「プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー」
http://www.amazon.co.jp/dp/4062575043/ 【浅はかな勘違いに気づかされました。正確に科学しないといけません。】
相関関係と因果関係を都合のいいようにごちゃまぜにして論理展開する政治家や
コンサルタントの話を聞いていれば直感でウソを見破れると自信をもっていましたが、
実は自分では高い精度で理解していると思っていた科学的なテーマで大きな勘違い
をしていたうえに理解の仕方もいい加減だったことに気がついて、赤面させられました。
何年か前に狂牛病の原因としてプリオン関連の初期の報道を読んだとき、自分なり
にわかった気になってしまい、その後の進展を吸収する心の窓が完全に閉じてしまっ
ていたのです。
「蛋白質の二次的立体構造上、物理的に鏡像体が発生可能で、その量が一定
レベルを越えれば、自己触媒によって増殖し、化学的には機能しないので病変となる。
まあ、ありえそうなことかな。」というのが浅はかな認識でした。
本書では、現役の科学者が、実験的な事実とまざまな理論的可能性を順をおって
紹介し、わかっていることと確定できないことを峻別して正確に論述してくれます。
専門家の業界外の我々に、これほどややこしい問題をこのボリュームで教えて
くれる力量に感謝です。
頭はもっと使わないといけません。