ほんのりと怖い話スレ その13

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友人が体験した話だ。
その友人とは今も音信不通になっている。
何か変なことに巻き込まれていなければいいのだが・・・

友人がまだ学生の頃、ある女性と知り合った。
きっかけはナンパみたいなものか、映画館で隣に座った女性に
声をかけたそうだ。
一人で寂しげにしていた彼女がとても気になったらしい。
友人は地方出身者で一人暮らし、バイトに明け暮れたせいで大学は
留年。不意に訪れた無為の一日、同じ孤独を託つ相手に出くわした
ような気がしたそうだ。
その予感はどうやら的中し、女性も少しずつ心を開いていった。
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楽しい時間が過ぎた頃、夜もかなり更けていた。
そろそろ帰らなきゃ、と彼女が言い出し、友人はまた会いたいと
素直に気持ちを伝えた。
その時までに、お互い特定の相手がいないこと、都内で一人暮らし
していることが分かっていたので、友人として付き合い始めること
に何の問題もないと思われた。
しかし、彼女は連絡方法を携帯のメールだけに限った。

頻繁にメールのやり取りをして、互いの時間の都合に合わせ、
何度かデートもした。しかし二ヶ月たっても、彼女は携帯の番号を
教えようとしなかった。その態度は頑なで、友人も何か理由がある
のだろうと思った。
595593:03/06/18 19:08
ある日、友人は覚悟を決めて、彼女に問い詰めた。
「以前住んでいた実家で、ストーカーの被害にあったの」
名前や顔さえ知らない男から、執拗に電話がかかってきたと、
彼女は告白した。
電話番号を変えても、絶対に調べ出してかけてくるという。
「公衆電話からなんでしょう?だったら着信拒否にすればいいじゃん」
イタ電のみのストーカー行為と聞いて、友人はそう返した。
すると彼女は顔をゆがめて、首を振ったそうだ。
そして、信じられないことを口にした。
596あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/18 19:08
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597593:03/06/18 19:09
「どんな方法を使ってるのか知らないけど、電話中に割り込んでくるの」

無線やトランシーバーなら、同じ周波数を使用している場合、それは可能だ。
だが、電話に関してはありえない。
「分かった。そんなことできるのかもしれない。で、何て言ってくるの?」
友人は気を取り直して訊ねた。
「私の悪口とか・・・・」
彼女は目を伏せて、おずおずと答えたそうだ。頭がおかしいと勘ぐられるのを
察しているかのように。
「ストーカーて付きまとったりする奴のことだよね、今はそんなことない
んでしょう?」
彼女は弱弱しく首を振った。
「短大に入ったくらいからずっとなの。最初は、今日どこで何をしてたとか
誰と会ってたとか、ずーと私のことを監視してるみたいなことを言って」
そして、堰を切ったように話し出したそうだ。
「何度か携帯変えたり、着信拒否してりしてたけど、そのうち友達から電話が
かかってきて取ると、いきなりそいつが笑ってたりとか・・・・あと部屋の
様子を詳しくしゃべったり、私がどんな格好してるか言い当てたり」
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「私のこと、頭がおかしいと思ってるでしょう」

友人は彼女の精神が病んでいると思った。
それでも、なぜか見捨てる気にはならなかったそうだ。
「分かった。今まで通り、メールで連絡取ろう」

そのことがあって以来、友人は足繁く彼女のアパートを訪ねるようになった。
友人の知る限り、彼女は絶対に電話にでなかったそうだ。
彼以外に電話をかけてくるのは、母親と四五人の女友達だけだったが、
着信があると、自分からかけ直すようにしていたという。
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ある夜、彼女がシャワーを浴びている最中に、彼女の携帯が鳴った。
普段ならコール五回くらいで切れるのだが、それは留守電に切り替わる
まで鳴り続けたそうだ。
友人が着信履歴を見ると、彼女の実家からのものだった。
何か緊急な用事かなと思いつつ、友人が携帯のディスプレイを見つめていると、
突然着信音が鳴り出した。
友人は咄嗟に電話を取ったという。
もしもしという彼女の母親らしき声がして、友人は言葉に詰まった。
「もしもし○○、聞こえてるの?」
「あっ、○○さんは今電話に出られないんですけど・・・
えーと、僕は○○さんの友人で」
背後に気配を感じて振り向くと、パジャマ姿の彼女が立っていたそうだ。
「実家のおかあさんから」
友人は驚いている彼女に、携帯を押し付けた。
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彼女は二言三言何かしゃべっていた。
それから、突然眉間にしわを寄せて目を閉じたという。
友人が不安になって声をかけると、彼女は泣き出しそうな表情で、携帯を
手渡したそうだ。

「キィーーーンていう音がしてるけど」

友人は耳障りな金属音に混乱しながら、彼女に尋ねた。

「お母さんからだったよね」

「違う。お母さんになりすましてた」

「どういうこと?」

「あいつは私の中にいるの。だから、あいつの声は私にしか聞こえない」
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彼女はそう言って泣き伏したきり、何を言っても取り合わなかったそうだ。
もどかしくなった友人は、彼女の実家に自ら電話した。

「お母さん、今さっき○○さんに電話しましたよね?」

「いいえ・・・、あなた、いったい誰ですか」

それから一月ほどしたある日、彼女は職場で仕事中に倒れたそうだ。
病院に運ばれて精密検査を受けた結果、脳に小さな腫瘍ができている
とのことだった。
友人は彼女に付き添い、彼女の実家に行ってしまった。
その後、何の連絡もない。