作り話専用 〜マジで怖い話〜 

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       〜序章1〜


【秘密】

(名・形動)[文]ナリ
(1)隠して人に知らせないこと。公開しないこと。また、その事柄。
「―にする」「―がもれる」「企業―」
(2)人に知られないようにこっそりすること。




今回はある街の七不思議の一つでもある、ある街で語り継がれている
呪いの体験を語る。

決して他人に漏らしてはならぬ、ある秘密を教えよう。
ここにある一冊の名もない古い「日記」がある。

誰が書いたものなのか、いつのものなのかは不明である。
ボロボロに朽ち果てた日記の表紙には、書き殴ったように「D」と記されているだけ。
朽ち果てた日記の古さからみて、おそらく書いた本人はもうこの世にはいないだろう。

しかしこの「日記」には、実は恐ろしい呪いがこめられているという噂だ。
それは奇妙なことに、13ページ目以降からはただの白紙である。
持ち主がそれ以降書くのが面倒くさくなったのか、それとも
何らかの理由で書けなくなったのか。

ともかくこの日記は12ページまでしか書かれていない。



だがこの日記は「ある条件」を満たすと、13ページ目が読めるそうだ。



それは決して読んではならない呪いのページとして語り継がれていた。
どうやら13ページ目に、この日記の持ち主の「秘密」があると判断してもよさそうだ。


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 〜序章2〜


しかし呪いのページと呼ばれているからには、読んだ者が無事では済みそうもない。
秘密の13ページ目を読んだ人間はどうなるのか?
貞子が出てくるとでも言うのか?
一週間後に死を宣告されるとでも?


とりあえずそれを説明する前に、はっきりとしたことが一つだけある。
それは過去に13ページ目を読んだ者がいるということ。
なぜなら読んだ者がいるからこそ、その日記に呪いがあると噂されているからだ。

ではその読む条件とは?

それは非常に簡単な方法である。
誰でも手軽に用意でき、誰でも読むことができる。



「午前02:00分に13ページ目を開く」「13ページ目を鏡に写して読むようにする」



たったこの二つの条件を満たせば、13ページ目が読めるそうだ。
非常に下らない。かつ、いかにも疑わしい条件である。
なぜ午前02:00でないといけないのか。
なぜページを鏡に写さなければならないのか。
表紙に記されている「D」とはいったい何の意味なのか。



しかし人はたったこれだけの陳腐な伝説が存在するだけで、すぐに飛びつくもの。
見てはならない、読んではならない、と言われれば言われるほど
人はどうしても読みたくなるもの。
他人の秘密ほど興味深いものはない、すでにこの世にいない人間の日記ならなおさらである。
遊びのネタや話のネタには充分である。


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 〜序章3〜


のちほどお見せする「Dの日記」、良ければ皆さんにも読んでもらいたい。
勇気のある人なら、秘密の13ページ目を読むことができるだろう。

ただしくれぐれも守ってもらいたい注意点が一つだけある。
これだけは厳守してもらいたい。




秘密の13ページ目の内容を、「決して他人に漏らしてはならない」。




これを破ると、あなたは必ず「Dの呪い」がかかります。

ゆえに口が軽い方にはこの日記はおすすめしない。
何しろ一言でも13ページ目の内容を他人に漏らせば、即「Dの呪い」がかかる。

しかしだからといって恐れる必要は何もない。
以上の注意点だけを守れば、あなたの身の安全は保障する。
読んだだけでは呪いなどかかることはない。
要はそれを他人に漏らさなければいいだけのこと。

「秘密」さえ守れば何も起こらないのだ。

13ページ目に何が書かれていたのか、それさえ誰にも教えなければ良いのである。
それだけで他人の秘密がこっそりと覗けるのだ。
ゆえに安心してDの日記を読んでいただきたい。


ちなみに秘密を破ると、どういうことになるのか教えよう。
これが「Dの呪い」である。



  ‘口を割ったら あなたは 背骨が逆に折れ 
          えびぞりのまま 冷蔵庫の中に 押し込まれる’



ではこれから話すある二人の高校生とともに、「Dの日記」を読んでいこう。
見えない13ページ目の秘密を探ってみよう。



これは ある街での ある噂から始った ある呪いの実体験である。

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         Dの日記





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      Dの日記    PAGE1


S市 S高等学校 3年1組
午前08:30


あゆみ「おはよー、四郎。」

青木「あ、おはよう。あゆみ。」
あゆみ「ねぇねぇ、すっごい面白いこと教えてあげよっか。これ絶対秘密よ。」
青木「どうせくだらないことだろ。誰かと誰かが実は付き合ってたとか・・・」

あゆみ「あ、なんだ知ってたの。」

青木「お前さ、あんま他人の秘密を嗅ぎまわるのやめたほうがいいぞ。」
あゆみ「なんでよー、あんただって面白がって聞くくせに。」
青木「あーそうだ。それからな、俺たちあんまなれなれしく会話すんのやめないか。」

あゆみ「なんでよー。」

青木「いくら従妹だからってなぁ・・・。だいたいお前違うクラスだろ。」
あゆみ「いいじゃんそんなの。別に付き合ってるわけじゃないし。」

青木「当たり前だろ、俺たちはいとこだぞ。イトコ。」


あゆみ「わかってるわよ。・・・あーもうどうして男ってこういうどうでもいいことを
    気にするのかなー。」
青木「悪かったな、男ってのは女と違って男女関係を妙に意識するとこがあるんだよ。」

あゆみ「はいはい、わかったわよ。でさ、とびっきり面白いネタがまだあるのよ。」
青木「話聞いてないだろ、お前。」
あゆみ「いいから聞いて、これすっごいとびっきりのネタ。」

青木「お前に彼氏ができたとか?」
あゆみ「違うわよ!いーから黙って聞きなさい。」
青木「わかったよ。・・・で、何の話だ。」


あゆみ「あんたDの日記って知ってる?」

青木「?なんだそれ?Dの食卓なら知ってるが。」
あゆみ「それはゲームでしょ!あたしが言ってるのはDの日記。」

青木「知らないな、いったい何だよ。」
あゆみ「呪いの13ページ目。オカルト好きのあんたでも、さすがにこれは知らないでしょ。」

青木「だから知らないっての、それが何だよ?」


あゆみ「実はさ、ゆうべインターネット覗いてたらあるサイトで・・・」


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      Dの日記    PAGE2


青木四郎(アオキシロー)17歳

S高等学校3年生。
オカルト好きという変わった趣味を持っている。
しかし見た目はごく普通の少年である。


柴田あゆみ(シバタアユミ)17歳

同じくS高等学校3年生。
クラスは違うが、主人公の青木とは従妹にあたる。
好奇心旺盛、うわさ話好きの現代っ子である。

この日、あゆみが青木のもとへ何か面白いネタを持ってきたようだ。
先ほど話した「Dの日記」である。
インターネットのあるサイトで、その日記のことが紹介されていたらしい。
.

