昨季のプロ野球を盛り上げた千葉ロッテマリーンズの本拠地球場、
千葉マリンスタジアム(千葉市美浜区)が今月1日、生まれ変わった。球場の運営、管理を、
千葉市など出資の第三セクターである千葉マリンスタジアム社に代わって、
「指定管理者」になったロッテ球団が行うようになった。
実質的な球場経営者になったロッテがまず手がけたのは、個室観戦ができるVIPルームの改装。
定員6人の部屋のみが34室あったが、多人数でも利用できる部屋や、
高級感のある部屋などバラエティーに富んだ43室に作り直した。また三塁側にはパーティールームを設置。
一塁側にはスポーツバーを開店した。瀬戸山隆三代表は「(観戦を兼ねた)誕生日パーティーを開くとか、
商談に使ってもらうというのもいい。千葉の社交場にしていきたい」と青写真を描く。
同球場は、敷地を千葉県が、建物を千葉市が所有しており、運営管理は、市主導の第三セクターが請け負ってきた。
公共施設は、公共団体か準ずる団体だけが管理運営を許されてきたからだ。
しかし、“お役所的”な面はぬぐえず、球団幹部は「ポスター1枚張るのにも、市の許可が必要だったのは、
ほんの数年前のこと」と振り返る。一方、行政側は、球場に活気が出ても、
それを収益につなげられず赤字が出るという問題を抱えていた。
そこで、導入されたのが「指定管理者制度」の活用だ。03年に地方自治法が改正され、
公的施設管理の民間委託が可能になった。公共施設運営のコストダウンをはかることが同制度の主目的だ。
千葉市公園管理課によると04年度、同市が同球場から得た使用料などによる歳入は約2億6500万円で、
歳出は約3億2000万円。約5500万円の赤字だった。ロッテが指定管理者になることによって、市の赤字負担は解消される。
また、球場内売店などから得ていた場所使用料の年間約1億2000万円については、
従来通り千葉市の収入。ロッテ同様に、千葉市にとっても制度導入は大きなメリットと考えられる。
市も球団も、制度の導入で地域密着型のボールパーク作りが進むと強調する。
ただし、公共施設を一私企業にゆだねることの不安も簡単にはぬぐえない。
制度のデメリットについての考察も忘れてはならない問題となる。【深町郁子】
http://www.mainichi-msn.co.jp/sports/21/archive/news/2006/04/20060408ddn035070021000c.html