高校の時、友達がいきなり
「石焼きタツヒコちゃん」などとのたまい、
不謹慎にもほどがあるのがまた面白すぎたため、
笑いすぎによる呼吸困難で死線をさまよった所感。
「昔、ある村にさっちゃんという女の子がいた。
さっちゃんはバナナが大好きだったが、当時バナナは高級品。めったに食べられなかった。
ある時、さっちゃんは病気にかかった。死に至る病だった。医者もあきらめた。
病の進行は止まらず身体は衰弱してゆく一方。
ある日さっちゃんは母に告げた…
─バナナが食べたい…死んじゃう前にバナナ食べたい…
母は家を飛び出しバナナを買いに行った…
バナナを抱えた母は急いで家に帰った。娘の、もう何度見られるかわからない笑顔が目に浮かんでいた。
だがそんな母を家で待っていたのは…
─娘の死だった。
という訳でさっちゃんは死んでしまった。だが悲しいことにさっちゃんは成仏できなかった。
最後にバナナを食べれなかった事がそうとう無念だったのだろう。
さっちゃんはその後何十年間も現世をさまよい続けた。
ばななを食べさしてあげれば成仏するだろうけど…それはもうできない。
さっちゃんがさまよっている間、日本はどんどん豊かになっていった。
いつしかバナナは簡単に手に入りどの子どもでも食べられるものとなっていた。
さっちゃんは始めは羨望の眼差しでバナナを食べる子ども達を見ていた。
だがそれはいつしか憎しみに変わり…子供たちに逆恨みするようになった。
(わたしもこの時代に生まれたかった…)
(わたしだってバナナ食べたかったのに…食べたいのに!)
なんで!こいつらだけ…!!
─気がつくと…さっちゃんは鎌を持っていた。
とても大きな…人ぐらい簡単に殺せそうな…鎌。
…てゆー話。聞いたことある?」
とある小学校で一人の男子が放課後、クラスのみんなに話をした。
「ないない。」
話を知ってる生徒は誰もいなかった。
「マジで?かーっ!まいったなぁ、こりゃ。」
「はぁ?何でお前がまいるの?」
「つーか、怖くないじゃん。かわいそうな…まぁ、バナナバナナ言うからそーでもなかったけど。」
「いやさ、でるのよ。この話聞いた奴の所に…必ず。」
「なにが?…ってまさか…」
「うん。さっちゃんね。鎌でな、殺しに来るぜ。絶対に。」
「来ねーし。」
「いや、ぜってー来るって。まちがいねーって!」
「100%?」
「200ぱーせんと来るって!」
「じゃあ、何でお前は生きてるわけ?」
「そーだな、何でだ?作り話だろ?」
「だからさ、助かる方法があるのよ。一つだけ。」
「何それ?早く教えろや。」
「あれ?そんなに怖いの?そんな急かしてw」
「もうすぐ塾の時間なんだよ!だから頼むって!」
「わかったよw 雅史を死なせる訳にはいかねーからな。方法は簡単。寝る時バナナを枕元に置くんだよ。」
「それでバナナか…」
「バナナは本物じゃなくて絵とか写真でもいいよ。
さっちゃんは寝てる時に襲ってくるんだけどさ、バナナっぽい物をそばに置いとくと退散するんだよ。」
「なんかさっきの話と矛盾してねー?」
「まー、いいから信じろって。じゃなきゃ殺されちゃうぜ?
そうだな、俺がお前の分のバナナ描いてやるよ。」
「バナナか?これ。」
「大丈夫!上手下手は関係ないって。」
「…死んだら怨むぞ。」
「みんなもちゃんとバナナ描いてねーっ!こんな絵でも大丈夫だからーっ!」
「はぁ…」(家で描き直すか…)
ここでクラスは解散した。
─帰り道
「お前、この話誰から聞いたの?」
「ん?いとこから。」
「お前は枕元に絵を置いたのか?」
「決まってんじゃん。じゃなきゃ死んでるって。」
「そーか。来るのは話を聞いた日だけなのか?」
「そーみたい。俺は一週間絵を置いてたけど、兄貴は一日だけだったぜ。でもまだ生きてるw」
「ふーん。」
「…まだ信じてない?いいから置いとけって。減るもんじゃねーし。」
「あぁ、そのつもりだよ。」(信じちゃいないけどな)
「つもり…じゃなくてさ。あっ、俺家こっちだから。じゃーな。」
「あぁ、また明日な。」
「死ぬなよー!」
「絵を置きゃいーんだろ!わかってるよ!」(大声で「死ぬなよ」とか叫ぶなよ…恥ずかしい)
ここは田舎。子ども達は疑うことを知らないw
その晩、話を聞いた生徒はみなバナナの絵ないし実物を枕元に置いた。
そのかいあってか、さっちゃんはどの子の所にも姿を現さなかった。
…だが話を聞いた人、全員が助かったわけではなかった。
少年が話をしていた時、ろうかで聞き耳を立てていた者がいた。
それはこのクラスの担任の女教師だった。
(ふっ、子どもが考えそうな話ね…)
当然担任はバナナを置く気もなければ、絵を描く気もなかった…
彼女はその日遅くに家に帰った。
(明日も早いし…もう寝よう)
そして彼女は眠りに落ちた…
丑三つ時、彼女はふと目を覚ました。
しかし身体が動かなかった…
(あら?これって…金縛り?何年ぶりk…えっ!?)
彼女は気づいた。目の前に浮かんでいる女の子に…
女の子は鎌を持っていた。月光を浴びたその鎌は…
とても大きくて…人ぐらい簡単に殺せそうで…
どす黒い赤の血で…まみれていた。
(この子は…?幻覚?私も疲れてるのかな…)
少女は黙ったまま。
(鎌…今日あの子達が話してた子みた)
ボタッ
何か液体が口元に落ちた。
(なに、これ…血の…味…えっ?)
─…じゃえ。
(えっ?今何か…)
─死んじゃえ。
(!!)
─死んじゃえ。死んじゃえ。死んじゃえ!
(いやっ、いやーーーーーーーーーーーっっっ!!!!)
─しんじゃえしんじゃえしんじゃえ死んじゃえ死、死死死死死死死死死死死…!
少女は鎌を振りかざす。
(!いや!身体が動か、ひっ!死にたくない!死にたくない!死に!死にしに…)
ブンッ!
…鎌は振り下ろされた。
844 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/03 15:36
しかし、振り下ろされた鎌はねらいを外し、布団をばっさりと切り裂いた。
(た、たすかったの・・・?)
そして、再び鎌が振り上げられた。
(今度こそもう終わりだわ!!)
・・・・・・
しかし、何も起こらない。
すると、声が聞こえてきた。
− バナナ バナナが! バナナが! ギャァァァァァー
叫び声を残して人の気配が消えた。
体も自由に動かせる。
呆然として、ふと切り裂かれた布団の隙間を見る。
ウイーン ウイーン ウイーン
そこには、音を立てて動くバナナが転がっていた・・・・・・
教訓:バイブの電源は切ってから寝よう