●まず配役!
僕は群集劇が好きで、大勢出てくる話が好きなんですけども、
ここまで大勢出てくる話は初めてだったですね。
調べてもらったら、のべ人数1,000人ぐらい出てるらしい。大変でした。
脚本家があんまりキャスティングに意見する・口を出すっていうのは、
ほんとは実は違うような気がするんですけども。
それはやっぱりプロデューサーの仕事だから。
でも僕は、俳優さんが決まらないと書けないっていうのがあるので、
自分のイメージキャストみたいなものは、
新しい役ができたときには必ずお伝えするようにはしてて。
でも決めるのはプロデューサーさんなんですけどもね。
●近藤勇=香取慎吾
「最初とにかく新選組をやるときに、とにかく若い人達でやりたかった。
ていうのは、本当に若かったからなんですけども。
だいたい今までのドラマって新選組っていうと、
本当に『おじさん』『大御所』みたいな人達がやってたけど、
でもそれは、"ある一面"だけであって、
本当の新選組を描くのは、やっぱり同世代の人達がやるべきだ、
っていうふうに僕は思ったんで、まず、
20代の人達で固めたいなっていうのは、あったんですよ。
で、やっぱり近藤勇はその中心にいる人物だから、
どっかカリスマ性があって、みんなが彼についていきたいと思うような、
そういうオーラを放った人っていうことで、香取さんが。
口がデカかった・拳骨が入るっていうのも決め手になりましたね。(笑)」
●沖田総司=藤原竜也。
「沖田って、写真とか何も残ってないんですよね。
ヒラメ顔だっていう記録があるんですが、
『ヒラメ顔』ってなんだかよくわかんないじゃないですか。
ペッタンコなのか、どっちかに寄ってるのか、よくわからないんです。
だから逆に(ビジュアル的には)イメージが無いわけですよね。
だから、むしろビジュアルっていうよりも、天才的なイメージとか…
とにかく、彼(藤原竜也)はねえ、
僕は舞台を見ただけだったんですけれどもやっぱり、ある種… 天才ですよ。
若くて。すごい才能を秘めていて。
それがすごくこう…沖田にダブったっていうかね、
重なったっていうのがありましたね。」
●土方歳三=山本耕史
「彼は、僕は『オケピ!』というお芝居でご一緒させて頂いたんですけども、
それまではすごく好青年のイメージだったんですよね、テレビに出るときも。
僕もそのイメージしかなかったから、僕も『オケピ!』の役では、
ちょっとオドオドした弱気な青年っていうイメージでキャスティングしたんです。
でも、実際お会いして稽古とかしてみると、
すごくこいつはねえ、悪いヤツだったんですよ。(笑)
なんかねえ、いっつも何か誰かに対して怒りを持ってるみたいな、
すごいマグマを感じるヤツで。山本耕史は。
それは褒め言葉ですけどね。
だから逆に、『彼はすごく損をしている』と思ったんですよ。
『この彼の良さがまだ全然世間には伝わってない』と思ったときに、
ちょうどこの新選組!の話があって。じゃあ土方歳三は、彼がピッタリだと。
たぶん最初は、世間の人は彼のイメージが全然違うから、
きっと反発があるだろうけれども、
たぶん一年間彼が…『新選組!』で土方を演じ切ったときには、もう土方と言えば
彼の名前しか顔しか浮かばないようになってるはずだと僕は確信を持って、
お願いしたんですけどね。顔もねえ、ちょっと似てんですよ。」
●近藤土方沖田以外の隊士も個性豊かに書かれている件について
「例えば今までの新選組だと、山南敬助さんも、まあ旗揚げメンバーではあるけども、
なぜ彼が有名かっていうと、途中で脱走して切腹しちゃったから有名みたいな感じで。
それは…勿体無い気がしたんですよね。もっと彼は新選組の中ですごく重要な位置を
