zombie ゾンビその7

このエントリーをはてなブックマークに追加
855巡査物語 ◆B6gHTT4PmE :03/08/23 21:24
終わりです。

一部説明
銃剣塹壕
ヨーロッパで一次戦の現存する戦跡は多く、その中に銃剣塹壕と呼ばれるものは
確かに有りますが、ソンム戦時とは限りません。

効力射
当時の大砲は、弾道学の計算による射撃であるが火薬の燃焼速度を含め大変
複雑な計算を必要とする。
手っ取り早いのは、少しずつ違った調整で発砲し結果を観測する事でありこれを試射と言う
その結果に照準が定まったら砲列を揃えて発砲する、これを効力射と言う。

なおソンム戦線の実情はもっと酷かったようです、最大で1日6万人の死傷者が出ています。
原因は単純密集横隊で、機関銃の強化射線に踏み込んだ為と言われています。

人物
チャーチルは第2次世界大戦の首相です。
ヘイグは英国軍参謀部の総指揮官。
856推定少女ファン:03/08/24 09:17
なれないゾンビ
857あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/26 20:33
今テレ朝でゾンビが・・・
858あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/26 20:43
ネタ的には今更・・・・だけどね
ゾンビパウダー体に良さそうだな。
860あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/26 20:53
俺のサンダルに白い粉がついてたような
861あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/26 23:06
ごはんのともに「ゾンビパウダー」をどうぞ。
862王都座夢 ◆T6J3cL3e6. :03/08/27 00:09
皆様、こんばんは。
嬉しくないなら「ゾンビ映画セット」を視聴者プレゼントにして
欲しいと熱望したのは私だけでしょうか。(-^_^-):::
それでは、太古の香り漂うまとめ感想ですが...行きます。

PIPさん、改訂版を再度読ませて頂きました。
以前うぷされた物と大まかな流れは一緒だけれど、やはり
こちらの方がより日向の動揺と決意が感じられました。
私もバッドエンドではない事を祈りたいです。

数学屋さん、読み終えた後にズシッときました。
屍人は徘徊しなくても99%の真実が、恐ろしさを何十倍にも
引き出してくれますね。
改めて被害に遭われた方々の冥福を祈りたいです。黙祷...(-_-)...

さんげりあさん、緊迫する状況と相川、ゴリポンのコミカルな
やり取りが旨くマーブルになっていて面白かったです。
そして気になるのは三上先輩の行方.....達者でいて欲しいな。

カスケードさん、もしかしたら前回で終わり!?と思っていたので、
続きを拝見する事が出来てとても嬉しかったです。
本当はハッピーエンドが好きなのだけれど、半端じゃなく絶対的に
救いのないバッドエンドも大好きだったりします。
シリアスな内容とは打って変わる面白い書き込み、カスケードさんの
言葉遊び(雑談)はいつも粋で面白いですね。
863王都座夢 ◆T6J3cL3e6. :03/08/27 00:09
電波姫さん、初めまして。
本当に読むとバイオをやりたくなりますね。
次回作を楽しみにしています。

WZm3jzCkZQさん、とても良い作品ですね。
毎回本格的な作品に思わず垂涎。
舌鼓ならぬ、目鼓!?を毎度打たせた頂いてます。
ジーンと来てホッとしたのも束の間の悲しい結末。
ハッピーエンドではないところが、現実の非常さを思わせて
より本当の事のように感じられました。

巡査物語さん、改めて読ませて頂きました。
血と土埃の香り、轟く爆音と怒号の声。
読んでいて戦いの真っ最中に突然送り込まれたような感覚を覚えました。
恐ろしい戦火の悲劇と対照的に、淡々と安全な場所で話し合われる
次期戦力の秘密.....何とも言えないやるせなさと切なさを
忘れない様にすると同時に、次の世代に伝えて行かなくてはだなと思い
ました。なんかゾンビ物の感想とかけ離れてしまってますね。
申し訳ないです。
本スレは作者さんが作品を発表する以外はsage進行です。
作者さんにしてもほとんどの方はsageています。
>>2お約束参照。
plewase help m
866あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/29 17:20
ω



・・・・・・誰か、きんたま忘れてますよ。
867あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/29 18:24
BOODOO・・・BOODOO・・・BOODOO・・・

