獣医ウイルス学|主役はカモとブタ|人獣共通感染症

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動衛研:鳥インフルエンザのワクチンによる防疫と清浄化
(文責:感染病研究部長 山口成夫)
http://www.niah.affrc.go.jp/disease/poultry/infl_vaccine.html

>H5N1高病原性鳥インフルエンザの防疫措置の最終ゴールは全ての国々が清浄国に
なることであり、そのために、病原体を可能な限り迅速に検出・措置し、消滅させること
が重要である。

>畜産物の輸出入に関しては、OIE基準による同等あるいはそれ以上の清浄度の国から
の畜産物の輸入が可能となっており、OIE加盟国であるわが国は鳥インフルエンザの
清浄性が保てなければ汚染地域からの家きん肉等の輸入禁止措置が取れなくなる。
わが国の養鶏産業の維持・発展と安全な鶏肉鶏卵の供給のために、OIE基準による
清浄国認定は重要な意味を持つ。

>日本では2004年1月に山口県で79年ぶりに高病原性鳥インフルエンザの発生があり、
それまでは清浄性を保ってきた。この発生はアジア諸国での大発生の余波を受けた
ものである。アジア諸国での不明疾病が高病原性鳥インフルエンザによるものと判明
してからは、各国の努力により発生は激減した。しかし、清浄化を達成できたのは家畜
衛生技術、衛生管理技術のレベルが充分高い数カ国だけである。

>国際的にも高病原鳥インフルエンザの防疫対策としてのワクチンの使用は、あくまで
も清浄化達成の一手段であるととらえられている。つまりワクチンの使用は、鳥インフ
ルエンザが地域に蔓延した場合に地域や期間を限定してワクチンを使用することに
よって環境中のウイルス量を減らし、感染の拡大や、人への感染のリスクを低下させ
る手段と考えられている。このため、ワクチンの使用に際しては、適切なサーベイラン
スと感染鶏群の摘発淘汰を併用することになっている。

>適切なサーベイランスと摘発淘汰を伴わないワクチンの継続的な使用は、ウイルスの
常在化を引き起こし、清浄化が困難になることは諸外国の例からも明らかである。また、
不活化ワクチンが感染防御を保証しない性質のワクチンであるため、その継続的使用
下では清浄状態の証明には多くの困難が予想され、市場での競争力の低下を招くこと
も懸念される。