【脳内】ブサイコにまつわる怖い話17【モテモテ】

このエントリーをはてなブックマークに追加
57あなたのうしろに名無しさんが・・・
割り込んじゃったらスマソ。仕事で遭遇したブサイコ話を・・・。


俺は都内の小さなソフト会社に勤めるプログラマだ。何せ会社が小さいので、
自社で仕事が請けられないときは、ほかの会社に派遣されてプロジェクトに
参加することや、ほかの会社と人材を融通することがままある。

99年の8月のことだった。派遣先での多忙なプロジェクトを終えて会社に
戻った俺を、新しい仕事の話が待っていた。ゲーム会社に逝き、開発に参加
してほしいという。会社名はPといった。聞いたことのない、これまでに
付き合いのない会社だった。なんでも、協力会社のT社に持ち込まれた話が、
T社に人手の空きがなかったために回ってきたのだそうだ。
俺がP社に逝って担当者と面談する手はずになっているというので、T社から
送られてきたメールの内容を確認し、P社にアポをとって、翌日出向くことに
なった。
翌日、P社のあるはずの住所にたどり着いた俺は、途方にくれていた。
メールを印刷した紙には「シーガルビル2F」とあるのに、辺りは古い家や
アパートが立ち並ぶ住宅街で、ビルなど見当たらない。
住所が間違っているのかもしれないと、T社に電話を入れてみたが、住所は
確かにあっているという。道行く人に聞いてみても、住所は間違いないよう
だが、ビルは知らないという。
「ひょっとすると、ものすごく見当違いなことをしているのでは・・・・」
と不安に襲われつつ、俺は2時間もの間、辺りを歩き回った。一軒一軒表札を
確認しながら・・・・。
そして、約束の時間に遅れること1時間半。ついに怪しい建物を見つけた。
軽く築20年は経っていそうな、古い木造アパート。その名も「かもめ荘」。
シーガル=鴎と関係ありそうな建物はここくらいしかない。思い切って2階に
上がってみると、202号室に、「P」という表札が出ていた。ダンボールに
手書きの・・・・・。
「ふざけんじゃねえ!!」
俺は怒りに肩を震わせ、そう叫びかけた。
どう考えてもまともな会社ではない。ビルを探すのに懸命で気づかなかったが、
こっちが1時間半も遅れているのに何の連絡もしてこないのもおかしい。T社に
確認したが、やはり連絡は入っていないそうだ。
とはいえ、面談の時間に大きく遅れたことも事実だ。「俺にも非がある」と、
自分に言い聞かせ、ドアをノックした。
しかし、返事がない。それから数回ノックすると、ようやく返事が返ってきて、
ドアが開いた。でてきたのは、絵に描いたようなデヴヲタだった。しかも、
“社内”からは、生ゴミ臭とザーメン臭が混ざったような匂いが・・・・。
「今取り込んでたんだよ。」
とそいつは言った。よく見ると、服装はTシャツにトランクスだけ。
(まさか、オナーニ中だったから返事しなかったのか?)
“面談”は、玄関先で行われた。俺を部屋の中を見せたくなさそうな感じだ。
俺だって中など見たくはないが、そういう時は喫茶店にでも逝って話すのが
普通じゃないだろうか。まあ、そんな格好で一緒に喫茶店に入られるのも嫌
なので、それは言わずにおいたが。
“面談”といっても、そいつの妄想エロゲー企画を一方的に聞かされただけで、
中身は何もなかった。会社といっても、スタッフはそいつ一人だけの脳内会社
だった。
名刺交換すらせず、俺は帰路についた。

社に帰って報告すると、社内は爆笑の渦に包まれた。翌日、T社の社長が詫びに
来た。それですめば、まあ、笑い話ですんだのだが・・・・。

T社には「デビュー作の開発ができず借金に苦しんでいるのはお前らのせいだ。
損害賠償を請求する」という電話が時折かかってくるという。