あゆみはこの日記に対して、非常に興味がそそられたのだろう。
さっそく幼なじみの従兄の青木にそれを知らせに来たのだった。

あゆみがゆうべ見たそのサイトの説明によると、どうやらその日記は
この街の郊外にある廃屋になった屋敷に存在するようだ。

ここまで説明すれば、次の展開は予想がつくはず。
あゆみは青木にその日記を読みに行こうと誘ったのである。


呪いのページの秘密を探りに・・・


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      Dの日記    PAGE3


青木「何だか疑わしいな、呪いのページなんて。」

あゆみ「今日学校終わったらその廃屋の屋敷に行かない?あんたもDの日記
    読みたいでしょ?」
青木「めんどくせーよ、俺今日観たいテレビがあるんだよ。」
あゆみ「あれ?あんた怖いの?」

青木「別にこわかねーよ。」

あゆみ「じゃいこ、決まり。」
青木「お前なぁ・・・」

あゆみ「放課後に校門前でね、じゃあね!」

青木「おい待てよあゆみ!俺は・・・」


あゆみは自分のクラスへ帰っていった。


青木「ったく、しょうがないなー。」


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放課後 校門前
午後15:40


あゆみ「遅かったわね四郎、何してたのよ。」

青木「悪い悪い、掃除当番だったのすっかり忘れてた。」
あゆみ「じゃ、行くわよ。」
青木「まじで行くのか・・・。お前一人で行けば?」

あゆみ「何あんた、女の子一人で廃屋の屋敷へ行かせようっての?」
青木「あーあーわかったよ、行くよ。行けばいいんだろ。」

あゆみ「屋敷は郊外だからバスで行ったほうがいいわね、一度駅までいこ。」
青木「どうでもいいけどお前、ちゃんと屋敷の場所知ってんだろうな。」

あゆみ「知ってるわよ、ちゃんとサイトで調べたんだから。えーと、F町210-○×よ。
    そこの山道に今は誰も住んでいない屋敷があるの。」

青木「しかしこの街の郊外にそんな廃屋の屋敷があったなんて・・・」

あゆみ「さ、行こうよ。四郎。」
青木「あぁ。」


青木とあゆみはとりあえずこの街のS駅へ向かい、バスで郊外へ出向くことにした。


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      Dの日記    PAGE4


S駅東口前 バスターミナル


青木とあゆみは、駅前のバスターミナルにてF町郊外方面のバスを待っていた。


青木「なぁ、あゆみ。」

あゆみ「なに?」
青木「その日記についてはだいたい分かったけど、過去に読んだ人とかいるのか?」
あゆみ「いい質問ね、実はいるみたいなのよ。知りたい?」
青木「別に。」

あゆみ「ウソばっか言うんじゃないわよ、知りたいから聞いたんでしょっ。」
青木「お前がいちいちじらすから・・・」

あゆみ「まったく・・・。えぇとね、過去にDの日記を読んだと思われる人物が
    一年ほど前に新聞に載ってたらしいのよ。」
青木「ほぅ。なぜ記事になるんだ?」
あゆみ「実はその人、自宅で変死体になって発見されたみたいなの。」

青木「ふぅん・・・。」


あゆみ「その人、おそらく秘密の13ページ目を見たらしいわね。そしてそれを電話で
    友達に話しちゃったらしいの。」
青木「それで?」
あゆみ「そのとたんにDの呪いがかかったのよ!母親がその夜、冷蔵庫を開けたら・・」

青木「開けたら?」


あゆみ「その人、背骨が逆に折れてえびぞりの状態で冷蔵庫に押し込められてたんだって!」


青木「・・・・・・・」

あゆみ「どう?どう?怖くない?」
青木「別に何も。」
あゆみ「もー、怖いなら怖いと言いなさいよー。」

青木「だって怖くねーもん。」


あゆみ「ふん。とにかくその13ページ目を見た人、背骨どころか腕や足もまるで
    折り紙のようにばきばきに折れ曲がってたんだってさー。」
青木「・・・それがDの呪いってわけか。」

あゆみ「うん、そうだと思う。」
青木「それで電話で聞いた友達のほうはどうなったんだ?やっぱその人も
   呪いにかかったのか?」
あゆみ「いやそれがね、聞いた友達のほうは次の日何も覚えてなかったんだって。」
青木「えぇ?」

あゆみ「ここがまた不思議よね、どうして秘密を聞いたほうは何も起こらず
    記憶だけがなくなってるんだろ。」

青木「呪いがかかるのはあくまで秘密を漏らした人間だけってことか・・・。」
あゆみ「そうみたいね、何だか不気味よねー。」

青木「ところで何で冷蔵庫なんかに・・・」
あゆみ「あ、ちょっと待って。バス来たみたいよ。」

青木「おっと、じゃあとりあえず乗るか。」


青木とあゆみはバスに乗り込んだ。


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      Dの日記    PAGE5


バス内


青木とあゆみはバスの後ろほうの空いてる座席に座った。



青木「なぁあゆみ、それで冷蔵庫の件だけど・・・」

あゆみ「どうして冷蔵庫なんかにってこと?」
青木「あぁ。」
あゆみ「知らない、日記を読めばわかるんじゃない?」

青木「何?お前その日記を紹介されてるサイト見たんだろ?」

あゆみ「日記の内容までは紹介されてなかったのよ、13ページ目の読み方とか
    読んだあとの注意や警告までは載ってたけど。」

青木「午前02:00に鏡に写して読むってやつか。」
あゆみ「そう、それ。」

青木「どうも謎が多すぎるな、どうして午前02:00じゃないといけないんだ?」
あゆみ「さぁ・・・あたしもわからない。どうして鏡なんかに写さなきゃ・・・」

青木「そして秘密を漏らした人物は、背骨が逆に折れてえびぞりの状態で
   冷蔵庫に押し込まれる。か・・・。」

あゆみ「いったい13ページ目には何が書かれてるんだろうね。」


青木「うん、少し興味がわいてきたな。」


それから30分後、バスは郊外のF町に着いた。


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      Dの日記    PAGE6


S市 郊外 F町210-○×
廃屋の屋敷前にて


青木「この屋敷か?」

あゆみ「住所ではそうみたいね、間違いないよ。」
青木「じゃ行くか。」
あゆみ「ちょちょっと待って・・・マジで入るの?」

青木「お前が誘ったんだろうが、ここまで来て屋敷に入らないってのかよ。」
あゆみ「わ、わかってるわよ・・・」


あゆみは青木にぴったりとくっつくように歩き出した。


青木「・・・(なんだこいつ、自分が一番怖いんじゃねえか・・・)」


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屋敷内 一階ロビー


青木「うわ、すごい朽ち果ててるなー。」

あゆみ「住まなくなってからだいぶ経つんだね、階段なんかボロボロだよ。
    これ二階に上がれるのかな・・・」
青木「で、肝心の日記はどこなんだ?」
あゆみ「この屋敷のどこかだと思うけど・・・」

