「篤姫」ネタバレスレッド その4

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6360からのつづきです
・最初は悩んだ鹿児島ロケ
外で仕事をするとき、一番気になるのは天気。
1日雨が降って撮影できないだけで、宿泊費や食事代などかなりの出費が。
飛行機代を考えると、あまり遠くへは行きたくない。
人はいいとしても、機材を現地まで持っていって、持って帰るのが大変。
しかも今回は舞台が遠い鹿児島。

佐藤D ロケーションの場所を決めなきゃいけないんだけど、最初、鹿児島に行きたくなかったんです。
もう鹿児島の風景は、茨城(ワープステーションのことか)とかで済まそうかと(皆笑)。
いやホントに。お金かかりますから。

たとえば外国人が鹿児島と茨城の風景を見て、はたしてどこまで違いがわかるか。
撮るなら、映像で違いがはっきりわかるようなその土地ならではのものを撮らないと。

・鹿児島の映像的な特徴は「石」
佐藤D だから最初、鹿児島では撮るつもりはありませんと言ったら、
そんなこと言わないで是非鹿児島に来てくださいとお願いされて、いろいろ案内されました。
やっぱり行ってみるもんですね。そしたら発見がありました。
鹿児島は石の文化。とにかく石、石、石です。

石橋。インフラ整備のために、調所広郷が長崎から石工を呼んで建設された。
知覧の武家屋敷。道は低くて、家は囲んでいる石垣の上に作られている。
国が補助金を出していて、きれいに整備されていた。
他にも石塀、石段、港も石。やはりそれぞれの土地にそれぞれの文化というものがある。
こうした発見もあり、鹿児島で大ロケーションを決行。撮影しませんっていったことを反省(皆笑)。

佐藤D うちでロケをしてくださいという要望は全国各地からたくさんあるんですが、
鹿児島での経験の後、私はこう答えることに決めました。
みなさんが住むその場所の文化の特徴をみなさん自身でつかまえてください。それを提示してくださいと。

・幾島の「きええええーっ」はどうやって生まれたのか
佐藤D 最初、「あたしこういう家庭教師の役やったことないんですよ」って松坂慶子さんが言うんですよ。
でも、あなたやったことのない役やるの好きでしょと言ったら、「はい」って引き受けてくれて。
ですから、(幾島を演じるために)あの方は非常に努力してくださいました。
まず、なぎなたの稽古。(自分としては)また今日も行くの? 1回先生に見てもらうのに2万円かかるんですよ。
あと鼓の稽古に、琴の稽古。それはシナリオに書いてあるからしょうがない。
松坂さんにやめてくださいとは言えないんですよ(皆笑)。本人も時間を割いて練習したいってことですし。
(稽古にかかる費用を相当気にしてた佐藤Dw)
でも、稽古をやる前とやった後では幾島の役を演じていて違いました。
最初に鹿児島でロケしていたとき、私はそれ違いますよ、もっと大きい声で、腹の底から出して
くださいよと。松坂さんは「あたしそこまで出ないんですよ(口調を真似て)」って。
でも東京に帰ってきて稽古を積んで、それで出たのが「きえぇぇっ!」ですから(皆笑)。
俳優さんが本気になってその役に取り組むとこうも違うのかって思いましたね。

・俳優の技「涙」の芝居に注目
みなさんも騙されないでよく見れば、本当に泣いているのか、うそ泣きなのか、わかるときがあるはず。

佐藤D 宮崎あおいさんはこの番組で一生以上は涙を流したじゃないかと。
撮影ではテストをやるんですよ。さらにもう1回テスト(ランスルー)をやって、
次に本番なんですが、やるたびに泣くんですよ。涙腺がどうなってるのかと。
その涙を見てるとついついOKという気持ちにさせられちゃう(皆笑)。

つづく
6463からのつづきです:2008/10/30(木) 09:34:16 ID:Ar9jP8s5
・描く人物をしぼるしかなかった男性陣。
篤姫での男性陣は、はっきり言うと時代の説明役。
幕末は各地でいろんなことが起こり、それが記録として残っている。でも全て描くのは無理。
幸いに、原作は天璋院篤姫が軸。
ただ登場させないと、大奥にいる篤姫がなぜこんなに追い詰められているのかわからない。
外の状況を描く必要がある。
これから後、官軍が江戸に向かって進軍してくる。
そのときの天璋院の気持ちを表現するためには、官軍総大将の西郷も描かなければならない。
そのとき、小松帯刀はどうしていたのかも描かなければならない。
松平容保や会津藩の人は何やってんだと思うかもしれないが、とても全部は描けない。
今回は原作に書いてないので割り切って、篤姫と帯刀の周辺にしぼっている。
幕末の大河ドラマというと、翔ぶがごとくがあったが、今回は大奥がメイン。
なので男性はご不満があるかも。

・相手に身を委ねてお芝居をする役者
佐藤D 瑛太くんは一生懸命な人でした。瑛太くんの芝居の特長は、
山川の末に流るる橡殻も 身を捨ててこそ浮かむ瀬もあれ
彼の場合は、あおいちゃんの前に出ると、自分がやりたいことがなくなる。自然に素直な気持ちになる。
北大路欣也さんは北大路欣也さん、宮崎あおいさんは宮崎あおいさんとして役をやるんだけど、
瑛太くんは自分の身を委ねて、相手に合わせきっちゃう。
俳優同士が近くで向かい合って見つめあってるときは、
相手の眉の動き一つに反応した芝居をして、感情のやりとりをする。
だから、瑛太くんは宮崎あおいさんとの芝居を非常に大切にしていました。

・おつかれ会の席での2人
佐藤D 撮影が終わって、先日はおつかれ会がありました。宮崎さんはお酒が飲めません。
瑛太くんは本当は強いんだけど、なぜか自制してました。 
みんな集まった中で、抱き合って2人はワーッと泣いてましたね。
それが役者という垣根を越えたものかどうかはわかりません。ただ、役割はそれぞれ違うけど、
篤姫という同じ仕事をしてきたもの同士が流す涙なんだと私は思いました。
それはすごかったですよ。ガバッでしたよ(皆笑)。いやあ邪念がないというか、なりふり構わず。
そして隣に家定役の堺雅人さんがいたんですが、ぼう然としてました(皆笑)。
私の出番はないのかというような感じで。
(瑛太さんと宮崎さんの関係が特別だというのは、
ドラマストーリー完結編の対談を読んでもよくわかりますね)

つづく