【経済】物流パンク、間に合わずドライバーは10万円自腹で配送、ヤマトは100時間サービス残業 [転載禁止]©2ch.net

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4海江田三郎 ★
 ヤマトと佐川を追う日本郵便は、不在票のリスクを限りなくゼロにした「ゆうパケット」を昨年6月にサービス開始した。
厚さ3cm以下の荷物なら受け取りの認め印不要で、ポストに投函するが、これまでの「ゆうメール」
とは異なり追跡サービスもある。
この「ゆうパケット」の利便性に注目したアマゾンとともに、「ゆうパケット」が入る受け口の広いポストも開発したほどだ。
 この動きに対し、ヤマトがメール便に代わって4月から打ち出す新サービスは厚さ2.5cm以内の荷物をポストに投函する宅配だ。
新サービスの競争が注目される。

また、サービス競争に影響を与え続けるアマゾンの動向も気になる。将来的にスーパーが牙城としてきた生鮮食品の販売にも乗り出す。
「すでに米国では、生鮮食品を扱う『アマゾンフレッシュ』を西海岸の大都市から順次拡大している。
さらに昨年12月にはニューヨークで、7.99ドル(約950円)を支払えば注文から1時間以内に商品を届ける
『プライムナウ』という会員サービスも開始した」(同特集より)
「速さ」が決め手になる生鮮食品などを宅配する準備を着々と進めているのだ。
悲鳴を上げるトラックドライバー

「SAPIO」(小学館/1月号〜3月号)は、こうした苛烈な企業間競争に労働者側から迫っている。
それが同誌渾身のルポ、『短期集中連載 仁義なき宅配』だ。ジャーナリスト横田増生氏が価格競争の続く「宅配ビッグバン」の現実に迫ったもので、
第1回(1月号)の『宅配ドライバーの1日は宅配ボックスの争奪戦で始まる』では、ヤマトの下請け業者の助手席から現場をルポ。
「ヤマト運輸にとって『最大手の荷主』となったアマゾンの荷物は全体の3〜4割程度」(同記事より)といい、
再配達を減らすために、朝8時半までにマンションの宅配ボックスをどれだけ確保できるかを佐川、日本郵便と競い合う状況だという。

 第2回(2月号)の『シェア業界2位の佐川急便はなぜ配達遅延“パンク”を起こしたか』では、
佐川の下請け業者の幹線輸送車(夜中に長距離を走る大型車)に同乗してルポ。
「翌日配達を基本とする宅配便にとって、夜間の幹線輸送は切っても切り離せないほど重要である。
しかし、黒子的な存在であるためと、その9割以上を下請け業者が請け負っているという理由から、
これまでその実態が活字になることはほとんどなかった」(同記事より)
 間違った方面の荷物を一個でも積み込むとドライバーの責任で、正しい拠点まで再度ハンドルを握って運ばなければならないという。「急ぎの荷物だったので、
自分で届けることもできず、赤帽を頼んで届けてもらいました。
10万円近い代金は自腹で払いました」と語るドライバーの声もある。こうした過酷な現実に下請け業者は悲鳴を上げ、配達遅延パンクを起こしたのだ。
 第3回(最終回・3月号)の『ヤマトドライバー「サービス残業」の憂うつ』では、
多い時は月に90時間から100時間ぐらいサービス残業をする現実に、抑うつ状態になったドライバーを紹介している。
「即日配送」や「時間指定」といったサービスの高度化の一方で、労働者の負担軽減は後回しという現状は見直しを迫られそうだ。
利用者の側も「『午前指定』のはずなのに『午前にこない』」などという怒りのツイートを見かけることがあるが、こうした現実を知れば
過剰なサービスが労働環境のブラック化に直結していることに気が付き、その日に届くだけでもありがたい、となるはずだ。
(文=松井克明/CFP)