神戸新聞NEXT 1月26日 22時0分配信
地球温暖化の影響で農作物の収穫量減少が懸念される中、植物由来の物質「2−ヘキセナール」が植物の高温に対する耐性を高めることを、神戸大農学研究科の山内靖雄助教(植物生理学)らのグループが明らかにした。
既に稲や野菜などで効果を確認。英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に26日発表した。
植物には本来、40〜45度の高温に耐える機能がある。ただ、常温ではスイッチが「オフ」の状態にあり、温度が急上昇すれば対応が間に合わず、成長が妨げられるという。
山内助教ら神戸大のグループは、植物内にある物質でこのスイッチを「オン」にするものを探索。高温時にできるヘキセナールが引き金となって、
熱による傷みを修復するタンパク質を作り出し、高温に対する耐性を得ることを突き止めた。
ヘキセナールを噴霧することにより、急激に温度が上がりやすいハウス栽培のイチゴやキュウリ、トマトで収量増や葉の日焼けの低減などを確認。
稲は夏場に高温が続くと未熟米が増えるが、水田への散布で成熟した米の割合が平均5%上がった。切り花の鮮度を長引かせることも期待できるという。
ヘキセナールは草や葉のにおいの主要な成分の一つで、香料や防腐剤としても使われる一般的な物質。昨年9月に特許を取得し、民間企業とともに高温障害への“特効薬”として製品化を目指す。
高温耐性の制御は遺伝子組み換え技術でも可能だが、日本では拒絶感が強いという。山内助教は「ヘキセナールは植物由来の物質なので、受け入れられやすいだろう」と話している。(武藤邦生)
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