ニューヨークのホームレス
の生活など、街に生きる様々な人々の生活を闊達に描いている点は非常に評価できる
にしても(J・ロンドン「どん底の人々」やG・オーウェル「パリ・ロンドン放浪記」の現代版
は言い過ぎかもしれませんが…)、タイトルに謳い、魅力的な舞台設定にもかかわらず
肝心の「子供たち」の描きぶりがおざなりで、アクセサリ程度の役割しか果たしておらず、
違うテーマの作品を購ってしまったかと錯覚してしまうところは本当に残念。子供たちの
扱い次第では非常に面白い作品になったと思うのですが…ロンドンやオーウェルの作
品を面白いと思われた方にはいいですが、戦慄の需要にはお応えできないでしょう。
919 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/10/03 20:04:13 ID:XAA4ZJEK
フランク・デ・フェリータ「ゴルゴタの呪いの教会(上下)」(角川文庫)
‘84の作品。初代神父が狂気に陥り数々の悪魔の所業を為した挙句狂死し、それから
訪れる者とてなく荒れ果て、ゴルゴタ・フォールズに不気味な影を落とす「永遠の悲哀の
教会」。怪奇現象が数起こる教会を訪れたのは、大学でつまはじきにされ、最後のチャ
ンスとばかりに調査にやってきた二人の超心理学者と、近親者をこの教会で失い、悪魔
祓いにやってきた信仰心厚い神父。科学と宗教という信念の間で対立しながらも、次々
と起こる怪奇現象に翻弄される三人。次第に揺らぐ互いの信念。教会に巣食うのは邪悪
な悪魔かそれとも人の欲情が投影する幻か…?ローマ教会や大学上層部を巻き込み
ながら、善と悪の相克が最高潮に高まった時、教会で起こったのは−「エクソシスト」「オー
メン」に捧げた作者渾身のオカルトホラー!!
「科学vs宗教」という対立軸に始まり、またそれぞれの世界の中での「信念vs信念」の対立
がある。その相克の中、自らの世界が崩れていきもはやどちらが正しいのかもわからなく
なり、現実だけが否応なく登場人物たちに降りかかっていく。思想が崩れ人間性がむき出
しなる中、超越した「絶対善vs絶対悪」の戦いが始まり、その最高潮で人々が目撃する
「神」と「キリスト」の姿…作者自ら初期の徹底的な二分法を崩し、混在させ登場人物たち
の自我を壊し、もはや科学でも宗教でも分析しきれない神秘の顕現を見せつけるラスト
の展開は驚愕。細やかな人物描写も助けて秀逸な作品に仕上がっています。神の奇跡
の美談に終わらせることなく、集団ヒステリーの余地も残した余韻ある終わり方も好ましい。
これは一度読むべき逸品です。
920 :
本当にあった怖い名無し:04/10/12 21:06:43 ID:xjJhNqbh
保守age
921 :
本当にあった怖い名無し:04/10/15 20:31:51 ID:rg8e5vcD
やたっ!「ゴルゴタの呪いの教会(上)」を、ブクオフで見つけた!
(下)は、以前に見つけて買ってたのよん。やっと上下巻そろった!
今日は、金曜、明日は休み!
いい夜になりそうだァ!
恐怖館主人様のおかげで、期待感高まりっぱなしの毎日でしたよ。
読むゾーッ!
922 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/10/18 08:35:25 ID:3R7GWpHR
ピル・プロンジーニ「マスク」(創元推理文庫)
’81の作品。カーニヴァルの熱気とジャズの旋律にむせぶ街、ニューオリンズ。カメラマン
のジルーは傷心を抱え立ち寄ったこの街で、蟲惑的な美女ジュリーンに出会い、成り行
きで一晩を共にしてしまう。翌朝女は消えてしまい、ジルーの横たわるベッド、そして彼
の両手にはべっとりと血糊がついていた!何が起きたのか惑うジルーに次々と襲い掛
かる奇怪な出来事。「写真を渡せ」との脅迫電話、仮装パレードの中つきまとうドラゴン
の仮面の人物、そして送りつけられてくる血まみれのヴードゥーの藁人形…次第に追
いつめられていくジルーの前に現れたのは…ヴードゥー呪術と魔都ニューオリンズの
妖美な雰囲気が融合したオカルトホラー。
ストーリーはダン・シモンズ「カーリーの歌」と酷似しており、ジャズ・ニューオリンズ・ヴー
ドゥーという組み合わせもシモンズの作品同様に雰囲気があって好ましいのですが、
いかんせんストーリーがつまらない。話に広がりがないしラストに向けてのテンションも
高まらない上に、オチも「ハァ?」というようなつまらなさ。というかこんな腑抜けた終わ
り方でいいのでしょうか…?ニューオリンズとヴードゥーの歴史的関係は面白く読めま
したが、フレームだけは高級で中の絵は非常に安い。シモンズのようにフレームも絵
も最高級のものとは比べるらくもありません。プロンジーニはスリラー・サスペンス作家
のようなので、「モダン・ホラー」と銘打った創元のプロモートミスにも責任があるかもしれ
ませんね。ミステリ、スリラー作品は数多く邦訳されているようなので、そちらでは評
価された作家なのでしょう。畑違いだったということでしょうかね。
>>921 そう言っていただけますと嬉しいですね。
お楽しみいただけましたでしょうか!?
