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霊に嫌われてます。 ◆hpLVpVUU :
ガイシュツ話そのA
ある男が中古車を買った。
金があまりなかったので、事故車を買った。その車を選んだのは、値段の割に
装備がよかった。そこそこのカーコンポも付いていたし、何より気に入ったのが
カーナビまで付いていた事だった。しかも音声ナビ付きだった。
早速、休日にドライブに出掛けた男は、中古の割にはよく走るその車にすっかり
満足していた。運転しながらカーコンポやナビをいじったりしていた時、その
ナビに行き先指定ナビ機能がある事を発見、早速試してみようといじってみると
すでにどこかに行き先が設定してある。
暇だった男は、面白半分にナビの音声ナビゲーションに従い、その行き先まで
行ってみる事にした。
「次の交差点を右に」「500m先の交差点、左に」。初めて使う音声ナビにすっかり
夢中になり、気付いてみると見知らぬ峠道。
段々、辺りも暗くなって来ていたが、ナビの地図上で見ると、設定されている目的地
はあと僅か、折角ここまで来たのだから目的地まで行ってみようと、そのまま運転を
続けた。しかし慣れぬ峠道での運転、すぐ着くかと思った目的地だったが思いのほか
時間が掛かり、辺りはすっかり闇に包まれていた。
ナビの音声はずっと「みちなりです、みちなりです」を繰り返すばかり。事実、ずっと
一本道なので、惰性で運転を続けていたのだが、やがて「目的地まであと800mです」
と、やっと終点が近づいて来ている事を告げた。
でも、相変わらず辺りは漆黒の峠道。一体、こんな所に何があるのか?そもそも、何も
無くただ単に中古車ディーラーが動作テストの為に適当に設定しただけじゃないのか?
そんな不安が頭をよぎりつつもナビは「あと500mです」「あと300mです」と、読み上げ
を続けている。
目的地の読み上げが、あと50mを切ったとき、男を猛烈な不安感が襲った。
その言い知れぬ不安感が恐怖に変わり、目的地直前で車を急停止させた男だったが、
やはり折角ここまできたので、目的地に立ってみようと車を降りて愕然とした。
車の停まっていた1m先の道路がいきなり無くなっていたのである。おそらく崖崩れ
か何かで、すっぽりと道が欠落していた。
慌てて車内に戻り、ホッと胸を撫で下ろしていた時に、おもむろにナビから今までの
声とはまったく違う声色で
「あと、少しだったのに.....」
激しくガイシュツ しょのAでした。