195 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:
◆◆◆【 023/100 】◆◆◆
大学のとき、いつも一緒に遊んでいた仲間がいました。
S君と言います。
夏休みに彼は、高校の友達と河口湖へ水上スキーに行きました。
そして転覆事故にあい、亡くなってしまいました。
僕は夏休みが明けて、田舎から帰郷し、初めてS君が亡くなったことを知りました。
大学を卒業し、社会人となり、数年がたち、S君のことをすっかり忘れていました。
今いる仲間とキャンプに行くことになり、河口湖に行くことになったのです。
それまで、なぜか富士五湖周辺には出かけませんでした。
そして夜のこと、バーベキューも終え、テントに眠るだけになり、テントで寝ました。
眠りにつくころ、外の風が吹いてきました。
風が吹いてきたよ。ねむれないなあ。と思っているとき、風の音にまぎれて、
湖のほうからはっきりとぺたぺたと歩く音。
そして、なにか声が・・・
だんだんと声が大きくなってきて、テントの入り口近くまで来ていたようです。
「Kくーん。」
その声は、はっきりと僕の名前を呼んでいるんです。
怖くなり、毛布の中にうずくまりました。
その呼び方、声は、前に聴いて事ある声でした。
「忘れちゃったのかい・僕・の・こ・と」
思い出したのです。あの声は・・・
Sだ。Sの声だ。
あんなに仲がよかったSのことをすっかり忘れていた。
成仏してくれ、S。
と思いながら、口から、南無阿弥陀仏と唱えていました。
その声を聞いて、寝ていた友人が起き出し、なにやってるんだよお前。
気がつくと声が消えていました。
後日、友人の墓にお参りに行ってきました。