百物語2002　　奥信州　旧佐々木邸より

◆◆◆【　０５０／１００　】◆◆◆ 　
随分前に聞いた話です。
仕事で帰宅が遅くなったある若い女性（たぶんOL）が、
深夜いつもは通らない近道を歩いていたら、
遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきたそうです。
近所で事件でもあったのかと最初は気にも止めませんでしたが、
何故か音は彼女のほうに近づいて来るようなのです。
犯人が近くにいるのかもと恐ろしくなった彼女は急いで自宅に向かって走りだしましたが、
ところがサイレンの音はまるで彼女を追いかけるように近づいて来るのです。
思わず恐怖に襲われ必死で走る彼女。そのすぐ側をサイレンの轟音が通り抜けていきました。
そう、音だけが…
気が付くと彼女は近所の寺の墓地の隣にいたそうです。
翌日の新聞にもそれらしい事件の記事は見当たらなかったそうです・・・