青木「んじゃ俺は二階を調べるよ、あゆみは一階。」
あゆみ「え?二人で一緒に調べるんじゃないの?」

青木「分担したほうがいいだろ、そのほうが早く見つかる。」
あゆみ「ま、待ってよ。あたしも一緒に二階調べるわよ。」
青木「ははは、一人じゃ怖いんだろ。」

あゆみ「違うわよ!」



それから青木とあゆみは二階の部屋を隅から隅まで調べた。

だが意外にも「Dの日記」はすぐに見つかった。

それは、ある寝室の書斎の引き出しの中にあった。

   

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      Dの日記    PAGE7


二階 寝室



そこは寝室にしてはわりと広い部屋だった。
フローリングの上にはりっぱなグランドピアノが置いてあり、
大きなベッドが一つ置いてあった。

もちろんピアノもベッドもボロボロに朽ち果てている。

二人は部屋の隅にある書斎の引き出しから「Dの日記」を発見した。




青木「おいあゆみ、まさかこれ・・・?」

あゆみ「そ、そうみたいね。」
青木「これがDの日記か・・・・。」

あゆみ「・・・・・・・」



その日記はボロボロに朽ち果てており、表紙に「D」とだけ記されているだけだった。
ページをめくれば、今にも破れそうなほど色あせていた。




青木「よし。この日記は持って帰るとして、とりあえず・・・・ん?
   おいあゆみ、何してんだ?」

あゆみ「ね、ねぇ四郎。これ見てよ。」
青木「どうした?」



あゆみは書斎の上に飾ってあった写真立てに気づいた。
そこにはいかにもお嬢様風の少女の写真が入っていた。

年齢は青木たちと同じくらいの年頃だろうか。
着ている服はいかにも高価そうな洋服だ。
どことなく気品も漂わせるような少女だった。

だが一つ奇妙な箇所がある。


写真の少女の顔がマジックで塗りつぶされている・・・



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      Dの日記    PAGE8


青木「女の子の写真か・・・・。かなり昔のものだな、当たり前だけど。」

あゆみ「誰だろうね。っていうかなんで顔がマジックで塗りつぶされてんの・・」

青木「さぁな、ここにあるものは全部ボロボロに朽ち果てている。
   いつのものなのか、誰が住んでいたのかさっぱり分からないよ。」
あゆみ「うん・・・」

青木「おいあゆみ。見ろよこのピアノ、これ音出るのかな。」


青木はグランドピアノの前に立ち、ピアノを弾こうとした。


あゆみ「ちょ、ちょっと四郎。やめなさいよ・・・」
青木「大丈夫だって、これはただのピアノだよ。」


青木はピアノの鍵盤を一つだけ叩いた。

ポロ〜ン♪


青木「あ、一応音でるみたいだな。しかしすげえ古い音だ・・・」
あゆみ「あんたピアノなんか弾けないでしょ。早く帰ろうよ。」

青木「ちょっと待て、なんかこれ弦が一本切れてるみたいだぞ。」
あゆみ「そりゃそうでしょ、それだけ古いんだから。」

青木「まぁそうだが・・・」
あゆみ「ねぇ早く出ようよ、なんかここにいるとイヤな感じ・・・」

青木「待てよ、日記を読むんじゃなかったのか。」
あゆみ「えぇ?ここで?」
青木「13ページ目を読まなければいいんだろ?だいいち今はまだ夕方の5時だぞ。
   午前02:00じゃないから大丈夫だよ。」

あゆみ「そ、そりゃそうだけど・・・」

青木「なんだよ、お前のほうから言い出したんだぞ。さぁ読もうぜ。」
あゆみ「う、うん・・・。」


青木はベッドの上に座り、「Dの日記」をヒザの上に置いた。

      Dの日記    PAGE9


青木「あゆみ、ここ座れよ。」
あゆみ「わ、わかってるわよ。」

青木「・・・おい、あんまりくっつくなよ。ページが開きにくいじゃんか。」
あゆみ「う、うるさいわね。早くページめくってよ。」

青木「今めくるよ。さぁ見るぞ・・・・。」

あゆみ「ごくっ・・・・」



ついに二人は「Dの日記」を読み始めた。


この日記には何が書かれているのか。


少しずつこの秘密を探ってみよう。


意味不明な文が書かれているかもしれないが、全部読めば何かわかるはず。





「D」とは何なのか?人の名前なのか?


午前02:00の謎は?なぜ鏡が必要なのか?



とりあえず、まずは1ページ〜12ページまでお見せしよう。



これは呪いの序章である、ゆえに安心してご覧ください。



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 Dの日記    PAGE10

   
    【Dの日記】


http://amfh.hp.infoseek.co.jp/aaa/senk/org-b.htm

1ページ目

×月1日 (くもり)

もうすぐ私の誕生日、12日が待ち遠しい。
父は私にピアノを買ってくれると約束してくれた。
一日も早く弾きたい。
だけど私の指は7本しかない。3本足りない。

どこへ落としてきたのかしら・・・。


2ページ目

×月2日 (雨)

指が足りないからピアノが弾けないと父に相談した。
すると父はこう言った。

「心配するな、指くらい買ってやる。安心しろ。」

結果私の指は今13本になった。
少し多すぎじゃないかしら・・・。
3ページ目

×月3日 (晴れ)

目がかゆい。
どうしてかわからないけど、目がかゆくてたまらない。
あまりにかゆいので父に相談した。

すると父は私にこう言った。

「目薬をさしてやろう、これでおまえの目は宝石のように赤い。」




4ページ目

×月4日 (晴れ)

