百物語2002  奥信州 旧佐々木邸より

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◆◆◆【 061/100 】◆◆◆

八尾町という所の話です(話しづらいので本人の立場で書きます)
僕は小さい頃からおばあちゃん子でいつもおばあちゃんから
色々な話を聞いていました
おばあちゃんの口癖はいつも「いっぱい勉強してエライ者になってやれ」
とか「かたい子になるんやぞ〜」(かたい子とは優しい子って意味みたいです)
でした。しかし僕も大きくなり遊ぶ相手もおばあちゃんから
友達へと変っていきました
それでも中学卒業する頃まではおばあちゃんと話す事もしばしありましたが
やがて高校へ入り遊びに夢中になり、家に帰ることも少なくなり
おばあちゃんと話すことも全くなくなりました
そして高校3年の夏におばあちゃんが若くして死んでしまいました
僕は遊びに夢中で葬式にも顔を出さず、昔のおばあちゃんとの話も
遊びも思い出すこともありませんでした
葬式が終わり、その翌日の話です。。。時間は丁度1時くらいでした

辺りは真っ暗、友達の家から足早に自分の家へ向かいました
自分が歩く音しか聞こえないそんな静かな帰り道のことです
あと家まで数十メートルって時に誰かに呼ばれた気がして後ろを振り返ると
そこには四つん這いになったおばあちゃんがこっちへ向かって
四つん這いのまま走ってきました
僕は無我夢中で走り、家の玄関を開け階段を登りました
そこでもう一度だけ階段の下を見ました
そこには顔も手も足もはっきりとした死んだはずのおばあちゃんが
四つん這いで階段をゆっくり登ってきていました
僕は窓を突き破って飛び降りました

この話を聞いた時はちょうどこんな季節でした
この人は 引っ越して平屋の家に住んでるそうです 車椅子で。