ほんのりと怖い話スレ、その12

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「僕が部屋を片付けるようになった理由」
あれは、二年位前のこと
当時、僕はアパートで独り暮らしをしていた
部屋ははっきりいって汚なかった
コンビニ袋にゴミをつっこんでそこら中に放りっぱなし
本や雑誌もちらかしっぱなし
まさに足の踏み場もないって感じだった
独身男性なら判ると思うけど片付けるのが面倒くさかった
霊感なんてものはないが怖い話が好きで
その日も夜中にオカルト系のHPを見ていた
HP見てると何となく視線を感じた
怖い話読んでたとこだし、まあ気のせいかなと思い
無視して怖い話を読みつづけた
すると「カサッカサッカサッ」と音が聞こえた
コンビニ袋に何かが当ったときに発する音だ
袋がズレたか中身が動いて音がしたんだと思った
普段なら何でもない音もこういう時には敏感に反応してしまう
部屋の中を見渡した
別に普段と変わりない汚い部屋だ
「カサッカサッカサッ」
まだ音が聞こえる
耳をすまし音のする方向を確認した
ゴミ袋の下から黒い小さな虫が・・・そう音の正体はゴキブリ
「な〜んだ、ゴキブリか」
ゴキブリは他の袋の下に入り込み姿をくらました
今更、この汚い部屋にゴキブリの一匹や二匹いたところで問題は無いが
姿を見てしまったからには退治しなくては
ゴキブリが入り込んだであろう場所の袋を2つ3つ動かしたが
発見出来なかった
「カサッカサッカサッ」
まったく別の場所から音がした
「すばしっこいな。それとも他にもいるのかな?」
音のする方を見た
その時だった
「ガサッ!」
突然ゴミ袋が潰れた
正確には上から踏みつけたような感じだ
誰かいる!目には見えないけど自分以外の「誰か」が
部屋の中にいる
そう思った、いや人の気配を感じた
全身鳥肌がたち、毛という毛が逆立った
恥ずかしながら僕はゴミ袋を持ったまま動けなかった
「ガサッ!ガサッ!ガサッ!」
ゴミ袋を踏みつけながら「何か」がこちらに近づいてくる
悲鳴を上げるでもなくただ潰れていくゴミ袋だけを見ていた
いや、何も出来なかったというのが正しいかもしれない
徐々にしかし確実に「何か」がこちらに近づいてくる
「ガサッ!」
僕の目の前にあるゴミ袋が潰れた
それが最後だった
部屋の中は元の静けさを取り戻した
手にしていたゴミ袋を極力、音をたてないように置くと
「あ〜コンビニ行かないといけないな」と、誰もいないのに
誰かに言い聞かせるようにつぶやきゆっくりと部屋から出ると
逃げるようにその場から離れた
部屋に帰りたくなかったがそうもいかないし
夜が明ければ少しは怖さも和らぐと思い
近所のコンビニに走り込みそこで時間をつぶした
夜が明け、缶コーヒーを買い店を後にした
不思議なものでアパートに帰るまでの間で怖さは薄らいでいた
通勤途中のサラリーマンやOL、学生とすれ違い、
普段通りのごくごく通常の日常生活の一片に触れたからだと思う
深夜に起こったことは夢か勘違いだろうという気にすらなっていた
扉を開け中に入るとそこには普段と変わり無い汚い部屋
「あ〜パソコンつけっぱなしだよ。しょうがないな〜」
僕は電源を落とす為、開いていたいくつかのページを閉じた
全てのページを閉じ終了させようとすると
スクロールバーにメモ帳があった
それを開いてみた
「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
部屋から逃げ出した
それ以来、僕は部屋をきちんと片付けるようにしている
コンビニ袋のカサッカサッという音を聞かないように