百物語2002  奥信州 旧佐々木邸より

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214あなたのうしろに名無しさんが・・・
◆◆◆【 026/100 】◆◆◆
私が小学生の頃、「分身様」という、いわゆるこっくりさん
のようなものが大流行していました。

あまりに熱心にやっていたせいか、信じ切っていた私は
要求がだんだんとエスカレートしていきました。
最初のうちは、やはり定番中の定番、○○の好きな人は?
という程度の他愛もないものでした。
しかしある日、机の中のかわいいのり(小学生女子に人気のファンシー文具の類)
が盗まれたということもあり、分身様に聞いてみることにしたのです。
「私ののりを誰かが盗んだのですか?」
「はい」
「このクラスの人ですか?」
「はい」
「・・・誰ですか?」
「×・×・×」
「!!!」
それはクラスメートの名前でした。
それから、放課後だったので、分身様をやっていた子達と一緒に
すぐに教室にいき、誰もいないことを確認してから、名前があがった子の机の中
や、手提げ袋の中を点検しました。
・・・しかし、ありませんでした。

そのことがきっかけで、なんとなくその存在に?と微かに思い始め、更に
エスカレートしていったのです。
「分身様、分身様、もし本当においでになるのなら、今ここにある
ボール(すぐ近くに小さなボールがころがっていた)を動かしてみて下さい。」
「・・・」
「・・・そういうことはやはり無理なのですか?」
「はい」
「人が見てるとだめなのですか?」
「はい」
「では、今日私がねているあいだに、枕元にお皿をおいときますので、
きてくれたという証拠をなにかおいていって下さい。」
「・・・」
「無理なのですか?」
「・・・」
その後しばらく動かなくなってしまい、私たちは大変ビビリました。
でも、なんとか無事帰っていただきました。

翌朝、お皿のうえには、綿埃のような獣の毛のような、なんともいいがたい代物が
のっかっていました。