妹に先を越されました
今年、妹は高校一年生になりました
それでも妹のドジ加減は昔から変わりません
本当に見ていない時は不安がありました
本当に「しっかりしてくれよ」と、何度も言いました
本当に小さい頃から何度も言いました
でも、その不安も今は無くなりました
心配してやりたくても、心配はできません
不安な気持ちになりたくても、形だけでは心に変化は起きません
いい子でした
正直可愛くて仕方ありませんでした
いっぱいも喧嘩をしました、その分仲直りもしました
そしてこの前も派手な喧嘩をしました
その日の喧嘩は明らかに俺のせいでした、それは断言できます
だから、近所のコンビニで妹の好きなチョコを買ってきて
それをきっかけに謝ろうと思いました
でも、その日、妹が帰ってくる事はありませんでした
妹は喧嘩した後、友達に俺の愚痴を吐いていたらしいです
2時間延々と愚痴を吐き、そのまま妹は家に帰ると言って友達の家を後にしました
その30分後
交通事故でした
俺がどれだけ注意しても、俺がどれだけ怒っても
最後はあっけなく訪れました
事故当所、妹はコンビニの袋を持っていたらしいです
俺が病院でその袋を確認させてもらった時
中には俺の好きなアイスが入っていました、既に溶けており原型は留めていません
帰り道にアイスなど買わなければ妹は交差点など通る事はありませんでした
でも、俺の為にアイスを買って帰ろうとしてくれました
そのせいで車にはねられました
俺は病室でそのアイスを食べました
液状になっていても構わず食べました
いっぱい妹の病室を汚してしまいました
その日は汚してしまった病室を掃除してから家に帰りました
家に着き、何も言わず自分の部屋に戻りました
既に親は泣き崩れていたので
2階に上がり、ドアを開けふと視界に入った物
妹の為に買ったチョコでした
唯一、謝る事の出来なかった喧嘩
チョコがそれを証明していました
次の日の朝、家の中で妹の笑顔は見れません
無くなった日常はあまりに大き過ぎます
でも、だからっていつまでも沈んではいれません
俺はその日から妹が小学校からやっていたピアノを始めました
妹はピアノが大好きでした、先日も「やろう」と進めてきました
今はもう進めて来る事などありません
だかた、その日から妹の分まで、妹の為に弾いてやると思い
今日も練習しています
まだ妹の様に上手に弾く事はまったくできません
それでも、妹の出る予定だった演奏会までには形にしてみます
どんなに無謀でも妹の糧を背負った以上挫折はできません
でも、出来ないのはあくまで責務、そんなのに囚われません
俺は挫折なんてしたくない、だから弾き続けます
妹を越す日まで
妹と言う壁は何処まで行っても見えないかもしれません
真剣に向かい合っていなかった俺には見付けられないと思います
それでも、最後の最後に妹より上にいなくちゃ、笑われてしまいます
兄として、忘れてはいけない一人約束です
少しスレの話からずれていたかもしれません
それでも嘆きたい自分がいました
生き物である以上終わりは訪れます
それはあまりに唐突な事かもしれません
後悔するなと言っても、予知する事など不可能です
ただ、少しでも兄弟と言う避けられない関係を大事だと思ってみて下さい
どんなに嫌いでも、どんなに実質な差があっても
たった少しだけでいいんです
大事だと思ってあげてください
最後に
俺は妹に先を越されました
それでも俺には、大好きな妹がいました