死ぬ程洒落にならない話を集めてみない? PART10
61 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:
私が高校に入学してすぐ、母親が失踪ました。
父が言うには、母にはもう数年も前から外に恋人がいたそうです。
「アイツは父さんとお前を捨てたんだ」そう言ってうなだれる父の姿を見て、
これからは私が母親の分まで父を大切にしようと決心しました。
しかし、それから家では、奇妙な事が続きました。家全体が何となく、
ゾワッと総毛立つような雰囲気に包まれ、確かに閉めておいた
ドアが開いていたり、棚の上のものが落ちていたりするのです。
そこで私は、「母はもう死んでいるのでは?」と思ったのです。
玄関に置いたままにしてある母の靴を調べ、私の疑惑は確信になりました。
もし母が出ていったとしたら、靴が一足、足りなくてはなりません。
靴は、全部ありました。という事は、父がこの家の中で母を殺した事になります。
(何で?どうして?)父を問い詰めたい衝動にかられましたが、やめました。
母を亡くして、父まで警察に捕まってしまったら、私は一人ぼっちになります。
父は、母を愛していました。あんなに愛してくれていた父を裏切ったのなら
殺されたとしても、母の自業自得のように思えたのです。
(気付かなかったふりをしていよう)そう決心しました。
しかし、奇妙な現象は続いていました。ある日、私が寝ていると、ピト・・ピト・・と
誰かが家を歩き回る音で眼が覚めました。父の足音ではありません。
そして、ピト・・ピト・・という足音がだんだん近付いてくるのです。
「来ないでくれ、来ないでくれ」そう念じながら蒲団に潜っていると、その
足音は私の部屋の中にまで入ってきました。生ぬるい呼吸が頬にあたりました。
薄目を開けると凄い形相の母が、私を覗き込んでいました。そして、耳元で
「出・・・て行・・・け・・・」 そう言ったのです。