1 :
のほほん名無しさん:
SF、純愛、推理なんでもありの完全フリー制を新規導入!
お一人様一回につき一行〜三行まで。
どぞお気楽に。
2 :
のほほん名無しさん:01/12/13 16:03 ID:t09/JEj9
街はもう雪で覆われていた。
男が目を覚ますと、ベッドにはもう女はいなかった。
時計を見ると三時をまわったところだった。
部屋の空調は切れていて恐ろしく寒い。
男は取りあえず服を身につけることにした。
窓の外の雪は妙にまぶしかった。
男が服を身に付け終わったその瞬間、来客を告げるチャイムが鳴った。
(あの子はいつ帰ったんだろう…)
男は冷蔵庫をあさりながら昨夜のことを漠然と思い返していた。
(´-`).。oO(かぶったスマソ。俺のは無し)
7 :
4:01/12/13 16:40 ID:???
いや、破壊王さんの話しの方が面白いのでそちらから続けて欲しいです。
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、1口含んだところで、
もう一度、今度はイライラとチャイムが鳴った。
男は思わず舌打ちし、ペットボトルをテーブルに置いた。
男を急き立てるように チャイムが鳴り響いている。
ガチャッ・・・。
男は重い扉を開いた・・・。
10 :
イトキン:01/12/13 18:47 ID:G+RLLI4g
「・・・来ちゃった」
開いていくドアを待ちきれないように顔を出した女の子が、無理にはにかみながらそう言った。
飲んだくれて1日中寝てしまおうと決め込んでいた約束の日だった。
11 :
ばか:01/12/13 21:00 ID:U6Dmqmgv
男は唐突に持っていたハサミで自分の陰茎を切断した。
切断面をやってきた女の頬になすりつけると、女は、
「ん〜、マンダム」と恍惚の表情を浮かべた。
男女はひとしきりその行為を楽しむと、新しい陰茎を求めて二人仲良く旅に出た。
男は無言で車を走らせる。行き先などない。
自分を受け入れてくれる場所などないのかもしれない。
今はただ身を切るほど冷たい風と、女の髪の薫りが心地良かった。
「あたし達、もう戻れないのかしら」女がポツリと言う。
男は唇の端に笑みを浮かべて頷いた。
車の中は、既に生臭い血の匂いが充満していた。
そう、もう戻ることはできないのだ。
過去を捨て、未来を捨て、夢を捨ててここまで来たのだから。
「失うというのは辛いものだな・・」男はちらりと後部座席を見て呟いた。
後部座席には、先程切り取られた男の陰茎が転がっていた。
「ねえ、こうするとかわいくない?」
女はそう言うと、転がっていた陰茎をつまみ上げ、リボンを結びつけた。
女が無理に明るく振る舞っていることに気づき、
男は胸が熱くなった。まだ自分には彼女がいる。
ひとりではないのだ。そう思うとこの旅も悪くはない気がしてきた。
男は空いている田舎道を軽快に飛ばした。いつもはぐずついてばかりいる
ポンコツの相棒も今日はご機嫌らしい。
高速を降りると、のどかな田園風景が広がっていた。
夕陽に染まった稲穂が美しい。
男はタバコに火をつけると大きく息を吐いた。
見渡す限りの田圃を夕焼けに染まった山が遠く囲っている。あと一時間もすれば
陽は完全に落ちてしまうだろうが、宿泊ができそうな建物も、食事がとれそうな
レストランもこのあたりで見つけるのは難しいかもしれない。男は吸いかけのタ
バコを消すとアクセルをふかした。
できれば熱いシャワーを浴び、ビールの一本でも飲みたいところだ。
子供のような無垢な表情で、いつの間にか女は眠ってしまっている。
しばらく道なりに行くうちにカープがやたらと多くなってくる。右に左にハンドルを
回すたびに眠った女の首が不安定に動き回る。どうやら傾斜もきつくなってきたようだ。
「チッ、飯も食わずに山越えかよ」
そういえば。ハンドルをきりつつ、男はふと思った。
俺の傷口はもう塞がったのだろうか?
