>>359-360 どうも
東京新聞8/27付 からむニスト
NHK「新選組!」の「友の死」で、遊女とともに隊を脱走した山南敬助(堺雅人)は、
追ってきた沖田総司を見て、自らの運命を悟り、期待して静かに切腹する。新選組の
夏の終わりを告げるような、蕭蕭たる一編。出色である。
局長に次ぐ総長の要職。実績も人望もありながら、実権は土方歳三が握って、山南は
次第に本流から外れていく。しかし、積極的に争うことはなく、諦念が先にたつ知識人。
現代のサラリーマン社会にも通じる悲劇を、堺は伏し目がちに好演する。これほど見事に
山南敬助を描いた作品は、過去にもない。
ただし残念なのは、沖田役の藤原竜也が意外に精彩のないこと。明るさと愁いの微妙に
重なりあうのが、この天才剣士の魅力なのに、それがうまく出ていないのは、童顔すぎるせいか。
旅宿で、このまま逃亡をすすめる沖田と拒む山南。クライマックスの一夜に、嫋嫋たる余韻を
欠いたことを惜しむ。
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