【寺】寺社のオカルト話【神社】

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12あなたのうしろに名無しさんが・・・
・今から20年ほど前、兵庫県東部を流れる武庫川が、集中豪雨の 
 影響で大増水した。
・この豪雨はあちこちで路面冠水や、民家の浸水を引き起こし
 かなりの被害を出した。
・しかし、中でも最悪の悲劇は、西宮市塩瀬町生瀬で発生した
 土石流による被害であった。
・国道176号線を宝塚駅から3キロほど北上すると「太多田橋」
 という交差点がある。
・そこを左折すると、名勝「蓬莱峡」を経て有馬温泉へ抜ける
 峠道となる。
・その途中にいくつかの採石場があり、そこの作業員数名が件の
 集中豪雨による土砂崩れに飲み込まれ、帰らぬ人となったのだ。
・土石流に飲み込まれた彼らは、武庫川の支流である太多田川に
 流され、そのまま増水した本流に巻き込まれた。
・轟々と流れる濁流が、行方不明者の捜索を大変困難なものにした。
 そして、犠牲者の全員が発見されたのは、事故から数日後の
 ことだった。
・ある者は延々と武庫川の河口まで流され、最後に発見された遺体は
 神戸港湾内まで押し流されていた
事故からどれくらい後のことだったか定かではないが、
 私はとあるテレビ番組を観ていた。
・いわゆる昼間のワイドショーだが、内容は心霊モノの
 特集のようだ。
・生放送でスタジオと中継地を結び、レポーターがなにやら
 神妙な顔をしてしゃべっている・・・。
・中継地は西宮・仁川の「熊野神社」である。自分の地元が
 とりあげられていると知って、私はがぜん興味をそそられた。
13あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/27 19:11
しかし・・・
私にとって、それは非常に後味の悪い経験となってしまった。
・神妙な面持ちのレポーターが、企画の趣旨を説明している・・。

「・・・さて、こちらの熊野神社には不思議なものが祭られて
 います。 『鳴り釜』というこの神器は、この世に未練を
 残して亡くなった、浮かばれない霊魂を鎮める力があると
 言うのです・・・。」

レポーターの後方へカメラがズームする・・・。
神官が大きな「釜」の前で祝詞をあげている。

すると、不思議なことにその「釜」がかすかに音を
発している・・・。

        おお――ん・・・おおーーんん・・・
・中継はクライマックスを迎えつつあった。
 祝詞もその調子をいっそう高めてゆく。
 レポーターが続ける・・・
14あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/27 19:12
「・・・今回は特に、先頃土砂崩れに巻き込まれて亡くなった
 方々の霊を慰めるために、『鳴り釜』の神事を行って
 頂いております。・・・犠牲者の方々の無念な思いは・・・・」

・・・しかしこの後、思いもよらない結末に、この放送に携わった者、
 いや、神官までもが驚愕することとなったのだ・・。
うおおおおーーーーーんん!! ぐおおおおおーーーーーーんん!!!


ぐうぅおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーんんん!!!!

・・・戸惑うレポーター。スタジオも騒然としている。

・神官の顔に、明らかに焦りの色が浮かんでいる。
・鎮魂がなされると鳴り止むはずの「釜」。その後も
 一向に鳴り止む気配がない。それどころか、ますます
 轟音で響き続ける・・。
・予期せぬ事態に中継はカットされ、気まずい空気のスタジオが
 その場を取り繕っていた・・・。

「人の思い」とはそんなに簡単なものでは、ないのだ。
以上。