岡山女
925 :
本当にあった怖い名無し:04/10/19 18:51:59 ID:zu22OmK3
>>923 「ゴルゴタの呪いの教会」期待通りでした!面白かった!
「エクソシスト」も読みたくなりました。映画しか知らないので。
私も、心の奥底に小鳥を飼えればいいなと思ったりして。(でも、きっと飼えない)
926 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/10/22 08:33:56 ID:gzTN9E+j
ショーン・ハトスン「闇の祭壇」(ハヤカワ文庫NV)
’86の作品。工事現場から発掘された遺跡の奥に封じられた部屋から、おびただしい
骸骨が発見された。発掘と同時に、その土地に関わる人々に恐るべき災厄が振りか
かる。次々と無残に死んでゆく現場作業員、近隣の町では両目を抉られ、奇妙な内臓
文字を残し、惨殺される関係者。考古学者のキムとウォレス警部が謎を追っていくうち
に恐るべきケルト神話の伝説に行き当たる。人類は、開けてはならない扉を開けてし
まったのだ!酸味の利いたスプラッタ描写で知られる作者がその才能を遺憾なく発揮
した会心作!
面白い。実に面白い。師、ハーバートのナスティな部分だけをしっかり受け継ぎ、その
鬼才の赴くままに「書き倒した」怪作です。プロットなんてなんのその。夜な夜な黒魔術
の儀式にふける農場主、神がかり的な発言をぶちかます少女、頭のイカレた闘犬賭博
師等々、別にいてもいなくても話が進むような怪しい人物を散りばめ、クーンツ定番の
刑事と女主人公の恋愛も漏れなく描きながら、ハチャメチャなラスト、まさにカタストロフィ
と称するにふさわしい圧巻のラストに向かって読者を投げ飛ばします。「スラッグス」に続き
ハトスン2作目ですが、期待を裏切らないグチャドロスプラッタ描写も相俟って、酸味
利きまくりの逸品に仕上がっております。そっち方面が苦手でない方には読んでいた
だきたい作品です。
>>925 あの表現は私も印象に残っています。
とてもすてきな表現ですよね。
保守しておきましょう
929 :
本当にあった怖い名無し:04/11/04 17:09:14 ID:Wmr1xCXs
暗黒からage
930 :
本当にあった怖い名無し:04/11/04 18:28:24 ID:GSa2AeSm
あけ
931 :
本当にあった怖い名無し:04/11/04 20:14:55 ID:RQmd30KD
「ゴルゴタの呪いの教会」!!
なつかしい〜!!
早川ホラー、もう一度はまろうかな。
932 :
本当にあった怖い名無し:04/11/04 20:15:23 ID:y0myldNl
933 :
本当にあった怖い名無し:04/11/12 02:36:32 ID:eB4vsLbt
フランク・デ・フェリータ、実力のある作家だと思うけど、日本では全部絶版
だね。サイコものの「カリブの悪夢」も怖かった。
「ハリウッド ゴースト・ストーリー」というビデオ(未見だけど)には、デ・
フェリータ自身が出演し、彼が英国で撮影した心霊映像を紹介してるらしい。
>932
それ落ちてんだが
結局何レスまでいったの?1000?
935 :
◆zombie9MBk :04/11/13 02:26:59 ID:pifW8ef7
ここ、素晴らしいですね。紹介されてた本、何冊か買いたくなりました。
まだ出てないと思われるのをいくつか書いてみます。
我孫子武丸著「殺戮に至る病」…ミステリ界サイコホラーの傑作と思ってます。
生垣真太郎著「フレームアウト」…スナッフビデオを巡る話。
甲田学人著「missing」…電撃文庫では異色のホラー。神隠しや犬神憑きの描写が興味深い。
畠中恵「しゃばけ」…怖いのが苦手な方にお薦め。妖怪物?