はい、ゾンビ

(意味不明)
そろそろ続き書かないとやばいかなぁ。
869あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/30 18:44
きんたま
保守かきこW
私も保守カキコ〜
872あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/03 14:35
∧_∧
( ωωω)
<| ω |>
ノ ω ゝ


なあ、FOXに通報してもいいんじゃないか。
今までだした依頼といま張られてる奴だせばけっこういけるんじゃないか?
保守
ZOMBIE ホームセンター攻防編 八日目
http://hobby4.2ch.net/test/read.cgi/occult/1062185351/

新スレに移行しています。
ここは落としてしまってください。
補修
877あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/21 16:06
878あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/23 09:33
いい加減にデータ落ちさせろ。保守するな。
880あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/26 11:58
  ,、,、   ξ
 (・e・)y-┛ アヒャヒャ ウヒャヒャ
.ノ( 。。へ,
  ⌒゜
881あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/28 12:25
  ,、,、   ξ
 (・e・)y-┛ アヒャヒャ ウヒャヒャ
.ノ( 。。へ,
  ⌒゜
882あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/29 10:08
 
883あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/02 19:59
何か、バタリアンがゲーム化されるらしいけど。
884あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/08 06:48
ゾンビってゾンビパウダーで仮死状態にするんでしょ??
でも映画なんかで見るゾンビってみんな腐ってる米!
ただの演出かしら
885あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/08 08:12
チェ、
886あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/08 08:43
今からゾンゲリアみまつ。
見田人は意見をどうぞ。
887あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/08 15:34
サンガリア?それって、ミックスじゅーちゅの会社じゃろ?
888あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/09 07:45
888
889あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/11 12:00
バイオハザード
890アヴォーン:03/10/11 16:08
890
891あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/17 23:08
荒らすなよ!
892マテリアルさん作:03/10/20 15:34
(1)
 今から二年ほど前のこと・・・。
駒井は、若い男と自宅で酒を飲みながら馬鹿話をしていた。ふと会話が途切れた時である。
「社長、『ゾンビ』って映画、知ってますか?」
「聞いたことはある。確か、死体が歩きまわって人間を襲う話だろ」
「そうです。で、俺、眠れない時によくあの映画みたいな世界にいる自分を
 想像するんですよ。ゾンビに向かって銃を撃ちまくる自分を。
 なんか楽しげじゃないですか、人の形をしたものに弾ぁ、撃ち込むのって」
 若い男・山形は目に危険な輝きを表しながら、楽しげに語った。
「おまえ、結構危ない奴だな」
 駒井は山形を見ながら、笑った。
「動物は撃ち返してこないでしょ、社長」
山形はそう言いながら、書斎の壁に飾られている駒井が今まで撃ち倒してきたゲーム
(動物・獲物)の首を眺めている。
「・・・社長、あの映画みたいな状況になったら、どうします?」
「まぁ、銃はあるから無抵抗で食われたりはしないが・・・」
「そこで相談なんですけど、そうなったら、自分にも社長の銃を貸してくれませんか?」
マテリアルさん ◆EkzNU3ykSU :02/10/09 02:11
(2)
 駒井は確かに銃を所持していた。スプリングフィールド社製M1Aライフル
(米軍が一時期使用していたM14ライフルの民間バージョン)と
豊和製M1カービン、レミントン870散弾銃の3挺である。
「かまわないよ、死体が歩きまわったりする世界が来たら、な」
(映画の世界が現実になるはずがない)と思って、駒井は山形の頼みを安請け負いした。

 その後、駒井は山形から映画『ゾンビ』のビデオを借り、その狂気の世界に
取り憑かれていった。
 日本の法律では猟銃の装弾数は、ライフルが五発、散弾銃が三発まで、
と決められている。そこで駒井は、米軍払い下げの店から
M14とM1カービンの弾倉と装備を買い込み、アメリカに旅行した折に
違法と知りながらレミントン870用のエクステンションマガジンキット
(装弾数を増やす改造パーツ)等を買い込んで日本に送った。
さらに、これまた違法だが、大量の実弾を家の地下室に備蓄した。

