大河ドラマ「風林火山」パート137

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234日曜8時の名無しさん
【大英断 ケバイ武将】 稲増龍夫(法政大学教授・メディア文化論) 評

今年の音楽CDの売上で百万枚を越えたミリオンヒットは「千の風にのって」だけで、
10年程前には年間で20曲はあった事と比べ隔世の感がある。同じように最近はテレビ界でも
視聴率が30%を超える事は珍しくなっており連続ドラマでは、年頭の『華麗なる一族』の最終回で
30%を越えただけで放送中に20%を越えたドラマさえ年間で8本しかない。
その数少ない中には、大河ドラマ風林火山も含まれているが、このドラマはキャステイング的にはやや地味ながら、
歴史のサイドストーリー的な展開と役者陣の頑張りで面白く見させてもらった。
主役の山本勘助を演じた内野聖陽は、どちらかと言えば線の細いイケメン系の印象だったのが、
ワイルドで無骨な役柄を熱演し、脇も千葉、緒形らの渋い演技が光った。
上杉謙信役のGactも収穫。あんなケバイ容姿の武将はいないという歴史マニアからの批判は当然だし、
彼の顔のアップのシーンなどはアニメかCGとしか思えない独特の存在感をかもし出していた。
しかし大事なことはビジュアル面の違和感を超えて彼の演技は秀脱だった。正統派の演技でない事は当然だし
好き嫌いはあるだろうが、セリフの言い回しや間などは、まさに「時代劇」ゆえに通用する
ワンアンドオンリー(唯一無二)の世界だった。ただでさえ視聴率が低下しているド゙ラマ界ゆえに無難なキャスティングを
しがちで、失敗すれば単なる話題作りと批判されてしまうリスク冒してまで彼を起用した関係者の英断を賞賛したい。
最近では「役者の順列組み合わせ」と揶揄されるように、ドラマのキャステイングにマンネリ感が漂っている。
NHKらしからぬ冒険心は今後のドラマの活性化のヒントかもしれない。