秋草の部屋でかたわらに控えていたのは村島俊宏。6月まで富士通の子会社ニフティ(インターネット接続業者)の取締役だった。
村島・穂積法律事務所の共同パートナーの肩書も持つ社内弁護士で、1980年に富士通に入社、弁護士資格を取得してニフティや富士通ゼネラルなどの役員になっていた。
村島は和田一也社長とともにニフティを牛耳り権勢をふるったが、「ワダジョンイル」と陰口を叩かれた和田のセクハラ、パワハラは目に余り、社員の不興を買っていた。
ニフティの複数の幹部は今春以降、野副に和田、村島両人を切れと直訴。
当時、ニフティは和田のもとで富士通の承認を得てフリービットやソネットなどとの再編を検討していたが、野副はそれを一時中断して、和田と村島の更迭を6月に断行した。
切られた和田と村島は、2人の後ろ盾だった秋草のもとに駆け込み、恨み節を語った。2人とゴルフ仲間でもある秋草は、村島に野副のスキャンダルを探れと指示。
村島は三つの調査会社を使って身辺や銀行口座などをスパイしたという。