これは某病院に入院してたA子さんの体験談なんですけどねぇ〜・・・
A子さん、放っておくと目が見えなくなる病気にだったんですが、
手術も終えて、長い間目を包帯で覆っている状態だったんです。
その包帯を取る前の日、ずっと眠ってたA子さんは夜中に起きました。
するとトイレに行きたくなったんですが、夜も遅いので一人で行くことにしたんです。
病室からトイレまでは、手すりに伝って行けるんですけど、
その帰り、何か行きとは違うところを通ってる感じがしたそうなんです。
病室に入ると、ヒヤーっとした冷たい感じがしたそうなんですねえ。
まあ、特に気にも止めず、自分の所定のベッドに入って寝ようとしたんです。
するとですねえ、隣のベッドからお婆さんの声がしてきたんですよ。
あれ?昨日まで隣のベッドには誰もいなかったはずなのに・・・
でもA子さん、その日は一日中眠ってましたから、
その間に、新しい患者さんが来たんだろうと思ったんです。
目は見えない状態だったので、どんなお婆さんか分からないんですが。
そういうわけでー、お婆さんと色々話してたんですが、
何かまたトイレに行きたくなっちゃったんですねえ。
しかたないので、お婆さんにトイレ行ってきます、とか言って、
また手すりに伝ってトイレまで行ったんですよ。
・・・でも何かトイレまでが長く感じる。始めの行きとは違う道のようでした。
でも何とかトイレに着いて、済ませてまた病室に戻ろうとしたんですが、
今度は始めの行きのように簡単に到着したんです。
隣のお婆さんは眠ってるのか、呼んでも応答は無く、そしてA子さんは眠ったんです。
次の日、包帯を取ることになりました。久しぶりの光・・・手術は成功でした。
するとA子さん、あのお婆さんの事を思い出し、その後病室へ戻りました。
あれ?隣のベッドには誰もいなかったんですねー。
看護婦さんに、あのお婆さんはどうしたの、と聞いたんですが、
看護婦さん、「そのベッドはずっと使われてませんが」とか言うんです。
・・・A子さんは直感しました。昨日の夜、自分は一度違う部屋に行ったのだと。
視覚に無い記憶だけを元に、トイレから手すりを伝い、あの時の道を辿りました。
コンクリートのままの壁、暗い廊下を抜けた先・・・そこは死体安置所だったんです。