物集高音著「吸血鬼の瓶詰」…都市伝説など語られていてなかなか興味深い。
何度か出てますが倉坂鬼一郎氏の作品はゴーストハンターシリーズ以外ほぼ救いが無いですね。全作品読んでますが(笑)
前にあった田中啓文氏の鬼が刑事をやる話というのは講談社ノベルス「鬼の探偵小説」ですね。
朝松建氏は「崑崙の女王」が好きです。
936 :
本当にあった怖い名無し:04/11/13 02:31:25 ID:wnAK+Yd9
>>935 殺戮に至る病は最高ですよね。ラストのオチから読んでもカラクリは絶対解けないし。小説の中に出てくる場所に住んでいるのでリアルだし。読み終わった後ずっとアノ歌が頭離れないし。マジ最高。
「殺戮に至る病」って結構古い?
古本屋で探そうかな・・・。
938 :
937:04/11/20 20:49:32 ID:laQW0/3M
調べたんだけど、ハードカバーだけしかない?
文庫本が欲しいんだが。
940 :
937:04/11/20 22:35:40 ID:wifelwN+
ありがとう、でも中古ないな。。。
>>940 図書館にハードカバーと文庫本各2冊ずつあったよ
当方大阪
942 :
937:04/11/21 21:44:39 ID:xoQjJOLg
そっか、図書館で一度読んでみるのもいいかも。
一度言ってきます。
944 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/11/25 12:30:48 ID:p44B5sUH
ホイットリー・ストリーバー「ウルフェン」(ハヤカワ文庫NV)
’78の作品。警察官二人がむごたらしく惨殺された姿で発見された。拳銃を抜く間もなく
喉笛を切り裂かれた二人の周りには、獣のものと思わしき無数の足跡が発見される。
ニューヨーク市警のジョージとベッキーは、大都会のごく片隅で起きた他の惨殺事件の
痕跡との奇妙な符合から、人外の存在が事件に関わっているのではないかとの疑いを
抱く。上層部の反感を買いながらも協力者たちと調査を進める二人の周囲に不気味に
つきまとう影。「彼ら」は周囲の人間達をその鋭い牙の餌食にしながら次第に二人を追い
つめていく。まるで狩に興じる狼のように…「吸血鬼ミリアム」シリーズで好評を博してい
る筆者が独自の視点で大都会の闇と古代からの伝説を見事に融合させた意欲作。
言ってしまえば(タイトルでばれてしまいますね)変則人狼物なのですが、従来の作品
とは異なる新しい着想に基づいており、とても興味深い、面白い設定となっています。
正確には「人狼」という表現も間違っており、「ウルフェン」としか言いようのないオリジ
ナリティとストリーバー作品の特徴でもある異種族から見た人間の姿に係る様々な描
写、そしてそこに警察小説のエッセンスを取り込んだ構想は秀逸でしょう。人狼に関
する古典的伝説とその双璧としてしられる吸血鬼との関係性への新たな解釈も説得
的であるなど、様々な側面から非常に完成度の高い作品です。
945 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/11/25 12:31:31 ID:p44B5sUH
ピーター・ベンチリー「海棲獣」(角川ホラー文庫)
’94の作品。ロードアイランド沖の小島でサメの生態研究に打ち込む海洋学者サイモン。
彼がフィールドとする海域の周辺で、「金属製」の牙と鉤爪に引き裂かれた生物の死体
が頻繁に発見され、ついには人間にも犠牲者が続出する。警察はサメのせいだと事態
を沈静化させようとするが、サイモンにはどうしてもサメの仕業には感じられなかった。
これ以上の被害を防ごうと奔走するサイモンたちの前に現れた奇妙な老人の口から語
られたのはナチスの壮大な悪魔の実験から産み出された凶悪な怪物の存在だった!
「ジョーズ」の原作者であり海洋パニックホラーを得意とする筆者が放つ、人間と海魔
の死闘を描いた傑作!
