(東京に遊びに来た「俺」は京王プラザの廊下を裸で歩き、新宿警察に注意を受け、大阪に送り返
されるが、まだ遊び足りなかったので横浜繁華街のビルの屋上に上る)
よく見るとビルの中にいる人影も見える。あっちのビルにもこっちのビルにも、その数はひと目
見て十人は見えるだろう。商業ビルが多いのか、白いシャツを着たサラリーマン風の男らしい姿が
多い。しかし、じーっと見ていると、どのビルの人影も動きが全くない。
〈おかしい、人影が動かないはずがないんだが〉
さらに古墳十分と目を凝らして動きを待ったが、全く動きはない。しばらく考えた俺は突然、結
論を出した。
(分かったぞ、この世界はパラレルワールドなんだ)
実体のない世界に違いない。人間なんて一人も生きてはいない。まともなのは俺だけで、他はお
そらくコンピューターかなんかで出来てるんだろう。それなら遠慮することもない。言いたいこと
を思いっきり言ってやろう。そう思い、女子高生に向かって歩いていった。なにやら楽しそうに話
をしている三人連れの女子高生達に向かって言った。
「俺と○○○しないか」
「いえ、結構です」
真ん中にいた一番かわいい顔をした子が真剣な顔をして言った。
パラレルワールドに行ったなんて人初めてです。こんなこと現実世界でやったら公然わいせつで逮捕されますよ。