 駒井は自分のやっていることを自嘲していた。
 しかし、狂気の世界がまさか現実になろうとは、当の駒井も思っていなかった。



887 :マテリアルさん ◆EkzNU3ykSU :02/10/09 02:12
(3)
「各地で暴動あり」の報道が流れてから一週間もしないうちに、街中をゾンビが
徘徊するようになっていた。テレビで実況を見ながら駒井は
「これはひょっとすると・・・」
と期待で胸を躍らせ、妄想を膨らませていた。そして、予想は的中していた。
 駒井は山形の携帯を呼び出すと、山形はやけにのんびりとした声で応答した。
「社長、俺の与太話なんか覚えていたんですね」
「まぁな、約束したことだからな。こっちに来れるか?」
「今からうかがいますよ」
 小一時間もしないうちに、電話が鳴った。山形だ。
「今、社長の家の近くまで来ています。出歩くと危険なので、
 門の前でクラクションを鳴らします。そうしたら開けてください」
 駒井はM1カービンに30連の弾倉を叩き込み、薬室に一発装填、
いつでも撃てる状態にして、玄関で合図を待った。
五分後、外でクラクションが鳴った。
駒井は玄関を飛び出し、鉄の門に張り付いて鍵を開けた。山形は車を家の前の
空き地に置いて、トランクからダッフルバックをのんびりと取り出していた。
道路に目をこらすと、ふらふらと近づいてくる人影が見えた。
「山形っ、急げ!」
 駒井は思わず声を上げたが、山形は振り向いてにやりと笑うと悠々と道を渡って
駒井の前に立った。
「社長、その銃を貸してくれるんですか?」
 山形は駒井から銃を受け取ると、何の迷いも無く、ゾンビに向けて引き金を引いた。
住宅街に乾いた銃声が響いた。



888 :マテリアルさん ◆EkzNU3ykSU :02/10/09 02:13
(4)
 山形を家に上げ、キッチンでコーヒーを出すと、山形は楽しそうに
「いやぁ、遅れてすみませんでした。途中でゾンビの群れの中に突っ込んで
 四、五匹踏み潰してきちゃいましたよ。おかげで車、へこんじゃって・・・」
と言って頭を掻いた。
 落ちついてから二人はガレージに入っていった。作業台の上にはすでに
M1Aとレミントン870と弾薬が並べられてた。M1カービンは山形が抱えている。
「M14(M1A)は俺が使うから、おまえさんはそっち(M1カービン)を
 使ってくれ。弾はM14用に750、カービン用に1000ちょい。シェル(散弾)が
 OOバック(ダブル・オー・バック:鹿撃用の弾)が230に兎用が70・・・」
「社長、ずいぶん集めましたね。これ、違法じゃないんですか?」
 山形は自分が抱えているM1カービンの30連弾倉と
米軍の弾薬箱に入った銃弾の山を交互に指差しながら笑った。
「今更違法もへったくれもないだろうに。それにおまえもさっき撃っちまったじゃねえか。
 ありゃ死体損壊だろ?」
「あ、そうですね。それ、忘れてましたよ」
 弾の他に、M14用の20連弾倉が13本、M1カービン用の30連が8本と
15連が6本。米軍の払い下げ品の弾倉入れとベルトとサスペンダー・・・。
「ところで、おまえさん、後生大事に抱えてきたズダ袋には何が入っているんだ?」
 山形はよくぞ聞いてくれましたという顔をして、床に店開きを始めた。
中からは、大量の発煙筒、米軍がベトナム戦争当時に使用していた濃緑の作業着、
ヘルメット、帽子、ブーツ、その他の装備一式が二組出てきた。



