プロジェクトX(ネタスレッド)

このエントリーをはてなブックマークに追加
209名無し(敬称略)
第十七回 翼はよみがえった(後編)
〜YS11・運命の初飛行〜

<オープニング>
日本の翼、YS11。ただ一つの国産旅客機である。
その開発は、想像を絶する苦難の連続だった。
終戦直後、GHQの指令により、日本の飛行機は跡形もなく破壊された。
十年後、航空技術の復活をかけて、五人のサムライが立ち上がった。
かつて、ゼロ戦などを作った、設計者たちだった。
彼らは、少年の頃に抱いた大空への夢を、諦めてはいなかった。
サムライたちの元に、四十人の若者が集まった。
飛行機の設計はみな、初めてだった。
五人のサムライは、若者たちにもてる技術のすべてをたたき込んだ
国家予算獲得を賭けた、史上最大の模型作戦。
全長26メートルの巨大な模型を作り、人々の大空への夢をかき立てた。

(土井武夫さん)
「こりゃあやれるな、と。
それまではやれるかやれないかわからんです。
作ってみたってねえ。うん、やれるかわからんですけど。
いやこれはきっとやれるな、ってそういう風に思いましたねえ」

ついに動き出した、YS11プロジェクト。
しかし、日本の翼が羽ばたくまでには、まだ、いくつもの試練が待ち受けていた。

<エンディング>
サムライと、東條に鍛えられた若手たちは、人生を大空に捧げた。
二木康夫は、YS11・182機全ての開発に関わった。
(二木さん)
「だけど結局もう僕らの、ノウハウ、ちゅうか体に染み込んだものはもう伝わらんですね。とてもねえ。
染みついとるね、どっかにね。感覚としてね。土井さんがワーッと前いったように
そんな同じようにまた言えるわけですよそりゃ。『そうじゃない、こうすんだよ』と。
そういうのが・・・・伝わらないですね。そりゃ非常に残念ですね。」

かつての若手たちも、すでに、第一線を退いた。
大空の夢は、21世紀を担う子どもたちに託されている。
外国機が飛び交う、成田空港。そのかたわらにある博物館には、
YS11の1号機が、ひっそりと羽根を休めている。
かつて、失われた日本人の誇りを取り戻した、飛行機があった。
新たな翼はいつ、飛び立つのだろうか。