「北方領土の日」CM 予想以上にブーイングが多かった理由
http://news.livedoor.com/article/detail/9762169/ 「そこは日本なのに。今、日本人が住むことができない場所。ほら、こんなに近いのに……。北方領土は日本固有の領土です」
そんなナレーションとともに、真っ白いキャンバスに見立てた画面には、北海道本島から見てわずか16km程度しか離れていない国後島の稜線と、それを眺める少女がパステル鉛筆でササッと描かれる――。
今年は例年にも増して、2月7日の「北方領土の日」を知らせる政府広報を多く目にしたのではないだろうか。
2009年の鳩山政権時におこなった「事業仕分け(行政刷新会議)」により、大幅な予算カットを余儀なくされた政府広報番組が軒並み姿を消したため、
このように同種の政府広報が繰り返しテレビで流されるというのは久々のような気もする。
今年が戦後70年の節目に当たるだけでなく、現在、安倍政権が推し進めている対ロシア外交の先を見据えて、
このタイミングで北方領土問題を広く国民の間に啓発することが目的であることは容易に想像できるのだが……。
残念ながら、このCMに対する評判がすこぶる悪いのだ。
「国民の愛国心煽る目的しか考えられない。キナ臭くなってきたよ…」
「北方領土は日本の領土です! とかいうCM怖いよ」
「北方領土は日本のものです。ってCM初めてみた。少しぞっとした。静かに何かが始まってる感じ」
「最近『日本の領土なのに日本人が住めない土地があります』ってCMが流れてる。一瞬『福島?』って思ったのは我が家だけではあるまい。
北方領土についての政府公報と分かってげんなり。北方領土に『住みたい』人がどんだけいるんだよ。まず生きてる国民が住みたい場所に住めるようにしてから言え」
ツイッター上には、安倍政権に向けてのものだろう。こんなにべもない批判的なつぶやきが溢れており、
なかには、北方領土の問題そのものを知らないとおぼしき層の“批判ツイート”もちらほら散見された。
現在、四十路を越えたオジサン世代からすると、昭和50年代にテレビのブラウン管を通して流れていた、
あの昭和チックな“イガグリ坊主”の少年が出てくる色褪せたCMを思い出した程度だが、今を生きるネット世代の反応を見ていると、
改めて、北方領土問題の“風化”が年を重ねるほどに加速しているのを見せつけられた思いだ。
(続く)