マテリアルさん ◆EkzNU3ykSU :02/10/09 02:13
(4)
 山形を家に上げ、キッチンでコーヒーを出すと、山形は楽しそうに
「いやぁ、遅れてすみませんでした。途中でゾンビの群れの中に突っ込んで
 四、五匹踏み潰してきちゃいましたよ。おかげで車、へこんじゃって・・・」
と言って頭を掻いた。
 落ちついてから二人はガレージに入っていった。作業台の上にはすでに
M1Aとレミントン870と弾薬が並べられてた。M1カービンは山形が抱えている。
「M14(M1A)は俺が使うから、おまえさんはそっち(M1カービン)を
 使ってくれ。弾はM14用に750、カービン用に1000ちょい。シェル(散弾)が
 OOバック(ダブル・オー・バック:鹿撃用の弾)が230に兎用が70・・・」
「社長、ずいぶん集めましたね。これ、違法じゃないんですか?」
 山形は自分が抱えているM1カービンの30連弾倉と
米軍の弾薬箱に入った銃弾の山を交互に指差しながら笑った。
「今更違法もへったくれもないだろうに。それにおまえもさっき撃っちまったじゃねえか。
 ありゃ死体損壊だろ?」
「あ、そうですね。それ、忘れてましたよ」
 弾の他に、M14用の20連弾倉が13本、M1カービン用の30連が8本と
15連が6本。米軍の払い下げ品の弾倉入れとベルトとサスペンダー・・・。
「ところで、おまえさん、後生大事に抱えてきたズダ袋には何が入っているんだ?」
 山形はよくぞ聞いてくれましたという顔をして、床に店開きを始めた。
中からは、大量の発煙筒、米軍がベトナム戦争当時に使用していた濃緑の作業着、
ヘルメット、帽子、ブーツ、その他の装備一式が二組出てきた。



マテリアルさん ◆EkzNU3ykSU :02/10/09 02:14
(5)
 今後の計画はこうだった。
 できる限り篭城し、頃合を見計らって駒井のランドクルーザーで脱出、
弾が切れるまで狩りを楽しみ、最後の一発は自分用に、という刹那的なものだった。
なぜすぐに出発しないのか、という駒井の問いに、山形はこともなげにこう言った。
「だって、まだ生きている人間もたくさんいるでしょ。人間には会いたくないんですよ。
 仏心を出して助けたところで、結局、行く先はあの世なんですから」
 確かに山形の言う通りだった。うっかり他人を助けた末に銃を奪われて
命を落とすのだけは避けたかった。

 山形が来てから三日が経った。
 テレビは何も映し出さなくなり、ネットの上でも情報が動かなくなっていた。
BBSで生き残りに呼びかける書き込みがあったが、それに答える者は極々わずかだった。
 駒井の家は住宅街の中にあったことで、家の前をうろつくゾンビの数は
多くはなかった。これで大通りに面したところに住居を構えていたら、と思うと
ぞっとした。駅前や商店街の近くなどは今ごろどえらいことになっているだろう。
少し離れたところに建っている隣家はひっそりと静まりかえり、
中に生きている人間がいるのかどうかわからなかった。
そもそも普段から付き合いのない生活を送っていた駒井である。
生死はどうでもよいことで、仮に助けを求められても放っておくつもりだった。

 山形が口角を上げながら言った。
「さぁ、隊長、そろそろ行きましょうか、狩り天国へ」



890 :マテリアルさん ◆EkzNU3ykSU :02/10/09 02:14
(6)
 二人は銃と装備、食糧や水、燃料、その他の必需品をランドクルーザーに詰込み、
ガレージの電動シャッターを開けてこの世の地獄へと繰り出した。
街は静まりかえり、道行く車もなく、完全に活動を停止いていた。動いているものは
死体をついばむカラスと、のろのろと蠢くゾンビのみだった。そのゾンビも秩序だった
行動はしていないが、ランドクルーザーに乗る「餌」の姿を見ると、一気に集まってきた。
それらをバンパーで跳ね飛ばし、距離をあけると山形がサンルーフから身を乗り出して
発砲した。M1カービンから発射される30口径のソフトポイント(弾頭が鉛むき出しで、
着弾時に変形しやすく、貫通しづらい。そのため、命中した物体に弾頭エネルギーの
すべてを伝えることになる。ちなみに、軍での使用は禁止されている)は、
確実な死をゾンビに与えていった。山形が引き金を引くごとに、
ゾンビの頭がスイカを高いところから落としたかのように破裂した。
駒井は、山形の一発必中の腕を見て、(こいつはいったい、どこで射撃を覚えたのだろう?)
と不思議に思った。
「山形ぁ、そろそろいいか?」
駒井は煙草をふかしながら声をかけた。
銃一挺でどうにかできないぐらいの数が集まりだしていた。
「はい、いいですよ」
山形からのんびりした口調で答えが返ってくる。駒井はランクルをスタートさせた。
その後ろにはゾンビの死体が点々と残されていた。