占めていたはずだし、だから、もっと活躍してほしかったっていうのもあるし、
あと中村勘太郎さんの藤堂平助も、今までのドラマだとたいていおじさんなんですよ。
なんでかっていうと、『沖田だけが世代が下』っていうふうなイメージで
皆さんキャスティングしてるから、その割を食っちゃって、
藤堂平助ってすごいおっさんがやってる場合が多かったんですよ。
でも実際は最年少ですから。で、今回勘太郎さんにお願いして。
で、最年少だとすると、どうしてもやっぱり沖田との対比が出てくる。
そういうふうな描き方も今回初めてだったような、気がするんですよね。
(武田観柳斎については、)これは語ることもないですね。(アサーリ)
大男だったっていう文献があるみたいですけど、
でもどうしても八嶋くんにやってほしかったんで、
まあ、自分を大きく見せたいから、そういうヤツだから、
わざと文献に『俺は背が高かったんだって書け!』って言って書かせた、
っていうふうな考え方もできるんじゃないかと、
無理矢理こじつけてお願いしたんですけど。
それから…例えば『阿比留鋭三郎』とか。
こんな人、今まで映像化されたことないはずです。(笑)
この人はだいたい新選組の文献を見ると、
旗揚げメンバーの、大勢の中のひとりっていう、
名前しか出てこない人だったんだけど、
でも調べてみると結構面白かったりするんで。
すごく体が弱かったりとかするもんですから、是非今回初めて描きたいと。
だからたぶん、映像で阿比留を演じたのは矢部太郎さんただ1人だと思うんで、
これから阿比留と言えば、
皆さん矢部太郎さんの顔が浮かぶはずなんですよね。」(会場笑う)
●いよいよ終盤へ(今後の見どころ)
「どんどん歴史が動いていますから、もうすぐ薩長同盟が締結されて、
あの薩摩とあの長州が手を結ぶ。で、一大勢力となって幕府と戦うわけで、
そこに巻き込まれていく新選組の… 否応なく歴史の渦に、こう、
のめりこんでいってしまう彼らのドラマチックな感じを描いていこうっていう…
あのー、これから歴史上の人物どんどん出てきますけども、
注目はこの人ですね。徳川慶喜。今井さん。
このへんのキャスティングもねえ、すごい僕は嬉しいんですけども。
たぶん!一般の視聴者の方々には馴染みのない俳優さんが
(歴史上の人物の役で)どんどん出てくると思うんですよ。
今井さんも、新劇の若い俳優さんです。すごい力のある方で。
そういうあんまり普段テレビに出てらっしゃらない方たちで、
でもすごく上手な方・達者な方っていっぱいいるわけで、
そういう人たちをこの機会にすごく皆さんに紹介したいなっていう思いもあって。」
●見てる人にとって忘れられないイイ言葉がたくさんある件について
「僕も見直すと、自分が書いたような台詞の感じがしないん…ですよね。
絶対僕が書いてるんですけど。なんかね、やっぱ書いてるときって
その人その人にどっかなりきっちゃう部分があるんで、
自分の…言葉じゃないんですよね。」
●この人にはこんな役(三谷さんならではの人間観察力について)
「見た目だけで判断はできないので、だから、
キャスティングするときも、できるだけ僕は『舞台』が見たい。
舞台か、あとはね……バラエティー番組なんですよね。
テレビドラマとか、あとCMを見て『いいな』と思っても、
あれはやっぱり演出が入ってるから、
本当の、彼らの姿はわからないん…ですよね。
で、キャスティングして失敗したなと思うときも時々あるわけで。
やっぱり舞台とか、ほんとにこう生の姿を見ることによって、
ビジュアルと、『ああこの人にはこんな面があるんだ』『こんなことやらせたいな』
みたいなことを僕のほうがこう、すくい取るみたいな思いがありますよね。」
(以上、新選組!関連話から何箇所かだけテキトウに編集しつつ抜き書き)