「取材経緯の説明できる映像欲しい」
あの映像が付け加えられていたら、視聴者の反響はどう変わっていただろうか――。
詩などを発表し続ける脳障害の少年・日木流奈君を追い、「感動した」という声の一方で、
「信じられない」との疑問も数多く寄せられた先月二十八日のNHKスペシャル「奇跡の詩人」。
NHKは今月十一日の「土曜スタジオパーク」で、担当者が取材経緯を説明する異例の対応を取った。
その中では、話すことのできない流奈君が母親の助けを借り、手で素早く文字盤を指す映像をスローで再生。
「正確に指しているのか」との疑問に対し、流奈君の指が母親の読み上げる言葉通りの文字を指していると説明した。
「母親が流奈君の手を動かしているのでは」という疑問に対しては、六歳当時の流奈君が、
ゆっくりとながら手首を支えられるだけで自ら文字を指す映像などを紹介した。
担当者自身、「ちょっと分かりにくいかもしれません」と話したように、これらの映像が加わっていても疑問の声は多かったかもしれない。
だが、視聴者が得られる情報は放送された番組しかない。
より多くの情報を提示し、多面的に判断してもらう意味で、番組が説明不足だった点は否めない。
同じ事は当然、番組を紹介した新聞記事についても言える。強く自戒したい。(多)
ちなみに(多)氏は「試写室『奇跡の詩人』」を書いた人