こんな風林火山はイヤだ!6

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510日曜8時の名無しさん
「しかし分からぬ。一体小林幸子とは何者なのか」
直江が言った。
「小林幸子なら、先ほどまで我等といくさしていたではないか」
宇佐美が答えた。
「何?ではその者が――」
「その名を口にしてはならぬぞ、直江」
政虎が直江を制した。
「なぜにござりまするか」
「それがその者の呪、だからじゃ」
「また呪とは、お屋形さま」
「衣装対決を衣装対決と申すは、そう呼んで拘る者がおるからであろう」
「その衣装対決に拘らなくてはその者はその者でなくなるのでござりますか」
「そういうことじゃ」
「そう考えると、なにやら空しいものにござりまするな」
「まあ、そうじゃろう。それと同じに乱世の愛も、夢も呪、儚いものにござりまするな」
「だがのう、宇佐美。わしは愛や夢が呪であろうと、それを愛おしいと思うし、
 我が死んだ後もその愛おしいものを守ってゆくのが守護の覚悟と思うのじゃ」
「それは良き御心がけにござりまするな、お屋形さま――」

天国から見守る、そういうことになった。