百物語2002  奥信州 旧佐々木邸より

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10年くらい前の夏の夜こと、私はいつものように布団に入りました。
そろそろ眠くなってきた頃、いきなり足先からザーっと冷気があがる
ような感触があり、続けて金縛りにあいました。金縛りは慣れっこで
あった私ですが、その異様な雰囲気に初めて金縛りで恐怖を感じました。

「そうだ、何かの本に強気に出ればいいと書いてあった」と思った私は
「何やってんだ!!」と心の中で叫びましたが、答えのかわりに更に
きつい金縛りと耳鳴りにおそわれました。しばらくの後、やたらに長い
金縛りから解放されましたが、その晩は恐怖で眠れませんでした。

翌日、不眠のせいで眠かった私は早々に床につきましたが、その直後
からまたもや昨日と同じように金縛りにあい、何も出来ずにただ終わる
のを待っていると…いきなり「ガッ!!」と両足首を捕まれ、引きずら
れそうになりました。恐怖で頭はパニックになりながら必死に身体に力
を入れて抵抗すると、その手はあきらめたように離れ金縛りも解けました。

その翌日も金縛り。その晩は枕元に僧侶らしき霊が立ち、読経をあげて
いました。連日の金縛りにすっかり疲れてしまい、学校の休み時間を使って
睡眠を取ろうとしましたが、伏せた状態でまた金縛り。とにかく寝ようと
すると何かしら起こるのです。その状態は一週間続きました。

憔悴しきった私は藁をも掴む思いで家の仏間に行き、数年前になくなった
祖母に「私に何か憑いているかもしれません。何とかしてください」と
お願いしました。するとその晩以降、全く何事も起こらなくなりました。

その数年後にも、40℃の熱が下がらなかった私の夢枕に祖母と祖母の
愛犬があらわれ、「あんたはまだこっちに来ては行けないんだよ」と
笑いながら話すということがあり、その日から急に快方に向かったという
ことがありました。

今年もお盆の時期になりました。明日あたりお花と感謝の気持ちを持って
墓参りに行ってこようと思います。