そういえば私の部屋には「鏡」がない。
私は生まれてこのかた、自分の顔を見たことがない。
父はなぜか鏡だけは買ってくれない。

ピアノを買ってもらえるのに、どうして鏡は買ってくれないのかしら。
すると父は私にこう言った。

「おまえに鏡など必要ない、私が鏡になってやる。私が毎日おまえの
 美しい髪をといてやろう。」



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 Dの日記    PAGE11


5ページ目

×月5日 (晴れ/くもり)

私の愛する父の仕事は畜産業。
毎日牛や豚を殺してお肉に変えて街へ売り出す仕事。

私が初めて父が牛を殺す瞬間を見たときのことはよく覚えている。
そのとき私はまだ5歳だった。
父は殺した牛をえびぞりにして貯蔵庫にしまっていた。

ところで今夜の夕食は牛肉のステーキだった。
とてもおいしかった。




6ページ目

×月6日 (くもり)

今日は久しぶりに屋敷の裏の屠殺場をこっそり覗いてみた。
相変わらず父は牛や豚を「お肉に変える」仕事をしていた。

こっそり覗くはずだったが、すぐに父に見つかってしまった。
父は豚の返り血を全身に浴びながら私に言った。

「おまえもやってみるか。」

7ページ目

×月7日 (雨)

私の指は13本ある。
しかしそのうちの6本は、どう見ても牛の歯にしか見えない。
これでピアノが弾けるわけないわ。

私は父に相談した。
すると父は私にこう言った。

「指は多ければ多いほど上達するぞ。もうすぐピアノを買ってやるからな。」



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   Dの日記    PAGE12


8ページ目

×月8日 (くもり)

今日はめずらしくこのお屋敷にお客様がいらした。
その人は父の取引先のお得意様らしい。
私はここぞとばかりに、おいしいハーブティーをお客様に差し上げようとした。

しかし父は私に言った。
「おまえは人前に出てはならん、部屋でおとなしくしていなさい。」

なぜ私はお客様の前に出てはいけないのかしら。
私にだってお茶くらいは出せる。

それに私の家の庭ではハーブを栽培している。
きっとお客様も喜んでくださるはず。
私は父が屋敷の裏へ出て行ったところを見はからって、こっそりお客様の前に出て
ハーブティーを差し出そうとした。

しかしそのお客様は私の顔を見るなり、とても驚いた様子で屋敷を
出て行ってしまった。

私何か失礼なことをしたのかしら・・・
9ページ目

×月9日 (晴れ)

どうしても鏡が見たい。
でも私の部屋には鏡という鏡がない。
私の目が赤くなった日から、どうも視力が落ちたせいか
窓ガラスに写る顔もぼやけて見えない。

唯一自分の顔が写っている私の写真は、父が顔の部分をマジックで
黒く塗りつぶしてしまった。

いったい私、どういう顔してるのかしら・・・

その晩、私は少しお腹がすいたので冷蔵庫を開けようとした。
だがそのとき、突然父は冷蔵庫を開けようとした私の腕を強くつかんだ。

「どうした、お腹がすいたのなら今おいしい夜食を作ってあげよう。
 だから勝手に冷蔵庫など開けるな。」


そのときの父の目は少し恐かった。
しかしその日の深夜、私は父に見つからぬようこっそり冷蔵庫の中を見た。
すると中には背骨が逆に折れ、えびぞりのまま冷蔵庫に押し込められている人間が入っていた。


私はすぐにその人が誰だかわかった。
それは、先日私の顔を見て驚いて屋敷を出ていってしまったお客様だった・・・

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Dの日記    PAGE13


10ページ目

×月10日 (晴れ)

夕食のとき、私は父に聞いた。
「お父様、私ってどういう顔しているの。」

すると父は答えた。

「決まってるじゃないか、おまえは世界一美しい少女だよ。」

さらに私は父に聞いた。
「お父様、私の誕生日にピアノはいらない。代わりに鏡を買って。」

だが父はこう言った。

「馬鹿を言っちゃいかん、おまえの美しい顔は私だけのもの。
 いいか、もし鏡など見たら・・・」

なぜか父はそこで口を止めた。

11ページ目

×月11日 (雨)

いよいよ私の誕生日まで、あと一日に迫った。
私は父に言った。

「お父様、ゆうべはごめんなさい。やはり私 鏡なんかいらない。ピアノが欲しい。」

すると父は言った。

「そうか、それでこそ私の愛する娘だ。明日の晩、楽しみにしてるがいい。」

父はそう言ってとても嬉しそうな表情で私を抱きしめた。
私もうれしかった。


12ページ目

×月12日 (嵐)

今日は待ちに待った私の誕生日。
今夜ピアノが屋敷に届くらしい。
嵐の日ではあるが、私と父の心は晴々としていた。

愛する父のために、私は今夜からピアノのおけいこをする。
いつか上手になって父に聞かせてあげたい。


午前0:00、私の寝室にりっぱなグランドピアノが届いた。
父は私に言った。

「さぁ、今夜は好きなだけ弾くがいい。誕生日おめでとう。」

私は今日ほどうれしい日はなかった。
さっそく私はピアノを弾き始めた。
     Dの日記    PAGE14


でも あれは確か午前02:00ごろだったかしら・・・・



嵐の夜、雷が鳴るたびにグランドピアノのフタに私の顔がちらちらと写る・・・



でも見てはいけない。どうしてか分からないけど、私は自分の顔を見てはいけないらしい。



以前父は私に言った。「いいか、もし鏡など見たら・・・」。



でも ちょっとくらいなら・・・・



しかしこのとき私は気づかなかった。



稲妻が光るたびにちらちらとピアノに写る私の顔の後ろに、誰かが立っていたことを・・・



ピアノを弾いている私の背後から忍び寄る「父の姿」があったことを・・・・
その瞬間、私は父に背後からハンマーのようなもので叩き殺された。



どうやらそのあと、私の身体はえびぞりのまま冷蔵庫に押し込まれたようだ。



私の顔は父にとって「秘密」だったとは知らなかった・・・・





いったい私、どういう顔をしているのかしら・・・・





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  Dの日記    PAGE15


青木「・・・・・・」

あゆみ「・・・・・・・」

青木「・・・おい、なんだこれ。」
あゆみ「わ、わからないわよ・・・」
青木「意味不明だ、これでも日記かよ・・・気持ち悪いな・・・」

あゆみ「ねぇ四郎。」
青木「?」

あゆみ「あ、あのさ・・・ここまで読むと13ページ目、気にならない・・?」
青木「そりゃあ気になるけど・・・でもよしたほうがいいかもな。」

あゆみ「でも・・・」

青木「たぶんアレだ、秘密の13ページ目はこの女の顔が写るんだよ。」
あゆみ「お、脅かさないでよ!」

青木「とにかくもう屋敷を出ようぜ、もう暗くなっちゃうし。」

あゆみ「そうね、とりあえず帰りましょ。・・・きゃっ!」

ズボッ!

