東京スポーツ 06/07/12
独走でも喜べない舞台裏…中日、優勝すれば赤字20億円 東京スポーツ 2006.7.12付3面
10日現在、貯金17で2位・阪神に3ゲーム差をつけ、2年ぶりの優勝に向けてひた走る中日内部で
心配されているのが“球団赤字問題”だ。「優勝すれば選手の年俸も上がるし赤字は増える。
普通なら約15億円のマイナスで済むが、優勝すれば20億円を超えるだろう」(球団幹部)。
2年前に赤字球団に転落した中日は昨年も10億円以上の赤字を計上しただけに、
Vムードを喜んでばかりはいられないというのだ。今季の観客動員は現段階で昨年度を上回ってはいる。
しかし、それも「優待券での入場者が増えていることもあって入場収入自体は減っている」のが現実だ。
それどころか「優勝して年間シートの売り上げが増えればいいけど、それもどうなるか分からない」
とか「巨人が弱いし、巨人戦の放映権料も下がっている。これもあてにはできない」など
チーム内からはマイナス要素しか聞こえてこない。
とはいえ、こんな辛気臭い話で落合監督や首脳陣、選手らのVへの士気が低下するのは
避けなければいけない。もちろん、優勝した場合に選手の年俸を下げるわけにもいかない。
そこで始まったのが他の部分でどうやってコストダウンするかの議論だ。さっそく
「二軍のコーチだけで10人以上いるし、よその球団の一軍コーチ並みの給料をもらっている。
これは他球団並みにした方がいい」との意見が出ているという。それだけではない。
巨額費用を要するFA戦略の見直しの声も高まっている。FAといえば中日は
日本ハム・小笠原、広島・黒田の両大物の動向に興味を示してきた。
これに一部の球団幹部は反対の声を上げる。とりわけ待ったをかけるのが、
最低でも8億円を必要とする小笠原獲りだ。「小笠原を獲れば赤字は30億円を突破するんじゃないか。
そうなると年俸の高いほかの選手を切らなきゃいけない。優勝に貢献した選手を
辞めさせるんだったら小笠原獲りは考えるべき」 めでたく優勝したころには問題を
解消できるように球団では、今後もさまざまな意見が飛びかうことだろう。
20億円超え必至の赤字をどうするか。現場の戦いと並行してグラウンド外でも
中日の戦いはシ烈なものとなりそうだ。(宮本泰春)