負けることをこわがるのはおよしなさい!
たとえ負けてもあたくしはあなたに責任をおしつけたりしない。
それより力を出しきらないプレイをすることこそを恐れなさい!
追ってきなさいひろみ。
あたくしは永遠にあなたの前を走る。
あたくしはあなたより先に倒れたりしない。どんなに苦しくとも!
先輩として後輩の成長を促すように、戦った意味があるように戦いたいと思うのです。
あたくしはここで得た全てをあなたに伝えたわ。それをより高めて後輩に伝えなさい。それが伝統を受け継ぐ者のつとめよ。
傷ついた・・・と思うだけで、人間は傷つかないものなのかもしれません。
あれも耐え難い、これも耐え難いと思うだけで、この世に耐えられない事などないのかもしれません。
「人生は旅だ」と誰が最初に言ったのか。
砂利といばらと暗闇と・・・そんな道が気の遠くなるほどつづく。
けれど確かな光が見える。
今が苦しければ苦しいほど前へ進まねばならない、この苦しみから抜け出るために!
果てしない悩みなどない。底なしの苦しみなどない。
「わたしがやる」とか「わたしにならできる」とか
いつも自我が表面に出る者は頂点には登りきれない。
天才は無心なのです。
ひろみ、あなたにはいついかなる時でも、だたひたすらな努力をしてほしい!
勝とうとすることなどなくてよ。あなたのプレイをすればよろしいのよ。
「この一球」常にそれだけでよろしいのよ。
あたくしたちは、もうひろみにはかなわない。
けれど精一杯強くなって、その精一杯強くなった自分たちを堂々と
打ち負かしてほしかった!
わたくしがラケットを握ったのは7歳。
その時からくる日もくる日もテニスに明け暮れたわ。とても苦しかった。いいえ、今も苦しい。
でも、その長い月日の苦しさが今のわたくしを支えているのです。
わたくしがラケットを握ったのは7歳。
その時からくる日もくる日もテニスに明け暮れたわ。とても苦しかった。いいえ、今も苦しい。
でも、その長い月日の苦しさが今のわたくしを支えているのです。
ひろみ、よくここまで上達したわ。
この試合、あなたにはワンゲームも渡さない。
あなたがわたくしを追ってくる以上、それがわたくしのあなたへの愛・・。
ナイス・ファイト!!
今、藤堂さんを最も傷つけるのは同情やあわれみよ。
あなたの帰りを待っているわ・・・コートで。
ひろみが大きくなるのなら、私はそれ以上大きくなればいい。
高みへのぼるなら、私はそれ以上高く跳べばいい。
私は竜崎麗香、私がもし敗れるとすればそれは最後の試合。
私がもう自分でテニスに別れを告げる時。だが、今は違う。
私はまだテニスから離れなれない。
やれるだけやって、それでも私のテニスが終わるとしたら、その相手は岡ひろみであってほしいからです。彼女に負けるのなら私は悔いは残らない。
いいえ、桂コーチ。それでも私はやります。
今までの自分を超えて一歩踏み出すだけの勇気が私には必要だから。
今のこのコートの上だけでなく、これからの私のためにも。
私が初めてラケットを握ったのは6歳の時。それ以来、コーチは父一人。
私も父の勧めで優秀で才能のある素晴らしいコーチに何度も付きました。
でも、他のコーチに付く度にいつも同じ結論に辿り着くの。今はもう、技術も理論も何一つ教えては下さらないけれど、父は私にとってただ一人のコーチ。