「ビースト」に引き続いてのベンチリー作品です。ワンパターンであることは否定できま
せんが、海洋生物の生態や生物学的なディティールを実に細かく描いており、さらに
ナチスが行ったという悪夢の実験も真に迫って非常におぞましく感じられ、全体より
も細部で楽しめる作品です。パターン化されているためきれいにまとまっており破綻
もないのですが、その分面白味に欠けるかなという印象。ただ、安心して読めると
いう向きもあるかもしれません。「海」そのものが充分恐怖を誘う存在ですが、そこに
正体不明の怪物が潜んでいるとなると…海洋物は人気のあるテーマですが、その
中でも秀作と言えるでしょう。
>>944 (゚∀゚)ノ
「ウルフェン」の映画の方は映像を凝り過ぎてイマイチでしたが
小説の方は面白かったですねい
てか、原作より面白い映画って少ないな・・・
947 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/11/29 08:31:59 ID:qOTaZufc
イアン・バンクス「蜂工場」(集英社文庫)
’84の作品。フランクは父親と一緒にスコットランドの小島でひっそりと暮らしながら、
学校にも行かず、世にも奇妙で残虐な方法で小動物をなぶり殺すことを愉しんでいた。
彼は幼いころ犬にペニスを食いちぎられ、残虐さを誇ることで、自らの「男性」を確認している
かのようだった…ある夜フランクの元に、精神病院から逃げ出したという兄エリックから
の電話があり、彼はじわじわとフランクと父の家に近づきつつあるという。「あの」兄が
帰ってくる。恐怖と期待半ばに、フランクは「蜂工場」にこれからの運命を問わんとする…
狂気に駆られた兄が近づき、動揺した父が明かした戦慄の「家族の秘密」とは…?
狂気の一人称で綴られた、英国の俊英による究極のニューロティック・ホラー。
以前このスレッドでも話題になりました「蜂工場」です。全編に渡って狂人の一人称で
綴られ、奇妙で残酷な描写に満ち満ちているにもかかわらず、どこか幻想的でリリカル
な雰囲気を漂わせているという不思議な作風(スプラッタ描写を排除しているという
特徴もありますが)。ペニスを犬に食いちぎられたという「記憶」をきっかけに、失った
性というアイデンティティーを埋め合わせるかのごとく次々と奇怪に凝った装置で小動
物を虐殺し続ける主人公には嫌悪よりむしろ哀れさを感じます。しかも彼にはまだ
知らない残酷な運命が待っているわけですが…しかし、全ての秘密が暴露された
後のカタルシスの何と爽快なことか(それでも残酷な現実は変わらないのですが)。
実に奇妙な読後感のある、ニューロティックホラーと称するにふさわしい一冊。
恐怖館主人さん、ご無沙汰しておりました(ずっとロムしてましたけど・・)。
蜂工場。。題名からしてインパクトのあるこの作品、思えば時代の先をいきすぎた感があって、
当時は現実離れした物語に見えた読者が多かったんじゃないかと思うのです。が、今ならリアリティが
ずいぶん感じられるようになったのではないでしょうか。世の中、いろんな特殊な人間がいて、新たな
パターンの事件が毎年のように起きていますから。とくに日本の場合。
なんとなく書いてみますが、狂気の宿った人物を扱ったホラーはとくにそうなんですけど、
そういうホラーはけっして犯罪者にアイデアを授けるものではなく、時代を予告する存在であり、
かつ、場合によっては正常な人間(読者)の中にもある異常性を気づかせてくれ、さらには
修正してくれるものだと考えています。推理小説なんかも同じですね。
実際、犯人が読書家だったという例はあまり聞きませんし、仮に、ホラーに影響を受けて罪を犯したとしても、
そのような人はホラーがなければ別のものに影響を受けて悪いことをしていたでしょう。
いまや多くの人がそのことに気づいておられると思うのですが、いちおう書いてみました。
「岡山女」は怖いっていうより
サイコメトラー物でカッコイイ!
推薦お願いします。
どなたかラストが言葉も出ないほど絶望的なホラー・サイコ小説を推薦していただけないでしょうか?
和・洋問いません!お願いします。
>>950 ではまず私から一冊挙げさせていただきます。
斎藤 澪(みお)『この子の七つのお祝いに』(角川文庫)
昭和56年、第一回横溝正史賞受賞作。賞名からおわかりのように、この作品は推理・ミステリー小説に
分類されるものですが、あまりに怖く、ラストが絶望的なので、推薦いたします。
章によって、一人称と三人称が使い分けられており、独特の効果をあげています。
なお、素晴らしい出来の映画版もあります。同名です。
いわゆるホラー小説でなくて、なんなのですが、サイコの色合いは濃いですし、大好きな作品なので。。
新参者さんありがとうございます!
