434 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:
社十春――1
とある春の夕暮れのこと…
唐の都、洛陽(唐王朝の首都は洛陽ではなく長安だったと、なぜ誰も突っ込まない?)の門の下、
怪しい老人が貧乏そうな若者に声をかけている。
「お前は何を考えているのだ?」
「私は今夜寝る所もないので、どうしたものかと考えているのです。」
「ではこのお前の影の頭にあたる所を夜中に掘って見ろ。
きっと車に一ぱいの黄金が埋まつている筈だから。」
435 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/20 06:30
社十春――2
若者=社十春は一夜にして洛陽一の大金持ちになった。
新しい家を買い、さんざん贅沢を始めたが、いかんせん投資とか貯蓄とか
なかった時代のこと、2〜3年もすると、さしもの大金もすっかり使い果たし、
もとの一文無しに逆戻り、再びあてもなく洛陽の門の下にたたずんでいた。
するとまた再びあの怪しい老人が…
「お前は何を考えているのだ?」
「私は今夜寝る所もないので、どうしたものかと考えているのです。」
「ではこのお前の影の胸にあたる所を夜中に掘って見ろ。
きっと車に一ぱいの黄金が埋まっている筈だから。」
436 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/20 06:33
社十春――3
社十春は洛陽一の大金持ちに復帰した。
手放した家を買い戻し、以前のような贅沢を始めたが、「学習効果」などという
言葉のなかった時代のこと、2〜3年もすると、さしもの大金もすっかり使い果たし、
もとの一文無しに逆戻り、みたびあてもなく洛陽の門の下にたたずんでいた。
すると、あの怪しい老人がみたび訪れて…
「お前は何を考えているのだ?」
「私は今夜寝る所もないので、どうしたものかと考えているのです。」
「ではこのお前の影の腹にあたる所を夜中に掘って見ろ。
きっと車に一ぱいの黄金が埋まっている筈だから。」
437 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/20 06:35
社十春――4
社十春はみたび洛陽一の大金持ちに復帰した(ry
もとの一文無しに逆戻りした社十春が洛陽の門の下にたたずんでいると、
またぞろあの怪しい老人が…
「お前は何を考えているのだ?」
「私は今夜寝る所もないので、どうしたものかと考えているのです。」
「ではこのお前の影の足元にあたる所を夜中に掘って見ろ。」
438 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/20 06:37
社十春――5(完結)
その晩社十春が掘った穴は、今度は無間の奈落へとつながっていましたとさ。