マテリアルさん ◆EkzNU3ykSU :02/10/09 02:15
(7)
「どのくらい倒した?」
「そうだなぁ、二、三十ってところでしょうか? 全然、キリがないですね」
後部座席を覗くと、空になった15連の弾倉が二つ落ちていた。
「ところで、おまえさん、30連の弾倉があるのになんでわざわざ少ないほうのを
 使うんだ? 弾倉の交換は面倒なんじゃないのか?」
「いやぁ、俺、マガジンチェンジ(弾倉交換)しながら撃ちまくるのが夢だったんですよ。
 奴等の前でチェンジするとスリルがあるし、単なる趣味なんで気にしないでください。
 まぁ、マガジンチェンジ・マニアってやつですか」
 駒井には想像も出来ないことだったが、山形の趣味がどういうものであれ現段階で
特に問題もないので放っておくことにした。
 二人は街から街へと車を走らせ、ゾンビを倒しながら旅を続けた。ゾンビを撃つのは
ほとんど山形の役だった。運転を替わり、駒井もM14で射撃をしてみたが、
標的射撃をしているようでどこか味気なかった。二日間で駒井は二十数発の弾を
消費したが、山形はその五倍以上の弾丸を使っていた。
 あまりのゾンビの多さに、駒井は一度、街に火をはなって一毛打尽にしたらどうか、
と冗談で口にしたことがあった。山形はただ首を振り、いつもの口調で
「生きた人間を焼くかもしれませんよ。それに、丸焼けにしちゃったら、
 的になってくれなくなっちゃいます」
と言うだけだった。



マテリアルさん ◆EkzNU3ykSU :02/10/09 02:16
(8)
「隊長、そろそろ田舎のほうに行ってみましょうか? ちょっとのんびりしたほうが
 いいかもしれませんね」
 山形がそんなことを言ったのは、つまらなそうにしている駒井を
慮ってのことだったのかもしれない。市街地では長距離射撃に長けたM14の出番は
ほとんどなかったのである。

 街から離れると、確かにゾンビの数は少なくなった。一旦、田畑が広がる所まで行くと、駒井は開けた場所で、M14に載せたスコープを覗いた。
引き金を引くたびに反動とともに轟音がとどろき、ゾンビの頭が爆ぜていく。
200m離れたゾンビの首に弾が当たり、頭が転がり落ちた。それを見ていた山形は、
盗んできたブドウを頬張りながら、
「あの首は、部屋に飾らないんですか?」
と茶々を入れた。もう家に帰ることなどできないというのに。

 日が落ち始めると、二人は車で山道を上り、カーブによくある避難帯に車を駐めた。
前後にしか逃げ道はないが、山道を大量のゾンビが上ってくるとも思えなかった。
念の為、前後にロープを張り、即席の鳴子を作ってつるしておいた。
駒井と山形は湧き水で体を拭き、レトルトではあったが五日ぶりに温かい食事を摂った。
駒井は地面の上に寝転び、星を眺めながらいつの間にか眠っていた。



マテリアルさん ◆EkzNU3ykSU :02/10/09 02:17
(9)
 翌朝、といっても正午近くのこと、駒井は山形に揺り起こされた。
体中の筋が突っ張って、すぐには起きることができなかった。
「一晩中地面で寝ていたんですか? 根性ありますね。
 いやぁ、真似できません。俺なんか怖くて車の中で震えてましたよ」
駒井はそれが、ウソだとわかっていた。山形の目が笑っている。
(こいつは一晩中起きて見張りをしていたのか?)
少し驚きを感じながら、駒井は目を擦った。
「隊長、それよりも、面白いものを見つけましたよ。見てください」
 山形が指差す方向を見ると、田圃に囲まれた交差点の真ん中で赤い車が立ち往生し、
そこにゾンビが群がっている。
「昨日まではあんな車はいなかったんですがね。どうやら美味しい『餌』が
 乗っているみたいです。あの車のおかげでゾンビは山を上ってこなかったのかも
 しれないですね。どうします?」
「どうします、って・・・」
「ここからだと楽しい狩りができます。そのかわり、この場所を放棄しないと
 ならなくなります。しばらく温かい食事を摂って平らな場所で眠りたいのなら
 放っておけばいいことですし、あの車の中の『餌』もいずれ食われるか
 俺らの標的になるかのどっちかですから」
 山形の言うことももっともだと思いながらも、駒井はゾンビに囲まれている車の中に
どんな「人間」が乗っているのかにも興味があった。それを山形に告げると、
「かまいませんけど、やっかいなことになるかもしれませんよ」
と笑いながら答え、朝食の準備を始めだした。



