百物語2002  奥信州 旧佐々木邸より

このエントリーをはてなブックマークに追加
869さく たけし
◆◆◆【 068/100 】◆◆◆
おととし、父が他界しました。
父の部屋の遺品の古書を片付けていたのですが、私には興味のない内容の本でしたので全て処分することにしたのです。
紐で古書を縛って翌朝にゴミの集積所に持って行こうと玄関に積み上げておきました。
そして翌朝、縛った本を見てみたら、本の頁の間から黒い毛糸のようなものがたくさん出ているのです。

よく見ると、その黒い毛糸は人の髪の毛でした。

本を縛る前に中はパラパラめくりで確認していますが、髪の毛なんて入ってなかったし、
入っていたとしても一晩でこんなに長くたくさんのびるわけがありません。

気味が悪いので、髪の毛(…今にして思えば髪の毛のようなもの?)を取り除き、本を全て父の部屋の本棚に戻しました。
それから何も起こりませんが、父の遺品の古書をどうしようかとずっと悩んでいます。