■責任・使途不透明 禍根残す恐れ
日中間の懸案だった遺棄化学兵器の廃棄処理問題は、中国側の新たな要請を受け、
一兆円規模という巨額プロジェクトとなる可能性が出てきた。
だが、責任範囲すらあいまいにしたまま中国側の要求を受け入れれば、日中関係にも禍根を残す危険をはらんでいる。
一方、費用の使途をめぐっても、今後の議論を呼びそうだ。例えば、調査活動に協力した中国人スタッフに日本側が
支払った日当は百ドル。ところが「実際に本人たちに支払われるのは十元(約百三十円)程度」(関係者)とされ、
中国側による中間搾取の構造が透けてみえる。
日本政府は今年三月、対中政府開発援助(ODA)の大半を占める対中円借款の打ち切りを決めたが、
一九七九年に始まった対中ODAは累計で三兆三千億円強。対する遺棄化学兵器処理は、わずか数年の間に一兆円規模の拠出を迫られる。
しかも償還が前提の円借款とは異なり、今回の拠出はいわば出しっぱなしの“無償援助”に近い。
同時に中国に対しては、誠意と透明性のある環境整備を毅然(きぜん)として求めていく必要がある。
ソース:産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050622-00000000-san-pol