ZOMBIE ホームセンター攻防編 八日目
http://hobby4.2ch.net/test/read.cgi/occult/1062185351/

マテリアルさん ◆EkzNU3ykSU :02/10/09 02:18
(10)
 駒井から赤い車までの距離は、目算で約300mほど。高場からの撃ち下ろし
という絶好のシチュエーションにおいて、300mは必殺距離だった。
駒井はスリング(肩掛け紐)を左腕に巻いて姿勢を確保し、スコープを覗いた。
引き金を引くと撃針が雷管を叩き、パウダー(発射薬)が燃焼して
弾頭を前へと押し出す。轟音とともに銃身から弾頭が目標に向かって飛び出すと、
ボルト(円筒・遊底)が後退し、空薬莢を薬室から抜き出して排莢口から外へ蹴り出す。
返す刀でボルトが弾倉の一番上の弾丸をくわえて、薬室へと放り込む。
M14はこの動きをほんの一瞬で完了し、次の咆哮を待っている。
300m先、車から少し離れた所にいたゾンビの頭が吹き飛んだ。
「おお、初弾命中、すごいですね」
 双眼鏡を覗いていた山形がおどけて声を上げた。
ゾンビどもは仲間が撃ち飛ばされても気にすることなく、「餌」に執着していた。
駒井は無言で引き金を引き続けた。弾倉を五本、90発を消費したところで
――弾倉には20発装填することが可能だが、弾詰まりを避けるため、
駒井は装弾数の一割減、18発だけを装填していた――残りの数が片手をきった。
「おまえさんの分も残しておいたぞ。そろそろ行ってみるか?」
駒井がそう言うと、山形は嬉しそうな顔をして鳴子や携帯コンロを片づけ始めた。

 駒井がランクルを赤い車の近づけると、ルーフから乗り出した山形が
四匹のゾンビを、きっちり四発で撃ち倒した。
山形が車を降りて赤い車の中を覗き込む。駒井に向けて二本の指を立てて
生存者が二人いることを教えた。



マテリアルさん ◆EkzNU3ykSU :02/10/09 02:19
(11)
 生存者、二人の若い女性は、抱き合いながら鳴咽を漏らしていた。
極限の精神状態のためか、山形が車の窓を叩いても反応を見せなかった。
しばらくして、山形はM1カービンのストック(銃床)を後部座席の窓に叩き込んだ。
ガラスを割って手を突っ込み、ドアのロックを外して二人を車から引きずり出した。
駒井は辺りを警戒しながらその光景を見ていた。
「隊長、こっちに車を寄せてください」
山形が声を上げる。ランクルを寄せると女性二人を後部座席に荒々しく放り込む。
新たなゾンビが道路の遠いところを歩いている。山形はM1カービンを構えたが、
距離が離れていたせいか、発砲を諦めた。「チッ」と口を鳴らして、
生存者の荷物を赤い車からランクルに移しだした。作業終了、駒井はランクルを走らせた。
「なぁ、お嬢さん方、いったいどこへ行くつもりだったんだ?」
駒井はハンドルを握りながらひょいと後ろを振り向いて優しく訪ねた。
女性は無言で泣くばかりだった。
「名前くらいは聞かせてくれよ」
と、再び駒井。しかし、答えは返ってこない。
ま、しょうがないか、と駒井は溜息をついた。
「てめえら、いい加減にしやがれ! 助けてもらって礼も言えねえのか!!」
吠えたのは山形だった。ここまで荒々しい山形を見るのは、駒井は初めてのことだった。
山形も疲れているんだな、と思いながら、
「まぁまぁ、そう言いなさんな。もう少し落ち着いてからでいいよ」
前半を山形、後半を女性に向けて言って、フォローした。
 車内には重苦しい空気が流れていた。