◆稲川淳二みたいな口調のスレですよ 第3話◆

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私の友人の、仮にAくんとしておきましょうか。
彼がね、私の本の新作が出ている、って、どこからか、聞いてきたんだ。
私が言うのも可笑しいですが、Aくん、私の怪談が大好きでしてね、もう、その情報を
聞いてすぐに、コンビニに、走ったんだ。

その日の夕方、私が家に帰るとですね、郵便ポストの上に、小さい子供が6人、
座ってるんだ。みんな揃いの、水色のワンピースを着た子供が、俯いて、座ってる。
ありえない、ありえないんだ、こんな事。
目の錯覚かな、と、顔を近づけようとしたその時、

「稲川さん、すごいでしょ、それ」

Aくんなんだ。
突然声をかけられて、私、うわあっ、って、声をあげちゃった。
「そんなに驚かないでもいいじゃないですか。でも、それぐらい、いいでしょ、それ」
彼、そう言って、ポストの上の小人を指差して、にいっ、って、笑うんだ。
で、私、小人をよく見てみた。それ、小人じゃないんだ。
おもちゃなんだ。小さい女の子の形をした、おもちゃ。

「今日コンビニに行ったら、それ、売ってたんですよ。思わず箱買いしちゃいました」
Aくん、嬉しそうに言うんだけど、ハコガイ、っていうのが、よく、わからない。
「リカヴィネっていうんです。もうダブリだらけだけど、なんとか3コンプしましたよ」
そう言うAくん、目が血走っていて、普通じゃ、ない。

「なあA、私の本は買ったのかい?」
私、恐る恐る聞いてみた。すると、Aくん、奇妙な笑顔を浮かべて、こう言うんだ。
「買えるわけないじゃないですか。明日はワンフェスですよ」
私、すーっと、気が遠くなりましたよ。

それが、昨日の話なんだ。
それ以来、Aくん、見かけないんですよ。
こんなことって、あるんですねえ・・・・・・。