「篤姫」ネタバレスレッド その4

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6056からのつづきです
・一から勉強して作った大奥のセット
撮影までに準備すること。たとえば大奥のセットをどう作るか。天璋院の部屋はどういう部屋にするのか。
まず、図面を作ってもらうデザイナーや、アートスタッフたちと相談。
実際に復元したものや過去の大河ドラマからの蓄積があれば比較的スムーズに運ぶ。
今回はそういったものがないので、いろいろと苦労した。
江戸城は火事が多かったので、大工の棟梁が再建するときに必要とした図面を残していた。
礎石、縁の下、床、柱、畳、天井などがどういう構造になっていたかわかった。
図面を見て一から勉強。大変で残ってなきゃよかったと思うことも(皆笑)。
松の廊下。どういう絵が描かれていたのか。これも絵師の下絵が残っていた。
天璋院の部屋。今回は上段の間、下段の間、切形の間、化粧の間まで作った。
その部屋を飾る大和絵もやはり下絵があった。

部屋のセットを決めるためには、さらにその部屋で何が行われていたのか、
どういう風に人が動いていたのかも勉強する必要がある。
大奥にどれくらいの女性がいたのか史料をあたることから。
将軍家定付の大奥の女性は180人(聞き違えたかもしれません)。
篤姫付の女性が61人、天璋院になってからは91人。
本寿院付の女性が41人、和宮付の女性が67人、家茂付の女性が131人。
江戸城には本丸、西の丸、二の丸、三の丸とあるがそれぞれに大奥がある(ドラマでは本丸しか描いていないが)。
本丸の大奥には1200人前後の女性がいたことに。

部屋はどっちから入ってどっちから出て行くことにするのかシミュレーションして、セットを作る。
こういった準備の積み重ねで1年たっていく。

・撮影現場での役割
カメラマンや照明といった技術スタッフたちと打ち合わせをして撮影に。
決められたセリフを覚えてきた俳優たちとリハーサルで会う。
俳優の持ってきた演技プランが全体の流れに合うのかを確認。
セリフや動作について細かく指示する。もう少し大きく言ってくださいとか、やりすぎですとか。
なかなか演技が届かないというか、下手な方には怒鳴る。もちろん憎くくて言うわけではない。
(モニターや見学窓からは、そういった場面をはっきり見たことはなかったですが)
1年やり続けると途中で緊張がゆるんでくることもあるので、現場の士気を考えて注意する。

・篤姫の生き方は現代の女性へのエール
今回の作品で視聴者に届けたいのは、女性の生き方について。
戦後、社会的進出を果たした女性。
仕事、収入、地位や名誉を獲得して人生を謳歌をしている人は多い。
でも、そのうえでどれだけの女性が自分の人生に満足しているか。
なぜか自分の回りにいる女性が幸せに見えないと思うことがある。
もし自分の生き方に疑問を感じている方がいたら、その人たちを励ますことはできないか。
だから、徳川に嫁いでもただ時に流されるのでなく、
はっきり自分の意思を持って生き抜いていく篤姫を見せたかった。
あなたたちの生き方も間違っていないんだというメッセージを伝えたかった。

・篤姫が見つけた人の幸せとは
「人の幸せとは、地位や名誉、財産ではなく、何気ない語らいの中にある」
最終回で天璋院は勝海舟にこのようなことを言う(実際のセリフはもう少し長いです)。
篤姫が見つけたように、誰の人生にも必ずそばにそういった幸せがあるはず。

佐藤D 「北大路さん、このセリフ聞いたとき泣いてください」とお願いしました。
「わかりました」と北大路さん。でも1回目のテストは難しい顔してるんです。
で、「北大路さん、もっと泣いてくださいよ」ってお願いしながら、
私泣いちゃったんですよ。北大路さんの前で。北大路さんが泣かなくちゃいけない場面なのに(皆笑)。
でもこのセリフは、原作の宮尾先生や脚本家の田渕先生とそして演出家である自分の思い、
その全てが重ね合わさったものだから。
ああこの人まじめに言ってるんだなと北大路さん思ってくれたのか、本番泣いてくれましたよ(笑)」

つづく