重度の知的障害と視覚障害を持つ子供の親です。
早すぎる手の動き、動く文字盤、子供らしくない語彙遣い・・皆様の疑問はその通りで、恐らくは、
ご両親の願望がなせる技だと思います。
ドーマン法そのものが、一種、宗教的なところがありますし、養護学校にも行っていないという
ことでしたし、ひょっとして、今は医者にもかかってないのでしょうか。
脳外科医である主人も同意見ではありますが、現実に、医者の診断を受け付けない親、宗教的
な奇跡に頼る親は少なく無いのです。
呼吸マスク(ビニール袋のようなもの)を定期的に付ける療法などは、医者として薦める事は余り
考えられないと言ってましたし、私の子の周囲の同等クラスの障害児でも、そういう訓練をしてい
る子は見たことがありません。時々、眼鏡を掛けていましたが、視力的にも、本当にしっかり見え
ているのかどうか・・という疑問すら禁じ得ません。
それでも、主人は、「本人達があれで幸せならいいんじゃないの?誰にも止められないことだし」
と言います。私も、家庭内だけで満足している事ならば別に文句は言いませんが、本を出版した
り、NHKという天下の国営放送で紹介したことには、大いに疑問を感じます。
障害児にも一人一人違いがあって、同じ様な障害に見えても、身体が弱い子、意外と強い子、無
理矢理の訓練に耐えられる子、ストレスを感じやすく耐えられない子、さまざまです。あのような
番組を流したことによって、お節介な人は、身近な障害児の親に「あなたは、あの訓練をやってあ
げないの?」とか「子供の可能性を信じてあげてないの?」などと(半ば批判的に)言うかもしれま
せん。正直言って、父親が仕事を辞めてまで協力してくれるようなことは殆どの障害児の家庭で
は望めませんし、あそこまで、子供の事だけに一生懸命になれ、と言われるのは、ただでさえ、自
由を制約されている障害児家庭の親にとっては辛い(「からい」ではなく「つらい」ですよ)ことです。
それに、私のように、様々な重度の障害児を見てきている親は冷めた目で見られますが、障害児
を産んだばかりの親は、藁をも掴む思いで、あの両親の言う事に耳を傾け、同じように時間とお金
の掛かる訓練に没頭するかもしれません。ドーマン法を全否定する気はありませんが、医学的な
見地や限界などは、全く紹介されず、明らかに、あの番組構成はアンフェアだと思います。
大学レベルの学力を誇示するのも、確かに、やりすぎですね。「親バカ」と笑って済ませられる問
題ではありません。ただ、あそこまでいくと、誰の目にも嘘っぽいのが明らかで、却って罪が軽い
かもしれません。普通の11歳の子供らしい言葉で表現していたら、もっとたくさん、信じる人が出
てくるでしょう。
私自身は、この掲示板を見てちょっと安心しました。あの番組を見た人(実際に障害児を知らない
人)が、あれを信じるとしたら脅威だ!・・と思ってましたから・・・。