さっそく探してみようと思います^^!
クロウリ−「マグダレン・ブライアーの遺言」(創元推理文庫『黒魔術の娘』収録)
意外と正統的なホラー。着眼点よし。後味の悪さもなかなか。
心身ともに健康な方におすすめ。入院患者に読ませてはならない。
>>新参者さん
ロムだけとおっしゃらずにレビューの方もお願いします!
それから、「ホラー」の社会的影響に関する書き込みに関してですが、
後段には大賛成ですね。ダグラス・E・ウィンターが述べたように、
「ホラー」とは「感情」なわけですから、あくまでゾクゾクワクワク
を愉しむ(例えば遊園地のような)立派なエンタテイメントジャンルだと
思います。それにしては認知度は低いですけどね…
>>950 シャーリィ・ジャクスン「たたり」を推薦します。これまで出会った中で
最高の作品。露骨な狂気ではなく人間の心が少しずつ「ずれて」い
く感覚。短編ではギルマン「黄色い壁紙」なんかもいいですね。
956 :
950:04/12/02 16:52:07 ID:U6I9s1p8
みなさんありがとうございます!
今受験でなかなか読む時間が見つからないんですが、少しずつ読ませてもらいます!ありがとうございました。
>>955 殺戮に(ryは読みましたよ。あのラストはたまらなかったw
957 :
955:04/12/02 19:17:56 ID:Gf+3ovct
>>956 そでつか( ´・ω・)
雨宮町子の「たたり」なんかもドゾー
>>957 >雨宮町子の「たたり」
「日本版シャイニング」の帯に釣られて
読んだけど、後半がメタメタで萎えたよ。
ラストは絶望的というより収拾がつかなくなって絶望的って感じだったw
>>958 えーっ、あんまり面白くないの?
一昨日、ブクオフで、カバーのあらすじ読んで買ったのだが。期待してたのだが。
>>957さんは、でも、面白かったようだし。よし、今晩読んでみよ。
せっかく「お見世〜」買ったのに、今だ読めていない。
最近うつが酷いからなぁ。
961 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/12/06 08:13:58 ID:7bY7Jm4J
ダフネ・デュ・モーリア「鳥」(創元推理文庫)
’52の作品。収録作品は以下の通り。
『恋人』(1)/『鳥』(2)/『写真家』(3)/『モンテ・ヴェリタ』(4)/『林檎の木』(5)/『番』(6)
『裂けた時間』(7)/『動機』(8)
ロアルド・ダールやジョン・コリアーら、いわゆる「異色作家」のカテゴリーで才気を
放つ女流の短編集。ヒッチコックの映画化作品としてあまりに有名な(2)(モチーフ
以外は映画と全く異なりますが、静かな凄味のある傑作)をはじめ、険しい山中に
佇む秘密教団の寺院を中心に、男女の美しくも残酷な運命のめぐり逢いを描いた
幻想譚(4)、死んだ妻の身代わりとばかりに痩せた林檎の木に憎しみを向ける男
に降りかかった悪夢を描いた秀逸なニューロティックホラー作品の(5)、そしてモー
リア版「みにくいあひるのこ」といった面持ちの(6)と、他の作家にはない、まさに
異色の着想と多彩な筆致を備えた瞠目の作品集。「豊饒なる物語の数々」という
帯書きに偽りなしです。ぜひ一読あれ。
>>961 ・その短編集から3篇だけ選ばれて収録されているのが
『鳥』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)ですね。
私の手元にあるのは、これのみです(創元推理版を入手せねば)。
・レビューの件、ありがとうございます。必ずや。。
・それから、続編スレのほうも、是非とも。宜しくお願いします。
963 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/12/08 12:08:18 ID:OiM0tXFT
ついに…ついにあの伝説のシリーズ、創元推理文庫版「ラヴクラフト全集」
の第7巻が発売されるようです!第6巻発売から何と15年、幻とも言わ
れた最終巻の発売には嬉しさもひとしおです。来月の発売になるようです。
今から楽しみですね!
え、ほんと?