あゆみは床の腐った部分に足をひっかけて転んでしまった。
かなり古い屋敷なので床が腐っていても不思議ではない。
あゆみ「いった〜い・・・」
青木「何やってんだよ、ほら手をだせ。」
あゆみ「あ、足が床にはまって・・・」

青木「どれ、足引っ張ってやるよ。」
あゆみ「バカ!どこさわってんのよ!」
青木「足を引っ張ってやろうって言ってんだよ、いいから動くな。」

ズボッ

青木はあゆみの足を腐った床から引っ張りだした。

青木「よし、さぁ帰るぞ。」
あゆみ「あ、ありがと・・・」



それから屋敷を出た二人は再びバスで街へ戻り、それぞれ家へ帰っていった。


「Dの日記」はとりあえずあゆみが持ち帰ることになった。
別れ際に二人は、決して13ページ目は読まないようお互い約束した。


しかし好奇心の強いあゆみに、果たして「秘密の13ページ目」を
読まずにいられるだろうか。



その答えは、今夜午前02:00に出る。
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     Dの日記    PAGE16


S市 A町 柴田あゆみ家
午前01:30


その日の深夜、あゆみはなかなか寝付けなかった。


あゆみ「・・・・・・・・」

あゆみ「なんか眠れない・・・・やっぱあの日記が気になるな・・・」


あゆみは携帯を取り出し、青木の携帯に電話をかけた。
ピッピ
プルルルルル・・・・・プルルルルル・・・・・プツッ


*「もしもし。」

あゆみ「あ、四郎?あたしだけど・・・寝てた?」
*「いや、そろそろ寝ようかと思ってたとこ。・・・どうした?」

あゆみ「あのさ・・・例の日記、13ページ目がどうしても気になるのよ。」

*「気持ちは分かるけどさ・・・よしたほうがいいんじゃないかなぁ。」
あゆみ「あんたにしてはイヤに慎重ね。いつもならこういうオカルト系は
    自分からすすんでやるのに。」

*「そうだけどさ、なんだか今回のはイヤな予感がするんだよ・・・。
  あ、ところでDの日記のDという意味が分かったぞ。」

あゆみ「え?ほんと?なになに?」
*「これは人の名前やイニシャルじゃないな、今日俺、屋敷のピアノ弾いただろ。
  あれで意味がわかった。」
あゆみ「なによなによ、早く教えてよ。」

*「あのピアノ、弦が一本だけ切れてた。たぶんあの写真の少女が殺されたときに
  倒れた衝撃かなんかで弦が切れたんだな。」
あゆみ「で?」

*「切れた弦がドレミファソラシの中の[レ]の音階だった、[レ]という音階は
  コードでいうと[D]ともいう。」

あゆみ「あんたそんなことよく知ってるわね。」
     Dの日記    PAGE17


*「それにカタカナの[レ]という字、何か見覚えがないか?」
あゆみ「レ?・・・・う〜ん・・・わかんない。」

*「カタカナのレという字は、アナログの時計の針でいうと2時を指す。
  2時を指した時計の針はカタカナの[レ]に見えないか?」
あゆみ「あ・・・・そ、そういえば・・・」
*「そう、つまりDの日記とは言い方を変えると・・・」

あゆみ「わかった![午前02:00の日記]ってことね!」

*「正解。」

あゆみ「すっご〜い!やるじゃん四郎!」
*「うん・・・だからよけい心配になってきたんだよ。午前02:00に13ページ目を
  鏡に写せば本当に・・・」


あゆみ「もしね、もしこの呪いが本当だとしてもさ、たとえ13ページ目を見たとしても
    それを誰かに言わなければいいんじゃん。」

*「まぁな、例えばお前が見てそれを誰にも言わなければな。」

あゆみ「あんたにも教えられないってことね。」
*「そういうことになるな。」
あゆみ「・・・・あのさ四郎、あたし13ページ目見てもいいかな。」
*「どうなっても知らないぞ、お前の身体は背骨が折れて、えびぞりの状態で
  冷蔵庫に・・・」
あゆみ「ば〜か、そんなことになるわけないでしょ。脅かしても無駄よ。」

*「ちっ、屋敷にいたときはあれほど怖がってたのにな。」

あゆみ「今は午前01:45分だから、もうすぐ2時ね。」
*「おいあゆみ、まじでやめとけって。悪いこと言わないから。」

あゆみ「大丈夫よ、どうせページを鏡に写したって何も見えるわけないじゃん。
    それで何か写ったらノーベル賞ものよ。」

*「しかし・・・」

あゆみ「まぁいいわ、あたしもなんか眠くなってきちゃった。この話の続きは
    明日学校で話そ。」
*「そうだな、じゃあまた明日。」

あゆみ「じゃあね〜。」


ピッ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     Dの日記    PAGE18



    そしてあくる日



S高等学校 3年1組
午前08:30

青木「おはよ。」

生徒A「オス。」
生徒B「よう青木、なんか顔色悪いぞ。寝不足か?」

青木「あぁ・・・なんかそうみたい。」
生徒A「オナニーのしすぎには気をつけろよ。」

青木「バカ、そんなんじゃねえよ。」

教師「さぁみんな席につけ。出席を取るぞ。」


ガタガタガタ・・・


生徒C「起立!・・・礼!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

昼休み

青木「あゆみのやつ、あれからどうしたかな。ちょっと教室に行ってみるか。」


青木はあゆみのクラスへ行ってみることにした。


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     Dの日記    PAGE19


3年5組 柴田あゆみのクラス

青木「えーと・・・」

生徒D「お、青木じゃん。どうした?」
青木「あ、ちょうどよかった。あゆみ・・・いや、柴田いる?」

生徒D「柴田か?柴田なら今日欠席みたいだけど。」

青木「えぇ?」
生徒D「何か用だったのか?」
青木「い、いや・・・ちょっと・・・」


青木「・・・(おかしい・・・なんであいつ今日学校に来てないんだ・・・)」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