痛みはない。むせるほどの血の匂いは相変わらずだ。
男は右手でハンドルを取りつつ左手をジーンズに突っ込んで股間をまさぐった。
左手は予想外に空虚な股間に戸惑っている。引き抜いて指先を見るとわずかに
血が付いていた。とうとう陽は落ちた。
コンビニでもあればいいけどな。
男は隣で眠っている女の顔を見て、つぶやいた。
ひどく喉が乾く……。
「あっ!!!」
カーブの向うに見えたライトに思わず声をあげた男は、次の瞬間に空を舞った。
ひどくゆっくりと景色がまわって……。最後に男は女の名前をつぶやこうとして、思い出せなかった。
俺は震える指でエンジンを切った。フロントガラスには血しぶきがかかり、前方には2つの固まりが横たわっている。
「どうすればいい? どうすればいいんだよ!!」
後部座席に座っている妻と子供は抱き合って震えていた。
「俺がしっかりしなくちゃいけねぇ」
奥歯が折れるくらいに噛みしめて、2つの黒い塊をにらみつける。
妻に頷いてみせてから、ゆっくりと車を降りる。
血で汚れた塊は、既に人間の機能を失っていることが見てとれた。
手前の男性らしい塊を覗きこんだ瞬間、男の力ない瞳と視線がぶつかったような気がした。
「うぅ……」俺は思わずうめいた。
その瞬間、頭の中で直接声が響いた。
「オレ、あんたについていってもいいかなぁ。そこの女と一緒にさ」
声は続いた。
「忘れたわけじゃないだろ?あの約束のことを」
聞き覚えのある声のような気がする。しかし記憶を辿っても答はなかった。
どこで聞いた、いや、どこで会ったのだろう。あれは・・・
「うおっっ!」 小さく叫んで首を振る。正気をここで保たなければならない。
警察に知らせるにしても、このまま誤魔化すにも相手を知っておかないと・・・。
とりあえず、男の持ち物を調べた。
驚いたことにこいつらは、身元を表わすものを全く持っていなかった。
仕事も順調で社会的な成功を収めつつある。冷徹に計算をした。
それほど優秀でもない俺だが、勘と行動力は密かな自信がある。
数キロ先に廃屋となったレストランがあったはずだ。
彼らの乗ってきたとおぼしき車のトランクに彼らを押し込む。
ピンク色のネコが2本足で歩いていったが幻視に違いない。作業を急いだ。
「うん、身体を隠すのはいい考えだよね」
また頭の中で声がした。
「あのさ、オレ正直ほっとしてんの。身体いらない。あんたについて行ければいいや」
レストランに着いた。2台に分乗して。
このあたりは、山の上のくせに井戸がある。
そこにブッコンデとりあえずおさらばだ。
さっさと行こう。迷いは、禁物だ。
こんな田舎にさがしにくるやつもいないだろう。
死体を涸れ井戸に放り込んで、土をかけた。
38 :
hz:01/12/23 01:52 ID:???
ついでにやつらの車のトランクにも土をかけて血の痕跡を薄める。
俺の車はスェーデン製の丈夫なやつだ。板金しなくても目立たない。
「よしっ。」
愁いと惨めさをない混ぜにしたような男の目がちらつく。
妻と子供には忘れるんだと言い聞かせたが、果して大丈夫だろうか。
あの声と、猫はなんだったんだろう。妻と娘と身を寄せ合って眠った。
夢を見た。いや、夢だったのだろうか……。
まだ幼かった頃、母親の実家に遊びに行った夏休み。
夕立を避けるために入った廃屋で、忘れようとしても忘れられない光景を目にした。
雨だ。雨が降っている。そうだ、もっと降るんだ。全ての血を洗い流せ……!
「消えないよ。記憶は消えない。オレはずっとあんたについていく、決めたんだ」
次の瞬間、思わず大声を上げて、俺は夢から覚めた。
傍らの妻を見ると、声をひそめて肩を震わせて泣いていた。
「……ごめん、びっくりしたか?」
俺自信の声も弱々しく暗闇に響いた。
うなされちまってたか・・・
俺がとり憑かれるのはいいか、妻と娘には安らぎを与えたい。
「あわないこやっちまったかな。」
だが、ひとつの方針を決めた以上あとには引かない。
この1年禁煙していたが、あれを開けるか。でかい冷蔵庫をガサガサやった。
煙草の銘柄は『出羽桜』。手作りの限定もんだ。くっ、湿気ってやがる...当たり前か。