百物語2002  奥信州 旧佐々木邸より

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実際に体験した話です。

ある日、洋間でうたた寝をしていた時の事です。
何の前触れもなく、突然部屋の中に人の気配が現れました。
夏という事もあり、その部屋はドアを締め切り、冷房をかけていました。
にも関わらず、その気配はドアを開く音すらせずに、突然部屋の中に現れました。

僕はとっさに飛び起きようとしましたが、金縛りにあったように体が動きません。
人の気配は、何かを探し回るように部屋の中を歩いて(?)います。
なんとかしようと歯を食いしばっても、まぶたすらピクリとも動きません。
やがて、その気配は僕のすぐ側で止まりました。
(見てる・・・)
鋭い視線を感じながら、僕は何とか体を動かそうと必死でした。

「ちっ」

その気配は、舌打ちのような音を残し、
現れた時と同じように、唐突に消えました。

飛び起きた僕は、驚きました。
ボーっとし始めたのは午前中のはずなのに、
もう外が暗くなりかけていたのです。

あの気配の主は、一体何を探していたんでしょうか?
特に何かが出るような原因はうちにはないはずなのですが・・・