5時間目 現代国語

青木「・・・(あゆみのやつ、なんで今日欠席なんだろ・・・)」

教師「えー・・・で、あるからして、この問題は・・・」

青木「・・・(まさかあいつ・・・いや、そんなはずは・・・)」

教師「では次の文を・・・青木、読んでみろ。」

青木「は??」
教師「どうした、早く読め。」
青木「あ、す、すみません。聞いてませんでした・・・」
教師「しっかりしろよ青木、テスト前の大事な時期だぞ。」

青木「す、すみません・・・」


そのとき、教頭が青木のクラスへやってきた。
コンコンコン・・・


教師「ん?・・・あ、教頭先生。」

教頭「ちょっと・・・・」

     Dの日記    PAGE20


教師「どうしました?」


教師は廊下で待っている教頭のところへ近づいた。


教頭「授業中申し訳ない、青木くんという生徒は確かこのクラスでしたな・・・」
教師「えぇ、そうですが。」

青木「・・・?(先生たち何をしゃべっているんだ?)」

教師「あの・・・青木が何か?」
教頭「ちょっと青木くんを呼び出してもらってもいいですか?」
教師「あ、はい。」

青木「?」

教師「おい青木、教頭先生がお話があるそうだ。すぐに行きなさい。」

青木「あ、はい。今行きます・・・」


青木は教頭に連れられ、校長室へ行った。



生徒E「おい、青木のやつ何かやったのかな。」
生徒F「下着ドロボーだな、絶対そうだ。」

生徒G「あいつならやりかねないな。」


ガヤガヤガヤ・・・・


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     Dの日記    PAGE21


校長室


校長「授業中呼び出してすまんな、青木くん。」

青木「い、いえ・・・(げげ、なんで校長室なんかに・・・)」
校長「青木くん、こちらにいる方は警察の方だ。片桐警部補さんだ。」
青木「け、警察?!」

片桐「S警視庁の片桐です、よろしく。」

青木「ど、どうも・・・。あの・・・何かあったんですか?」

校長「青木くん、きみは5組の柴田あゆみくんの従兄だそうだが・・・」
青木「そうですけど・・・」

校長「では落ち着いて聞いてくれ。柴田くんは今朝、自宅で亡くなったそうだ・・・。」
青木「!えぇ?!」
校長「残念だが・・・・」
青木「ど、どうして・・・!?僕ゆうべも彼女と電話を・・・!」

校長「それでだな青木くん、こちらの警察の方が・・・」
片桐「あぁ校長先生、私からお話します。」

校長「あ、そうですか・・・。」

片桐「青木くん、突然の悲劇で心中を察するが・・・・。実はきみに二〜三
   聞きたいことがあるのだ。できれば署へ来てもらえないか?
   もちろん放課後でいい。」

青木「は、はい・・・。でもどうして僕に・・・?」
片桐「ゆうべのことや、その他被害者について少し聞きたいことがあるだけだ。
   安心してくれ、尋問ではない。」

青木「被害者?!・・・ってことはあゆみは誰かに殺されたってことですか?!」
片桐「実はそうなのだ、これは殺人事件だ。被害者は変死体となって発見された。」

青木「・・・(ま、まさか・・・まさかあいつ・・・!)」

片桐「どうかしたかね。」

青木「刑事さん!もしかしてあゆみは・・・!あゆみは冷蔵庫の中に?!」
片桐「!」

校長「冷蔵庫・・・?何のことかね、青木くん。」

青木「・・・(ハッ!し、しまった・・・!)」

片桐「・・・青木くん、きみはどうしてそのことを知っている?」
青木「い、いやその・・・・」

片桐「・・・・・・・・・」

校長「刑事さん、いったい何のお話ですか?」
片桐「いえ、何でもありません。とりあえず青木くんには授業が終わり次第、
   署のほうへ捜査のご協力をお願いしてもよろしいですか?」

校長「あ、はい。よろしくお願いします。・・・いいかね?青木くん。」


青木「は、はい・・・・」



片桐「・・・(この少年・・・どうも怪しいな・・・)」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     Dの日記    PAGE22



突然の身内の悲劇が起こった。
柴田あゆみは今朝方、自宅の冷蔵庫の中で変死体となって発見された。

それは奇妙なことに、被害者の身体は背骨が逆に折れ、えびぞりの状態で
冷蔵庫に押し込まれていたという。


警察側はこれを猟奇殺人事件と断定。
従兄である青木四郎は事情調書のため、S警察署へ出頭することになった。


警察側では知るはずもないが、青木にはこの事件の真相を理解していた。
原因はただ一つ、「Dの呪い」以外に考えられない。


ということは柴田あゆみは昨夜、青木との電話のあとDの日記の
「秘密の13ページ」を見たとしか考えられない。




そして その秘密を 誰かに 漏らしてしまったのだ・・・・




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     Dの日記    PAGE23


S警察署 殺人課
取調室

片桐「では青木くん。まず鑑識の結果だが、被害者の柴田あゆみの死亡推定時刻は
   昨夜の午前03:10くらいだそうだ。」

青木「そ、そうですか・・・・」
片桐「青木くん、昨夜午前3時ごろきみはどこにいたかね。」

青木「自宅ですけど・・・」
片桐「学校へ行くまで、家から一歩も外へ出ていないか?」
青木「当たり前ですよ、寝てたんですから。」

片桐「では質問を変えよう、きみはこれまでに柴田あゆみの家へ行ったことは?」

青木「そ、そりゃあ何度もありますよ。幼なじみなんですから・・・」
片桐「ふむ・・・。」

青木「あのぅ・・・これって僕の取調べなんですか?」
片桐「・・・・・・・」
青木「刑事さん、もしかして俺のこと疑っているんですか?」
片桐「いや、まだ何とも・・・」

青木「俺が容疑者だっていうんですか?!バカなこと言わないでくださいよ!
   俺はゆうべ家で寝てたんです!」

片桐「まぁ落ち着きたまえ、そこまでは言ってない。」
青木「だってこんな取調室なんかに!・・・俺はあゆみを殺してなんかいない!」

片桐「・・・では一つ聞くが、きみはどうして被害者が冷蔵庫に押し込まれていることを
   知っていた?」
青木「うっ・・・そ、それは・・・」

片桐「死体が発見されたのは今朝方だ。きみが学校に登校したあとだから死体の状況が
   分かるはずがない。それなのにきみは私が説明してもいないのに、被害者の
   変死体があった場所が冷蔵庫だと知っていた。」

