百物語2002  奥信州 旧佐々木邸より

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◆◆◆【 044/100 】◆◆◆

実家には離れがあって、俺が高校生から20歳くらいまでその部屋を使っていました。
離れって言っても田舎風のではなく、現代コンクリート建築の建物です。
部屋はひと部屋しかないんだけど、12畳くらいの広さがありました。
で、自分が寝るためのベッドを一つしかない窓辺に置いて寝ていて、
朝寝坊などすると、その窓越しに母親が「早く起きなさい!」なんて、よく怒鳴り込んできました。

ある夏の蒸し暑い日、・・・そう、こんな夜でした。
エアコンのない部屋だったので、窓を全開にし、カーテンがゆらゆらと揺れる中、
熟睡していた私の足を何者かが「ギュッ」と掴んだのを感じ、
「ハッ」と、目を覚ましたのですが、
てっきり母親が寝坊した私を起こしに来たものと思い、
鬱陶しく思いながら時計に目をやると午前2時半!
「えっ?」と、思ったのもつかの間、私の足をつかんだその手は
私の足をこれでもかというくらい高く掴み上げ、
ベッドに5、6回「バンッ、バンッ、バンッ・・・!!!」
と、叩き付けると「スゥ〜」っと消えていきました。(以下略)