いやー、長かった。
創元全集の前身「ラヴクラフト傑作選1・2」を手にしたのは、まだ高校生だったような気がする。
そうかぁ、ようやく出るのかぁ・・・・・・
うれしい情報、ありがとうございました。
漏れは中学だったよ…。
そういえば青心社(だっけ?)のクトゥルーのシリーズは
まだあるのだろうか。
966 :
本当にあった怖い名無し:04/12/10 20:57:30 ID:wqLsof6R
<補足>
四六判「クトゥルーT〜Y」は、「品切れ」となっていたよ。
968 :
恐怖館主人 ◆m2/JIAzxUM :04/12/20 08:27:34 ID:tThf6FGI
ジェームズ・ハーバート「魔界の家(上下)」(ハヤカワ文庫NV)
’86の作品。その館、通称”グラマリー”は、都会の喧騒から逃れたがっていたミュ
ージシャンのマイクと、名の知れたイラストレーター、ミッジのカップルにとってうって
つけの物件、まさに「運命の」出会いだった。自然に囲まれ朝な夕なに森の動物た
ちの訪問を受けるすばらしい毎日に二人は才気煥発、これまで以上に仲睦まじくな
っていた。しかし「神人協力論者神殿」を名乗る新興宗教のグループが館を訪ねて
以来、”グラマリー”を不吉な影が覆い始める。うまくいかない仕事、屋根裏で暴れる
コウモリの大群、押し寄せる不気味な幻覚…マイクとミッジの仲に分け入ってくる
宗教団体の目的は?不思議な力を持っていたとされた”グラマリー”の以前の持ち
主に関係があるのか…?その秘密が明らかになったとき、”グラマリー”は文字通り
「魔界の家」と化す!
どうしちゃったのハーバート?と言いたくなるような、これまでの作品と趣を異にした
超牧歌的な作品。彼一流のナスティ描写は鳴りを潜め、上巻の9割までは自然や
動物と戯れる、不思議で童話的な日常が描かれ、ホラー作品であること
を忘れてしまうほど(表紙とのギャップがありすぎです)。しかも最後まで特に大仕
掛けがあるわけでもなく、ひたすらワンテーマで進行し、これまで読んだ作品(『ムー
ン』や『ダーク』)に比してあまりに「まとも」、換言すれば「月並み」なエンディングを
迎えてしまうという淡白さ。「幽霊屋敷」テーマの作品を読む上で、使い古され
た素材がどう斬新に、あるいはトラディショナルに料理されているかを楽しみにして
いるのですが、本作品はどっちつかずのまずさで、お客様にはお奨めできません。
969 :
新参者 ◆1BoyUhe6Ns :04/12/20 11:21:18 ID:cgf6xCdK
斎藤澪『この子の七つのお祝いに』(角川文庫)
とおりゃんせ とおりゃんせ
ここはどこのほそ道じゃ……
よくその歌を聞かせてくれた母は、二十数年前の元旦、幼かった私を残して息を引き取った。
母は私に、ろくでなしの父への復習を強く望み、思いを託して、死んだ。形見のすり切れたアルバムと、遺書を残して。
あれから二十数年。もはや遺書は紙が黄ばみ、文字はかすれた。しかし、私の復讐心はかすれることなどないのだ……。
ルポライターの母田耕一(もだ こういち)は、ある女の正体を追っていた。政界の黒幕・秦一穀(はた いっき)の陰にいる
謎の女占い師・青蛾(せいが)だ。この女の驚異的な占いの影響力は、いまや政財界におよんでいるらしい。
そして母田はついに、青蛾のことを詳しく知る女に会う約束をとりつけた。だがその女は、面会直前に何者かに殺される。
ある宿命を背負った者が、ついに動いたのだ。謎を追う者と過去の痕跡を消そうとする者。やがて明かされる衝撃の事実……。
以前ご紹介したように、昭和56年の第一回横溝正史賞受賞作である本書は、推理小説・ミステリー小説に分類される
作品なのですが、何度読み返しても、私はサイコホラーとしての面から、この作品を見てしまいます。
全編にわたって漂う濃厚な血の匂い、怨念、猟奇的殺人。そして最後に明かされる母娘の重大な秘密。
この物語では、アルバムの中に残された親子三人の手型をめぐるくだりがとくに推理小説的要素を果たします。しかし、
先に挙げた諸要素は、ホラー小説のそれに匹敵するほど濃く、ラストのどんでん返しはめまいすらおぼえるほどです。
様々な人物の視点から物語は進みますが、読者が混乱することはありません。この多視点がむしろ効果的に用いられています。
読みやすい文中にハッとさせられる良質の描写がちりばめられている、血と女の怨念にまみれたドロドロ素晴らしい一冊。
嗚呼……。
>>969、誤字はあるし、内容的にも説明不足だし。。
今度からは、書いてすぐ投稿せず、一日二日は推敲する癖をつけるようにします。