青木「・・・・!」

片桐「この説明を納得いくように話してくれないかね、青木くん。」

青木「・・・う・・・」
     Dの日記    PAGE24


そのとき取調室に別の刑事が入ってきた。
ガチャ


刑事「警部補、鑑識から連絡が入ってきました。」

片桐「うむ、どうした。」
刑事「被害者の遺体から別の人間の指紋が検出されたようです。」

片桐「おそらく犯人のものだ、間違いない。」
青木「・・・・・」

片桐「青木くん、すまんがきみの指紋を調べさせてもらえないかね。」
青木「やっぱり俺のことを!!」
片桐「そう言うな、これも捜査のうちなんだ。指紋が違えばきみには何の疑いも
   かからないぞ。」

青木「・・・・わ、わかりました。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


それから捜査のため、青木の指紋を採取した。


・・・だが、これがいけなかった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

刑事「警部補!青木の指紋が一致しました!」

片桐「何だと?」
青木「えぇ?!」

刑事「被害者の遺体に付着していた本人以外の指紋と青木の指紋が一致しました!」

片桐「・・・青木くん、これで決定的だな。」
青木「そんなバカな!おかしい!」

片桐「全て話してもらおうか、どのみちこのままではきみは自動的に容疑者から
   殺人犯に確定してしまうぞ。」

青木「ちょ、ちょっと待ってください!刑事さんたちは知らないでしょうが、
   これは全てあの日記が・・・!」

片桐「!・・・・日記だと?」
     Dの日記    PAGE25


青木「あゆみはきっと秘密の13ページを見たんだ!!そしてそれを・・・!」

片桐「その前に指紋の件はどう説明するつもりだね。」
青木「そ、それは・・・」


青木「えーと・・・えーと・・・ん?・・・あ!そうか!」


青木は何かを思い出したようだ。


〜〜〜〜回想シーン〜〜〜〜〜〜

あゆみ「いった〜い・・・」
青木「何やってんだよ、ほら手をだせ。」
あゆみ「あ、足が床にはまって・・・」

青木「どれ、足引っ張ってやるよ。」
あゆみ「バカ!どこさわってんのよ!」
青木「足を引っ張ってやろうって言ってんだよ、いいから動くな。」


ズボッ

青木はあゆみの足を腐った床から引っ張りだした。


青木「よし、さぁ帰るぞ。」
あゆみ「あ、ありがと・・・」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

青木「そうだ!あのとき俺はあゆみの足に触ったから・・・!そのときあゆみの足に
   俺の指紋がついたんだ!」

片桐「・・・・青木くん、人はたいてい毎日風呂に入るものだよ。まして被害者の
   柴田あゆみは女の子だ。昨夜も同様、彼女が入浴したあとに殺されたんだ。
   風呂やシャワーを浴びれば、昼間ついたきみの指紋が残るはずがない。」

青木「・・・!」

片桐「つまり彼女の遺体に付着していた指紋は、風呂から上がった深夜についたものだ。」

青木「で、でも・・・!俺じゃないんだ!それは違う!」
     Dの日記    PAGE26


バタン!
さらに別の刑事が取調室に入ってきた。



刑事「警部補!」
片桐「何だ、騒々しい。」

刑事「昨夜午前03:12分ごろ、柴田家のベランダから青木と思われる少年が
   侵入するところを隣の住人が目撃していたとのことです!」

青木「えぇ?!そ、そんなバカな!」
片桐「間違いないのか?」

刑事「はい!柴田家の隣の住人は青木のことを知っていたようです!青木は確かに
   過去に何度か柴田家に訪れていたみたいなので、隣の住人も青木の顔を
   覚えていたようです!」

片桐「ふむ、目撃者まで現れたか・・・。どうするね、青木くん。」
青木「こ、こんな馬鹿げた話はない!何かの間違いですよ!俺は殺してない!」

片桐「きみはまだ未成年者だが、きみには黙秘権というものがある。
   しかし弁護士を雇うにはまだ早すぎるかな・・・」

青木「ちょ、ちょっと待ってください!俺は犯人じゃない!何かの間違いだ!」
片桐「きみの両親にも署へ来てもらったほうがよさそうだな、さっそく連絡を入れる。」

青木「う、嘘だ!何かの間違いだ!・・・あなたたちは知らないだけですよ!
   これはDの呪いがやったんだ!これは全てあの日記が関係してるんだよ!!」

片桐「きみは先ほどから日記日記と言っているが、もしやきみが言ってるのは
   これのことかね。」

バサッ!

片桐警部補は青木の前に古い新聞記事を出した。


青木「?!こ、これは・・・?」

片桐「今から約一年前の記事だ、今回の手口とまったく同じ猟奇殺人事件。
   きみはこの事件の真相を知っているかね。」

青木「これはきのうあゆみが言ってた事件だ!これも日記が原因ですよ!
   犯人はDの呪いですよ!」

     Dの日記    PAGE27


片桐「・・・・どうやらきみはこの事件の真相を知らんらしいな、この一年前の
   事件の犯人が誰だがわかっているのか?」

青木「だからDの日記だって言ってるじゃないですか!この人も秘密の
   13ページ目を読んだんです!そしてそれを友人に教えてしまったんですよ!
   だからこの人も冷蔵庫に押し込まれて・・・」

片桐「きみはこの記事をよく読んだか?実はこれは私が担当した事件だ。
   Dの日記のことぐらい、この私も知っている。」
青木「えぇ?!あ、あなたも知ってたんですか?!だったら・・・!」

片桐「きみはこの犯行を日記の仕業だと勘違いしている、そして今回の事件の
   犯行もDの呪いだと思い込んでいる。」

青木「だ、だってそれしか考えられないじゃないですか!」



片桐「いいか青木くん、よく聞け。・・・この一年前の事件の真相は日記でもなく
   Dの呪いでもない。実は犯人は[被害者の友人]だったのだよ・・・。」



青木「えぇ?!」

片桐「証拠も目撃者も全てそろっていた。犯人であったその友人は今のきみのように
   犯行を強く否定していたが、決定的な証拠が明らかだった。」

青木「刑事さん!その友人は秘密の13ページの内容を聞かされただけですよ!
   彼には何の罪もない!俺もそうです!断じてあゆみを殺してない!」

片桐「その犯人だった友人は次の日[何も覚えてなかった]らしい・・・・。被害者から
   [秘密の13ページのことなど、聞いた覚えもない]と供述していたよ・・・。」


