★週のはじめに考える “ネット社会”の孤独
秋葉原の惨劇から一カ月がたちました。個人の責任を追及するのは当然ですが、再発
防止のためには社会的背景にもっと目を向けなければなりません。
(中略)
職場が頻繁に変わる浮草のような派遣労働者の加藤容疑者にとって、“ケータイ”は
自分と外部をつなぐ細い糸であり、秋葉原の街は自己の存在を確認できる象徴的な場所
でした。
ネットオタク、アキバ系などと称されるネット文化の担い手と、加藤容疑者のような
ワーキングプアといわれる若者たちとは、重なっている部分が多いそうです。
(中略)
真のつながりのないネット会話は、冗舌なだけで内省を誘うこともありません。心の
中で自分と対話することがありませんから、直面する問題の核心がつかめず、不平、不
満を並べるだけに終わったり、怒りをとんでもない方向へ向けたりすることにもなりま
す。犯行はその結果でしょう。
むろん刑事責任は厳正に問うべきです。計画的で残忍な犯行に同情の余地はありませ
ん。しかし、厳罰に処すべきだからといっても犯行の背景を無視していいことにはなり
ません。
この社会をどう変えるか
かつて不況などによる閉塞感からナショナリズムが高揚し軍部の暴走を後押ししまし
た。最近「ネット右翼」と呼ばれる言論が飛び交い、容疑者を英雄視する書き込みもあ
ることが懸念されます。
犯行動機は種々の要素が絡んで複雑でしょうが、「日本社会はどうあるべきか」とい
う核心を見失わないようにしたいものです。
■ソース(中日新聞)(中略部分はソースで)
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2008071302000100.html