青木「??・・・ハッ!ま、まさか・・・?!」



片桐「うむ、そういうことだ・・・。」



青木「そ、そんなバカな・・・!!お、俺は・・・!俺はあゆみから何も聞いてない!
   秘密の13ページ目に何が書いてあったかなんて聞いてないぞ!!」
     Dの日記    PAGE28



片桐「青木くん、これは私の推測だが・・・。もしやきみは[覚えてない]のでは?
   おそらく柴田あゆみはきみの言う通り、秘密の13ページ目を見たのだろう。
   しかもそれをきみに話してしまったのだよ・・・昨晩に・・・。
   きみはその[聞いた内容を忘れてしまった]・・・と考えられないかね。」



青木「・・・?!そ、そんなことって・・・!!」



〜〜〜〜回想シーン〜〜〜〜〜

青木「それで秘密のページを電話で聞いた友達のほうはどうなったんだ?やっぱその人も
   呪いにかかったのか?」
あゆみ「いやそれがね、聞いた友達のほうは次の日[何も覚えてなかった]んだって。」
青木「えぇ?」

あゆみ「ここがまた不思議よね、どうして秘密を聞いたほうは何も起こらず
    記憶だけがなくなってるんだろ。」

青木「呪いがかかるのはあくまで秘密を漏らした人間だけってことか・・・。」
あゆみ「そうみたいね、何だか不気味よねー。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


青木「ち、違う・・・!俺は何も聞いた覚えはない!だいいちあゆみが
   秘密の13ページ目を見たことすら知らなかったんだ!!
   そ、そりゃあ・・・あいつは読むかもしれないとは思ってたけど・・・」



片桐「青木くん・・・きみは昨晩のことを[全て忘れてしまった]のだよ・・・。
   秘密の13ページ目の内容を聞いたことを・・・・。
   そして午前3時ごろ、柴田あゆみを殺害したこともな・・・。
   おそらくきみの自宅を調べれば血痕のついた凶器が出てくるだろうな。」


     Dの日記    PAGE29


青木「ウソだ!!これは何かの間違いだ!これは全部Dの日記だ!
   Dの呪いのせいだ!!」



片桐「その若さで従妹を猟奇殺人とはな・・・・世も末だ。」




青木「お、俺は殺してない!!日記のせいだ・・・!呪いの13ページの仕業だ・・・!!」




青木「俺は・・・俺はあゆみを殺してなんかいない・・・・!」




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この一ヵ月後、青木四郎は柴田あゆみ殺害の犯人として断定された。

少年犯罪の中でも、身の毛もよだつ猟奇殺人事件となった。

果たして青木は犯人なのか?



ではこれから真相編をもって呪いのエピソードをお見せしよう。

昨晩の青木の「忘れてしまった記憶」をご覧にいれる。
これが本当の「Dの呪い」である。



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     Dの日記    PAGE30



   【呪いのエピソード】



昨晩、事件の夜

S市 A町 青木四郎の家
午前02:10


プルルルルル・・・・・プルルルルル・・・・・(携帯)

ピッ


青木「もしもし・・・」

*「あ・・・四郎・・・あたし、あゆみだけど・・・何度もごめんね。」
青木「なんだよ、俺もう寝てたんだぞ。まだ何か用か?」

*「あ、あのね・・・あたし・・・見ちゃったの・・・・」

青木「なに?よく聞こえねえよ・・・」

*「秘密の13ページ目・・・・・みちゃったの・・・・・」

青木「ほぅ、何が書いてあった?どうせ何も出てこなかっただろ?」


*「あのね・・・・・・・聞かないほうが・・・いいと・・・思う・・・」


青木「おいどうしたんだよ、お前声ふるえてないか?」

*「ど、どうしよう四郎・・・・あたし・・・あたし・・・まさか13ページ目に
  あんなことが・・・!!」

青木「なんだよ、何か見たんなら俺にも教えてくれよ。」

*「ダメ!絶対教えられない!」
.
     Dの日記    PAGE31


青木「へーきだっての、どうせこんなの迷信だよ。」
*「だ、だって・・・」


青木「教えてくれよ、俺も気になるからさ。」


*「じゅ、13ページ目は・・・・・」


青木「うんうん、何が書いてあった?」




*「・・・○×△□▲▽∵■◎・・・・・」




青木「・・・・・・・・・・・・・・・」



*「だ、誰にも言わないでね・・・・あたし実はすっごく怖くて・・・・」



青木「・・・・・・・・・・・・・・・」



*「・・・?ねぇ、聞いてる?」



青木「・・・・・・・・・・・・・・」



*「ちょ、ちょっと四郎・・・なんか言ってよ・・・」




青木「・・・貴様 私の娘の[秘密]を 漏らしたな・・・・」



*「え??・・・な、何言ってんのよ・・・」


青木「・・・秘密を 漏らした者は 冷蔵庫に 押し込める・・・・」



*「?!ちょ、ちょっと四郎!ふざけないでよ!あたしを脅かそうなんて・・・」


プツッ
ツーッ ツーッ ツーッ ツーッ 


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     Dの日記    PAGE32


柴田あゆみの家
午前03:05


あゆみ「きゃあああああ!!四郎!あんたなに人の家まで来て・・・!」



青木「・・・・・・・・・」



あゆみ「ちょ、ちょっと何の冗談よ・・・!や、やめ・・・!」



ガツンッ!!


あゆみ「うあっ・・・!!」


ドタリ



青木「・・・私の娘の秘密を漏らすやつは、誰であろうと許さん。」



あゆみ「・・・・・・・・・・・・」




青木「私のかわいい娘は、私だけのもの・・・・。娘の[秘密]は私が守る・・・」





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     Dの日記    PAGE33



この「Dの日記」は、現在もこの街の郊外にある廃屋の屋敷にある。



秘密の13ページ目を他人に漏らせば、あなたは必ず「Dの呪い」がかかる。



いや、正確に言えばあなたではなく「あなたが秘密を漏らした相手」に呪いがかかる。



それを承知で読みたい方は、遠慮なく13ページ目をご覧下さい。



ただし決して他人に漏らしてはならない。



どうしても我慢ができない方は、せめて秘密を漏らすのは赤の他人にしてください。



あなたの親しい友人に漏らすと、あなたは友人に殺されるどころか、
その友人は殺人罪で捕まります。


心臓の悪い方、真夜中に冷蔵庫を開けるときは充分お気をつけ下さい。




背骨が逆に折れ、えびぞりの状態で押し込まれている人間が入っている場合があります。





では今夜午前02:00分、今度は鏡を用意して「Dの日記」をご覧ください。






         Dの日記

         〜完〜




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